犬がチャイムの音に吠える理由
犬がチャイムの音に吠える理由はそれぞれ。チャイムに吠えるのを止めさせるには、「なぜ吠えているのか?」理由を考えることが大切です。
愛犬の性格や様子からチャイムの音に吠える理由を探ってみましょう。
家族以外の人や物音への警戒心が強い
チャイムに吠える犬の多くは、知らない人が来ることへの恐怖や警戒心を感じています。「チャイム=自分のテリトリーによそ者が入ってくる」と、縄張り意識や不安感から吠えてしまうのです。
こうした警戒吠えは、縄狩り意識が強い未去勢のオスや社会性が身についていない怖がりの犬、自分が群れのリーダーだと思い込んでいる犬に多い傾向があり、チワワやポメラニアンなど気が強い小型犬や、ジャーマンシェパードやドーベルマン、柴犬など番犬として活躍してきた犬ほど吠えやすいと言われています。
来客や家族の帰宅が嬉しくて興奮している
フレンドリーで明るい性格の犬に多いのが、「チャイム=大好きな人が来た!」と吠えてしまうパターンです。
犬好きの人には可愛らしく感じる吠えですが、あまりに声が大きかったり犬が苦手な来客なら、トラブルになるケースも考えられます。テンションが高まるあまり飛びついてしまうと、思わぬケガなどの可能性もあるため十分注意が必要です。
この喜びから吠えるのは、人好きな犬種に多い傾向があります。ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアやジャック・ラッセル・テリアなどのテリア種や、ゴールデンレトリーバーやラブラドールレトリーバーなどが挙げられます。
飼い主の動きや音に反応している
チャイムが鳴った際の飼い主の動きや声に反応しているケースもあります。チャイム自体に吠えているのではなく、飼い主が立ち上がったり「はーい」などと返事をすることで、思いがけず興奮のスイッチが入ってしまうのです。
一見チャイムに吠えているようにみえますが、よく観察すると飼い主の動きや音がきっかけだと分かります。飼い主の動きや音によるチャイム吠えは、日々のスキンシップが足りていない犬やトイプードルなど甘えん坊の犬によく見られる傾向があります。
また、散歩や運動時間が足りておらず、欲求不満の犬でもみられることが多いでしょう。チャイムが鳴って犬が吠えた際に「静かに!」「だめ!」など声掛けをすると、犬は注目を浴びてうれしくなり更に吠えるようになります。
家族に来客を教えている
猟犬や使役犬として活躍してきた犬種は、チャイムの音を聞くと本能で飼い主に知らせようとする傾向があります。
犬としては仕事の一環として行っている行為であり、喜びや恐怖心から吠えているわけではないため、比較的落ち着いた様子でいることが多いでしょう。
来客を教えようと吠えるタイプの犬には、ダックスフンドやビーグルなどの猟犬をはじめ、シェットランドシープドッグなど家畜を誘導・守る役割があった牧羊犬などが挙げられます。
吠えるとおやつがもらえると学習した
吠えている最中におとなしくさせようとおやつを与えていると、「チャイムに吠えるとおやつがもらえる」と犬が誤って覚えてしまうこともあります。その場合、犬はチャイムが鳴るたびに吠えるようになり、おやつをもらえるまで吠え続けることも珍しくありません。
来客の声が聞こえないほど大声で吠えられると、ついついおやつで気を引きたくなりますが、一度やってしまうと修正に時間がかかるため、おやつをあげるタイミングには注意が必要です。「チャイム→吠える→おやつをもらえる・褒められる」と犬に勘違いさせないようにしましょう。
犬がチャイムに吠える時のしつけ方
チャイム吠えのしつけ方は複数ありますが、必ず愛犬が吠える理由に合った方法でしつけることが重要。また、チャイムに吠える習慣がついてから時間が立っているほど、改善にも時間がかかります。焦らず叱らずじっくり取り組んで愛犬のチャイム吠えを確実になくしていくことが大切です。
【警戒心から吠えている場合】リーダートレーニングを行う
縄張り意識や警戒心から吠える場合は、リーダートレーニングで適切な関係を築くことが大切です。
飼い主が群れのリーダーであると示すことで、犬は安心して生活できます。決定権は常に飼い主が持ち、飼い主の指示を聞かずに吠える状況を作らないようにしましょう。リーダートレーニングの基本は、犬が要求したタイミングで物事を始めないことです。ごはんやおやつは飼い主の決めたタイミングで与え、遊びも犬が要求してきた時は応えないようにします。
散歩時は、犬がぐいぐい引っ張らないようコントロールし、常に横につくようしつけましょう。ただし、リーダートレーニングはやみくもに厳しくしつけるものではなく、あくまで犬が穏やかに過ごすために必要なしつけであることを忘れないようにしてください。
【恐怖心から吠えている場合】吠える直前にフードを数粒ばらまく
恐怖心や不安感から吠えている場合、チャイムが鳴った時に数粒のフードをばらまくのが有効です。チャイムが鳴るたびに繰り返すことで、犬は「チャイム=良いことが起こる」と学習し、恐怖心がなくなりやすくなります。
フードを与えるタイミングは犬が吠える前がベストです。このタイミングを間違えると、かえってチャイム吠えが悪化する可能性があるため、しつける際は十分に注意しましょう。
また、社会性がなく吠えてしまうタイプの犬は、さまざまな人と触れ合うことで改善することもあります。知らない人は怖くないと犬に認識させることで人見知りが直り、穏やかに生活できるケースも少なくありません。
チャイム吠えのしつけでは、犬の性格をよく見極めた対応が大切です。
【行動や声に反応して吠える・興奮している場合】犬に構わず無視をする
興奮からチャイム吠えをする犬には低い声で静止のコマンドを出し、その後は徹底して無視をすると良いでしょう。可能であれば来客にも協力してもらい、無視を貫き通すようにすると「反応がなくてつまらない」と犬が落ち着きやすくなります。
行動や声に反応して吠える場合は、飼い主さんが落ち着いた態度で行動するだけでチャイム吠えが改善するケースもあります。吠える原因が欲求不満であれば、散歩や遊びなどスキンシップの時間を増やすなど、愛犬のストレスを解消してあげると良いでしょう。
【来客を教えている・理由が分からない場合】クレートトレーニングがおすすめ
飼い主さんに来客を教えている場合や、理由が分からないケースでは、クレートトレーニングを行うのがおすすめです。
クレートトレーニングとは、飼い主さんの指示でクレート内に入るようしつけることです。クレートは犬にとって落ち着ける巣穴のようなものであるため、クレートトレーニングを徹底すればチャイムが鳴っても吠えづらくなります。
クレートトレーニングの基本は、クレート内が快適だと理解させることから始まります。まずはクレート内に犬が気に入っている毛布やタオルを敷き、おやつを使って誘導しましょう。何度か繰り返して犬が自らクレートに入るようになったら「ハウス」と声をかけてコマンドを覚えさせ、徐々にクレート中でリラックスできるようになれば完璧です。
クレートトレーニングが完璧にできたら、実際にチャイムを鳴らしてみましょう。犬が吠える前に「ハウス」のコマンドを出し、犬がクレートに入るのを待ちます。繰り返し行うことで犬も慣れてきてチャイムが鳴ったらクレートに入って大人しくする習慣が身につくようになります。
チャイムに吠える犬のしつけを行う時の注意点
チャイム吠えのしつけをする時は、いくつか注意すべき点があります。間違ったしつけ方はチャイム吠えが直らないだけでなく、かえってひどくなる可能性があるため注意しましょう。
ここでは、チャイム吠えのしつけを行う時の注意点について解説します。
犬を叱ったり一緒に大騒ぎしない
「静かに!」「だめ!」などの声掛けは、チャイム吠えを助長する可能性があるため避けましょう。飼い主さんからすると犬を落ち着かせるために行っている行為ですが、興奮している犬や明るい性格の犬には逆効果になりかねません。
犬を更に興奮させたり「吠えると飼い主が喜ぶ!」と犬に勘違いさせたりしてしまわないように、できるだけクールに落ち着いて対応することがしつけ成功のカギといえるでしょう。
犬が吠えている最中におやつをあげない
おやつを使ってしつける時は、与えるタイミングに注意しましょう。犬が吠えている最中におやつを与えてしまうと、犬は「チャイムに吠えるとおやつがもらえる=吠えるのは良いことだ!」と誤って学習する可能性があります。
おやつを与えるのであれば、犬が吠える直前か吠えるのをやめて静かになったタイミングを狙いましょう。
天罰方式のしつけはリスクも大きい
犬のしつけには、「天罰方式」という「犬が望ましくない行動をした際に天が罰を与えたように見せかける方法」がありますが、場合によってはチャイム吠えが悪化する可能性があるため注意が必要です。
天罰方式をおすすめしない理由
- 犬との信頼関係が崩れる恐れがある
- 罰(音や刺激)に慣れると効果が無くなる
- 神経質な性格は音響シャイの原因になることがある
天罰方式は、取り入れるタイミングや使い方を間違えると上記のようなリスクがあるためしつけに慣れていない人にはおすすめできません。
また、天罰方式によるしつけは犬が吠える理由を無視した方法であり、根本的な解決にはならないことが多いといえます。犬は賢い動物であるため、「飼い主さんがいない時にはイヤなことが起きない」と気付いてしまう可能性も十分考えられます。
犬に恐怖や不快感を与えるしつけ方は犬の問題行動を引き起こすリスクが高いため、しつけの方法は慎重に選びましょう。
▼「吠える犬のしつけの基本」を知りたい方はこちら
まとめ
愛犬のチャイム吠えを止めさせるには「なぜ吠えているのか?」その理由を考えることが大切です。
犬の様子や性格から理由を突き止め適切に対処すれば、今までのようにチャイムに吠えることはなくなり、お互いに落ち着いて生活できるようになります。ただし、接し方を間違えると逆効果になる可能性もあるため、しつけ時の注意点はしっかり押さえておくことが重要。
すでに吠える習慣がついているのであれば、改善までに時間がかかるかもしれませんが、しつけは焦らず諦めないことです。また、飼い主さん自身が行動を見直し、犬との付き合い方を変えることも大切です。
愛犬のチャイム吠えが改善できるよう、家族全員で適切なしつけを行ってくださいね。