「犬は人類の最良の友」と言うより「男性の最良の友」?
犬と人間との強いつながりを示す言葉としてしばしば使われるMan's Best Friendという言い回しがあります。日本語にすると「犬は人類の最良の友」と言われることが多いようです。
けれどこの言い回しのManというのが人類ではなく、男性という意味の方だというのがぴったりな研究が発表されました。
犬に関する著書も発表しているアメリカの心理学者クリス・ブラジナ博士の研究によると、多くの男性が犬との関係やつながりは最も近い人間との関係よりも安心で確かだと感じているということです。
男性と犬との感情的なつながり
アメリカで男性を対象に実施された全国的なアンケート調査で「あなたと最も近い関係の人間とコンパニオンアニマルとを比較して、それぞれのつながりがどのくらい安心できるか答えてください」という設問がありました。これに対して62%の男性がコンパニオンアニマルとのつながりは「ほぼ常に安心」だと答えました。最も近い関係の人間に対して同じように「ほぼ常に安全」だと答えた人はわずか10%でした。近い関係の人間に関して最も多かった回答は「時々安心だと感じる」というものでした。
多くの男性にとって、自分の生活の中にいる人間よりもコンパニオンアニマル(多くの場合、犬)との感情的な絆の方が強いことを示唆しています。
なぜ男性は犬との絆を強く持つのだろう?
ブラジナ博士によると、男性が中高年の年齢に達すると人生の中で犬がさらに重要な役割を果たしているのだそうです。
アメリカでの研究では、男性が年齢を重ねるにつれて社会的なサポートネットワークが縮小することが示唆されているそうです。これは日本でも同じで、男性は年齢が進むにつれて職場以外の社会的なネットワークがどんどん小さくなって行くというのはよく分かるところです。そのような状態で、中年男性は感情的なサポートを犬に依存していると博士は述べています。
またアメリカは「男性らしさ」が重視される社会でもあるので、周囲に男性らしくないと思われないように犬への愛情を隠していたり過少申告している場合があるとも、博士は述べています。この辺りも日本と共通しているようで面白いですね。
男らしさを求められ、社会的なサポートネットワークも小さくなってしまった男性が心を許す相手は人間よりも犬。身につまされるような、胸が熱くなるような研究の結果です。
まとめ
アメリカでの調査から、多くの男性が近い関係の人間よりも犬とのつながりの方が安心できると考えているという結果をご紹介しました。
それは女性でも同じように感じる人が多いのでは?とも思ったのですが、女性は年齢を重ねても社会的なネットワークを持っている場合が多い気がしますね。またひとつ、犬にありがとうと言わなくてはならないことが増えたなという気がします。
《参考URL》
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/08927936.2019.1550281#.XD-bssbx8Ac.twitter
https://metro.co.uk/2019/09/20/men-feel-emotionally-closer-dog-human-10776625/