老犬の難聴とは?
犬も人間と同じで、年を重ねて行く事で聴力が衰えて行きます。一見してはわかりづらい変化ですが、高齢に近づくにつれ、耳の聴こえ方が、くぐもって聴こえるようになるようです。
老化により、声や音が遠くに聴こえるようになるようで、「近くに物を落とした時に全く無反応だった・・・」なんてこともあるようです。そんな兆候が増えている場合は老犬性難聴の始まりかもしれません。
ただし、なかには特定の音だけ聴き取れることがあるようです。犬の可聴域は人間の2~3倍もあり、低音よりも高音を好む傾向により、老犬になっても比較的高い音は聴こえることも多いようです。
老化の始まる歳は?
大型犬は7歳前後から、小型犬は9歳前後から老化が始まると言われています。外見上では白髪が増えたり、目が垂れてきたり、行動では動きがゆっくりになる変化が見てとれます。
簡単な聴力テストをしてみましょう
愛犬から隠れた場所で軽く音を立てます。無反応の場合、今度は少し大きめに音を立てます。他にも名前を呼ぶ、声を掛ける、音のするおもちゃを鳴らすことで様子を見ます。そちらを向くようなら、まだかろうじて聴こえている可能性がありますが、全く無反応だった場合は聴力が著しく低下している状態です。
愛犬の耳が遠くなると現れる「難聴」の兆候
愛犬の名前を呼んでも反応が薄くなる
通常の声のトーンでは老犬の耳には届きにくくなっています。名前を呼んでも無反応を繰り返されると、大抵の飼い主がこれをきっかけに愛犬の耳が遠くなったのでは?と疑い始めることですね。
犬は高音を好む傾向にあり、聴き取りやすい音もやや高い音なので、いつもより少し高い声のトーンで名前を呼ぶと気が付いてくれることがあります。それでも気が付かなかった場合は、こちらからそっと近づいて行き、床をコンコンと叩いて振動で気づかせると驚かせずに済みます。
飼い主に依存しやすくなる
日常の物音が聴こえづらくなったことにより不安を感じ、一層飼い主に依存しやすくなります。出来る限り愛犬の近くにいてあげることで、そのストレスも解消されます。
コマンドができなくなった
飼い主の命令がうまく聴き取れないため、単純な「オスワリ」「オテ」「オカワリ」ができなくなってしまいます。その場合は多くの対処法にも挙げられているように、ハンドジェスチャーを同時に行うことでコマンドを実行することができます。
目も見えづらくなっている場合は、ハンドジェスチャーが認識しづらくなっています。「オテ」の時は前足を軽くトンとタッチすることで犬に「オテ」だという認識を促すことができます。また、アイコンタクトを取れる犬の場合、オテの時に口パクで大きく「オ テ」と動かすことで、それをオテだと判断しやすくなります。
こちらからのジェスチャーがわかりやすいほど、犬は命令を読み取りやすくなります。色々な方法で試してあげてください。飼い主との意思の疎通を図れることで安心感も得ることができます。
難聴になった老犬の音に対する変化
子供の泣き声や叫ぶ声、小型犬の吠える声
耳が遠くなると、突発的な高音がとても苦手になります。高音の方が耳に入りやすいため、急に聴こえてきた音に恐怖を覚えることがあるからです。
我が家の愛犬シー・ズーは、耳が遠くなってから子供の声がとても苦手になりました。サイレンなどの同じ音の繰り返しではなく、急に聴こえる声が怖いのです。急いで部屋の奥へ隠れてしまうので、なるべく聴こえない部屋に移動させてあげるようにしています。
機械音
自然界に存在しない人工的な音は、犬には恐怖の対象になります。犬はパトカーやサイレンの音に遠吠えをすることが多いですが、これはサイレンが犬の遠吠えの周波数に似ていることから危険を察知しているためです。老犬になるとくぐもって聴こえるため、気にはなっても遠吠えをするほどではないでしょう。
雷
急に落ちる大きな音は犬の苦手な音のひとつです。こちらも老犬になるとそれほど大きく聴こえることはないので、怖がることは少なくなります。落雷の際の振動で怖がることがある場合は、ボディラップをすることで精神的に安心感を与え落ち着かせることができます。
難聴の犬の注意点
危険を察知することのできる音という感覚が鈍くなっているため、不慣れな土地などではとても危険です。外へ出かけた際などは必ずリードを引き、常に周りにも目を光らせてあげなくてはなりません。
耳が遠くなると日々の生活でも不安を感じやすく、飼い主を呼ぼうと吠えてしまうことがあります。無駄吠えではなく要求吠えに近いので、精神的ストレスが溜まらないよう不安を解消してあげることが大事です。
日中よく眠る時間が増えることから、夜中に目が覚めて急に寂しくなり吠えてしまうことがあります。その場合は日中に軽く日光浴をさせ、体内時計をリセットすることで夜泣きが治まることも多いです。老犬だからと日中眠らせすぎないよう、散歩に連れていくなどのリフレッシュも必要です。
まとめ
愛犬を呼んでも声に反応がないととても寂しく感じますが、老化とともに避けられないことでもあります。聴こえづらくなっていることを認識し、問題が発生した場合、その都度どうすることが愛犬にとって最良の方法かを探り対処していくことで、お互いにストレスなく過ごしていけるのではないかと思います。