老犬の食事には注意が必要です

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老犬の食事には注意が必要です

一般的に犬は7歳になると老齢期に入ると言われています。個体差はあるものの、年を取れば若い時期に比べて基礎代謝が低下し、1日の必要エネルギー量も低下します。今回はそんな老犬に与える食事についてのお話です。

監修:獣医師 平松育子

(ふくふく動物病院)

老犬の食事で気をつけたいこと

トリーツを前に首をかしげる犬

老犬の食事において見落としがちなこと、気をつけたいことをまとめてみました。

飲水量の低下

水を飲むバーニーズ

年を取った犬は、喉の渇きに対する感覚が低下することで、飲水量の低下が問題となります。

また、老化により腎臓機能が低下することで尿を濃縮する能力も弱くなり、脱水症状を起こしやすくなります。特に寝たきりの犬では、自発的に水が飲めないことから多くの犬が脱水症状を起こしていると考えられます。

犬が1日に必要とする水分量

↓犬の1日に必要とされる水分量は次のようにして求められます↓

132×(現在の体重kg)0.75=mL
大体、体重1㎏あたり50mlの水分が必要だと考えるとわかりやすいかもしれません。

脱水症状になると体温を調節する機能が低下したり、心臓にも負担がかかります。

エネルギー要求量の低下

ドライフード

老齢期に入ると1日の必要エネルギー量が若い時期に比べて20%程低下すると言われています。仮に元気で食欲がある老犬でも成犬期と同じ内容の食事を与えていれば、基礎代謝が低下している老犬は肥満の原因にもなりかねません。肥満は様々な疾患の要因になっています。

犬が1日に必要とするカロリー(安静時)

↓1日の安静時エネルギー要求量は次のようにして求められます↓

3~25kgの犬の場合30×(現在の体重kg)+70=kcal/日
25kg以上の犬の場合70×(現在の体重kg)0.75=kcal/日

食欲が落ちてない場合、食事の量を減らすと拾い食いなどの問題が発生することがあります。ですので量を変えるのではなく、老犬の体に合った食事の質を考えます。

また、老化で食欲が落ちる場合がありますが、まずは体のどこかに異常がないか健康状態を確認することが大切です。特別な異常がない場合でも、胃腸の消化吸収も衰えるため痩せてくる犬が見られます。

その場合はエネルギーの制限はせずに、少量の食事でも必要なカロリー量を取れるグラム当たりの代謝可能エネルギー量の高い食事を与えるようにします。

過剰なミネラル摂取

カラフルなトリーツ

過剰な塩分摂取は高血圧を招き、心疾患や腎疾患の進行や悪化に影響します。

人の食べるもの(調理加工されているもの)はもちろん、犬用のトリーツにも塩分が含まれていることがあります。与え過ぎには注意が必要です。

タンパク質の摂取について

新鮮な肉

過剰なタンパク質は腎臓機能が低下している老犬にとって腎不全の発症や進行に影響します。ですが老化と共に筋肉量の減少やアミノ酸の利用低下(タンパク質の吸収、合成、代謝の低下)が発生します。

これらを適度に維持するためには過剰にタンパク質を制限することも避けなければなりません。

そこで消化率が高くより消化吸収される高品質なタンパク質である、動物性たんぱく質を与えるようにします。

老犬におすすめの食事

では次に、老犬に適した食事についてご紹介したいと思います。

美味しそうなドックフード

食が細くなった老犬にしっかりと食事を食べてもらうために大切なことは、「嗜好性を高める」ということです。嗜好性とは食事をおいしく感じることやそれぞれの好みことです。

犬の食事に対する好みを決定づけるのもは、匂い・舌触り・歯ごたえなどの食感(テクスチャー)です。

温める

フードを温めることにより香りが出て嗅覚が刺激されるため、食べる量が増えることがあります。熱すぎない程度に温めてください。

また、開けたばかりの缶詰や封を切ったばかりのドライフードなど、新しい新鮮なフードには食欲を増す効果があるようです。

水分量を増やす

ドライフードより缶詰やパウチタイプのフードのほうが脂肪分を多く含むため嗜好性が高まり食欲が増します。喉の渇きに鈍感になっている老犬や寝たきりの犬には脱水症状を防ぐための水分補給もできて一石二鳥です。

またドライフードに缶詰の汁をかけたり、ささみなどの肉の茹で汁をかけてあげるだけでも嗜好性がアップします。ぬるま湯でふやかして与えるのも匂いが出ることによる食欲増加と水分摂取量や消化吸収率をアップさせる効果が期待できるでしょう。

ドライフードを缶詰と同じ水分量にしたい場合は、ドライフード1に対して水2.5の割合で混ぜます。食事に含まれる水分は飲み込んだ食ベものを胃に運びやすくします。

最近では、市販のものでも牛骨を煮込んで作ったスープや、ヤギミルクなど、お湯で溶かして飲めるタイプのものが売られています。そういったものを利用して、老犬の食事に加えてみても、水分が摂れて消化もしやすくなるので良いかと思います。水分補給には、小腸の吸収促進を促すタイプのドリンクや、犬が好むフレーバーの栄養ドリンクなどもお勧めです。

脂肪を増やす

水分量を増やすのところでもご紹介したように、缶詰やパウチタイプのフードは脂肪分を多く含んでいて食欲をアップさせる効果は絶大です。

ですが、脂肪の量が多くなると下痢を起こす場合があります。腸の機能が低下している犬などは注意が必要です。

老犬にとっての理想の食事とは?

水分摂取の減少は、運動量が低下している老犬にとって便秘の原因となります。適度な食物繊維の摂取を心掛けることが重要となります。

エネルギー過剰摂取によるは肥満は、様々な病気の要因となりますが、加齢で関節の弱った老犬には更なる関節への負担となります。体重コントロールができる食事に加え、グルコサミンやコンドロイチン硫酸サプリメント与えることで負担をやわらげます。

植物性タンパク質より品質の高い動物性タンパク質の摂取を心掛けましょう。

また、老犬にはフードをふやかすなど、柔らかい食事を与えることが多くなるので、歯石がつきやすくなります。免疫力が衰えた老犬は歯周病になりやすく、口内環境の悪化が様々な病気の原因にもつながってしまいます。

食事のあとには、歯ブラシやガーゼなどで口の中を綺麗にしてあげ、衛生的に保ちましょう。また、水分を摂取することでも、水分が口に残った食べカスなを綺麗にする役割を果たしてくれますので、食後にも水分を与えられたら理想的です。

老犬が食べるときの姿勢は?

老犬になると飲み込む力が弱くなります。水と飲むだけでも、咳こんで吐いてしまうことがあるので、犬が飲み込みやすい姿勢にしてあげることが大切です。床に食器を直接置いて食べさせるのではなく、台などの上に食器を置き、やや高めの位置にしてあげると飲み込みやすくなります。また、首や前足への負担も軽減されます。

寝たきりの老犬の場合は、寝たままの姿勢で食べさせると食べ物が食道につまってしまう可能性があるので、危険です。上半身を起こしてクッションなどで体を支えて、頭を高くした姿勢にしましょう。きちんと飲み込めているかを確認しながら、少しずつスプーンなどで口に運んであげましょう。

まとめ

食器の前に伏せるバーニーズ

加齢に伴う体の変化は進行性であり止めることや元に戻すことはできません。

しかし、加齢の速度は環境や食事、愛犬の体の状況によって異なり、進行を遅らせることも可能です。そのひとつが毎日の食事となります。

これを機会に食事の質を見直し、愛犬が健康で長生きできる体作りを心掛けてみてはいかがでしょうか?

記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (ふくふく動物病院 院長)

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

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  • 40代 女性 momo

    我が家にも14歳になる大型犬がいます。若い時には食事内容はほとんど気にせずに与えていましたが、やはり老犬になると血液検査などで気になる数値が出てきたり、日頃の食事が重要になってきますね。特に我が家の愛犬は昨年末に大病をして、強い薬を与えた影響で胃炎を起こしてしまいました。胃薬などで治療してなんとか症状は治まりましたが、その後はまず第一に「消化の良い食べ物」というのを心掛けて、おやつも硬いジャーキーなどは一切止めて、おからで作ったクッキーや手作りのやわらかい鶏胸肉チップなどにしてからは、便も調子良くなりました。今回病気で何も食べ物を受け付けずに困った際、ドラッグストアで見つけた犬用の流動食が活躍しました。(写真あり)また、フードに成分無調整の豆乳を少し混ぜてふやかして与えるのもオススメです。
  • 30代 女性 鞘

    一口に「老犬の理想的な食事」を語るのは非常に難しいものがありますね。
    食べてはいけないものを避けるとか、見えない塩分に気をつけるのは勿論なのですが
    よく食べる場合、食べれない場合、疾患のあるなし、歯の状態など、それぞれの個体差があまりに大きいですので...
    非常にざっくりとで申し訳ないのですが、よく食べる(いくらでも食べる)食欲旺盛な場合は過剰なカロリーに気をつけること。新陳代謝が落ちているので、若い頃と同じ食事で肥満傾向になる危険があります。
    その逆に食が進まない場合は、食べない→元気が出ない→更に食べれなくなるという負のループに陥らないためにも、適度な脂肪や甘味等を利用して喉を通りやすくしてあげたいところです。

    ある意味で、パピー時代のワンちゃんの食事よりも気を使わなければいけないかもしれませんが、圧倒的に有利なのが、長年暮らしてきただけの実績がある点ですね。愛犬の身体については獣医さんじゃないとわからないこともありますが、心については飼い主じゃないとわからない事がたくさんあります。愛犬と相談しながら、美味しく食べれる食事を提供してあげましょう。
  • 女性 ぽんぽん

    うちのわんこはまだ3歳ですが、いつかはくる将来のこと。知っていることで予防できることや準備はできると思うのでとても勉強になります。年を重ねると水分への感覚が鈍くなるのですね。水分は人間にとってもですが犬にとっても必要なものです。パピーの頃のようにドッグフードをふやかして与えようか、など少し考えてしまいました。以前飼っていたラブラドールは若い頃はドライのフードでしたが、一時期から人間のご飯の残りをお水でたいたり味のないねこまんまのようなご飯などを与えていた気がします。私はまだ幼かったので母が作っていたのですが、今度聞いてみようと思いました。犬のご飯を自分で作るのはハードルが高く今はしていませんが、愛犬が年をとったときにそちらのほうが食べやすいのであればチャレンジしたいと思います。塩分を抑えたり必要な栄養素をいれたりと大変そうではありますが、大事なわんこのため今から少し勉強したいと思います。
  • 40代 女性 える

    本当にあっという間に犬は年を取ってしまいますね。
    しつけで慌ただしく過ごした2歳まで、心が通うようになったなと感じ始めてアクティブに過ごしていたらあっという間に7才を迎えシニア期と言われて愕然とします。
    食事は体を作るものですから、健康的なシニア期の生活のためには気を付けたいです。若い頃はドライフードを与えてきましたが、最近はお野菜とお肉を刻んでスープにしたものをフードにかけて与えています。趣向性も良く、水分もたっぷりとれるので重宝しています。時間のあるときには、鶏や豚の軟骨肉を買ってきて圧力鍋で炊いておいしいスープを取って与えます。でも、本当に最後の最後には愛犬の好きなものだけをたっぷり好きなだけ食べさせてあげたいと思っています。
  • 女性 匿名

    8歳の大型犬と暮らしています。
    フードをシニア用に変えてカロリーが低めになりました。筋肉量が減るのは嫌なので少し量を増やしたら、体重が増えたので反省して元の量に戻しました。

    高タンパクのフードに変えようか悩んでここの記事に行き着きました。参考になります。
    1日の運動時間は変わらず脚取りもしっかりとして好調なので、今のフードを今の量のまま食べさせて行きます。

    大型犬は短命と言われているのですが、おかげ様で大病もせずに元気に過ごしています。これからも体調管理に気をつけて年齢に合わせたフード選びや運動、歯のけケア等に気をつけて行きます。
  • 女性 匿名

    8歳になったのでフードをシニア用に変えました。
    カロリーが低いので筋肉量の変化を見ていますが、脚どりはしっかりしているので大丈夫そうです。
    1日の食事量が基本よりも少なく気になりますが、おやつをあげているので必要なカロリーは採れているようです。
    必要な水分量が思っていたよりも多く驚きました。
    早速散歩の時にお水を持って行き飲ませたら沢山飲んだので、これからも持って行きます。
    見た目の衰えは見えませんが確実に歳をとっているので白内障になりました。進行を遅らせる目薬をさしています。
    おやつは目と関節に良い物と、歯磨き効果のあるグリニーズをあげています。
    1日の睡眠時間は増えて来ました。大好きな散歩が楽しめるように健康的な毎日を送るよう心がけます。

    愛犬のフード選びに悩んでいたので参考になりました。ありがとうございます。
  • 女性 あじさい

    8歳の女の子を飼っています。今のところ食欲旺盛、お散歩大好き、寝る時間が増えたこと以外はとても元気ですが、これからシニア期に突入していろいろなことが変わってくるんだろうな、と心構えをしないといけないなと思っているところでした。
    市販のオヤツ類には塩分が添加されているのは、以前うちの犬が涙やけで悩んだ時に知りました。犬用でも趣向性を高めるために塩分が含まれているそうです。
    食事もシニア期に入って気を遣わないとですね。いろいろ勉強しておこうと思います。
  • 女性 すず

    うちの子も13歳の高齢犬です。依然と比べて食欲も落ち、体力面の心配もでてきました。今の食事は基本半生タイプのフードを食べさせていますが、食欲が無い場合は犬用のふりかけやちゅ~るをトッピングしてあげています。日によって体調が変わってくるので、なるべく飽きないように、手作りご飯やトッピングを工夫して食欲がおちない工夫をしてあげています。
  • 女性 なまず

    先代の犬は、老犬になっても食欲は衰えず、でもシニア用のフードは嫌いなようでダイエットが大変でした。そのままでは食べてくれないので、ブタの骨や牛の骨などでスープをとり、それをかけて与えてい与えていました。人間と同じで年を取ると代謝が落ちるのか本当に痩せません。今はさまざまなフードが出回っているのでおいしいのが見つかるかな。
  • 50代以上 女性 あこ

    18歳のラブラドールを介護しています。食べたいという要求があるのですが流動食では、すぐお腹が空くようで試行錯誤しています。圧力鍋でクタクタにした野菜とおかゆをミキサーにかけ、鶏胸肉やラム肉を細かくカットしたものを与え時々、ヨーグルトやトマト、キュウリをあげます。要求に応えてあげてしまうと下痢をしてしまい、一度お腹を壊すと立て直しに時間がかかります。ここまで老犬になるとどのような食事が良いのでしょうか?
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