犬の無菌性結節性脂肪織炎ってどんな病気?
犬を飼っている方で皮膚病に悩まされている飼い主さんも多いと思います。その原因は様々でウィルス性のものから害虫によるものなど、少なからず治療法も異なってきます。
その中でも、今回ご紹介する病気は、「無菌性結節性脂肪織炎(むきんせいけっせつせいしぼうしきえん)」という犬の病気です。あまり聞き慣れない病名ですよね。これは、主にミニチュアダックスフンドに見られる病気とされていますが、どの犬種でも発生する恐れがあります。
無菌性結節性脂肪織炎とは、簡単にいうと皮膚の病気です。足の付け根や腰のあたりにしこりが出来てしまい、そのしこりが少しずつ膨らみ破裂したり、患部が広がって複数のしこりが出来たりと、皮下脂肪組織における炎症性疾患とされています。
適切な治療を行わなければ、膿を出し続け、犬の体を少しずつ衰弱させていく恐ろしい病気なのです。
無菌性結節性脂肪織炎の症状
この病気の主な症状は以下の通りです。
- 発熱(40度前後の微熱)
- 食欲不振
- あまり動こうとしない
- 皮膚の下にしこりが出来る(一つもしくは複数)
しこりが出来たことで腫瘍か何かではと疑うことが多く、また、破裂して膿が出てきて初めて気がつくこともあり、外傷によって炎症を起こしてしまったのではないかと動物病院へ受診することが多いといわれています。
発熱や食欲不振などの全身に現れる症状もありますが、すぐに無菌性結節性脂肪織炎と結びつけることが難しいとされています。
犬の無菌性結節性脂肪織炎になる原因
実はこの無菌性結節性脂肪織炎は、まだはっきりとした原因は分かっていません。しかし、手術の際に使用される「縫合糸」が関連しているのではといわれています。
ケガの手術を行った時や、避妊・去勢の手術を行った時の縫合糸が、こうした脂肪織炎や肉芽腫を発症させる原因となっていると懸念されています。その為、最近では縫合糸を使用しない超音波メスなどを用いて手術を行う病院も増えてきています。
無菌性結節性脂肪織炎の治療法は?
先ほどお伝えしたように縫合糸が原因となっている場合は、外科的に縫合糸を除去することで治癒することもあります。
しかし、手術をした部位ではなく、縫合糸が直接関係しない部位から症状が起こる場合は、他に原因が隠れている可能性があります。その場合はステロイドや免疫抑制剤を使用したり、またはしこりがなくなれば経過観察に移ったりとその時の状態によって治療方法は異なってくるようです。
特にミニチュアダックスフンドは、治療への反応が鈍く薬の量を減らすと再発することもあり、治療に多大な時間や費用がかかることも珍しくありません。
実際に愛犬が、無菌性結節性脂肪織炎と診断された際には、治療内容や期間など少しでも疑問に思うことがあれば獣医さんへ質問して納得のいく治療を進めてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。聞きなれない無菌性結節性脂肪織炎は皮膚の病気であること、さらに適切な処置を施さないと排膿や炎症を繰り返し、犬の体を衰弱させてしまう恐ろしい病気であることが分かりました。
発熱や食欲不振などの症状だけでは、時期によっては風邪や熱中症などを先に疑ってしまいがちです。
素人の目では正しい病気を判断することは難しいので、いつもより元気がない、触るとしこりがある、膿が出て炎症を起こしているなど「おかしいな」と思うところがあれば、動物病院へ受診して正しく診断してもらいましょう。
すぐに受診することが難しい場合は、いつから様子がおかしいのか、どのような症状なのか予め病院へ電話で相談して指示を仰ぎましょう。