子犬が吠える理由
警戒
子犬の時期に社会性が十分に養われずに恐怖心を持ったまま成長した犬は、散歩中などで他の犬や人に会うと警戒心から威嚇する意味で吠えるようになります。
また車や雷といった、さまざまな生活音などの刺激にも反応しやすく、興奮して激しく吠え立ててしまい、ひどい場合には噛みついてしまう可能性もあります。
おねだり
もともと犬は、吠えることでコミュニケーションを取ってきた動物です。子犬も同様、「お腹がすいている」「遊んでほしい」など、何か母犬におねだりをする意味で、吠えて気持ちを伝えます。
これは子犬特有の「甘え鳴き」と言われ、子犬にとっては自然な行為の一つです。子犬が飼い主さんに対して吠える理由も食事やおやつ、散歩などを要求し、甘えて吠えていることが多いと言われています。
不安
家に来たばかりの子犬は、一匹になった不安や寂しさが原因で夜鳴きすることがあります。また夜中に吠える子犬は、飼い主さんから日中に十分に遊んでもらえず、体力が有り余っている場合も多いです。そういった場合、環境に慣らすトレーニングを行うとともに、散歩やおもちゃ遊びなど体力を発散させるような対策を考えましょう。
吠えやすい犬種
犬は元々、人間のパートナーとして様々な役割を担ってきました。その中には獲物の発見を人間に知らせたり、侵入者を追い払うなどの仕事を担ってきた犬種もあり、そのような犬種は比較的吠えやすい犬種と言えます。
日本の人気犬種の中でも過去に狩猟犬として活躍していたダックスフンドや、チワワやマルチーズなどの愛玩犬、また、トイプードルなど体格の小さな小型犬は、潜在的に吠えやすい傾向にあります。
子犬が無駄に吠える時のしつけ
犬が1歳頃までの子犬の時期に、どのような生活環境の中で過ごし、しつけを受けてきたかが、その後吠える犬になるかどうかに影響を与えると考えられており、この頃に吠える癖がついてしまった犬は、その後も吠えやすい犬へと成長してしまう傾向があります。
社会性を身につける
子犬の性格が形成させる1歳になるまでに、さまざま経験を積み、人間社会に慣れさせることが大切です。他の犬や家族以外の人とふれ合い、子犬の頃から恐怖心を解いておくことはとても重要な課題です。警戒心から吠える犬にならないよう、日頃から散歩に行ったり、パピー教室や幼稚園に通ったりして社会性を身につけるトレーニングを受け、些細なことに動じないメンタルを身につけましょう。
また、同じ問題行動である噛み癖なども、この社会性の不足が1つの原因とも言われています。トレーニングを行うときには、人を噛んではいけないことと合わせて、噛む力の加減も教えていく必要があります。
監修ドッグトレーナーによる補足
子犬の時期の社会化はその後の性格に大きな影響を与えます。
社会化の第一歩が散歩です。散歩に行き人や車、様々な音に触れることで少しずつ社会性を身につけることが出来ます。逆にお家の中だけで過ごしていると外から聞こえる物音に対して過剰に反応したり、人や犬に怖がるようになるかもしれません。
ワクチンが終わるまでは抱っこをして散歩をすることをおすすめします。また、散歩への苦手意識は子犬の間に改善しておくことが重要です。
音に慣らす
他の犬や人に慣らす以外にも、車や雷、花火といった生活音や環境音にも子犬を慣れさせる必要があります。適切に社会化されていない犬は音に敏感に反応するようになり、慣れない音を怖がり、不安から吠えるようになってしまうことが多いです。日々の散歩やベランダから音を聞かせたり、YouTubeで聞かせるなど、普段から社会の音に触れるようにしましょう。
吠えなかったら良いことがあると教える
子犬が吠えるのをやめるきっかけ作りとして、犬の性質を生かして「吠えないと良いことがある」ことを教えて習慣化させる方法があります。それは、おやつやスキンシップなど、ご褒美を上手に取り入れた方法です。
たとえば、散歩中に子犬が吠えようとしたとき、まず呼んでみたり、おやつで気をそらします。子犬がこちらに意識を向けて吠えなずにいられた場合、おやつをあげて褒めます。「吠えなかったらご褒美をあげて褒める」それを繰り返し行うことで少しずつ効果が表れます。また、普段から要求吠えをするタイプの子犬例の場合、要求していないタイミングにこそたくさん構ってあげることが重要です。
監修ドッグトレーナーによる補足
私たち人は、愛犬の良い行動よりも悪い行動に目が行きがちです。あなたは“良い行動を褒める”ということを日々の生活で実践できているでしょうか?
子犬の時期から愛犬の良い行動をたくさん褒められるように意識して観察するようになると、思っている以上に褒めるタイミングがあることに気づくかもしれません。人も犬も褒められて成長していきます。
子犬が吠える時の対策
おねだりなどの要求吠えには「無視」
子犬が食事や散歩などを要求し、甘えて鳴いているときは、徹底的に「無視」することが大切です。飼い主さんが子犬の要求を叶えてしまうと、吠えればおねだりを聞いてもらえると学習するきっかけになります。
このように吠え癖がついてしまうと、自分の要求が通るまで吠え続ける子になるので注意しなければなりません。子犬は、飼い主さんが一貫した態度をとることにより、誤解をすることなくどうすれば自分の要求が通るのかを学習していきます。基本的には子犬からではなく、こちらから相手をし始めることが大切です。
その一方で、無視を続けても一向に吠えるのをやめないときは、おねだり以外の理由が考えられます。その場合、一旦しつけるのをやめて、子犬がケガをしていないか、ケージやトイレが汚れていないかなど、吠える原因を探り対処します。
監修ドッグトレーナーによる補足
家族の一貫した対応はしつけの中でとても重要な要素です。家族が別々の対応をしていると往々にして自分にとってメリットのある行動が増えます。
例えば、要求の通りやすい人への要求の仕方がひどくなったり、甘噛みなどの対応で全員が叱っている場合、力の強い男性には噛まなくなったのに奥さんや子供さんが噛まれ続けるということはよくある話です。
また、無視の定義は声をかけない、犬の方を見ないということ。そこまで徹底することが大切です。
夜鳴きには寝る前に運動を
子犬が夜鳴きをする場合、寝る前にコミュニケーションを取る意味でもたっぷりと遊んであげることをおすすめします。ある程度体力を消耗するまで遊んであげると、子犬も熟睡し、夜鳴きを減らすことができるでしょう。
また、不安や寂しさから夜鳴きしている子犬の場合、まずはその寂しさを紛らわせてあげることが大切です。子犬が夜中に安心して眠れるよう、ケージやクレートなどを飼い主さんのそばに置くのもよいでしょう。
ドッグトレーナー大塚先生の補足
世の中には“無駄吠え”という表現がよく使われていますが、実際のところ犬の世界に“無駄に吠える”ということはなく、すべての吠え行動には明確な理由があります。愛犬が何に対してどのように吠えているのかを観察し、今何を訴えているのかを考えてみましょう。
▼「吠える犬のしつけの基本」を知りたい方はこちら
まとめ
子犬が甘え鳴きをしていると、つい構いたくなる飼い主さんも多いと思います。しかし、その「要求吠え」に応じてしまうと、さまざまなタイミングで吠えるようになりトラブルに繋がる可能性があるので注意しましょう。
飼い主さんは、比較的しつけやすい子犬のうちに、「吠える」ことを管理できるようにしつけをしっかりとすることが大切です。