愛犬テファの椎間板ヘルニア体験記
わが家は2頭のペキニーズを飼育しています。先住犬♀のハナは今年9歳になり、後住犬♂のテファは10ヶ月違いの8歳になります。
これまでハナは1度、テファは3度ヘルニアを発症しています。
ハナは体重が軽いせいか(4kg程度)症状が軽く、獣医師の話では「ヘルニア予備軍」といわれる程度の軽い症状で済みましたが、テファは1度目と3度目はグレード1。
2度目は後ろ足を引きずり、いわゆる「ナックリング」状態となりました。足の裏の痛覚をつねってみると反応したため、グレード3程度といわれました。
ある朝突然、いつもと違う異変に気づく
テファに異変を感じたのは2014年の3月、テファが4歳の誕生日を迎えた翌月のことでした。
短頭種で胴長+短足のペキニーズにとって気候の良い3月は快適な季節でした。
前夜10時にお散歩した時は足取りも軽やかで確かに元気でした。自宅へ戻りいつも通り遊んでから就寝。
翌朝こたつの横でじっとうずくまるテファの異変に気づき、軽く抱き上げるとブルブルと震えていました。テファの様子を主人に話し、主人が抱きかかえると「ギャン!」ともの凄い声で泣き叫んだのです。
これまで2度軽いヘルニアを発症しているので、「もしかして・・・?」と嫌な予感がしましたが、明らかに今までのケースとは違いました。
こんな日に限って掛かり付けの動物病院が休診日
その日は水曜日。ハナもテファも腰に異変を感じた時は必ず水曜日で、かかりつけの動物病院が休診日・・・。
前回2度は、主治医に「ヘルニア予備軍」といわれハナもテファもステロイドと抗生剤の内科的治療を中心に、1週間ケージレスト生活で回復しました。
主治医の話では、まずはケージレストで絶対安静!1~2週間で回復の兆しがあるかどうかが非常に重要だといわれました。
2度の発症以降は、抱っこは横向きが必須で、室内に段差のものを置かないようにし、寝室はベッドなので昼間は必ずドアを閉めていました。犬がソファーに昇れない高さか、ローソファーが良いといわれ買い換えました。
こんな具合に気を付けていたにも関わらず、テファはある朝突然両足を引きずるほどの状態になってしまったのです・・・。
セカンドオピニオンの獣医師の元へ
この日は家のすぐ近所の動物病院で診察してもらった結果、点滴と内服薬を処方してもらいました。
翌日、再び近所の動物病院の元へ。
獣医師は「痛みは回復しているようだけど、後ろ足を引きずる様子が良くないなぁ」と首を傾げました。
さらに、
「奥さんは車の運転ができますか?鍼治療で有名な先生を紹介しますから、良ければ今日明日中にでも早めに行ってください」
すぐに主人に連絡して翌日の午後の予約を取りました。
そこはペットの鍼治療専門の女医さんが開業した病院で、医師のこれまでの経緯や東洋医学の物理的効果などおよそ2時間かけてじっくり説明してくれました。
「テファ君に手術は必要ないです。時間はかかると思いますが必ず元通り歩けるようになりますよ!」
短頭種の麻酔リスク
先生曰く、手術が緊急に必要なのは、痛覚もなくなったグレード4~5。犬のヘルニアはレントゲン検査だけでは判断できないケースがほとんどで、ヘルニアかどうかの判断はMRIが必要です。
MRIの設備が整った病院は全国でも限られており、私が住む県では数ヵ所しかありません。
さらにMRI検査をするには全身麻酔が必須です。短頭種は麻酔のリスクが高いため、全身麻酔が必要となるMRIの段階で慎重な判断が必要なのです。
この先生は今まで1000頭以上の歩けないワンちゃんを見てきたそうで、初診で手術が必要かどうか分かるので、飼い主にハッキリと伝えます!とのことでした。
「まずは日にちを詰めて通ってください」といわれました。
飼い主の葛藤
テファが突然両足を引きずるほどの姿になり、今後どうなるのか・・・?本当は手術が必要なのでは?・・・もし必要なら48時間以内に手術を受けなければ麻痺が残ってしまう・・・などネットで検索してはさまざまな葛藤が押し寄せました。
主人に私の思いを伝え、意見の相違で喧嘩にもなりました。
私の思いはこうでした。
鍼治療の医師が信用できないのではなく、万が一手術が必要な状態だとすれば、後から後悔することになります。だからこそ、東洋医学の目と掛かり付け医の意見が必要なのではないかと思いました。
情報はなるべく多い方がいい、その中から最終的に選ぶのは飼い主である私たちではないかと。
対する主人の意見はこうでした。
主人は鍼治療の医師の考えを尊重し、信頼してお任せする決断に至ったと主張。
結局のところ主人を説得し、テファのヘルニアが発症してから4日後にかかりつけ医に診察してもらうことになったのです。
前回ヘルニア予備軍と診断された主治医の元にはレントゲン検査の結果やカルテもあります。
主治医曰く、
さらに鍼治療に通っている話をすると、
鍼治療から10日後
テファがヘルニアを発症してからはじめのうちは1日置きに通院しました。
10日後にはケージレストを卒業するまでに回復しました!
6畳の洋間に柔らかいマットやタオル類を敷き、医師の指示通りテファの足場を作り、ケージと連結させて自由に行き来できるようにレイアウトしました。
13日目・・・テファが立った!
テファがヘルニア発症から13日目の写真です。
少しづつ回復の兆しが見え始め、後ろ足で身体を掻いたり、ご飯を食べる時はナックリング状態ながらも立ち上がりました!(泪)
鍼治療は週に一度の通院になり、状態は良好で回復も順調でした。「変わらなければ鍼は卒業しましょう!」と先生に言われ、慎重に様子を見ながら卒業しました。
テファが突然、後足を引きずるようになってから1ヶ月半。
完全に元通り歩けるようになったわけではありませんでしたが、誰が見ても元気で、少しふらつきながらも立ち上がり、後足を使って身体を掻いたり歩行もできるようになりました。
卒業の時に、先生が言った言葉にとても救われました。
「このまま薄紙を剥ぐように回復して行きますよ!テファ君良くがんばりました!」
テファのその後、ヘルニアを体験して学んだこと
あれから4年。その後1度だけテファは再度ヘルニア予備軍の症状が現れましたが、有難いことに後ろ足を引きずるような症状には至っていません。
2度目の発症の時。私は「このコのためならどんなことでもしてあげたい!・・・」と思いました。私たちにとってハナとテファは子ども同然なのですから。
ヘルニア手術ができる名医を探して、例え遠方であれどこへでも行こうと思いました。このまま麻痺が残るとしても車椅子で歩行するワンちゃんもいますし、テファのこれからの人生をできるだけ快適に過ごせるように、どんな手段を使ってでも飼い主として全力を尽くす覚悟でした。
テファのヘルニアを克服することができて、セカンドオピニオンの大切さも学びました。
パピーの頃からお世話になっている主治医以外の医師に診察してもらうことは、信頼を裏切る行為ではありません。
動物病院には休診日があるが故、愛犬がかかりつけ医の休診日に異変を起こすこともあり得ます。さらに獣医師にはそのドクターを取り巻くさまざまな人脈があります。
かかりつけの動物病院がたまたま休診日だったため、別の病院へ行ったことで、私たちが知らない未知の分野である東洋医学の医師と巡り合うことができたのです。
最後に
愛犬が椎間板ヘルニアになってしまった場合は、グレードによっては外科手術が必要なケースがあります。
ペキニーズやダックスフンドなどの犬種にとって命を落としてしまうことにも成りかねない椎間板ヘルニアのようなケースでは、外科手術では全身麻酔のリスクが高いため、温浴や鍼治療なども効果的だといわれています。
外科手術が必要な場合は、主治医と連携した病院を紹介してくれることもあります。愛犬にとって最適な選択肢を探してあげましょう。
わが家の愛犬は、胴長+短足+鼻ぺちゃ犬で椎間板ヘルニアのリスクが高いことは承知の上でわが家に迎えました。それでもペキニーズを迎えて良かった!・・・心からそう思います。