ドッグフードの原材料に関する情報▼
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添加物の見方⇒ドッグフードの原材料ラベルの読み方〜添加物編
前回はドッグフードの原材料の中でも肉類の表記と意味についてお話しました。
フードの原材料一覧を見ると、お肉や魚と並んで大きな位置を占めているのがコーンや小麦などの穀類ですね。
反対にプレミアムフードなどでは「穀類不使用」を売りにしているものも多くあります。
また『トウモロコシ』とか『米』と分かりやすく書かれているのではなく、『◯◯ミール』『◯◯グルテン』など、知識がないと内容がよくわからない原材料もあります。
今回は穀物系原材料の名前の意味と注意点をまとめてみました。
ドッグフードに使われる穀類
ドッグフードに使われる穀類は大きく分けて、トウモロコシ類・米類・麦類・豆類・芋類・その他雑穀類があります。
「穀類不使用」と書かれているフードではトウモロコシ・米・麦は使われていないことが前提で、豆や芋は使われている場合もあるので穀類の定義もあいまいではあるのですが、ここでは上にあげた6種類を穀類として書いていきます。
トウモロコシ類
ドッグフード全般で一番よく使われている穀物です。一番の理由はコストが安いから。
炭水化物だけでなく植物性のタンパク質も含みますが、肉食動物である犬にとっては理想的なタンパク源ではありません。
コーンミール・コーンフラワー・トウモロコシ粉
トウモロコシの粒の表皮を取り除いて細かく挽いたものです。単純にトウモロコシと表記されている場合はこの形態です。炭水化物とタンパク質の両方を含みます。
コーングルテン・コーングルテンミール
トウモロコシ粉からデンプン質(コーンスターチ)を取り除いた残りの部分を加熱加工したものを指します。
他のトウモロコシ由来の原材料よりは消化がし易く、肉や魚よりも安価なタンパク源として使用されます。
コーングルテンフィード
人間用のコーンスターチ、コーンシロップ、コーン油を搾った後の搾かすを乾燥加工したものです。
食物繊維を多く含み、安価なのでフードのカサを増すためのフィラーとして多く使われます。
米類
穀類を使ったドッグフードの中では、米を使っているものはトウモロコシや麦類主体のフードよりも高価な傾向があります。
原材料表記で特にことわりがない場合、米と言えば私たちが食べる精白されたうるち米を指します。
ドッグフードの中で米の役割は炭水化物源です。
うるち米
先に「私たちが食べるうるち米」と書きましたが、正確には人間用とペットフードに使われるうるち米は区別されています。
たいていの場合、人間用よりも等級が落ちるものがフードに使われますが、米自体は炭水化物の中では消化がしやすく、エネルギー源として燃焼しやすい原材料です。
玄米
胚芽や皮のついた状態の米ですが、そのままでは消化できないので挽いて粉にしたり、アルファ化と言われる消化吸収しやすい加工をして使われます。
いわゆるプレミアムフードと呼ばれるフードに多く使われている傾向があります。
ブリューワーズライス
醸造米と訳されている場合もありますが、ペットフードに使われるブリューワーズライスというのは、人間用の米を精米したり加工した時に出る欠片や粉を集めたものです。
麦類
小麦、大麦、オーツ麦など色々な種類があり、栄養価もそれぞれに違います。
小麦
皮や胚芽がついたまま挽いて粉にした全粒小麦粉と、それらを取り除いて挽いたお馴染みの白い小麦粉がありますが、たいていの場合ドッグフードで小麦と書かれていれば白い小麦粉のことです。
タンパク質であるグルテンを多く含みますが、犬にとって消化しやすいタンパク源ではありません。
小麦グルテン・小麦プロテイン
小麦からデンプン質を取り除いた後に残るもので、小麦粉の粘りのもとです。肉や魚よりも安価なタンパク源として使用されます。
犬は小麦グルテンを体質的に消化できない個体が多いので、フードを食べてお腹がゆるくなったりお腹が張っている感じがする場合に原因として考えられる原材料です。
パン粉
調理用のパン粉はペットフードの材料として使われることもあります。
パンは小麦粉の中でもグルテンを多く含む強力粉で作られているので、小麦グルテンの場合と同じ注意が必要です。
大麦
ビールや麦茶の原料、押しつぶした形で麦ご飯に使われているのが大麦です。
粗挽き、挽き割り、粉などの状態でフードの原材料として使われます。
小麦よりもグルテン含有量が少なく、食物繊維、ビタミンやミネラルも含みます。
オーツ麦(えん麦)
グラノーラやオートミールの原料としてよく知られています。
食物繊維、ビタミン、ミネラルを多く含みます。タンパク質の含有量は少なく、小麦のグルテンとも違う種類で、小麦にアレルギーがある場合の代替に使われることも多い食材です。
いわゆるプレミアムフードと呼ばれるフードに多く使われている傾向があります。
豆類
大豆
豆類の中では炭水化物よりもタンパク質を多く含む異色の存在です、肉や魚よりも安価なタンパク源として使用されています。
大豆がそのまま使用されることはあまりなくて、大豆ミールやおからのような形でドッグフードの原材料になります。
人間にとってはヘルシーなイメージのタンパク源ですが、犬にとっては消化しづらい食材なので、ガスが多く出たりお腹がゆるくなった場合に、その原因として考えられる原材料です。
日本以外の国で作られるフードではあまり使用されていません。
大豆ミール・脱脂大豆
食用油を搾った後の大豆を乾燥加工したものです。
タンパク質と食物繊維を多く含みます。
おから
豆腐を作る際に豆乳を搾ったあとの大豆の搾かすです。
タンパク質と食物繊維を多く含みます。
ひよこ豆
タンパク質も含みますが、最も多く含まれるのは炭水化物であるため「穀物不使用」「グレインフリー」をうたったプレミアムフードで炭水化物源として多く使われます。
レンズ豆
豆類の中では比較的消化しやすく、タンパク質含有量も多いため、「穀物不使用」「グレインフリー」などの中でも特に低炭水化物にこだわった「プレミアムフード」などでよく使われています。
芋類
ドッグフードに使われる芋類はほとんどの場合ジャガイモまたはスイートポテトです。
「穀物不使用」や「アレルギー対応」のフードで炭水化物源としてよく使われます。
外国産のフードで使われているスイートポテトは日本のサツマイモと似ていますが、サツマイモよりも糖度が低くビタミン類を多く含む種類です。
その他雑穀
キヌア
粟によく似た南米産の雑穀です。タンパク質を多く含むがグルテンを含まないため「アレルギー対応」のプレミアムフードで使われることがあります。
ソルガム
化学薬品っぽい名前なので食品添加物と勘違いされることが多いのですが、ソルガムも雑穀のひとつです。
グルテンを含まずビタミンやミネラルを多く含みます。
穀類について知っておきたいこと
犬が人間と暮らすようになって1万年とも3万年とも言われていますが、その長い歴史の中で犬は多くの期間、人間の残飯をエサにしてきました。
当然、麦や米などの穀物も食べて来ているので、穀物を与えるのは何がなんでもダメということはありません。
けれど、タンパク源の大部分が植物性というのは犬と人間の歴史の中でもほぼ無かったことでしょうし、本来の肉食動物としての体にも合っていません。
では、どういう点に気をつけなくてはいけないか見ていきましょう。
食物繊維にご用心
食物繊維というと体に良いイメージですが、穀類が原材料のメインであるというな状態では食物繊維が多すぎると言えるでしょう。
植物性の食物繊維は本来犬が大量に食べるものではないので、長期間食べ続けると消化器官に負担になります。
穀類不使用のフードや生肉食に変えたら、おならや便の量が目に見えて少なくなったという話もよく耳にします。また過剰な食物繊維はカルシウムなどミネラルの吸収を妨げる働きもあります。フードには栄養素がバランスよく含まれているとは言っても、入っている他の原材料が吸収の邪魔になるということまで考えられていないこともよくあります。
食いつきが悪いので......
犬にとっては、やはり肉が多く使われているフードの方が魅力的。穀物主体のフードはどうしても食いつきが悪くなります。
そこで犬が喜んで食べるように表面に動物性脂肪や肉エキスなどをスプレーします。
表面に動物性のものをかけるとどうしても酸化しやすくなるので、このタイプの製品は強い酸化防止剤や防腐剤が使われがち。
当然、犬の体に負担がかかることになりますね。
炭水化物は悪者ではない
犬は人間ほどの量は必要ではないとは言っても、適量の炭水化物は必要です。
炭水化物は三大栄養素の中でも一番効率よくエネルギーに変換されます。
まして犬は炭水化物を消化できないなどということもありません。
適量の穀物が炭水化物源として使用されているフードは、必ずしも悪いものではないのです。
まとめ
ドッグフードに使われている穀類。どんな穀類がどういう目的で使われているのかがわかると、フード選びがぐんと楽になります。
植物性のものがフードのタンパク源のメインになっていないこと、穀類は消化しやすい形で含まれていること、これらのことと上に書いたそれぞれの原材料の性質を考えて、フードの原材料一覧とにらめっこしてみてくださいね。
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