アロペシアXという病名をご存じでしょうか?
犬を飼っていらっしゃる方にとっても、あまり聞きなれない名前かもしれません。
これは、特定の犬種に多く見られる病気であり、脱毛や色素沈着のように皮膚に異常をきたすものです。
犬の皮膚は薄く比較的弱いため、皮膚炎や脱毛に悩まされているわんちゃんも多いかと思いますが、その原因が不明な場合は、この病気を疑ってみても良いかもしれません。
ここからは、犬の病気「アロペシアX」について詳しくご紹介してまいります。
アロペシアXとは?
もともとアロペシアとは、人間の脱毛症のことを指します。
ここで紹介するアロペシアXとは、犬の脱毛症のこと。
脱毛以外にも、皮膚に関する様々な症状を引き起こします。
原因が不明であるため、「X」と名付けられ、脱毛症Xなどと呼ばれることも。
また、クッシング症候群と症状に類似点があることから、偽クッシング症候群などとも呼ばれます。
特定犬種に見られることが多く、若年で去勢手術を行っていないオスの個体に、よく発症するとされます。
※クッシング症候群とは?
副腎から分泌される皮質ホルモンの量が過剰になる病気。
痒みのない脱毛(左右対象)や色素沈着など、症状にアロペシアXと似た部分がありますが、他にも多飲多尿や食欲増進、腹部の膨らみといった症状が見られます。
歳をとった犬に比較的多く見られ、動物病院での治療が必要となります。
好発症犬種
- ポメラニアン
- パピヨン
- トイプードル
- シベリアンハスキー
- サモエド
- アラスカンマラミュート
- シェットランドシープドッグ etc.
発症割合の高い犬種は何種類かいますが、特にポメラニアンの発症が多く、全体の半数を占めると言われます。
原因
アロペシアXの原因は、不明。
ホルモンに関わるとも言われていますが、いまだ解明されていません。
そのため、皮膚に異常が見られてもアロペシアXという診断に至らないことが多いようですが、こういった病気があることを頭に入れておきましょう。
症状
- 脱毛
- 皮膚の色素沈着
- 被毛の艶がなくなる
- 乾燥
- 皮膚に張りがなくなる
- 皮膚が薄くなる
脱毛の場合は、体幹部分に左右対象に現れることが多いのが、アロペシアXの特徴です。
四肢や頭部にはあまり症状が出ません。
皮膚は乾燥や皺が目立つようになり、張りや艶もなくなるため、老化のように見えます。
痒みや痛みなどはないので、犬が患部を噛んだり擦り付けたりする様子がなければ、アロペシアXの可能性があります。
治療方法
アロペシアXは原因が解明されていないため、直接的な治療方法がありません。
対症療法としてホルモン剤などの投薬を行ったり、薬浴や食事管理、サプリメント、服を着せるなど、皮膚の乾燥や刺激を防ぐための処置を行ったりします。
すぐに治るものではないので、長い目で病気と付き合っていくことが必要です。
また、ホルモン系の病気と言われていることもあり、去勢・避妊手術により良くなる場合もあります。
症状の改善には個体差があるため、かかりつけの獣医師とよく相談して、治療方針を決めることが大切です。
まとめ
犬の脱毛症であるアロペシアXについてご説明いたしました。
アロペシアXには、直接的な治療法も予防法もありません。
しかし、毎日の生活環境の整備が最も大切だと言われています。
栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分なコミュニケーション、ストレスのない住環境など、犬にとって心地良い生活環境を作ってあげてください。
また、ブラッシングや定期的なシャンプーにより、皮膚を清潔に保つことも重要です。
アロペシアXは、犬に痛みやかゆみといった直接的な苦痛をもたらすわけではありません。
しかし、愛犬には見た目も中身も健康でいてほしいもの。
毎日の体調チェックを欠かさず、もし発病しても早期治療できるよう、飼い主として努めて参りましょう。