ワンちゃんは外耳炎になりやすい
気温が高くなってきた春から夏の間はワンちゃんは外耳炎をおこしやすく、飼い主さんから「頻繁に耳を掻いて痒がっている」「耳垢がよく出る」「耳から臭いニオイがする」などと来院してくるケースが多いです。またワンちゃんは私たち人や猫ちゃんよりも外耳炎の発症率が高く、犬種によりますが5割〜6割ほどといわれています。
そもそも外耳炎って何?
外耳炎とは?
外耳炎は細菌や真菌の数が増えてしまい炎症がおこることをいいます。耳の中の皮膚が赤く腫れてしまい激しい耳の痒みに襲われ頻繁に掻くようになります。また耳垢が大量に出たり、耳から臭いニオイがする、頭をよく振るなどの症状もみられます。過度に耳を掻くことにより耳の近くの皮膚が傷ついてしまい出血することがあります。
耳掃除をおこなうと痛みから嫌がり、中には触るだけで攻撃的になる子もいます。そのようになってしまうとお家での耳の治療や掃除のケアができず、治ることが大変難しくなります。
外耳炎を放置すると日常生活に影響する?
もし外耳炎が進んでしまうと、どんどん耳の奥まで炎症が広がり、鼓膜よりも奥の内耳や中耳まで炎症がおよんでしまいます。炎症により耳の中の腫れが慢性的に続いてしまいますと耳道が狭窄になり治療がとても困難になります。中には完全に塞がってしまい聴力を失ってしまう場合があります。
内耳は音を脳に伝える役割の他に平衡感覚を保つ働きがありますので内耳炎になってしまうと平行感覚を失い斜頸(頭が斜めに傾く)やふらつきなどの神経症状を発症してしまい、真っ直ぐ歩けないなどの日常生活に影響をあたえます。
何が原因で発症するの?
アレルギー
外耳炎を発症しているワンちゃんの約7割ほどがアトピー性皮膚炎が原因といわれています。アトピー性皮膚炎はアレルギー反応による炎症でカビやハウスダストなどのアレルゲンに対し炎症をおこしてしまったり、皮膚自体のバリア機能が低下しているため少しの刺激に対しても敏感に反応してしまい炎症をおこしてしまいます。
炎症部位が耳の他に目や口の周り、胸、脇、内股、足先が非常に多いです。
またペットフードの改良により添加物が含まれている影響やオヤツの種類の多様化などにより食物アレルギーも外耳炎と関わっております。ワンちゃんの4割ほどが食物アレルギーだといわれており、アトピー性皮膚炎と似た症状をおこし顔や足先、内股、脇などの皮膚が赤く炎症をおこします。オヤツをなるべく控えたり場合によってはアレルギー検査をおこない、アレルゲンの食材を特定して与えないようにする必要があります。最近ではアレルギー食がありますのでフードを変えてあげることも大事です。
なりやすい犬種
コッカーやビーグル、ダックスフンド、キャバリアなどのワンちゃんは耳が垂れているため湿気が耳の中にこもりやすいです。そのため細菌や真菌が増えやすい環境により炎症をひきおこしてしまいます。
適度に耳のチェックをしたり湿気をこもらせないように風をあたえてあげると良いです。
またプードルやシーズー、シュナウザーは耳の中に毛が生えており空気や湿気がこもってしまうため垂れ耳のワンちゃんと同様に菌の数が増えやすいです。定期的に耳の毛を抜き清潔を保つ事です。耳の飾り毛を短くしてあげ、耳の中が蒸れないように心がけることも大事です。
他にもブルドッグやパグ、ペキニーズ、マルチーズなども外耳炎になりやすいため気温が高い夏や湿気が多い日、冬のストーブ前に長時間いるなどは特に注意が必要です。
間違ったケアや体質も原因!
なりやすい犬種やアレルギー以外に耳の分泌が多い体質や菌の数が元々多い、免疫力の低下、耳ダニによる感染症も外耳炎を発症しやすい要因になります。また過度な耳掃除により耳の皮膚が傷ついてしまったり洗浄液の入れすぎで炎症をおこしてしまう事がありますので自己判断せず、お家で耳のケアや治療する前に一度病院に受診し耳の状態を把握し適切なケアの仕方をおこなう事が大切です。
まとめ
犬種や体質などによりますがワンちゃんはとても外耳炎になりやすい動物です。外耳炎を発症すると耳の中が赤く腫れてしまい激しい痒みを伴います。そのため早期に適切な治療をおこなわないと慢性的に続き一生治療が必要になってしまったり、炎症が耳の奥まで広がり平行感覚を失われ斜頸や歩行困難の神経症状をおこしてしまいます。
外耳炎にならないように耳に汚れがないかチェックしたり、定期的に耳掃除をし清潔を保つ必要があります。
また発症しやすい春や夏は特に気をつけ耳の中が蒸れないように風通しをよくしたり、悪化を防ぐために少しでも耳を痒がっている様子があれば早めに受診してください。