年をとって視力や聴力を失った犬のためにできる7つのこと

年をとって視力や聴力を失った犬のためにできる7つのこと

年齢を重ねた愛犬が白内障で目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりした時、私たちはどう対応してあげたらいいのでしょうか?愛犬を助けるためにできる7つのことをご紹介します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

「見えてないかも」「聞こえてないかも」まずは落ち着いて

顔が白くなった黒い老犬

長い間いっしょに暮らしてきた愛犬も、寂しいけれど年と共にいろんな面で衰えを見せ始めます。特に視力や聴力を失ってしまうことについて、飼い主さんの多くはどうしても人間の感覚で受け止めて悲観的になりがちです。

けれでも視力を失ったとしても、犬には優れた聴覚と飛び抜けた嗅覚が残っています。聴覚を失っても目が見えて匂いを嗅ぐことが助けになります。歳をとった犬にとっては、時には余計な騒音を聞く必要のない世界は穏やかで平和だとも言えます。

たいていの場合は目も耳も段々と衰えていくので飼い主さんも少しずつその状態に慣れていくものですが、ある日「あれ?見えてない?」「もしかして完全に聞こえなくなった?」と気づいてもパニックにならず落ち着くことが愛犬のためにも大切です。

1. 異変に気付いたら獣医さんの診察は必須

耳の診察を受けるラブラドール

目の場合も耳の場合も異変に気付いた時点で「年だから仕方ない」で済ませずに病院で診てもらうことは必須です。

目の場合、白内障など老化から来るものかもしれないし、怪我から来るものかもしれません。治療をすれば完全に元に戻る可能性もあるし、完全ではなくても改善することもあります。また進行を遅くしたり悪化を予防するためにも診察が必要です。

耳の場合も同様で、老化ではなく感染症や怪我かもしれないし、他にも様々な原因が考えられます。治療で回復や改善する可能性、他の病気が隠れている可能性を考えても、動物病院に連れていくことは重要ですね。

2. 残っている感覚を活かすためのトレーニングをしよう

犬にハンドシグナルを出す女性

視力が落ちた犬には音や声を使ったトレーニングを取り入れて行きます。クリッカーなどを使うのも良いのですが、今までに聞いたことのない音を聞かせる場合は、タオルに包む、ポケットの中で、など音が小さく柔らかくなるよう注意して犬を驚かせないようにします。また何かにぶつかりそうになるのを防止するための合図「止まって」「ゆっくり」などもできるように工夫します。

聴力が落ちた犬には反対にジェスチャーを使って合図を出します。どちらの場合も、犬は飼い主さんの声や動作に一生懸命注意を向けることで今までよりも絆が強くなることも期待できます。

年をとった犬でも新しいことを学ぶことで脳が活性化することも研究でわかっていますので、視力や聴力が落ちたことが次の新しい扉を開くきっかけにもなると覚えておきたいですね。

3. 安全のために住まいを再点検しよう

白内障のイタグレ

視力の落ちた犬が何かにぶつからないよう、床の上には極力ものを置かないようにしましょう。また大きなお部屋の模様替えも極力行わないようにしましょう。犬のベッドや水のボウルなどの位置は変えないように、またそれらのものに近づくのに邪魔なものを置かないようにします。
機械類や暖房器具など危険なものの周りにはゲートを設置して犬が近づけないようにします。

聴力の落ちた犬は目の前にある障害物などは避けることができますが、音で異変を察知することはできません。
犬が危険な目に遭わないためにも、家の中や庭を整頓して安全に保ちましょう。

4. 犬を驚かせないアプローチをしよう

床の上で寝そべる犬

視力や聴力の落ちた犬に近づいたり起こしたりする時には驚かせない気配りが必要です。それには失われていない感覚を意識してアプローチすることが基本になります。

視力の落ちた犬を起こす時には、手で触る前に必ず声をかけます。犬の名前を呼んであなたが近くにいることを犬に知らせ、鼻のあたりに手を近づけて匂いを嗅がせます。そうして、犬があなたの存在を認識したのを確認してから犬の体に触れます。

聴力の落ちた犬の場合は、あなたの姿が犬の視界に入るようにして近づいたり、犬の居る部屋の灯りを点けたり消したりしてアプローチします。寝ている犬を起こす時には軽く優しく撫でることを繰り返します。

どちらの場合も犬の負担にならない程度のオーデコロンまたは希釈したアロマオイルなどを衣服や体につけて嗅覚にアプローチすることも効果的です。

5. IDタグや迷子札にも一言添えよう

赤いタグをつけたチワワ

自然災害などが相次ぐ昨今は、いつ「万が一」の事態が起こるかわかりません。もしも愛犬の行方が分からなくなってしまった時に保護してくれた人が対処しやすいように、IDタグや迷子札に「目が見えません」「耳が聞こえません」などの情報を一言添えておきましょう。

6. 残った感覚を刺激するおもちゃを選ぼう

たくさんのおもちゃと犬

年をとって目や耳が不自由になった犬もおもちゃで遊ぶことは大好きです。遊ぶことで脳や筋肉にも良い刺激となり、さらなる老化を予防することにもなります。

ピーピー音がするぬいぐるみなど、音が出るおもちゃは目の不自由な犬の定番です。
人工的に匂いがつけられたおもちゃは嗅覚を刺激するので、目耳どちらの場合にも有効です。
中にトリーツを入れるタイプのパズルおもちゃも目が不自由でも犬自身が工夫して遊ぶ場合が多いのでぜひチャレンジを。耳が聞こえない犬にはパズルおもちゃは最高の刺激です。

7. 便利な道具はどんどん取り入れよう

懐中電灯2つ

耳が遠くなったいぬにトレーニングをする時はクリッカーの代わりに小型の懐中電灯やLEDライトを使います。目が見えない犬が直接壁や家具にぶつからないように装着する保護用のハーネスもあります。

犬用の介護用品もたくさん市販されていますので、色々工夫しながら便利なものはどんどん取り入れて犬も人も快適に過ごしたいですね。

まとめ

顔が白くなったゴールデンレトリーバー

愛犬の視力や聴力が無くなってしまった時に覚えておきたい具体的な方法をご紹介しました。

今までできていたことができなくなるのは確かに切ないことですが、飼い主さんが悲観的になってしまってはマイナスにしかなりません。犬たちは残った感覚や能力を使って生きて行こうとしているので、ポジティブな気持ちと創意工夫で愛犬を応援してあげたいですね。

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