人の虫歯菌は犬の口腔内にうつります!
犬が歯周病になる事は、多くの飼い主さんがご存じかと思いますが、「犬が虫歯になった」、もしくは「犬に虫歯がうつった」という方は少ないと思います。
まず、犬が虫歯になることはとても稀なことです。それは、犬の口内が虫歯になりにくい性質になっているためです。(人間の口内とは違い、虫歯菌が繁殖しにくい構造・性質を持っています)そのため、「犬に虫歯がうつった」という事をあまり聞くことはありません。
しかし実際は、人の虫歯菌が犬にうつっているケースが多くあります
もし、犬が虫歯にならなかったとしても、虫歯を発症していないだけで、犬の口の中に虫歯菌がうつっている場合があります。
感染経路は私たち人間と同じように、「接触感染」が主なルートとなってきます。例えば、犬が人の口元を舐めたり、人と犬がキスをしたり、人がかじった食べ物を犬が食べるなど、普段の生活の中で人の虫歯菌が犬の口の中にうつってしまっている事が多々あるのです。
また、「犬が虫歯になる確率はとても低い」と説明しましたが、ゼロではありません。もし愛犬が虫歯を患ったら、治療やケアが必要になってしまいます。
人の虫歯菌が犬にうつるのを防ぐ対策
しっかり歯磨きをしていても、人の口の中には常に虫歯菌が存在しています。その虫歯菌が愛犬へとうつってしまわないために、私たちができる対策は、どのようなものがあるのでしょうか?
愛犬へのキスは口物以外に
ついつい私もやってしまうのですが、愛犬への愛情表現や愛犬とのコミュニケーションとしてキスをするという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
口と口を合わせるため、人の口の中の菌が犬へ、犬の口の中の菌が人へとうつってしまいやすいです。愛犬へのキスは頬や額にしてあげてはいかがでしょうか。
ペロペロは禁止!?
犬が人の口元をペロペロと舐めるのは、愛情表現でもあり、母犬に食べ物をおねだりする名残りなどであるとされています。
犬が人の口元をペロペロすることで、犬の口内にある菌が人へうつってしまうことは想像できますが、実は人の口内にある虫歯菌や、その他の菌も犬の口の中へとうつってしまうんです。
犬が大好きな方であればペロペロされることをあまり気にしないかもしれませんが、お互いに菌を映してしまわないためにも、愛犬に虫歯菌をうつしてしまわないためにも控えたいですね。
食べ物をかじって与える
例えば、飼い主さんが食べているリンゴを愛犬がおねだりしてきたとき、リンゴを小さくかじって与えることがありますよね。歯で軽くかじって与えただけでも、人の中の虫歯菌を犬にうつしてしまいます。
愛犬がリンゴをおねだりしてきたときは、愛犬用に小さく切ったものを用意してあげると良いのではないでしょうか。
犬の虫歯と治療について
犬の歯はケアが重要ですが、もし愛犬が虫歯になったらどのように対処するのかきになりますよね。また、虫歯の原因や種類について知識をつけておく事で、よりスムーズに愛犬の虫歯をケアしてあげる事ができます。
虫歯の種類
犬の虫歯は主に下記のような3つの種類があります。
小窩裂溝齲蝕(しょうかれっこううしょく)
歯の表面にある小さなくぼみにできる虫歯のこと
平滑面齲蝕(へいかつめんうしょく)
歯の側面にある平らな部分にできる虫歯のこと
根面齲蝕(こんめんうしょく)
歯肉が退縮して露出した歯の根元にできる虫歯のこと
犬が虫歯になるメカニズム
歯垢にはミュータンス菌という細菌が存在しているのですが、その菌が歯や口の中に残った食べカスをエサとし、酸を発生させます。
ミュータンス菌が発生した酸は歯の表面のエナメル質を破壊し、神経や血管にまで到達することで痛みを引き起こします。これらが虫歯の原因なのです。
犬が虫歯になった時の症状
- 口臭がする
- 歯に穴があく
- 歯が変色する
などの症状がありますが、歯周病や虫歯がなく、口腔内が健康である犬の場合は口臭がありません。
口臭が気になるようになったらすぐに獣医さんに診てもらいましょう。
犬が虫歯になった時の治療費
犬の虫歯の治療には全身麻酔が必要です。人間の場合は局所麻酔で治療をすることが可能なのですが、犬はジッとしていることができないため、歯の治療にはどうしても全身麻酔が必要なのです。
虫歯になってしまった部分を削り取る治療の場合、治療費の相場は30000円ほどです。抜歯が必要な場合には、抜歯する歯の本数×5000円~10000円ほどかかります。歯髄を除去する場合には、50000円ほどかかります。
どの歯を処置するかによって治療費は異なります。また、動物病院によって治療費に変動がありますので見積もりをお願いしましょう。
まとめ
人の口の中に存在している虫歯菌が犬の口の中にうつってしまうことはありますが、それが原因で犬が虫歯になることはないでしょう。
犬が虫歯になる原因は口腔内の環境の悪化です。犬も毎日の歯磨きが必要であり、定期的な歯科検診も必要です。
愛犬の健康を守ってあげられるのは飼い主さんだけです。愛犬の毎日の歯磨きを怠らないようにしましょう。