犬はお留守番を何時間できる?
犬がどのくらい留守番できるかは犬種、年齢、性格などによって個体差があります。そのため「何時間までなら大丈夫」とは一概には言えません。
とはいえ、一応の目安はありますのでライフステージごとに解説します。
<犬がお留守番できる時間の目安>- 子犬:3〜5時間 ※短時間から慣らして徐々に延ばしていく
- 成犬:6〜8時間
- 老犬:健康なら6~8時間、寝たきりなら2~3時間
子犬の場合(1歳未満)
子犬が留守番できるようになるのは、生後3ヵ月くらいからです。この時期から少しずつ留守番のトレーニングを始めていきます。
子犬にいきなり長時間の留守番をさせてしまうと、分離不安(飼い主がいなくなると大きな不安やストレスを感じて、問題行動や体調不良を起こすこと)になるケースがあります。そのため、留守番のトレーニングはごく短時間から始めて少しずつ時間を延ばしていくことが大切です。
子犬期は食事や排泄の回数が多く、またさまざまなしつけやトレーニングを行う大事な時期でもあるため3〜5時間までが留守番の目安に。生後6ヵ月以上になれば、5時間以上の留守番も徐々に可能になりますが、長時間ひとりぼっちにされることは子犬にとって大きなストレスになるので、6時間以内に留めたほうがいいでしょう。
成犬の場合(1歳〜7歳)
成犬の留守番は、6〜8時間程が目安とされています。
留守番のトレーニングをした1歳以上の成犬で、室内でトイレができ、快適に留守番できる環境が整っているのであれば、最長で12時間まで可能とは言われていますが、犬の心身への負担を考えると12時間以上の留守番は避けた方が良いでしょう。
外でしか排泄できない犬の場合は、長時間の排泄の我慢がストレスになったり、膀胱炎の原因になったりする恐れがあるため、留守番の限界は6時間程度です。それ以上の留守番をさせるのであれば、室内でも排泄できるようにトイレトレーニングが必要になります。
老犬の場合(7歳以上)
シニア期といっても、介護の必要がない元気な犬もいれば、介護の必要な寝たきりの犬もいます。
健康で元気なシニア犬なら、成犬と同程度までの留守番が可能とされていますが、体調が急変するリスクのある年齢ですので、留守番時間はできるだけ短いほうが望ましいです。介護などが必要なシニア犬は、排泄を自力で行えなかったり、水も飲むことが難しい状態なら長くても2時間が限界でしょう。
犬に長期間留守番をさせたい場合
成犬で留守番の経験があり、室内でも排泄ができるようであれば6~12時間までの長時間の留守番が可能です。ただし健康面に不安のある場合は、長時間の留守番は控えてください。
長時間の留守番は、事前にさまざまな準備が必要です。室内にそのままフリーで留守番をさせる場合は、誤飲のないように部屋の整理をしましょう。家電のコードはコンセントから抜き、テーブルの上に食品や薬などは出しっぱなしにせず届かない場所にしまっておきましょう。
また、犬は汚れた場所でトイレをするのを嫌うことがあるので、トイレは複数設置しましょう。飲水もこぼしてしまうことを考えて、2か所以上に置くと良いです。
室内でフリーにするのは不安という飼い主さんは、ケージやサークルに入れて留守番できるようにしつけをした上で、中にベッドやトイレ、水は2か所以上設置して環境を整えましょう。ケージの場合は、直接取り付けられてこぼれる心配のないノズル型ボトルタイプがおすすめ。
また、愛犬の体内時計が狂わないよう、太陽の光を感じられるレースカーテンのみにしておくと良いですが、防犯上のことを考慮して外から室内が見えにくいタイプを設置しましょう。留守番が食事の時間を越えそうなら、自動給餌器を用意するのもおすすめです。
犬をお留守番させるときに気をつけたい環境
ここでは、犬に留守番させるときに気をつけたい室内環境の注意点を4つ解説します。
温度と湿度
犬に留守番をさせるときは、エアコンなどで最適な温度と湿度に設定しましょう。犬種にもよりますが、犬が快適と感じる温度の目安は20~22℃、湿度は40~60%程度です。
特に夏場は湿度が高いので脱水や熱中症を起こしてしまう危険があるため、エアコンの温度は25℃程度に設定しましょう。また、愛犬が留守番中に過ごす場所やケージなどは、エアコンの風が直接当たらないところや、直射日光が入る窓際なども避けるのも大切です。
寒くなる冬の季節も愛犬が凍えてしまわないよう、犬用の暖房器具を用意しておくことが大切です。他にもブランケットや毛布なども用意すると良いでしょう。また、乾燥しやすい冬は、室内に濡れたタオルなどを干すことで加湿器代わりに。温度湿度計なども用意しておくと調整しやすいです。
ケージ・クレートで留守番させる
できることなら、犬にはケージやクレートで留守番してもらうのが良いでしょう。
ケージやクレートで留守番できるようになると、飼い主の外出中のイタズラなどによるケガや事故、誤飲などから愛犬を守ることができます。ただし、いきなり入れてしまうと「閉じ込められた」とパニックになることもあるため、ケージやクレートの中で落ち着いて過ごせるようにトレーニングをすることが前提です。
ケージやクレートで落ち着いて待てるようになったら、留守番中に快適に過ごせるように、清潔なトイレ、お水、ベッドなどを設置して中の環境を整えましょう。
犬にとって危険な食べ物は絶対に放置しない
犬に危険な物として、ネギ類やチョコレートなどの食品や、人用の薬やサプリメント、洗剤や観葉植物等々あります。とくに好奇心旺盛な犬は、留守番中にに室内を物色し、テーブルの上やゴミ箱をあさって中の物を口にしてしまう可能性があります。
万が一、犬にとって危険な物を誤飲してしまえば、中毒を起こしてしまうリスクも。留守番中は飼い主がすぐ対応することができずに手遅れになることも考えられるため、危険な物を放置せずに犬の届かないところに必ず片付けることが重要です。
大事な物は片付けておく
愛犬が家の中を自由に行動できる状態で留守番させる場合は、壊されたくない大事な物は、犬が届かないところに片付けましょう。
留守番中の寂しさや退屈から、目についた物を噛んで壊してしまうことがあります。特に分離不安の傾向がある犬は、留守番中に問題行動を起こすことも少なくありません。貴重品でなくとも、ティッシュをばら撒いたり、机の上の物を落とすなどもよくあることです。
大切な物を壊されてショックを受けるだけでなく、愛犬が誤飲してしまう危険もあるため、イタズラしそうな物などは戸棚などに片付けておくと安心です。
留守番中の犬を退屈させない方法
しつけがしっかりできていても、長時間ひとりで留守番するのは退屈になってしまいます。飼い主さんがいない寂しさや退屈を紛らわすためにイタズラしてしまうこともあるでしょう。そんな時は留守番中の楽しみを用意するもの大切です。
おもちゃ
犬が留守番でも遊べるおもちゃを用意しておきましょう。用意するおもちゃは犬が誤って飲み込んでしまわない大きさや、噛んでも壊れない素材のおもちゃを選ぶことが大切。
また、犬が普段からひとりで遊べるように慣らしておくこともポイントです。
ラジオ・テレビ
日ごろからラジオやテレビを流していることが多いなら、留守番中もつけっぱなしにすると良いでしょう。外の聞き慣れない音なども多少紛らわすことができたり、普段と変わらない生活音があることで留守番中も安心して過ごすことができます。
外出前に遊ぶ
外出する前に犬とたくさん遊んであげることも効果的です。事前に疲れさせておくことで留守番中に寝て過ごす時間が長くなり退屈な時間が少なくなります。また、留守番前に散歩に連れていくのもおすすめ。散歩で適度な疲労感を与えることができます。
お留守番が上手になる犬のしつけ方
愛犬がいくら賢くても、初めてだったり慣れていなければ、上手にお留守番することはできません。留守番をさせるためには、しつけが必要になります。
ここでは留守番時に重要なトイレとケージやサークルのしつけ方法を紹介します。
トイレトレーニング
トイレトレーニングの方法は様々ですが、基本的には犬の排泄タイミングを把握して、そわそわし始めたらトイレに誘導し、上手にできたら褒めることの繰り返しになります。
トイレトレーニングの際に「ワンツーワンツー」「トイレトイレ」などのコマンドも併せて行うことで、犬が排泄しやすくなります。留守番中にケージやサークルを利用するなら、ケージやサークル内でトイレができるようにトレーニングしましょう。
ケージやサークルのトレーニング
普段からケージやサークルのトレーニングを行っておくことは、留守番中の万が一の事故などを防ぐのに役立ちます。犬が安心な場所だと覚えてくれるようになると、留守番中も落ち着いて待つことができるでしょう。
最初は、愛犬が好きなご飯やおやつ、おもちゃなどを入れて興味を持つようにし、少しずつケージやサークルに慣れさせていきます。慌てず少しずつ中で過ごす時間を増やし、安全な場所だと覚えてもらいましょう。
帰宅後のケアの仕方は?
飼い主さんが帰宅すると、吠えたり飛びついたり、喜びのあまり興奮状態でお出迎えする犬は多いです。飼い主さんも熱烈な歓迎ぶりを見て、撫でたり声をかけたりしたくなるでしょう。しかし、構ってしまうとさらに興奮してしまうことに。嬉しさや喜びによるものでも、過度な興奮は犬にストレスを与えてしまいます。
帰宅後は、愛犬が興奮している間は声をかけたり構ったりせず、無視しましょう。手洗いや着替えなどを済ませて、愛犬が落ち着いていたらコミュニケーションやスキンシップを取って、留守番の労をねぎらってあげましょう。
その時はスマホやテレビを見ながらではなく、しっかり愛犬と向き合うことが大切です。おもちゃで遊んだり散歩へ行ったりするのもいいですし、ゆっくりとマッサージやブラッシングなどをしてもいいでしょう。
▼「犬の留守番の基本」を知りたい方はこちら
まとめ
犬は、基本的に留守番が得意ではありませんが、一緒に生活していく上で留守番を避けることは難しいため、少しずつ留守番のトレーニングをすることが大切です。
犬の年齢や体調などによって留守番できる時間が違いますが、健康な犬であっても長時間の留守番は避けるように心がけましょう。どうしても長時間の留守番が必要な場合は、愛犬が慣れている家族や友人、ペットシッターにお願いしたり、1日を超えるなら、ペットホテルや動物病院などに預けることも選択肢に入れましょう。
どんなに上手に留守番できる犬でも、大好きな飼い主さんと離れる時間は不安で寂しいはずです。留守番はなるべく短時間にすることを心がけ、帰宅後は愛犬が落ち着いてからしっかりとスキンシップやケアをすることが大切です。