動物病院で出会った「身近で怖い感染症」

動物病院で出会った「身近で怖い感染症」

犬を飼っていると様々な感染症の情報を耳にしますが、どこか他人事のように感じていませんか?感染のリスクはいたる所にあります。動物病院で遭遇した、感染症の一部をご紹介します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

暖かくなったら気を付けて ペットホテルで○○を発見!

困った顔のダックスフント

ペットホテルでお預かりした、元気なレッドのダックス君。ロングコートはしっかりブラッシングされていて、お手入れの行き届いた様子が伺えます。動物病院に預けられていても、尻尾を振ってご機嫌でした。

ところが、スタッフがダックス君を白い台の上に連れて行った時、ある事に気がつきます。台の上に、黒い砂のような物がパラパラと落ちてきます。

この黒い砂のような物の正体は、なんと「ノミの糞」!慌てて飼い主へ確認すると、ほとんど外には出ていないのでノミ予防はしていないということで、ノミ感染には気づいておられませんでした。すぐにダックス君に駆虫薬を使い、お家も徹底的にお掃除してもらいました。

普段お家の中で過ごすことが多くても、ノミはどこからやってくるか分かりません。ノミが活発になる気温13℃以上の環境で過ごしている場合は予防薬を使いましょう。

子犬を迎える時には要注意!

チワワの親子

チワワ君のお家では、先日新たに子犬を向かい入れました。2匹はとても仲良くしていましたが、少しすると子犬が下痢をしてしまいました。

動物病院で便検査をすると、なんとコクシジウムが見つかったのです!コクシジウムは消化器症状を引き起こし、子犬では重症化して命に関わる場合もあります。

コクシジウムは成犬であるチワワ君にも感染していました。成犬の場合症状に現れない場合もありますが、子犬への感染を防ぐために一緒に駆虫を行いました。お家中の清掃・消毒も大仕事です。

子犬が既に何かに感染していて家に感染症を持ち込むケース、先住犬が感染していて後から来た子犬が重症になるケース、どちらも起こりえます。今回のケースではどちらの子がコクシジウムを持ち込んだか分かりませんでしたが、どちらにしても新たに子犬を迎えたタイミングは、感染症に特に注意した方がいいでしょう。

犬の風邪? ワクチンで予防できるかも

外で遊ぶ二匹のパピヨン

その日やってきたパピヨン君は、数日前から咳をするということで来院しました。心臓病や気管虚脱がなく、「気管支炎」が見られたので、今回の咳の原因はケンネルコフが疑われました。

ケンネルコフは通称犬風邪ともいわれる「伝染性気管炎・気管支炎」のことをいいます。人の風邪に様々な原因があるように、犬風邪の原因も「パラインフルエンザ」や「アデノウイルス2型」「マイコプラズマ」など様々あります。

パピヨン君は社交的で、お散歩先の公園でたくさんの犬と挨拶するのが大好きです。その中で感染してしまったのかも知れません。更に数年混合ワクチン接種を受けていないとのことでしたので、感染リスクが高い状態だったのでしょう。今回もワクチンを接種していれば、防げたかもしれません。

ケンネルコフは体力のある犬では数日~2週間ほどで回復しますが、子犬や老犬では肺炎を起こすなど重篤になることもあります。ワクチン接種を受けることで感染リスクを下げることができます。

感染症の注意事項

ワクチンを打たれる犬

犬が感染症に罹った疑いがある場合は、他の犬に伝染さないように配慮しなければなりません。同居動物はもちろん、動物病院には病気で抵抗力が落ちている犬が多く来院していますので特に注意が必要です。

動物病院のスタッフに「感染症に罹っている」と伝えると、他の犬と接触しないように案内してもらえます。同時に、抵抗力の落ちた犬を連れて来院する際も、感染しないよう注意しましょう。感染の機会の多いもの・罹ると命に関わるようなもの注意が必要です。

予防薬のあるものは予防を欠かさないことが大切です。万一地域で流行した場合も、地域の予防率が70%を超えていれば、流行を抑えることができるといいます。普段から予防を心掛ける事が大切です。

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