高齢の犬が震える理由
犬の性別や年齢に関わらず、震えている姿を見るのは飼い主にとって不安なものです。高齢の犬が震えているのなら、なおさら不安に感じてしまうものでしょう。
そこで、高齢の犬が震える理由として考えられるものを紹介していきます。異変を早い段階で発見するためにも、なぜ震えるのかぜひチェックしてみましょう。
老化によって筋力や体力が衰えている
老化によって犬の筋力や体力が衰えていることから震えが出ている可能性があります。
高齢期の犬は、お尻周りや後ろ足から筋力が低下して、姿勢の維持や運動が難しくなってしまうと言われています。
震えが見られるのは以下のようなタイミングです。
- 食事をするとき
- 座るとき
- トイレで排泄をするとき
- 寝起きで身体を動かすとき
- 滑りやすい床で踏ん張って姿勢を保つとき
- 運動をしたとき
人間と同じように、犬も加齢によって筋力が衰えます。加齢に伴う変化であるため、ある程度の衰えは仕方ありません。ただし、筋力低下を防ぐためにも高齢になっても無理のない範囲で散歩や運動を行うのが大切です。
体温調節機能が低下して寒さを感じやすい
体温調節機能の低下により寒さを感じやすくなるのも、震えが起きる代表的な理由です。
高齢の犬は筋肉量が減るため、体温が下がりやすくなります。また、高齢になると運動をしたがらなくなる犬も多いものです。体温が下がると身体が暖まらないため、寒い季節にガタガタ震えるようになるでしょう。
寒さによって震えているのなら、毛布を与えたり室温を上げたりする工夫が必要です。寝床が冷たいなら暖かくしてあげられないか考えてみましょう。
ただし、ホットカーペットや暖房器具などを使うのであれば、やけどに注意が必要です。
ストレスへの耐性が低下している
ストレスへの耐性が低下しているのも、犬が震える理由の1つです。
年齢を重ねると、犬も視力・聴力・嗅覚・認知能力などが低下します。そのため犬が不安や恐怖を感じてしまい、震えが生じるのです。
他にも、飼い主の愛情不足に対して犬が甘えている可能性もあります。ストレスへの耐性が下がり、わがままになってしまう犬も多いものです。
- 引っ越しした
- 来客があった
- 動物病院に来た
このようなタイミングで震えが出ているのなら、ストレスが関係しているかもしれません。
犬にとって、環境が変わるのは大きなストレスです。引っ越しをしたら犬の過ごす場所のレイアウトはなるべく前と同じにします。犬や家族の匂いがついた毛布などを置いてあげるなどがポイントです。
来客や動物病院の受診で犬がストレスを感じているのなら、声をかけて落ち着かせましょう。高齢犬が安心して過ごせる環境を整えると、震えが落ち着く可能性があります。
病気による体調不良のサインが現れている
病気による体調不良のサインで震えが出ている可能性があります。ただの震えだけでなく、以下のような症状も出ていないか確認しましょう。
- 痛みがある
- 嘔吐している(吐き気がある)
- 痙攣の発作が起きる
- 発熱している
急性胃腸炎・膵炎・脳炎・低血糖など、震えが起きる病気もさまざまです。
高齢の犬が病気になってしまうと、寿命を縮める原因になってしまうことも。病気が原因の場合、早期発見、早期治療が最も重要になります。
薬の副作用や中毒による症状が現れている
犬が飲んだ薬の副作用や、食べ物での中毒による症状で震えが出る可能性もあります。普段と違うものを食べたり飲んだりしていないか、確認してみましょう。
突然、震えが出てきたなら周囲に食べ残しなどがないかを確認します。観葉植物にも犬にとって有毒なものがありますので注意が必要です。
症状が悪化する危険性があるため、様子を見ずになるべく早く動物病院を受診しましょう。
高齢犬が震える時に病気かどうかを見分ける方法
犬の震えには、病的な震え・生理的な震え・精神的な震えなどが考えられます。そこで、震えの原因を見分ける方法についても紹介します。
- あくびやよだれが増えていないか
- 震えが悪化していないか
- 犬の身体に異変がないか
- 呼びかけに反応するか
あくまで目安として考え、決して自己判断せず少しでも不安がある場合は、動物病院を受診することをおすすめします。
あくびやよだれが増えていないか
まずは、犬にあくびやよだれが増えていなかったか確認しましょう。てんかん発作が起きる前に、あくびやよだれが増えることがあります。
震えの程度はその時によって違うものです。てんかん発作でも、震えが大きいとは限りません。普段よりあくびやよだれが増えた状態からの震えなら、悪化する前に、動物病院に相談しましょう。
震えが悪化していないか
時間を負うごとに震えが悪化していないかも、見分ける目安になります。
寒さが原因なら部屋を暖めれば解決するでしょう。しかし、寒くもないのに震えが悪化している場合は病気が考えられます。どのくらいの時間で悪化したのかをメモなどに記録し、獣医師に伝えるのがポイントです。
犬の身体に異変がないか
痛みや異変がないかも確認したいポイントです。以下の例を参考に、愛犬に異変がないかチェックしてみましょう。
- 身体を触ると吠える
- 筋肉にこわばりがある
- 体温が普段と違う
- えづく
- 吠える
- ごはんを食べない
いつもと違う症状がみられたら、何らかの不調が生じている可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。
呼びかけに反応するか
飼い主の呼びかけに反応するかも大きなポイントです。もちろん、わざと飼い主を見ない時もあるかもしれません。しかし、反応もせず動くことなく震えているのなら要注意です。
呼びかけても反応がない、動かないという状況なら至急動物病院を受診しましょう。
高齢犬が震える時の家庭での対処法
高齢犬が震える時の家庭での対処法を紹介します。
震えへの対処法は原因により変わってくるものです。まずは、動物病院を受診し、病気が原因なのかを確認する必要があります。病気ではないと確認できたら、愛犬が嫌がっていないかチェックしながら対処法を実践してみましょう。
犬の震えが現れる状況を記録して動物病院を受診する
正確に状況を伝えるために、犬の震えが現れる状況を記録したうえで、動物病院を受診しましょう。「いつから」「どんなときに」「どのように」震えるのかをまとめておきます。
他の症状が出ているようであれば、併せて伝えましょう。
動物病院で症状が出ない時のために、動画を撮影しておくと便利です。獣医師が適切な治療を開始できるよう状況を正確に伝えるのがポイントです。
高齢犬に無理のない運動方法になるよう見直す
震えが出ているのなら、高齢犬にとって無理のない運動方法になるよう見直しましょう。
散歩や外で遊ぶことは、筋力維持や脳への刺激として必要です。運動不足はNGですが、運動しすぎも高齢犬にとっては大きな負担になります。
- 歩きやすい散歩ルートに変更する
- 散歩の時間を短くして回数を増やす
- 散歩中に休憩時間を作る
若い時と同じ運動量なら、今の犬の状態に合わせて負担を減らすよう見直すことが大切です。
部屋の床材を滑りにくいものに変更する
高齢犬が移動する範囲の床材を滑りにくいものに変更するのもおすすめです。食事や水飲み場、トイレスペースなどでは足元に踏ん張りが必要になります。
犬にとって歩きやすく、踏ん張りやすい床になるよう見直してみましょう。フロアタイル・クッションフロア・タイルカーペットなどが便利です。メンテナンスも楽で耐久性も高いため、滑り対策として使えます。
快適な温度になるようエアコンや犬服で調節する
震えを防ぐため、快適な温度になるようエアコンや犬服で調整しましょう。特に注意したいのが、床に近い場所で過ごす小型犬です。
暖かい空気は上に向かい、冷たい空気は下におりてきます。 そのため、小型犬は冷気の影響を受けやすくなってしまいます。室温は一定にし、外出時は犬服を着せるようにすると調整が可能です。
ただし、服を嫌がる場合は無理強いしてはいけません。ストレスで逆効果になる場合も。愛犬に合わせてが快適に過ごせるよう配慮しましょう。
まとめ
高齢の犬が震える原因には、さまざまなものが考えられます。病気が原因であれば命に影響する可能性もあるため注意しなくてはなりません。まずは動物病院を受診しましょう。
筋力低下が原因の時は、運動方法や運動量の見直しが必要です。体温調節がうまく出来ていないと考えられる時は、部屋の温度を調整する必要があります。
震えは、ストレスへの耐性が低下しているのが原因の場合もあります。引越しなどの大きな環境変化は避けるなど、なるべく老犬にとってストレスのない環境を作ることも大切です。
状況に合わせて工夫すると、老犬の震えは改善できる可能性があります。元気で長生きしてもらうためにも、震えの症状が出たらケアを行ってくださいね。