犬ブルセラ症とはどんな病気?
ブルセラ症とは、ブルセラ菌と呼ばれる細菌が原因とされる感染症で、主に家畜とされている牛や豚、羊に流行する病気ですが、人にも感染する人獣共通感染症とされています。
犬も発生する病気ですが、他の家畜ブルセラ症とは症状少し異なることから「犬ブルセラ症」と呼ばれています。
犬ブルセラ症の症状
犬がブルセラ症に感染すると、生殖機能に影響を及ぼし、オスの場合は睾丸が一時的に腫れた後に縮み、正常に精子を作ることができなくなることがあります。
メスの場合は、妊娠後流産や死産となることが多く、一度でも感染すると何度も流産や死産を繰り返す可能性が高いとされています。
これ以外に食欲不振や下痢・嘔吐などといった健康状態の異変は特に見られないことから、気づかずに繁殖させているケースがほとんどです。
人に感染した場合の症状
人にも感染するブルセラ症ですが、牛や豚のブルセラ症に感染すると高温の発熱などインフルエンザのような症状が見られるのに対して、犬のブルセラ症に感染しても目に見える症状は現れないのが特徴です。
これは、ブルセラ属菌の中でも最も弱い病原性の為、重症化に至ることが稀であり、感染しても発症しないことも多々あります。
万が一発症した場合には、発熱、食欲不振、吐き気、下痢などのインフルエンザに似た症状が表れます。
どのように感染するのか
犬から犬への感染ルートは主に交尾によるものとされています。その為、ブリーダーの犬舎など、繁殖させる環境の下での飼育や、ペットホテルや大規模なドッグランなど、犬が多く集まる場所での感染が多く見られます。
人への感染ですが、普段の生活ではほとんど感染の危険性はなく、犬の出産や治療に携わることでその感染リスクが高くなります。また、犬ブルセラ症は人から人への感染はないといわれています。
集団感染を引き起こすケースが多い
犬ブルセラ症は日本でもいくつか発症したという報告があげられています。
平成18年10月頃には、大阪府和泉市にある個人経営の犬繁殖場で250頭以上の犬が放置され、そのうち半数近くが犬ブルセラ症に感染していたことが判明しました。
また、東京都と千葉県にある小・中型犬を貸し出すレンタル犬サービス会社で、飼育されていた59頭の犬のうち、18頭が犬ブルセラ症の検査を行ったところ、陽性反応が出たと報告されています。犬から犬への感染が続くと、こうした広い範囲での集団感染を引き起こすケースがあります。
犬ブルセラ症の治療法と予防法
犬ブルセラ症に感染した場合は、テトラサイクリンなどの抗生物質の投与を長期間行います。しかし、細菌が細胞内に寄生する為、薬剤投与を行っていても排除できず再発することもあります。また、さらなる感染を防ぐ為に避妊や去勢の手術を推奨されます。
予防法ですが、現在犬ブルセラ症の予防ワクチンはありません。犬の糞や尿などの汚物は直接手で触れない、万が一愛犬が流産をした場合にその分泌物などには直接触れないようにしましょう。
また、顔や口を舐められたりなど犬とのスキンシップが終わった後は、石鹸での手洗いやうがいをこまめに行うことで、予防に繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。犬ブルセラ症は人にも感染する可能性がある感染症だということがわかりました。実際に日本でも集団感染が報告されている病原体でもあります。
予防としてはワクチンなどがない為、犬とのスキンシップ後は石鹸を使用した手洗いやうがいを行うこと、尿や糞、分泌物などには直接触れないようにすることなどが大事ですね。