犬も多汗症になる!?
私たち人間は、気温が高い日や運動した後などは、大量の汗をかきますよね。「多汗症」は、そんな普段汗をかく場面以外で、大量の汗をかいてしまい、時には日常生活に支障をきたす疾患です。
人間であれば全身で汗をかくのが普通で、中には多汗症という疾患を持ってる方が居ても納得することができるかと思います。
しかし、犬の場合は少し変わってきます。
ご存じの方も多いかもしれませんが、犬は汗をかく汗腺人間とは違い、全身で汗をかくことが出来ません。また、汗をかくことが出来たとしても、肉球と指の間に少しの汗をかくことぐらいです。
そんな犬が「多汗症」になるのは、少しイメージし辛いかもしれません。
しかし、実は犬にも人間の多汗症と同じような症状がみられることがあります。
犬の多汗症は人間の多汗症とは違う
まずはじめに、汗腺の種類と、犬の多汗症が人間の多汗症とは違うということを理解しておきましょう。
汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
- 「エクリン腺」無色無臭の分泌物
- 「アポクリン腺」タンパク質脂質等が含まれる分泌物。独特のニオイがある。
人間の場合、「エクリン腺」という汗腺からの分泌物に異常があることを多汗症と言います。犬の場合、「アポクリン腺」という汗腺からの分泌物が多いことを多汗症としています。
人間の汗は、主にエクリン腺から分泌されており、分泌物は無色無臭です。
アポクリン腺もありますが、主にワキの下など限られた場所にしかありません。なおアポクリン腺の分泌物にはタンパク質・脂質等が含まれるため、衣類に付着するとシミになってしまいます。
一方犬の場合、エクリン腺は足の裏など限られた箇所のみにあります。
かわりに全身にはアポクリン腺があり、その分泌が多いと犬の皮膚のニオイがきつくなったり、ベタベタしたりする場合があります。
また、皮膚のニオイやベタベタすることから、犬の多汗症は脂漏症と間違えられてしまうこともありますので注意が必要です。
犬が多汗症になる原因
多汗症の原因は、単純に「アポクリン腺の数」が多いことが原因になっている場合がほとんどです。
どんな犬にもアポクリン腺は存在しますが、アポクリン腺の数が普通より多いと、アポクリン腺から分泌される分泌物の分泌量も多くなり、肌の異常・臭いなどの原因となります。
犬が多汗症になった場合の症状
多汗症の犬の皮膚には、次のような症状が現れます。
- 皮膚から独特なニオイがする
- 皮膚のニオイがきつくなる
- 皮膚がベタベタする
- 皮膚に異常があらわれる(皮膚病)
「アポクリン腺からの分泌物には独特なニオイと粘り気がある」、と先に説明しましたが、この分泌物の粘り気よって、真菌や細菌が繁殖しやすい環境になり、独特なニオイがでたり、皮膚がベタベタしたり、皮膚病の発症につながったりします。
犬の多汗症の治療法とは?
犬の多汗症は、アポクリン腺の数が多いことが原因ですが、アポクリン腺の数は生まれ持ったものであり、現在の医療ではその数を減らすことは難しく、根本的な治療法というものはありません。
人間の場合でも、アポクリン腺の数が多いことが原因で「腋臭(ワキガ)」になってしまうことがありますが、手術によってアポクリン腺の数を減らす事で改善出来る場合があります。
しかし、犬の場合はアポクリン腺が全身にあるため、この治療法をおこなう事ができません。
犬の多汗症の予防法とは?
治療法でもご説明しましたが、犬の多汗症の原因であるアポクリン腺の数は生まれ持ったものであり、根本的な予防法はありません。
しかし、多汗症による皮膚のニオイやベタベタ、それに伴う真菌や細菌の繁殖と皮膚病を予防することは可能です。
予防法 その①「こまめにシャンプーをする」
アポクリン腺からの分泌物を洗い流すため、こまめにシャンプーするという予防法があります。しかし、犬の皮膚はとても薄く、シャンプーのしすぎで皮膚が乾燥し、皮膚病を発症してしまうこともあるため、最善の方法とは言い難いです。
予防法 その②「こまめにシャワーを浴びる」
皮膚のニオイがきつくなったりベタベタしたりする前に、シャワーで軽く皮膚を洗うだけでもニオイやベタベタを予防することができます。
予防法 その③「こまめにブラッシングする」
皮膚の衛生面を守るためにはブラッシングも効果的です。ブラッシングが足りず、皮膚病になってしまう犬もいるのでまめにブラッシングする事を心がけましょう。
まとめ
犬の多汗症は問題なのかと聞かれると、それほど大きな問題ではありません。問題なのは、真菌や細菌の繁殖によって皮膚病を発症してしまうということです。
真菌や細菌の繁殖の元となる、皮膚のニオイやベタベタを予防するため、こまめなシャンプーやシャワーを心がけるだけでも大分予防できるかと思います。
もし愛犬に多汗症の疑いがある場合は、先ずは獣医さんに相談してみましょう。飼い主さんの手で、皮膚の衛生面をしっかり管理して、愛犬の健康を維持してあげましょう。