人間に影響がある「カプノサイトファーガ感染症」
カプノサイトファーガ感染症をご存じでしょうか?聞きなれない病気ですが、これは私たち人間に深く関わる感染症です。
犬や猫と人間では、保菌する口内細菌に大きな違いがあります。何百種もの口内細菌の中で、犬猫と人間に共通するものは約15%だとか。
つまり、共通していない細菌に対しては免疫がなく、それらが人間の体内に入ると身体に危険を及ぼすこともあります。
ここからは、動物を介した感染症の中でも、カプノサイトファーガ感染症と呼ばれるものについてご紹介して参ります。
カプノサイトファーガ感染症とは?
この感染症は、カプノサイトファーガ・カニモルサス、カプノサイトファーガ・カニス、カプノサイトファーガ・サイノデグミという3種類の細菌を原因とする病気です。
これらは、犬や猫の口腔内に存在し、その犬や猫に噛まれたり引っ掻かれたりすることによって、感染すると言われています。
ただし、患者数としては非常に少なく、発症率は低いと考えられています。とはいえ、人間に感染するため、特に免疫や体力の弱い方は注意が必要です。
カプノサイトファーガ感染症の原因は?
上記の通り、原因は犬や猫の口内に潜む細菌。この細菌は犬猫の口に8割前後と高い確率で常在しています。また、保菌する犬や猫には症状は出ません。噛まれたり引っ掻かれたりしたことによる他に、傷口を舐められたことにより感染することも。人同士では感染しないとされています。
カプノサイトファーガ感染症の症状は?
潜伏期間は短くて1日、長くて2週間ほど。その後、倦怠感が出て、腹痛や吐き気、頭痛、発熱などの症状が出ます。その後重症化することも多く、敗血症や多臓器不全、髄膜炎などへと進行することがあります。最悪の場合死に至るケースも。
全身症状になった際に免疫が落ちている場合は重症化することがあり、特にカニモルサス、カニスによる感染の場合に、重症化する確率が高いとされています。
症例について
日本においては、1993年〜2017年の間に93例の発症例が挙げられています。そして、そのうち19例が死亡に至りました。発症したのは40歳以上の方が95%を占めていたといいます。世界全体では、約500例が報告されています。
治療方法について
抗菌剤を用いた治療を行います。しかし、初期症状が風邪や腸炎などと似ているため感染に気付きにくく、受診した際には敗血症などへ進行している場合が多く見られ、手遅れとなることも。
もし犬や猫に噛まれたり引っ掻かれたり、傷口を舐められるなどがあった場合は、そのことをよく覚えておき、何らかの症状が出た場合には感染症を疑いましょう。
予防方法はあるの?
カプノサイトファーガ感染症にワクチンはありません。日頃から犬や猫と適切な関係を築いておくことが大切です。犬や猫と触れ合った後は、手洗いを徹底することも有効。
また、噛まれたり引っ掻かれたりした場合は、傷口を石鹸を用いてよく洗い流します。万が一発症があった場合のために、周りの人に動物に噛まれたことを伝えておくことも必要です。
まとめ
カプノサイトファーガ感染症について述べて参りました。死亡例のある恐ろしい病気ですね。
犬や猫と密なコミュニケーションを取ることは大切ですが、頭の隅に感染症のことを置いておきましょう。また、犬や猫にキスをしたりすることに関しても、安全を考えると見直した方が良いのかもしれません。
危険性について知識を持った上で、節度を保ちながら、ペットたちとコミュニケーションを取ることが大切ですね。