ボツリヌス中毒とは?
犬が“クロストリジウムボツリヌス”という細菌に感染し、その細菌が産生する毒素によって神経障害が引き起こされ、発症する中毒症のことをボツリヌス中毒と言います。
犬がボツリヌス中毒を発症すると、カラダを動かすことができなくなったりするなど、症状があらわれ始めてから1日程度で重症化してしまう可能性が高いとされています。
ボツリヌス中毒の原因とは?
犬がボツリヌス中毒を引き起こす主な原因は、“ボツリヌス菌(C型)”がカラダの中へと侵入してしまうことです。
ボツリヌス菌(C型)は、土などによって汚染された食品などに含まれていると考えられています。拾い食いをしやすい犬や、落ちているものを口の中に入れてしまいやすい犬は、とくに注意して生活するようにしましょう。犬が生活している環境の中に食べ物(とくに腐敗したもの)を置かないようにしましょう。
ボツリヌス中毒の症状とは?
次に挙げる症状が引き起こされた場合、ボツリヌス中毒である可能性を疑うことができます。
- ドライアイ(目が乾く)
- 目に潤いがなくなる
- ヨダレを垂らす
- 食べ物を上手く飲み込むことができない
- 自力で排泄することができない
- 歩行が困難になる
- 急にカラダに力が入らなくなる
- 元気がなくなる
- 弱々しい鳴き声を発する
ボツリヌス中毒は、明らかな症状があらわれると考えられており、飼い主さんにも発見しやすいと思います。
しかし、発症してから1日程度で重症化しやすく、命の危険が及ぶ可能性が高いため十分に注意しましょう。
ボツリヌス中毒が引き起こす障害
自律神経障害
自律神経に障害が起きると、消化器系の蠕動運動障害が起きます。(蠕動運動障害とは、食べ物を送り出せなくなる症状のことを言います。)また、角膜炎やドライアイ、排泄障害などの症状もみられます。
脳神経障害
脳神経障害が起きると、消化器系の蠕動運動障害が起きます。また、ヨダレを垂らしたり、まぶたが痙攣したりなどの症状もみられます。
末梢神経障害
末梢神経障害が起きると、四肢が脱力します。発症してから1日程度で歩くことができなくなるとされています。
ボツリヌス中毒を予防するためには?
最も効果的な予防法は、犬がボツリヌス菌(C型)に感染しないように配慮するということです。汚染された食べ物に付着している可能性が高い菌です。
外では、お散歩中などに拾い食いをしてしまわないように注意しましょう。自宅でも食べ物の放置や、ゴミ箱の残飯にも注意しましょう。
ボツリヌス中毒を発症してしまったら?
ボツリヌス中毒を発症しているかどうか、飼い主さんではわからない場合もあると思います。ボツリヌス中毒の症状でもご紹介しましたが、ボツリヌス中毒を疑わせる症状がほんの少しでもあらわれている場合、すぐに病院へ連れて行ってあげてください。
かかりつけの病院だけではなく、夜間や緊急でも診てもらうことができる病院を探しておくことも、愛犬の命を守るために必要なことだと思います。
ボツリヌス中毒の治療には入院が必要になることがほとんどだとされています。早期に治療することができれば、C型抗毒素を投与することで回復が見込めるようです。
重症化してしまってからではC型抗毒素を投与しても効果がないとされており、対症治療によって症状を緩和する治療が行われるとされています。
まとめ
犬は何でも口の中に入れてしまいます。それが食べ物であれば飲み込んでしまうでしょう。拾い食いはしつけによってやめさせることができます。
暑い時期は自宅にある食べ物も腐敗してしまいやすいですし、犬の届かない場所で保管するようにしましょう。
ボツリヌス中毒を発症し、症状があらわれてしまったとき、愛犬が苦しむ姿を見て慌ててしまう飼い主さんも多いと思いますが、とにかく落ち着いて、冷静に判断してください。
ボツリヌス中毒は命に関わる病気です。愛犬の命を守るため、落ち着いてすぐに行動することを心がけましょう。
ボツリヌス中毒はボツリヌス菌が作るボツリヌス毒素によっておこる病気です。
ボツリヌス毒素の働きで、麻痺症状が引き起こされます。
ボツリヌス菌は、酸素があると増えることができない菌の仲間です。
ボツリヌス菌は芽胞(殻に閉じこもった種子のような形)では、熱、乾燥、消毒薬に強い状態になり、厳しい環境下でも長く生き延びます。このような芽胞は土壌や湖沼などに広く分布し、肉や魚や野菜直野食品が汚染されます。
ボツリヌス菌は酸素がない条件で増えますので、レトルトパウチ、缶詰、瓶詰などの酸素のない状態になると芽胞が発芽し増殖します。缶詰が膨らんでいたり、レトルトパウチのフードが膨らんでいる場合は絶対に食べないようにしましょう。また、ハチミツにはボツリヌス菌が含まれていることがありますので、あげないようにしてください。