シニア犬が嫌がっても散歩は必要?
シニア犬が散歩を嫌がっていると、「無理に行かせる必要はないかな…」と感じる人もいるでしょう。しかし、体調が悪化するなどのリスクがなければ、シニア犬でも散歩は必要だといえます。
まずは、シニア犬の散歩の必要性を知っておきましょう。
犬の老化防止のためにも散歩は必要!
シニア犬や老犬と呼ばれる年齢になると、徐々に老化が進んでいきます。老化は視力や聴力、筋力などさまざまな部分でみられますが、特に気を付けたいことが筋力の老化です。
当然ながら、犬が散歩を嫌がるからといって毎日家で寝ていると、筋力が低下していきます。筋力が低下すると、元気に走り回ったり散歩を楽しんだりできなくなり、場合によっては寝たきりになることもあるでしょう。筋力を維持することは、犬の健康に繋がります。
また、散歩でいろいろな景色やにおいに触れることで脳が活性化されて、老化防止にもなるはずです。
シニア犬が散歩を続けるメリット
- 筋力維持
シニア犬が散歩を続けるメリットとしては、先述したように筋力の維持が挙げられます。筋力を維持することができれば、散歩で元気に歩くことはもちろん、家の中での階段の上り下りなどに苦労をすることもないでしょう。
また、毎日少しでも運動をしておけば、夜に寝ないシニア犬でも疲れてぐっすりと眠ってくれることが期待できます。一度散歩を止めてしまうと筋力が老化して散歩を嫌がるようになってしまうため、シニア犬の体調が悪化する心配がないのであれば、なるべく毎日散歩をするようにしましょう。
- ストレス解消
犬にとって毎日の楽しみは、食事と散歩です。散歩をしないで室内で過ごしていると、ストレスが溜まってしまいます。ストレスは無駄吠えや噛み癖などの問題行動にも繋がるため、散歩を嫌がる犬であっても散歩に連れて行けばストレス解消になるはずです。
最初はいやいや散歩に行くシニア犬であっても、毎日の散歩ルートを変えるなどの対処をすることで、楽しんで散歩に取り組んでくれるでしょう。
- 脳の活性化
シニア犬にも散歩が必要な理由としては、散歩中にさまざまな景色やにおい、ほかの犬や人と触れ合うことで、脳の活性化に繋がる点が挙げられます。脳を活性化させることは、認知症予防や進行を抑えることにも期待できます。
犬の認知症は、同じ場所をウロウロしたり夜に遠吠えをしたりと、さまざまな行動がみられて介護も大変です。毎日の散歩をすることは、シニア犬には良い意味での刺激になるでしょう。
シニア犬が散歩を嫌がるようになる理由
「いままでは喜んで散歩に行っていたのに、老犬になったら急に嫌がるようになった」と、愛犬の変化に困惑する人もいるはずです。
なぜ、シニア犬になると散歩を嫌がるようになるのでしょうか。散歩を嫌がる理由がわかれば、正しい対処ができるようになるでしょう。
足腰が痛いから
シニア犬が散歩に行きたがらない理由は、足腰が痛いからというものが挙げられます。人間も同様ですが、犬も高齢になると足腰や関節が痛くなり、歩くことが辛くなります。
柴犬やボーダーコリーなど、日頃から活発な犬種であっても、足腰の痛みにより散歩を嫌がることもあるはずです。歩くことが辛くなると自然と散歩に行くのも億劫になり、筋力の低下に繋がるでしょう。
そして筋力が低下することでさらに散歩に行きたがらなくなり、結果的に寝たきりになるなど悪循環に陥ります。このように身体の変化による問題で、シニア犬が散歩に行きたがらなくなることが多いです。
目が見えにくくなったから
犬によっては老化による視力低下が原因で目が見えにくくなったり、見えないことから散歩に行きたがらないこともあります。
犬は、もともと視力が良くはありませんが、遠くにあるものや動くものを認識する力が強いため、目が見えなくなると散歩で歩く時に危険を回避することが難しくなってしまいます。当然ながら、目が見えにくい中で堂々と歩くのは無理でしょう。
老犬と呼ばれる年齢になれば、視力や聴力が衰えるのは仕方のないことかもしれませんが、飼い主が補助をすることで散歩に意欲的になる可能性もあります。
歩くことが不安だから
シニア犬が急に散歩を嫌がるようになったのは、歩くことに不安を感じているからかもしれません。歩くことへの不安は、先述したような足腰の痛みや視力の低下などで、何らかのトラブルを経験したことによるトラウマである可能性が考えられます。
散歩中に足腰が痛くてその場にしゃがみこんでしまったり、目が見えにくくて障害物にぶつかってしまったりした経験から、「また散歩中に何か起こるかも…」と散歩に対して苦手意識を持ってしまっているのでしょう。これは、シニア犬の精神的な問題といえます。
シニア犬が散歩を嫌がるときの対策
シニア犬が散歩を嫌がっても、身体や心の健康維持のためには必要です。飼い主としては、シニア犬になった愛犬に楽しく散歩をしてもらえるような工夫を考えなければなりません。
ここでは、シニア犬が散歩を嫌がる時の対策をご紹介します。
散歩時間を減らして回数を増やす
シニア犬には、いままで行っていた散歩は長すぎるかもしれません。散歩時間が長いとその分、足腰への負担も大きくなります。足腰が痛くなれば散歩に行くことが億劫になってしまい、散歩に対して苦手意識を持ってしまいます。
そのため、シニア犬の散歩は時間を減らして回数を増やすと良いでしょう。今まで30分を2回行っていた散歩を、10分ずつ4回にするだけでも足腰への負担を軽くすることができます。
散歩コースを変えない
目が見えない犬の散歩は、いままでの散歩コースを変えないのもおすすめです。散歩コースを変えないことで、目が見えないもしくは見えにくくてもある程度は不安なく歩くことができるかもしれません。
若くて元気な犬であれば、毎日散歩コースを変えることで気分転換になります。しかし、老犬と呼ばれる年齢になった時には、散歩コースを変えることはかえって逆効果です。また、視力の衰えていないシニア犬の散歩コースを変えたい場合は、階段や坂道など足腰への負担が少ない場所を選びましょう。
散歩前や散歩後にマッサージをする
シニア犬の身体の疲れが取れやすいように、散歩前や散歩後にマッサージをするのもおすすめです。マッサージは、関節や腰などを優しくもみほぐすように行いましょう。
マッサージをすることで、散歩中の怪我の予防にも繋がるはずです。愛犬とのコミュニケーションにもなるでしょう。また、シニア犬へのマッサージは病気の早期発見も期待できます。日頃からシニア犬の身体を触ることで、身体の異常にいち早く気が付くことができます。
介助グッズを使用する
シニア犬の歩行が難しくなってきたら、散歩時に介助グッズを使用するのも良いでしょう。ハーネスのように犬の腰を持ち上げるようにして犬の歩行の手助けをしてくれる介助グッズがおすすめ。
ほかにも、ペットシッターやヘルパーさんなどに手伝ってもらい、2人がかりで散歩に取り組むのもおすすめです。この際にも、介助グッズを使用することでスムーズに散歩を楽しむことができるでしょう。
シニア犬が散歩を嫌がるときの注意点
シニア犬や老犬と呼ばれる年齢になった犬は、散歩時にいくつか注意しなければならない点があります。注意点を守らなければ、シニア犬の体調不良に繋がる可能性もあるでしょう。
どれも飼い主の考え方次第ですぐに実行できるものばかりなので、愛犬の健康を維持するためにも必ずチェックしておきましょう。
散歩時間は犬の体調や気分に合わせる
シニア犬の散歩時間はそこまで重要ではありません。若くて元気な犬であれば、1日2時間程度の散歩をして疲れさせるなど散歩の量や時間を重視しますが、シニア犬になると散歩の量よりも質が重要になります。
そのため、シニア犬や老犬と呼ばれる年齢になったら、犬の体調や気分に合わせることも必要になるでしょう。日によってはシニア犬の体調が優れなかったり、散歩に行きたい気分でなかったりする場合もあります。
そんな時に無理やり散歩に連れて行っても、かえってストレスや身体の負担になるでしょう。シニア犬の散歩は、あくまで軽い運動や気分転換であるため、散歩に行かない日があっても問題ありません。
運動制限がかかる持病を抱えているシニア犬であれば、事前に獣医師と散歩時間や回数について相談しておきましょう。
犬の疲労度が強い時は散歩を中止する
シニア犬は、成犬に比べると筋力や体力が落ちているので疲れやすいです。そのため、犬の散歩中に疲れが目立つようであれば、散歩を中止する必要があります。無理やり散歩を続けてしまうと、体調不良の原因にもなるでしょう。
ちなみに、犬の疲労度が強くなってきたサインとしては、「その場に座り込んで歩こうとしない」「呼吸が早くなる」「自宅に引き返そうとする」などが挙げられます。これらの疲れのサインが見えた場合には、すぐに帰宅したり翌日の散歩を休んだりしてシニア犬の体調を整えてあげましょう。
緊急事態に対応できるようにしておく
シニア犬の散歩は、いつどこで体調が悪化するかわかりません。場合によっては、散歩をしている最中にそのまま動物病院へ向かわなければならないこともあるでしょう。
シニア犬の緊急事態に対応できるように、携帯電話や財布、愛犬の診察券などは常に携帯しておきましょう。また、緊急事態に対応しやすいように、自宅から離れたところへ散歩をするのはおすすめできません。なるべく自宅の近辺を散歩するようにしましょう。
▼「老犬の散歩の基本」を知りたい方はこちら
まとめ
シニア犬や老犬と呼ばれる年齢になっても、筋力の維持やストレス解消、老化防止のために毎日の散歩は必要です。しかし、足腰の痛みや視力の低下などにより、シニア犬が散歩を嫌がる時もあるでしょう。そんな時には、無理をせず体調が回復するまで待つことも大切です。シニア犬の散歩で大切なのは、犬のペースに合わせるということです。
老化による筋力の低下で運動量が減っても、散歩の回数を増やすなどの工夫で運動不足になる心配はありません。散歩時間よりも、質を重視することがシニア犬の散歩には大切。
何歳になっても犬が散歩を楽しめるように、歩くことが難しくなってきたら介助グッズを使用するなど、飼い主としてできる限りの対策をしてあげましょう。