スタンダードプードルの里親になるには？
スタンダードプードルを飼いたいと考えている場合に、「里親で家族に迎える」という方法は、とても素晴らしい選択肢です。
ただし、スタンダードプードルを里親として家族を迎え入れる場合、多くのことを学ぶ必要があります。
まず、里親制度そのものを理解することから始めましょう。その後、具体的な里親の探し方や実際にどのような方法・ルートで里親の交渉をするのか検討する必要があります。
里親として迎え入れた後も、スタンダードプードルの特性を知ることはもちろん飼う際の注意点なども把握する必要があります。
また、里親の場合、特殊な状況で家族に迎えいれるケースもあるため、里親特有の心構えも知っておくべきでしょう。
この記事では、スタンダードプードルの里親になるための方法と注意点を順を追って解説し、後悔のない選択ができるようサポートします。
そもそも犬の里親制度とは？
犬の里親制度とは、何らかの事情で飼い主を失った犬を、新しい家族として無償または実費のみで引き取る制度のことを指します。事情には、元の飼い主の病気や死、経済的な問題、あるいは飼育放棄（ネグレクト）や迷子など、さまざまな背景があります。
これらの犬は「保護犬（ほごけん）」と呼ばれ、動物愛護センターなどの行政施設や、民間の動物保護団体によって保護されています。里親制度の目的は、こうした保護犬たちにもう一度、生涯を共に過ごせる温かい家庭（終生飼養の場）を与え、幸せなセカンドライフの機会を提供することです。
単にペットを手に入れるのではなく、一頭の命を救い、新しい未来を築く社会的な活動と言えるでしょう。
里親になるメリット・デメリット
保護犬を迎え入れることには、素晴らしい側面と、向き合うべき現実の両方があります。決断を下す前に、双方を深く理解しておくことが重要です。
メリット：社会貢献につながる
里親になる最大のメリットは、一頭の犬の命を救えることです。あなたが里親になることで、保護施設には新しいスペースが生まれ、次の行き場のない犬を救うことができます。
殺処分される可能性のあった命に温かい家庭を与えることは、何物にも代えがたい喜びであり、直接的な社会貢献につながります。
メリット：成犬の性格や大きさを理解して迎えられる
スタンダードプードルのような大型犬の場合、子犬から育てると「思ったより大きくなった」「性格が想像と違った」ということが起こり得ます。しかし、保護犬は成犬であることが多く、すでにある程度の性格や体の大きさが確定しています。
そのため、自分のライフスタイルや家族構成に合った性格の犬を選びやすく、迎え入れた後のミスマッチが起こりにくいという利点があります。
メリット：購入より費用を抑えられる場合がある
純血種のスタンダードプードルをペットショップから購入する場合、高額な費用がかかります。一方、里親制度では、犬自体の代金は発生しません。
ただし、「譲渡費用（じょうとひよう）」として、保護期間中にかかったワクチン接種、不妊去勢手術、マイクロチップ装着などの医療費の一部を負担するのが一般的です。
これは新しい飼い主の負担を減らし、次の保護活動へつなげるための大切な費用ですが、結果的に生体価格よりは安価になるケースが多いです。
デメリット：過去のトラウマを抱えている可能性がある
保護犬の中には、過去の飼育環境が原因で心に傷を負っている子もいます。人間に対して恐怖心を持っていたり、特定の物音を怖がったり、分離不安などの行動が見られたりすることがあります。
新しい環境や家族に慣れるまでには時間が必要であり、その子の過去を丸ごと受け入れ、根気強く向き合う深い愛情と忍耐が求められます。
デメリット：必ずしも希望の犬種や年齢の犬に出会えるとは限らない
トイプードルや柴犬といった人気犬種に比べ、スタンダードプードルの保護犬の数は決して多くありません。そのため、「すぐにでも迎えたい」と思っても、希望の犬種や年齢、性別の犬が常時募集されているわけではないのが現実です。
理想のパートナーと出会うまでには、数ヶ月、あるいはそれ以上の時間が必要になる可能性も覚悟しておく必要があります。
デメリット：すぐに迎え入れられない場合がある
里親になるには、保護団体による厳正な審査を通過する必要があります。これには、申込書の提出、アンケートへの回答、面談、家庭訪問などが含まれます。
これは、二度と不幸な経験をさせないために、終生飼養が可能かどうかを慎重に判断するための重要なプロセスです。そのため、申し込みから実際の譲渡までには一定の時間がかかり、希望すれば誰でもすぐに引き取れるわけではありません。
スタンダードプードルの里親を探す方法
スタンダードプードルの保護犬と出会うためには、いくつかの方法があります。それぞれに特徴があるため、自分に合った方法で根気よく探してみましょう。
譲渡会に参加する
動物保護団体や自治体が主催する「譲渡会（じょうとかい）」は、保護犬と直接触れ合うことができる貴重な機会です。実際に犬たちの様子を見たり、保護団体のスタッフから性格や普段の生活について詳しい話を聞いたりすることができます。
ウェブサイトの写真だけではわからない相性を確かめることができるため、お住まいの地域の譲渡会情報をこまめにチェックすることをおすすめします。
里親マッチングサイトで探す
現在、保護犬を探す最も一般的な方法が、インターネットの里親マッチングサイトです。全国の保護団体や個人が募集情報を掲載しており、地域や犬種を絞って効率的に探すことができます。代表的なサイトをいくつか紹介します。
いつでも里親募集中
日本で最も古くから運営されている里親募集サイトの一つです。全国の膨大な情報が掲載されており、登録頭数も非常に多いのが特徴です。個人による募集も多く、シンプルな掲示板形式で利用されています。
ペットのおうち
月間利用者数が非常に多く、日本最大級の里親マッチングサイトです。多くの動物保護団体が公式に登録しており、サイトの利用規約や審査基準が明確で、初心者でも安心して利用しやすいシステムが整っています。
hugU（ハグー）
全国の保護犬・保護猫情報が掲載されているプラットフォームです。サイトのデザインが見やすく、検索機能も充実しているため、希望の条件に合った犬を探しやすいのが特徴です。利用者の体験談なども掲載されています。
OMUSUBI
「相性診断」というユニークな機能を導入している里親マッチングサイトです。ライフスタイルや飼育経験に関する質問に答えることで、自分に合った保護犬を提案してくれます。ミスマッチを防ぐための工夫がされており、初めて保護犬を迎える人に特に人気があります。
里親募集サイトで探す
前述のマッチングサイト以外にも、地域の情報交換サイトなどで里親募集が行われていることがあります。
ただし、これらのサイトは犬の保護を専門としないため、譲渡条件や相手の身元確認などをより慎重に行う必要があります。トラブルを避けるためにも、できるだけ公的な機関や信頼できる保護団体が関わっている募集を選ぶのが賢明です。
スタンダードプードルを里親で迎え入れる際の注意点
無事にスタンダードプードルの里親となることが決まったら、迎え入れる準備と心構えが必要です。最初の対応が、その後の犬との関係を大きく左右します。
まず、迎え入れた初日から数日間は、犬が新しい環境に慣れるための「順化期間」と考え、静かに過ごさせることが何よりも大切です。過度に構ったり、知らない人を大勢家に招いたりせず、犬が安心できる自分だけの場所（ケージやクレートなど）を用意してあげましょう。
食事や散歩の時間を決め、規則正しい生活リズムを早期に確立することも、犬の不安を和らげるのに役立ちます。
環境に慣れてきたら、なるべく早く動物病院で健康診断を受け、保護団体からの情報と相違がないか、他に治療が必要な点はないかを確認します。これは、今後の健康管理計画を立てる上で非常に重要です。
そして、多くの保護団体は、譲渡後も犬が新しい家で幸せに暮らしているかを確認するため、定期的な近況報告を譲渡の条件としています。写真付きのメールを送るなど、約束された報告を誠実に行い、信頼関係を維持しましょう。
スタンダードプードルの里親になるための心構え
スタンダードプードルの里親になることは、犬の命を救う尊い行為ですが、同時に大きな責任を伴う決断です。特にスタンダードプードルは、全犬種の中でもトップクラスの知能を持つ犬種です。
そのため、毎日の散歩といった身体的な運動だけでなく、頭を使う遊びやトレーニングといった精神的な刺激も欠かせません。このニーズが満たされないと、ストレスから問題行動につながる可能性があります。
また、特徴的な美しい被毛を維持するためには、毎日のブラッシングと、定期的なプロによるトリミングが不可欠です。これは生涯にわたって続くものであり、相応の時間と費用がかかることを覚悟しなくてはなりません。
保護犬は、あなたに出会うまでの過去を持っています。その過去の経験からくるかもしれない恐怖心や警戒心もすべて受け入れ、「この子の一生に責任を持つ」という強い意志が必要です。
目先の可愛らしさだけでなく、病気や老化といった現実にも目を向け、経済的、時間的、そして精神的な負担を生涯にわたって受け入れる覚悟を持つこと。それが、スタンダードプードルという素晴らしい犬種の里親になるための、最も大切な心構えです。
まとめ
スタンダードプードルの里親になることは、一頭の犬に幸せなセカンドライフを与える、非常にやりがいのある選択です。そのためには、里親制度を正しく理解し、メリットとデメリットを比較検討した上で、信頼できる方法で出会いを探すことが重要です。
そして何より、スタンダードプードルの特性と保護犬の背景を理解し、生涯をかけて愛情と責任を注ぐ覚悟が求められます。この記事が、あなたと未来の素晴らしいパートナーとの出会いの一助となれば幸いです。
