小型犬はトイレトレーニングが難しい?
犬を家族に迎えたらいろいろなトレーニングを始めなくてはなりませんが、中でも重要で苦労することも多いのがトイレトレーニングではないでしょうか。
犬の飼い主に対して行動アドバイスをしている獣医師には、小型犬はトイレトレーニングの難易度が高いという人が多いのだそうです。
実際に小型犬のトイレトレーニングは難しいのかどうか、アメリカのバージニア州で行動治療を行なっているエイミー・ラーン獣医師の研究チームがリサーチを行いました。
インターネットアンケートを利用して調査
研究チームはインターネットのアンケート調査サービスを利用して一般の飼い主から多数のデータを収集しました。
獣医療関連のサイトやSNSなどにアンケートを掲載して、犬の身体的な特徴や正式にトレーニングを受けた経験の有無、トイレトレーニングの達成度などの回答が集められました。
トイレトレーニングが完全に達成できているという基準は「直近2ヶ月間、常に指定された場所で排泄したかどうか」と設定されました。
研究チームはアンケートで回答された犬の体重をもとに、大きさ別にグループ分けをしました。
体重20ポンド(9kg)以下を小型犬とし、体重40ポンド(18kg)以上を大型犬としました。
体の大きさに基づく違いを明確にするために、この中間のデータは使用されませんでした。
最終的に735件のデータが分析され、その結果小型犬グループではトイレトレーニングが達成できているという回答の割合は67%でした。一方、大型犬グループではトイレトレーニングが達成できているという回答の割合は95%というものでした。かなり大きな違いがありますね。
また、正式なトレーニングを受けたことがある小型犬は、トイレトレーニングの達成度が高かったことも分かりました。
なぜ大型犬のトレーニング達成度は高い?
このように大型犬のトイレトレーニング達成度は小型犬に比べて有意に高いことが分かりました。
これはつまり大型犬の方が頭が良いということでしょうか?
研究チームはそのようには考えていないと述べています。
小型犬は大型犬に比べて代謝が高く膀胱も小さいため、頻繁にオシッコをする必要があります。その分トイレを失敗してしまう確率も上がることが、トレーニング達成度にも影響している可能性があります。
またこの調査を行なったアメリカでは、トイレトレーニングというのは犬が庭に出て用を足すものという家庭も少なくありません。小型犬はアパートやマンションなどで飼育されている場合が多いため、大型犬が犬用ドアを使ってスッと庭に出て排泄をするようには簡単に行かないのも、小型犬のトイレトレーニング達成度が低い理由のひとつかもしれません。
小型犬のトイレトレーニング達成度対策のために、今後さらに研究が進められるとのことです。
まとめ
小型犬と大型犬のトイレトレーニングの達成度を比較した調査の結果、大型犬は小型犬よりもトイレトレーニングを完全に身につけている割合が有意に高かったという内容をご紹介しました。
犬のトイレトレーニングが上手くいかないことは飼い主が犬に対してイライラしてしまったり、飼い主と犬の関係に悪影響を及ぼすこともあります。
犬がアニマルシェルターに放棄される理由では、トイレが覚えられなくて頻繁に家を汚してしまうというものが、攻撃性や過度の吠え行動に続いて第3位になっています。
このような調査の結果から、トイレトレーニングが上手くいかない根本的な原因を解明することは、飼育放棄されて殺処分になる犬を減らすためにも重要なことです。
《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1558787819300991?via%3Dihub#!