犬の肝臓の数値が高い!起こる問題や考えられる原因について

犬の肝臓の数値が高い!起こる問題や考えられる原因について

犬の健康診断では、血液検査により肝臓の数値が引っかかってしまう場合が意外に多く、その原因は肝臓自体に問題があることもありますが、実はそれ以外にも原因があることがあります。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の肝臓の数値が高いことについて

犬

健康診断で「肝臓の数値が高いから、お酒は控えてくださいね」なんて言うことを聞いたことありませんか?実はワンちゃんも同じように健康診断で肝臓の数値が引っかかることがあります(もちろん、お酒で引っかかるわけではありません)。

肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、障害があってもなかなか症状には表れず、見た目にはその障害がわからないため、見逃されることが多い臓器です。なのでなかなか「肝臓が悪そうだから検査しましょう」とはなりづらいため、少しでも肝臓をケアしていくためには、定期健診が必要です。

犬の肝臓の数値が高くなるのはなぜ?

では、実際に肝臓にはどのような問題が起こりやすいのでしょうか?

私の病院では、ワンちゃんやネコちゃんには年に2回の健康診断をお勧めしています。

そして、その健康診断では、一見健康そうに見えるワンちゃんの実に40%に何かしらの異常が見つかっています。その中でも多いのが、血液検査での肝臓の数値の異常です。

まず、肝臓関係の数値では、ALT (またはGPT)、AST (またはGOT)という項目(さらにはALPやGGT (γGDP)といった項目を見ることもあります)で評価されることが多いのですが、これらは元々肝臓の細胞内に存在している物質(酵素)です。

それが血液中で数値が高くなっているということは、何かしらの原因で、肝臓が障害を受けている、つまり肝臓の細胞が何らかの原因で破壊され、細胞内のALTやASTが血液中に出てきてしまっている状態と考えられるのです。

犬の肝臓の数値が高い時の原因

歯周病

では、その肝臓を障害する何らかの原因にはどういったものがあるのでしょうか?犬の肝臓数値が高まる原因として下記が考えられます。

  • 肝嚢胞
  • 肝臓の腫瘍
  • 肝臓がん
  • 肝炎
  • この中でもワンちゃんの肝臓数値が高くなる原因に多いのが、「二次性肝炎」と呼ばれる肝臓が間接的に障害を受ける病態です。特に歯周病による二次性肝炎が発症しやすい傾向にあります。

    歯茎には血管が豊富です。歯周病とは、歯や歯茎に歯垢・歯石の中の細菌によって引き起こされる病気であるため、細菌が歯茎血管に入り肝臓を始め全身の臓器を侵食します。ほとんどは体免疫機能でしっかりと処理されますが、歯周病重度の場合、肝臓などの臓器に悪影響を及ぼします。

    犬の肝臓の数値が高いと言われたら?対策法も

    おやつ

    これは個人的な経験なのですが、肝臓の数値が高いワンちゃんの中には、おやつをやめるだけで肝臓の数値が下がるケースがあります。

    これは実際のところ、おやつがどんな風に肝臓に負担をかけているのかはわからないので、はっきりしたことが言えないのですが、もし健康診断で肝臓の数値が引っかかるようでしたら、おやつをやめてみても良いかもしれません。

    以上のように、血液検査で肝臓の数値をチェックするだけでも、体のいろんなことがわかります。さらに肝臓は、手遅れに近い形になるまで、症状には表れないため、気になる方はぜひ動物病院でチェックしてみてください。

    特に春の時期には、みなさんフィラリア検査で採血する機会がありますから、その時に一緒に調べてもらうと、ワンちゃんには負担なく検査できますのでオススメです。

    もちろん、血液検査だけでは体の全てのことがわかる訳ではありませんので、全身チェックしたい場合にはワンちゃんドックを受けるようにしてくださいね。

    まとめ

    肝臓は毒素の分解、栄養の貯蔵、消化のサポートなど様々な役割を担います。人間同様、犬にとっても重要な臓器のひとつです。一方で沈黙の臓器と呼ばれるほど、肝臓は異常が起きたとき目立った病変が現れにくいです。

    肝臓の異変により食欲不振や嘔吐、多飲多尿、歯の黄ばみなどが症状として現れますが、いずれも気付くのが困難です。病気の早期発見が難しく気が付いた時には、病気が進行していたケースも少なくありません。

    犬の肝臓を守るうえで重要なのは、定期的な健康診断です。こまめに検査数値を把握することが肝臓病から犬を守るうえで重要となります。後々、後悔しないためにもこの機会に飼い犬の肝臓数値をチェックしてみてはいかがでしょうか。

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    ユーザーのコメント

    • 投稿者

      20代 女性 ゆん

      犬は人間のような肝炎が起きることは稀で、記事のように、他の体内の不調で二次的に肝臓の数値が異常値を示す場合の方が多いようです。
      歯周病の犬は、中高齢になってくると目立ってきます。歯のケアをしていないと、歯石が貯まり、歯肉に炎症を起こします。
      軽度であれば問題ないですが、細菌が歯にとどまらず、肝臓や他の臓器に炎症を起こしたり、最悪敗血症を起こしたりすることもあるのです。健康診断で内臓に関する血液検査を定期的に行うと共に、普段のデンタルケアも大事にしたいですね。
    • 投稿者

      30代 女性 TIKI

      記事を読んで、肝臓の数値が悪くなる原因として「歯周病による二次性肝炎」も考えられると知って驚きました。日々、愛犬の歯のケアには気を付けているつもりですが、13歳という老犬なので歯周病になりやすい状況ですので、健康診断と歯のチェックは獣医さんで必ずお願いしたいと思いました。
    • 投稿者

      20代 女性 小夏

      肝臓は障害があっても症状としては、なかなか表に出て来ない。。早期に発見がしにくいということですね。
      健康そうなワンちゃんの40%に何かしらの異常が見られるって…こわいですね。
      大きな病気であれ、小さな病気であれ、なんでも早期に発見できたらそれだけで愛犬の負担も減りますし、定期検診はできる限り受けさせてあげたいですね。
    • 投稿者

      20代 男性 サトウ

      歯磨き出来ない家の老犬にとって死活問題です 塗るタイプのデンタルジェルで誤魔化しているけど噛まれてもいいからしっかり磨きたいと思います( ノД`)…
    • 投稿者

      女性 匿名

      うちの子、2ヶ月前にして頂いたペットドッグの結果ではALTが28だったのに今日歯石取りの前の血液検査で170だったんです。ALPも60から390に。これは痒み止めの注射の影響って言われました。
      1ヶ月前ぐらいから目の周りが荒れて少し腫れていて、年末におやつあげ過ぎてアレルギーかなって注射で痒みを止めて様子を見ていたんですが、薬が切れるとまた荒れて痒いみたいだったんです。
      もしかして歯石の中にアレルギー物質が溜まった状態かもしれないと歯石取りをする事になり取ってもらったんですが、たった2ヶ月でこんなに変化するものなんでしょうか?
    • 投稿者

      20代 女性 コナ

      まだ愛犬が2才足らずのときに、毎年1回行っている健康診断の血液検査でGPTが高めといわれたことがありました。
      正常範囲内だったのですが、この年齢の犬にしては高めだと獣医さんに指摘され、食事について聞かれました。
      手作り食だったので、それが良くなかったのかなと相談したのですが、内容に問題はなさそうでどうしてだろう、とモヤモヤしたまま数カ月。
      判明したのが、主人が私に内緒で愛犬にジャーキーのおやつをあげまくっていました。
      普段トレーニングやお留守番のご褒美以外ではおやつを極力与えないようにしていたのに、冷蔵庫のジャーキーがみるみるなくなっていくことに気が付いて獣医さんに「お肉あげすぎじゃない?」と言われたことばが蘇り、主人に問い詰めたら判明しました。
      検査の結果で正常範囲内でも、年齢によってちょっと高めだと気が付いてくれた獣医さんに感謝です。
    • 投稿者

      30代 女性 nico

      歯周病から肝臓に影響があるなんて思いもしませんでした。知らなかったら関係性を疑いもしなかったと思います。そもそもここで書かれているように肝臓の病気は自覚症状があらわれにくいから早期発見もむずかしいですよね。うちではそれらの症状を見過ごしてしまったり気付けなかったときに後悔したくないので3歳をすぎてから毎年血液検査を受けるようにして全身の健康チェックをするようにしています。とても健康な子で、予防接種やフィラリアの薬をもらいに行くくらいしか動物病院に用がないので、獣医さんに異変に気付いてもらう機会も少ない気がして、健康だからこそあえてきっちり検査をして問題がないか確認するようにしています。ちょっとでも数値に変動があれば細かく説明してもらえるので、食事や運動に気を遣うこともできますし、おすすめですよ!
    • 投稿者

      40代 女性 てと

      歯周病ってこわいですね。この記事を読んでいて自分がこわくなってしまい、歯医者さんで歯の歯垢を取ってもらおうと思いました。肝臓は末期くらいにならないと症状が中々出ないようなので数値変化はかなり大変なことですよね。とくに犬に歯磨きという習慣がまだ日本には根付いてないので、危険ですね。でもこういう記事を見たら歯を磨いてあげようかなと思うと思います。たくさんの人にこの記事をみてほしいです。
    • 投稿者

      50代以上 女性 an

      16歳のダックスです。高齢の為、虫歯による抜歯を躊躇していましたが、肝臓の数値も悪く、目の下に潰瘍が出来て、穴が開いた状態になり、手術しました。綺麗に歯石も取って頂き、1本抜歯しました。潰瘍は治りましたが、まだ、肝臓の数値は薬を止めると上がってしまいます。もっと早く処置するべきだった。と後悔しています。
    • 投稿者

      40代 女性 クータン

      わが家のチワワは、1歳と2ヶ月になりました。
      避妊手術の時6ヶ月目に血液検査をした時に肝臓数値が正常範囲をやや超えていまして( 17〜78の範囲が115 )経過観察でしたが、それより8ヶ月後フィラリアの検査の時に調べた血液検査では、更に肝臓数値
      が正常範囲を大幅に超えて( 18〜93の範囲が、153 )でした。やや肥満傾向で
      ダイエットを勧めれました。ほんの少し
      ですが、バナナやりんご さつまいも
      ボーロ など ほんとに少しだけでしたが
      (・・;)今は医者に注意され 気をつけています。この数値と朝30分でも朝食が遅いと黄色い胆汁をよく吐きます。関係があるみたいですが、大丈夫ですか?
      食事も胃に負担かけないよう 3回に分けて
      夜は8時朝は9時前にあげています。
      胆汁と肝臓を改善するにはどうしたらよいのでしょうか。どなたか情報をお知らせ下さい。
    • 投稿者

      女性 もふころ

      愛犬の歯みがきは諦めモードだったんですが、歯周病が肝臓にも影響すると知って怖くなりました。歯みがきは愛犬も発狂するくらい嫌いなので、毎日続けられる無理のないケアから考えようと思います。
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