子犬の甘噛みはやめさせるべき?
子犬の甘噛みは力も弱く、その可愛さからつい許してあげたくなってしまいます。しかし子犬の頃に甘噛みのしつけを行わないと、いつまでも甘噛みが治らずトラブルになってしまう可能性があるため注意が必要です。
ここでは子犬の甘噛みをやめさせた方が良い具体的な理由を4つご紹介します。
将来のトラブルを防ぐしつけは必要
子犬の頃は力も弱く甘噛みだと痛くないという場合が多いでしょう。しかし大人になるにつれて徐々に力が強くなり、甘噛みであっても痛いと感じたりミミズ腫れが出来てしまう可能性があります。
また甘噛みを容認していると犬は人間は噛んでも良いと誤った認識をしてしまい、本気噛みをするようになる危険性があるため注意が必要です。
将来的なトラブルを防ぐためにも甘噛みのうちからしつけをしっかりと行いましょう。成犬になっても噛み癖が治らない場合、下記のようなトラブルが起こる可能性が考えられます。
- 他の犬や人を咬んでしまう可能性がある
- 家具や物品の破損やそれによる誤飲事故
- お手入れができず不衛生な状態が続く
- ペットホテルやトリミングサロンで受け入れてもらえない など
とくに他の犬や人を咬んでしまった場合、トラブルとなり最悪の場合は犬を手放さなくてはならない可能性もあります。トラブルを未然に防ぐためには子犬のうちから甘噛みのしつけを行うことが大切です。
成犬期以降も続くとしつけが大変
子犬の頃に甘噛みのしつけを行わず、いざ成犬になり噛み癖がついてからしつけようと思うとしつけの難易度が何倍にも上がります。犬は一度でも人は噛んでも良いと覚え、それが習慣化してしまうとしつけで改善するには長い時間が必要になります。
更に家族の中で噛まれた人がいる場合、噛まれた痛みや恐怖から犬に厳しくトレーニングをすることが難しくなってしまう可能性が高いです。
ドッグトレーナーなどプロの力を借りて噛み癖のしつけを行ったとしても、一度噛んだことがある人や恐怖心からビクビクと接してしまう人などを見極め特定の人だけ噛むようになってしまう可能性があるため注意が必要です。人間にとっても恐怖心が芽生えづらい子犬のうちからしつけを行うのがおすすめです。
甘噛みが本気噛みへ移行してしまう
攻撃の意図がなく力加減をした噛み方である甘噛みに対し、本気噛みは犬が手加減をせず思い切り噛みつくことを指します。子犬の甘噛みを容認していると、いつからか本気噛みへ移行してしまう可能性があるため注意が必要です。
犬は本気噛みをすると小型犬であっても縫う必要がある大きな傷になってしまう場合があります。また大型犬の本気噛みとなると人間であっても命を落としてしまう場合があるため甘噛みのしつけはしっかりと行いましょう。
甘噛みが自然と治ることは少ない
子犬の頃は歯の生え変わりや好奇心などがあるため甘噛みの行動が出やすいです。しかし「じゃあ大人になれば自然と治るのではないか」と考えるのは大きな間違いです。
子犬の甘噛みを制止しないという行動は、知らず知らずのうちに飼い主が犬に対して噛む行為を容認している行動になっています。そのため、甘噛みを制止しなければ成犬期以降も続く噛み癖や本気噛みのきっかけになりトラブルを引き起こすリスクが発生します。
犬が甘噛みをする理由
犬はいったいなぜ甘噛みをするのでしょうか。犬の甘噛みには全てに意味があります。ここでは犬が甘噛みをする主な理由を5つご紹介します。愛犬が甘噛みをする心理として当てはまるものがないか探してみてはいかがでしょうか。
遊びの一環で行っている
犬は遊びとしても噛む動作を利用します。例えばおもちゃのひっぱり合いや持って来い遊びも噛む動作を使います。そのため遊びの一環として人の手をおもちゃに見立ててじゃれることや、興奮度合いがアップした時に思わず噛んでしまうことがあります。
歯の生え替わりによる痒みを解消している
子犬の乳歯から永久歯へ生え替わる時期は歯がムズムズして痒い時期です。硬いおもちゃやオヤツでその痒みを解消する場合もありますが、子犬によっては家具や人の手を甘噛みすることでその痒みを解消している可能性が考えられます。
甘えたい気持ちを表現している
飼い主に注目してほしい、構ってほしいという場合犬はさまざまな行動を試してみます。例えばやワンワンと吠える、ピーピーと甘えた声を出す、ペロペロとなめる行動などがあげられます。そんな甘えたい気持ちを表現する行動の一つに甘噛みがあります。
犬が甘噛みをすることで飼い主が反応をしたことがある場合、犬は甘噛みをすると飼い主が振り向いてくれると学習し頻繁に甘噛みをする可能性があります。
また注目してほしい、構ってほしいという場合以外にも、甘えている時に嬉しいという感情が高ぶりすぎて愛情表現として甘噛みをしてしまう場合もあります。
興味から来る確認行動をしている
犬は気になるものが目の前にあると好奇心や興味関心から「いったいどんなものか」を確認するためにとりあえず口に入れて噛んでみるという行動をとることがあります。
これは人間の子どもが何でも口に入れてしまう行動によく似ています。とくに子犬の頃はその習性から人の手以外にも足や鼻、唇などをとりあえず口に入れて確認している可能性があります。
狩りの練習をしている
野生で生活している犬は狩りの練習として親犬や兄弟犬とじゃれることがあります。他にも親犬や兄弟犬と噛み合うことで「どこをどれだけ噛むと痛いのか」という力加減を学んでいきます。現代の犬もその本能から飼い主を狩り遊びの対象として甘噛みをしている場合があります。
犬の甘噛みをやめさせるしつけ
犬の甘噛みをやめさせるためには一体どのようなしつけを行えばよいのでしょうか。ここでは甘噛みをやめさせるしつけ方としてより効果的な方法を4つご紹介します。
しつけを行う注意点として、どんなしつけ方法の場合でもすぐに効果を実感できるケースは少ないです。しつけ方法を試す際は最低でも1ヵ月は継続して行うように心がけましょう。
遊びや触れ合いを中断して犬から離れる
飼い主が犬と遊んでいる時や構っている時に犬が甘噛みをしてしまうという場合、犬が甘噛みをはじめたら遊びや触れ合いを中断して犬から離れましょう。
中断されるとはじめのうちはなぜ離れていくのかわからないという顔をするかもしれません。しかし何度も繰り返すうちに犬が噛むと中断されると理解し、次第に噛まなくなるでしょう。
遊びを中断した際に犬が構って欲しそうにしていても落ち着くまでは無視をすることが大切です。また噛まれた時に「痛い!」などの短い言葉を低い声で出しておくと犬がなぜ遊びを中断されたのかより理解しやすくなるでしょう。
甘噛みをしなかった時によくほめる
甘噛みをしようとした時や普段甘噛みをするシーンで犬が甘噛みを我慢することが出来たらたっぷりと褒めてあげましょう。そうすることで犬は噛むよりも大人しくしていた方が褒めてもらえると学習し、次第に噛まなくなるでしょう。
ただし甘噛みを一度でもした後に褒めてしまうと、犬が甘噛みをしたから褒めてもらえたと勘違いする可能性があるため注意が必要です。
甘噛み時の対応方法は家族で統一する
甘噛みのしつけを行う際に大切なのは甘噛みのやめさせ方や褒める言葉など対応方法を家族で統一することです。同じ行動に対して甘噛みをやめさせようとする家族と、甘噛みを許容している家族がいると犬はどちらが正しいのか分からず混乱してしまいます。
愛犬に良い行動とダメな行動をしっかりと伝えるために、しつけをする際は一度家族で話し合ってから行動しましょう。
噛みたい欲求を発散させる
犬にとって噛む行為は遊びやストレス発散のために必要な行為です。そのため噛むという行為自体を全てを禁止してしまうと犬にとってストレスになってしまうでしょう。
犬に甘噛みをやめさせるしつけを行う際は噛む行為自体を禁止するのではなく、噛んでも良いものとダメなものを教えてあげましょう。例えばオモチャや硬いオヤツを与えると犬の噛みたい欲求を発散させることが出来るでしょう。
犬の甘噛みのしつけをする時の注意点
犬に誤った甘噛みのしつけを行うと犬の噛み癖が悪化してしまう可能性があるため注意が必要です。ここでは犬に甘噛みのしつけをする際の注意点について4つご紹介します。
これらの方法を知らず知らずのうちの行っていたという場合は今すぐトレーニング方法を見直した方が良いかもしれません。
きつく叱ったり叩くしつけは避ける
甘噛みのしつけをする際は口を抑える、叩く、噛み返すなどのきついしつけは避けた方が良いでしょう。
飼い主に対して甘えて遊んでいる甘噛みに対し、きつく叱りすぎてしまうと飼い主に甘えることに対して恐怖心が生まれてしまい信頼関係が崩れる危険性があります。
体罰などを使用しきつく叱った場合、一時的に甘噛みは改善されるかもしれません。しかし飼い主との信頼関係が崩れてしまうと他のさまざまな面で影響が出てくる可能性が高いです。
甘噛みされた時に犬の要求を叶えない
犬の中には遊んでほしい時や構ってほしい時などに自分の方を向いて欲しいアピールとして甘噛みを行う場合があります。
要求により甘噛みをしている場合、要求を叶えると「甘噛みすればいいことが起こる」と犬が誤った理解をしてしまう可能性があります。要求により甘噛みをしている場合は犬の要求を叶えないように注意しましょう。
人の手で遊ばせない
子犬の頃は人間の手を追いかけてくる子犬が可愛くて、知らず知らずのうちに手で遊ぶという行為をやってしまいがちです。
しかし犬が人の手をおもちゃと認識してしまうと、遊びたい時や甘えたい時に甘噛みをするようになってしまう可能性が高いです。人の手はおもちゃではないと犬に覚えさせるために子犬のうちから人の手では遊ばせないように心がけましょう。
大声で叫んだり、抱き上げたりしない
犬に甘噛みをされた時やイタズラで嚙んでいるところを発見した時、つい「キャー、〇〇ちゃん!」と高い声で叫んだりめさせるために抱き上げたりしていませんか。
そのような行為は犬にとって飼い主が遊んでくれたと勘違いしやすい行動とされています。飼い主は注意してやめさせているつもりでも、犬はもっとやって欲しくて甘噛みを続けてしまう可能性があるため注意が必要です。
犬に甘噛みをさせないための対策
犬に甘噛みをさせないためには、甘噛みをさせない環境づくりも大切です。ここでは犬に甘噛みをさせないための対策を4つご紹介します。犬の甘噛みに困っている方は出来るものからすぐにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
自由に噛んでもいいおもちゃを用意する
人の手や家具、衣類などをおもちゃ代わりにしないために、犬が自由に噛んでも良い犬用おもちゃを用意してあげましょう。犬の噛みたい欲求を満たすために用意するおもちゃはロープや天然ゴムで出来た犬用のものがおすすめです。
引っぱりっこなどの噛みたい欲求が満たせる遊びを取り入れてあげるとさらにストレスを発散することができるでしょう。また鹿のつのやプラスチックで出来たおもちゃを使用する場合は、硬くて歯が折れてしまう危険性があるため時間を決めて与えましょう。
犬用の噛みつき防止スプレーを活用する
犬に甘噛みをさせない対策として、噛まれたくない場所やものに犬用噛みつき防止スプレーを利用するという方法もあります。
噛みつき防止スプレーとは犬にとって健康被害は無いけれど苦手なニオイや味がついたスプレーとなっており、噛まれたくないものに振りかけることで犬が嫌がり噛まなくなるというしつけグッズです。
全ての犬に効果が現れるものだとは限りませんが一定の犬には効果があるようです。噛まれたくないものや場所を一時的に守ることもできるため、しつけのサポートとして取り入れるのにおすすめです。
噛まれて困るものはなるべく置かない
とくに子犬の時期は口にしてはいけないものや危険なものの判別が出来ずに無条件で口に入れてしまいます。そのため家具や人などを甘噛みしてしまう場合は難しいかもしれませんが、噛まれて困るものや食べると危険なものはなるべく子犬が届く場所へ置かないように気をつけましょう。
電源コードや壁を噛んでしまう場合は、カバーやネットをするなど噛めない対策を行うことも大切です。
十分に運動させる
犬は運動不足だとストレスが溜まりイタズラや甘噛みをしてしまう可能性が高いです。運動量が足りておらず退屈で甘噛みをしてしまう場合、十分に運動をさせストレス発散することで家では休息モードとなり甘噛みが減る可能性が高いでしょう。
まとめ
犬の甘噛みは子犬のうちからしっかりとしつけた方が良いということが分かりました。愛犬が甘噛みをしている時は何が理由で甘噛みをしているのか考えることで、より早く甘噛みを改善させる近道となるでしょう。
また犬の甘噛みは悪化すると家族だけでなく、他の人や犬にも危害を加えてしまう可能性のある行動です。他の人に迷惑をかけないためにもしっかりとトレーニングを行いましょう。
家庭内でトレーニングを行うのが難しい場合はしつけグッズを利用したり、ドッグトレーナーなどプロの力を借りたりするのもおすすめです。この記事が愛犬の甘噛みに悩んでいる方の参考になれば幸いです。犬の噛み癖を改善することで犬と飼い主がより快適に過ごすことが出来るでしょう。