犬が無駄吠えする理由とは
犬にとって「吠える」という行動は、遺伝子に組み込まれた自然な行動です。 群れで暮らす習性のある犬にとって「吠える」「唸る」などの行動は仲間とのコミュニケーションツールの一つで、人間が言葉で伝えるのと同じです。
飼い主から見れば意味のない無駄吠えと思っても、犬にとっては全て理由があるのです。やめさせる前に、まず犬がなぜ無駄吠えをしているのか理由を知ることが大切です。
ここでは、犬が無駄吠えをする主な理由を5つご紹介します。愛犬に当てはまるものがないか探してみましょう。
飼い主に要求や主張したいことがある
「お腹が空いた」「お散歩に行きたい」など犬が飼い主に要求や主張したいことがあると無駄吠えに発展するケースがあります。
特に、子犬の頃に鳴いたらケージから出してもらえた、吠えたら遊んでもらえた、という経験のある犬は成犬になっても要求や主張したい事があると吠えるようになります。
要求や主張したい時の無駄吠えは、飼い主の目を見て吠えるのが特徴です。
見慣れないものや聞きなれない音に警戒している
インターホンや掃除機の音、家の前を散歩している犬など、普段とは違う状況に警戒して無駄吠えをしている可能性も考えられます。犬の無駄吠えに悩んでいる方は、愛犬が無駄吠えをしている時の状況を思い返してみましょう。
「掃除機をかけている時」や「外を見ながら」など、無駄吠えをしている時にいつもしている行動が同じ場合はそれに対して吠えている可能性があります。
恐怖や不安を抑えきれずに無駄吠えしてしまう
怖い音や苦手なものに遭遇した時、恐怖や不安を抑えきれず無駄吠えをしてしまうというケースも考えられます。特に、雷や花火など大きい音に強い恐怖を感じる犬が多いです。
事前に大きな音がすると分かっている場合は、その音が苦手にならないようになるべく音が聞こえない安心出来る場所へ避難させてあげましょう。
楽しくて吠えてしまう
恐怖や警戒だけでなく、楽しい場合も犬の感情が高ぶり吠えてしまうというケースがあります。
例えば、人が好きな犬の家にお客さんが来た時や、ドッグランで他の犬と追いかけっこをしている時などは楽しいという感情が高ぶり、無駄吠えに発展してしまう可能性が高いです。
犬自身からすれば楽しくて吠えているだけでも、吠え声が苦手な人や犬もいるので飼い主が吠えないように教えてあげることが大切です。
認知機能が低下している
犬も人間と同じように、シニアになると認知症を発症してしまうケースがあります。犬の認知症の症状の一つとして、昼夜問わず大きな声で吠えてしまうという症状があげられます。
他にも、家の中を理由もなくウロウロと徘徊する、飼い主を認識できなくなる、トイレの場所を忘れてしまうなどが当てはまります。愛犬にこれらの行動が見られる場合は認知症を疑った方が良いかもしれません。
犬の無駄吠えはしつけで直る!シーン別対処法
犬が無駄吠えをしてしまう場合、吠える理由に合わせたしつけを行うことが大切です。ここでは、無駄吠えの理由に合わせてシーン別のしつけ方法をご紹介します。犬の無駄吠えに困っている方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
要求からくる無駄吠えには応えない
「ごはんが欲しい」「お散歩に行きたい」など要求からくる無駄吠えに対しては応えないようにすることが大切です。
要求からくる無駄吠えに反応してしまうと、犬は吠えると要求が叶うと学習してしまい、状況がどんどん悪化してしまう可能性があります。犬が要求や主張を通したくて吠えている場合は反応せず、無視をするように心がけましょう。
「吠えない=良いことがある」を覚えさせる
他の犬や人、掃除機、インターホンの音などに警戒して吠えてしまう場合は、吠えない方が良いことがあると教えてあげましょう。
例えば、来客や掃除機など時間がかかったり、飼い主の手が離せない場合は、事前にクレートに入れて吠えずに待つことが出来たらおやつやオモチャなどのごほうびをあげましょう。
また、家の前を通る犬やインターホンの音など短時間なものに対して吠える場合であれば、吠える前に「オスワリ」や「フセ」など犬が得意な指示を出し、吠えずに出来たらごほうびをあげるのも良いかもしれません。
これらのしつけを続けることで「吠えるよりもこうした方が良いことがある」と犬が学習することで無駄吠えをなくすことが出来るでしょう。
犬が安心できる環境を整えてあげる
雷や花火など犬が苦手なものに対して恐怖や不安から吠える場合、犬が安心できる環境を整えてあげることも大切です。
恐怖で吠えている愛犬に対しては無理はさせず、犬が落ち着ける場所に移動したり、飼い主が優しく寄り添い犬が安心して過ごせるようにサポートしてあげましょう。
外飼いやお散歩中は、犬が脱走してしまう危険性があるので、必ず安全な場所へ移動してあげましょう。
興奮しすぎる前に落ち着かせる
来客や他の犬に対して興奮しやすい犬の場合、犬が興奮しすぎる前に落ち着かせてあげましょう。
例えば、来客が来ても犬が落ち着くまでの間はクレートで待機してもらう、ドッグランでは興奮しはじめたらリードつけて様子を見るなど、興奮がマックスになって吠えはじめてしまう前に落ち着かせることが大切です。
このトレーニングを行うことで少しずつ興奮から落ち着くまでの時間が短くなるでしょう。
動物病院で薬を処方してもらう
認知機能が低下している犬の場合、残念ながら無駄吠えをしつけで改善することは難しいです。しかし、動物病院で気持ちを落ち着かせる薬や、眠くなる薬を処方してもらうことで無駄吠えを改善することが可能な場合があります。
薬で落ち着かせるのに抵抗があるという方もいらっしゃいますが、薬を飲むことで飼い主だけでなく犬にとってもストレスなく生活することに繋がります。
犬の無駄吠えを上手にしつけするポイント
無駄吠えのしつけを行うにあたって、いくつか大切なポイントがあります。ポイントを守ってしつけを行うことで、より早く無駄吠えを改善することが出来るでしょう。
ここでは、犬に無駄吠えのしつけを上手くするため抑えておきたいポイントを5つご紹介します。
子犬の場合は社会化のトレーニングをする
子犬は、さまざまな音や人に慣れさせる社会化トレーニングを行うことで無駄吠えを改善することが出来ます。
今のところ無駄吠えに悩んでいないという場合も、社会化トレーニングを行うことで成犬になっても無駄吠えし辛い犬に育てることが可能です。また、成犬の場合でも、社会化トレーニングを根気強く行えば無駄吠えを減らすことに繋がります。
無駄吠えを防止するグッズを活用する
犬が無駄吠えをした時に、噴射するスプレーや口を抑えて直接吠えをやめさせる口輪など無駄吠えを防止するグッズを活用する方法もあります。
中には、人間には聞こえない超音波を出して犬の無駄吠えを防止するグッズも存在します。犬に電気ショックや振動などの負担をかけず、飼い主も大声を出さずに無駄吠えを防止できるのは嬉しいですね。
無駄吠えグッズの効果は個体によってもさまざま。愛犬に合ったものをお試し程度に利用してみてもいいかもしれません。ただし、注意事項などを守って安全に利用することが大切です。
ドッグトレーナーや犬のしつけ教室を利用する
自分で無駄吠えトレーニングをやってみたけれどなかなか改善しないという方は、プロの力を借りることも大切です。
ドッグトレーナーに相談したり、犬のしつけ教室を利用したりするのがおすすめです。プロに相談することで愛犬の吠えている本当の理由や、その犬に合ったしつけ方を知ることができて新たな発見があるかもしれません。
犬にとって安心できる場所を作っておく
無駄吠えをするしないに関わらず、犬にとって安心できる場所を作っておくことが大切です。クレートやハウスなど狭くて静かな場所は、犬が落ち着いて過ごすことができます。
犬にとって安心できる場所を用意することで、犬が興奮した時や恐怖や不安を感じている時、掃除機などの音に反応して吠えている時など様々なシーンで落ち着かせることが出来ます。
決して無理はさせない
認知機能が低下している老犬の場合、無理に無駄吠えのトレーニングを行うと状況が悪化してしまう可能性が高いです。また、成犬の場合でも体調不良から無駄吠えをしている可能性もあるため、決して無理をさせないように心がけましょう。
犬の無駄吠えをしつける際の注意点
犬に誤ったしつけを行ってしまうと、逆に無駄吠えが悪化してしまう可能性があります。
ここでは、犬に無駄吠えをしつける際の注意点を4つご紹介します。無駄吠えのしつけを行いたいと考えている方はもちろん、現在無駄吠えのしつけを行っているけれどなかなかうまく行かないという方もぜひ参考にして下さい。
正しい方法で叱る
無駄吠えをしている犬を叱る際は、必ず吠えている時に叱る必要があります。また、無視や短い言葉でしっかりと叱る、口を抑えて怖い顔でにらむなど様々な方法があります。
無駄吠えをしている犬を叱る際は、優すぎても怖すぎても効果が低くなるため、吠えている理由や犬の性格によって変える必要があります。
間違った方法で叱ってしまうと、犬がトラウマを抱えたり、信頼関係が悪化する可能性があるため注意が必要です。叱り方がわからない場合は、ドッグトレーナーなどの専門家に相談し、愛犬に合った方法を教えてもらうことをおすすめします。
体調不良が原因の場合はすぐに動物病院を受診する
犬は、体調不良が原因で吠えることもあります。まずは原因となっている病気を取り除いてあげることが大切です。
体調不良で吠えているのか、無駄吠えなのかをいち早く察知するためには、普段から愛犬の様子をよく観察することが重要。少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
ストレスになる無駄吠えグッズは使用しない
犬の無駄吠え防止グッズの中には、電流や振動などで犬に強い衝撃を与えて無駄吠えをやめさせるグッズが存在します。
犬に強い衝撃を与えるグッズを使っている時は、無駄吠えをやめるかもしれませんが、恐怖心やストレスを与えてしまう可能性があるため注意が必要です。
犬に恐怖心やストレスを与えるトレーニングは、飼い主との信頼関係が崩れてしまったり、小さな物事にも恐怖を感じて無駄吠えが悪化する可能性も。無駄吠え防止グッズを利用する際は、じっくりと考えて愛犬に合ったものを選んであげましょう。
しつけを行う際は少しずつ
犬に無駄吠えのしつけを行う際は、少しずつレベルアップしていくことが大切です。
例えば、雷の音が怖くて無駄吠えをしてしまう犬の場合、突然大きな雷の音を聞かせると、恐怖が増すばかりで吠えるのをやめさせることは出来ません。
人間の話し声くらいの小さな雷音からスタートし、慣れてきたら少しずつ音量をアップするなど、根気よく慣らしていきましょう。長い道のりに感じてしまうかもしれませんが、地道にトレーニングするのが一番の近道になります。
まとめ
飼い主にとっては無駄だと感じる犬の吠えには、全て意味があるということが分かりました。
犬が吠えている場合は、無駄吠えだと思わずになぜ吠えているのか理由を探してみるのが大切です。理由を知ることで愛犬が苦手なものや感じていることが理解できるかもしれません。
また無駄吠えのトレーニングを行うことはもちろん大切ですが、犬が安心して過ごせる環境づくりをしてあげるのも大切です。
この記事が犬の無駄吠えに悩んでいる方の参考になれば幸いです。愛犬の無駄吠えを理解し改善することで、犬と飼い主の生活がより良いものになるでしょう。