迷子ペットを飼い主の元へ帰すためのアプリ
SNSなどを見ていると、毎日のように「犬が脱走しました」「迷子犬を見つけました」というポストが拡散されて流れてきます。オンライン上の迷子情報サイトなどにも、多くの情報が寄せられています。ほんの十数年の間に、迷子のペットを探す方法もバリエーションが増えたなあと思います。
テクノロジーを使った迷子ペットの捜索はさらに進化して、アメリカでは迷子のペットを飼い主の元に帰すためのアプリがその人気を伸ばしています。愛犬が迷子になってしまったという人も、迷子のペットを保護したという人も、さらに迷子になったペットが収容されている保護施設にも活用されている、迷子ペットの捜索アプリ『ファインディング・ローバー』をご紹介します。
登録されたペットを顔認証システムで識別
『ファインディング・ローバー』は誰でも利用できる無料のアプリです。このアプリは、アメリカの大手ペット用品店ペトコが、動物保護活動を支援するために立ち上げたペトコ財団からの支援を受けて、2014年からサービスを開始しました。創設者でCEOのジョン・ポリメーノ氏はユタ大学のコンピューティング専攻の学生と協力して、動物の顔の138箇所を観察するアルゴリズムを開発し、98%の精度で動物の顔を認識するシステムを作成しました。
このアプリの利用者は3種類に分けられます。まず、愛犬や愛猫が行方不明になってしまった飼い主さん。現在は何も起こっていなくても万が一の場合に備えて、ペットの顔写真を登録しておくこともできます。次に迷子になっている動物を見つけて保護した人。見つけた動物の写真を撮ってアップすることができます。そして最後がファインディング・ローバーと提携している動物保護施設です。収容されている動物の顔写真を登録します。
顔写真の他には、犬種や猫種と年齢と登録者の郵便番号がデータとして登録され、顔認識システムとデータを基にして、ペットを捜索している人と保護されている動物のデータが一致すると、アプリを通じて通知が届きます。登録されている動物の写真は、登録された郵便番号から320km以内の範囲の人に表示されます。手元のモバイル機器を操作するだけで、迷子になったペットの情報を多くの人に見てもらうことができ、さらに一致する情報があれば通知されるというのは、大変心強いサービスですね。
同社は迷子になっているわけではないが、万が一に備えて写真を登録しておく場合は、18か月齢までは3か月ごとに、その後は1年に1回ペットの新しい写真をアップロードするようにと促しています。念のための登録だけをしている場合は、情報も写真も非公開になっており、ペットが迷子になって捜索が必要になったときには公開に切り替え、連絡先(通常は電話番号のみ)を追加します。
このアプリを全国的な迷子ペットの集中データベースに
現在、ファインディング・ローバーと提携している動物保護施設は公営、私営を含めてアメリカ全国で約600箇所に上るそうです。IDタグやマイクロチップなど、身元の手掛かりなしで保護されたペットが飼い主と再会する率は、2%未満だというデータもあります。迷子ペット捜索アプリに動物の写真を登録することで、いなくなったペットを探している飼い主さんと連絡がつけば、施設のスペースや人手を取られることも減り、殺処分を減らすことにもつながります。
ファインディング・ローバーには現在60万匹近くの動物が登録されているそうです。公開情報は1時間ごとに更新され、多くの人に向けて効率的に発信されています。今後もっと多くのペットの情報が登録され、利用者が増えていくことで、この迷子捜索アプリは全国の犬の集中型データベースとなり、迷子になったペットが飼い主さんの元に戻れる確率が高くなっていきます。
まとめ
アメリカで人気を伸ばしている迷子ペットの捜索アプリをご紹介しました。このような民間のサービスが飼い主さんなどの個人利用者だけでなく、公営の保護施設とも連携してデータの共有ができるというのは素晴らしいことだと思います。大切な愛犬や愛猫が迷子になってしまったとき、飼い主とはぐれた動物を見つけてしまったときに大変頼もしいアプリ、日本でもこんなサービスができればいいなと思います。
《参考》 https://www.findingrover.com