パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎)の症状と対策

パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎)の症状と対策

突然様子がおかしくなった、我が家のチワワ。大学の動物病院で1日中いろいろな検査をして分かった病名が「壊死性髄膜脳炎(別名:パグ脳炎)」でした。その症状や治療法についてご紹介いたします。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

パグ脳炎の症状

パグ脳炎にかかったチワワ

初期症状

  • 突然の発作
  • 動きが鈍くなる
  • 同じところをグルグル歩き回る
  • 視力の低下

進行した症状

  • 意識を失う
  • 摂食障害
  • 遊泳運動
  • 昏睡
  • 頭をかしげた状態になる
  • 立ち上がることが出来ない
  • 呑み込むのが困難になる

健康に全く問題はなかった

私の飼っているチワワの話です。

今年で11才になります。生まれて3ヵ月で我が家に来ました。その時体重は600gとても小さい男の子でした。

食にこだわりがあり、なかなか食べてくれず、野菜をボイルしてあげてみたり、犬用の栄養ジェルを無添加パンにつけてあげたり、ありとあらゆる方法で食べさせていましたが、なかなかでした。

私の仕事が忙しく一人で留守番は淋しいだろうと、同じチワワを飼うことにしました。

その途端、ご飯の取り合いが始まり、少しでも早くご飯にありつこうと、食欲が出てくると言う何ともラムらしいエピソードがあります。

今ではガツガツ食べてます(笑)それ以外は何の問題もない、元気でやんちゃな子でした。

愛犬のパグ脳炎について

パグ脳炎の症状が見られるチワワ

喜ぶとクルクル回って気持ちを表現する、どこのお家でも見られる光景…。それが7才になったある日突然変わりました。

喜ぶ出来事もないのに、同じ所をクルクル回るようになったのです。

トイレに行くのにも、真っ直ぐ行かず、進んでは何度か回りの繰り返し…。おかしいと思いすぐにかかりつけの病院へ行くと、「これはおかしい!」それが先生の第一声でした。

そこでの判断が出来ないと言うことで大学の動物病院を紹介され、1日中、CTや血液検査、レントゲンなどの検査をし、分かった病名が「壊死性髄膜脳炎」でした。

この名前でピンとくる方は少ないと思います。別名「パグ脳炎」と言います。

「パグ脳炎」の由来

先生に聞いてみた所、主にパグがかかる事が多く、発症すると、早い段階で悪化が進む最悪な病気だから…と言うことでした。

もちろんパグに限らず、ペキニーズやシーズー、チワワ、パピヨン、フレンチ・ブルドック、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャーテリアなど小型犬への発症が確認されているそうです。

特徴…脳全体に壊死が起こる慢性的な脳疾患 (自分のアレルギー反応が過剰に出る。その過剰反応が皮膚に出れば皮膚病になるという感覚。ラムの場合それが脳にきている。)

原因…水頭症やてんかんの罹患率が高い傾向から、何らかの遺伝的な要因が絡んでいると思われるが、原因不明で治療法も見つかっていない

簡単に言うと、原因分からず予防も出来ない、一度なってしまうと、完治できず、日々脳が壊れていく…そんな見たことも聞いたこともなかった恐ろしい病気です。

私は泣きました。涙が止まりませんでした。だって今まで一度も大きな病気をしたこともなく、元気に駆け回っていたんですよ。

それが…治らないんです。延命治療しか出来ないんです。

泣いて泣いて泣き暮らして、でも泣いていてもラムの病気が治るわけではない…覚悟を決めた時、病気と向き合う決意をしました。

そして病気の事を調べました。幸い私は登録販売者と言う薬の販売が出来る資格を持っているので(人向けですが)、ありとあらゆる方法で調べる事が出来ました。

パグ脳炎の治療法

パグ脳炎に闘病中のチワワ

治療…大体は内科治療で、ステロイド剤や抗てんかん薬、免疫抑制剤を使います。脳が腫れている場合は脳圧を下げる治療をします。

ステロイド剤を使う際には水分を多めにとらせて、出させる事が必要です。←これは他の病気で使う時も同じ為、病院で必ず言われます。

飲ませるのは大概錠剤やソフトカプセルで、出来るだけ病院で出たままの形状で与えるのがベストです。お腹の中で徐々に溶けていく方が薬として効きます。

ラムは最初は錠剤でしたが、薬の量を減らした時は粉末になっていました。←今は調子悪いため錠剤ですが…

これがまたラムにはあげるのが難しく、それまでは固形のご飯のみでしたが、薬を飲み始めてからは、ウェットフードに薬を混ぜ、その上に固形のご飯を乗せると言う方法をとっています。

それでも難しいと思われる方は、病院の先生にご相談されてみるといいと思います。

ラムが病院に行った時には、まだ薬の実証データが出ておらず(チワワの)、薬を飲ませてもどれだけの効果があるか分からないと言われました。

要は、明日何かあるかもしれないし、何年か頑張れるかもしれないということ。

ラムはステロイド剤(プレドニゾロン)、抗生物質、免疫抑制剤(アトピカ)を飲ませ、1ヶ月半毎に病院で検査を受け、その状態に合わせてどんどん薬の量を少なくしていっていました。

少なくなってからはステロイド剤と免疫抑制剤だけでしたが、途中この薬が強い為、胃薬(ガスター)や、肝臓薬(ウルソ)が出ていた事もあります。

初期に比べて旋回行動は少なくなりましたが、なくなったわけではありません。

パグ脳炎 予防接種は受けられません

予防接種の類いはどんな作用が脳に現れるか分からない為、受けられません。私は、市役所と保健所に診断書を提出してあり、狂犬病やワクチン接種を免除されています。

ただし、注射をしていないと言うことは、外には出せないと言うことです。(ラムは散歩も出来ないし、外にもあまり出れません。普段はベランダで日光浴をしています。そこはとても可哀想だと感じます…)

パグ脳炎の闘病生活・その後の病状

延命投薬のかいがあってか、ラムは今年で4年目の闘病生活です。

喜びたい所ですが……実は最近ちょっと調子が悪いです。先に挙げた、視力障害、飲み込む時に誤飲してしまう障害、後はほとんど寝ています。

しかし、食欲は変わらず、いつも通り食べているので、それだけが救いです。それでも体重は少しずつ落ちていっていますが…

後、この病気のせいかは分かりませんが、ここ2~3ヵ月、原因不明の痰が絡んだ咳をしています。

酷い時は吐きそうになったり、ご飯を食べる時に喉にかけて、ゲホゲホ言っています…

病院の先生からは、パグ脳炎からくる神経性のものなのか、喉や気管からくるものなのか分からないので、抗生物質で様子を見ますと言われています。←無理に咳止めや、痰止めを使うのも良くないらしいです。

興奮すると酷くなる傾向があるので、今は一畳程のスペースに柵をして、その中で出来るだけ興奮させないようにしています。

ケージ内にいるパグ脳炎のチワワ

延命投薬しているのに何故?と思われる方もいると思いますが、投薬はあくまで緩和で、薬が効かなくなってくる事も多々あるのです。

日々脳は破壊されているのです。見た目には分からず、普通に暮らしていて、落ち着いたように思っていましたが、急に色んな症状があっという間に出てきました。

もしかしたら少しずつ何かの症状があったのかもしれませんが、私に分からなかったのは、落ち着いてきたから…と油断していたせいかもしれません。

反省しつつ、この病気は侮るなかれとまた気合いをいれて生活している状態です。

薬で壊死が止められなくなってくると、盲目、斜頸、立つのが不可能、水さえ飲めなくなる、昏睡などの末期症状が出てくるそうです…。急速に悪化し、数日から数週間で死に至ることも…

まとめ

辛く悲しい事ですが、パグ脳炎は治りません。

ただし、延命は出来ます。

私は、楽しい時間をくれた可愛いラムの為に、感謝を伝えつつ、残りの日々を暮らして行きたいと思っています。

少しでもこの記事が皆様のお役にたてると嬉しいです。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 Chappy

    うちの愛犬は『壊死性髄膜脳炎』から水頭症も併発し3ヶ月の闘病の末、亡くなりました。愛犬と過ごしたのはたったの半年でした。 出会って3ヶ月後、フラフラと真っ直ぐ歩くことが困難になり、立っては左によろけるという状態でした。

    私が初めて飼ったワンちゃんだったので、“これから先楽しく過ごそうね♪”と愛犬との未来を想像していたので、本当に本当にショックでした。症状はみるみるうちに悪化していき、食事は注射器のようなもので愛犬の口を広げて飲ませるという流動食でした。夜も眠れずケージの中でバタバタと暴れる日も続きました。

    なぜか私の愛犬胸の上に乗せると安心したのかグッスリ眠ってくれました。薬のせいで、頭や体の毛が所々ハゲていきました。もう見ているのも辛い状態なほど痩せ細っていき、早く楽にしてあげたい…でも1日でも長く一緒にいたい…と毎日葛藤していました。仕事中は病院に預け、仕事が終えたら病院に迎えにいくという毎日を過ごしていました。

    容態が悪化しましたと病院からの電話で一日は持ち直してくれましたが、やはり体力の限界でお空に旅立ってしまいました。もっとちゃんと看病してあげたかった。。一緒にいてあげたかった。。後悔ばかりでした。ですが、亡くなった愛犬は笑ってるかのような表情をしていました。

    愛犬は一歳の誕生日を迎えてすぐ亡くなりましたが、バースデーをお祝いしてあげることができて、思い出を残してくれました。今頃、天国でたくさんのワンちゃんと走り回っているのかな。。一生忘れないです。

  • 投稿者

    30代 女性 芽愛 

    記事を読んで、あらためて「壊死性髄膜脳炎」の治療の難しさを知りました。薬で延命治療をしていくしかないというのは、飼い主さんはもどかしい気持ちでいっぱいだと思います。パグに多いとの事ですが、他の犬種も行動に異常が感じられたら獣医さんに早めに相談した方がいいと思いました。
  • 投稿者

    40代 女性 マーサ

    わたしは恥ずかながらこの記事を読むまでパグ脳炎という病気を知りませんでした。なのでどのような病気なのだろう?と、とても気になり興味津々でこの記事を読みました。
    読めば読むほどパグ脳炎の恐さを痛感し、記事にあったように突然かかるわんちゃんもいるとのことで他人事ではないと思いこわくなりました。愛犬がこの病気にかからないことを願うばかりです。初期症状を知れたのでよく覚えておき、異変にすぐに気づけるようになりたいです。
  • 投稿者

    女性 くま

    私のチワワもパグ脳炎です。癲癇発作がいきなり起きて脳を調べて分かりました。
    もうすぐ一年ですが、再生医療を取り入れています。他にはステロイド、痙攣止め、先週から免疫抑制剤も。
    再生医療は脳炎にきく事とステロイドの副作用も軽減できるので価値ありだと思います。
  • 投稿者

    50代以上 女性 きみたん

    我が家のトイプードルはもうすぐ5歳。3歳の時パグ脳炎になりました。以来毎日の投薬は欠かせませんが、元気でいます。薬はコンセーブという癲癇薬だけ。ただいつ発作が起こるかと心配でたまりません。何かに興奮すると震えてきて虚ろな目になります。そんな時はずーと抱きしめていると落ち着いてくるのか震えも収まります。こんな方法しか対処の方法がないですが、1日でも長く生きて欲しくて祈る毎日です。
  • 投稿者

    女性 コロ

    パグ脳炎と言われると、パグだけ発症する病気なのかなと思ったらそうではないんですね。好発犬種は小型犬が多く、うちの愛犬シーズーも可能性があるなんて怖くなりました。

    治療はステロイドも含まれるんですね。副作用がとても出やすいお薬なので犬によっては治療の方が厳しいかもしれません。うちの愛犬はステロイドを服用すると、副作用で肝臓の数値が跳ね上がるので特に難しいです。

  • 投稿者

    女性 Satsuki

    うちには5歳になるパグがいます。私もパグと一緒に暮らす前に、同じパグと暮ら
    している友人や獣医さんにパグ脳炎というものについて話を聞いて、ゾッとしてい
    ました。「パグ」という名前がついているので、やはりパグが多いようですが、小
    型犬ならなる確率はあるとのことです。また、遺伝性が高いようなので、良く調べ
    ておくと良いかもしれません。
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