犬の目にも起こる、白内障と似た症状の「角膜ジストロフィー」とは

犬の目にも起こる、白内障と似た症状の「角膜ジストロフィー」とは

人間にも犬にも発症する「角膜ジストロフィー」。目の角膜に関する病気です。この病気は、遺伝要素が強い為予防策がなく、治療法も確立されていませんが、目の不調による危険防止の為にも早期発見が求められます。この記事では、そんな「角膜ジストロフィー」についてご紹介します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

角膜が白く濁る「角膜ジストロフィー」。
症状が似ている部分があることから、白内障と間違われることもありますが、患部も治療法も異なる病気です。
あまり重症にはなりませんが、愛犬の目をよく観察し、早く異常に気づいてあげることが必要です。
ここからは、目の病気「角膜ジストロフィー」について、詳しくご説明して参ります。

角膜ジストロフィーとは?

こちらを見つめる犬の顔アップ

角膜ジストロフィーは、別名「角膜変性症」とも言われ、人間にも犬にも起こり得る病気です。
角膜(※)に白濁が生じ、これにより直接視力に影響することはないですが視界に影響を及ぼします。
この白濁は段々と広がっていくことが多いですが、大きさが変わらない場合も。
症状がかなり進んだ状態だと角膜全体が白く濁るため、眼がやや青みがかって見えることもあります。
症状は、片目だけに現れる場合も両目に現れる場合もあります。

※角膜→眼球の壁部分にあたる透明の膜。

角膜ジストロフィーの症状

目が白く濁ったチワワ

先述のように、角膜部分が白く濁ることが主な症状です。
角膜の中心から発症することが多く、これは角膜にコレステロールや中性脂肪が付着するためであると言われています。
水分が溜まって変形してしまうケースもあります。
失明に至ることはほとんどないため、日常生活への支障はさほど大きくはなりません。

白内障とどう違う?

伏せの姿勢をする目が白く濁った犬

眼が白く濁るということで、白内障とどう違うのか、疑問に思われた方もいらっしゃるかと思います。
しかし、白内障と角膜ジストロフィーとでは、症状も治療法も全く違っています。

白内障は、黒目部分の水晶体自体が全体的に濁ります。
また、目の鈍痛や頭痛が生じることもあり、進行すると失明の恐れがあるなど、犬の日常生活に支障を来すことが多くあります。
発症原因としては遺伝や加齢によることが多く、他の眼病を併発することもあります。

一方で、角膜ジストロフィーの場合は黒目よりも外側の膜が濁り、それは部分的。
痛みや痒みはなく、失明の可能性も低いのが特徴です。
発症は、若い犬にも老犬にも見られます。

角膜ジストロフィーの原因は?

散歩中にベンチの上で座るキャバリア

角膜ジストロフィーの主な原因は、外傷など二次的に発生することもありますが、遺伝によるものだと言われています。
好発症犬種は以下のような種類が挙げられます。

  • シェットランドシープドッグ
  • キャバリアキングチャールズスパニエル
  • ビーグル
  • エアデールテリア
  • シベリアンハスキー etc.

角膜ジストロフィーの治療法は?

目を診察されているビーグル犬

角膜ジストロフィー専門の治療法は、現在確立されていません。
点眼薬を処方される場合もありますが、犬に痛みや不快感はなく失明もほぼしないため、様子見になることが多いようです。
症状が進行し日常生活に支障を来す場合は、角膜移植などの手術を行う場合もあります。

角膜ジストロフィーを予防するには?

ハスキーの母犬と子犬たち

原因が遺伝によるものが多いので、予防策もないのが現状です。
日頃から愛犬の状態をよくチェックし、異常が見られた場合にはすぐに獣医師に相談しましょう。

また、こういった遺伝病はその遺伝子を持った個体の繁殖によりどんどん増え、特に日本では蔓延していると言われています。
病気になる遺伝子を増やさないためにも、発症した個体には交配をさせないという飼い主の配慮が必要です。

まとめ

笑顔でこちらを見つめるシェットランドシープドッグ

角膜ジストロフィーについてご紹介しました。
愛犬が好発症犬種にあたる方は、特に気にかけてあげたいですね。

専門の治療法はない病気ですが、何らかの対症療法はできるかもしれませんので、気になる点があれば、すぐに動物病院へかかりましょう。
そして、何よりも愛犬の体調チェックを欠かさずに行うことが第一に求められます。

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