愛犬がフローリングで滑る、転ぶ、骨折する?!考えてあげたい対策とは

愛犬がフローリングで滑る、転ぶ、骨折する?!考えてあげたい対策とは

犬にとってフローリングのような滑りやすい床での生活は、常に足腰に大きな負担がかかってしまいます。近年、マンションやアパートではフローリングの洋室が当たり前のようになり、掃除が簡単で衛生的という利点はありますが、愛犬にとっては危険がある環境です。今回はフローリングに潜むリスクと対策をご紹介しましょう。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

愛犬にとってのフローリングでのリスク

フローリングの部屋

フローリングが愛犬に与える悪影響

 犬は走る時に爪を土に食い込ませて力強く地面を蹴ります。しかしフローリングには爪が食い込まず、ツルツル滑ってしまいます。
そして、滑ると次のような危険があります。

  • 踏ん張ることができず、思うように動けない
  • 思わぬ方向に足が滑って体勢を崩す
  • ジャンプしたり飛び降りた時、着地に失敗する
  • 余計な力が関節や肢に加わり、筋肉や関節を傷める
  • 階段から落ちる

 女性がハイヒールでスケートリンクを歩くとどうなるでしょうか? 何の対策も取られていないフローリングの上を犬が走ることは、スケートリンクの上をハイヒールで走ろうとするのに似た状態ではないでしょうか。 滑って捻挫、骨折、打撲などの危険があることが簡単に想像できますね。

小型犬に多いトラブル「膝蓋骨脱臼」

チワワ、トイプードル、マルチーズ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなど、小型犬に多いと言われるのが「膝蓋骨脱臼」です。
これは膝にあるお皿のような形の骨が本来の場所からずれてしまうものです。

自分の膝にある骨が外側や内側にずれてしまったらどうなるでしょう。
痛くて足を使えなかったり、うまく足を曲げられなくて思うように動けなくなりますよね。

  • スキップするように歩く
  • 後肢を一本浮かせたまま歩く
  • 座り方がおかしい(横座り)
  • 後ろから見て足が曲がっている
  • 上手く歩けない

 愛犬にこんな症状が見られたら膝蓋骨脱臼を疑ってください。 原因は先天的なものがほとんどですが、稀にフローリングやコンクリートの上で滑ったり、転んだりしたことが原因になることもあるということです。また先天的に膝蓋骨脱臼を起こしやすい子の場合、フローリングの上で滑ったり踏ん張って肢に変な力が加わったりすることで、脱臼を起こす頻度が高くなったり膝に関連している靭帯や筋肉をより傷めてしまいます。 遊ぶことが好きで運動量が多い小型犬は、急に止まったり方向転換をしたりする時に脱臼しやすいので注意してあげてください。

なお、膝蓋骨脱臼は症状によってグレードIからグレードⅣの4段階に分けられます。年齢やグレードなどによって外科手術が適応かどうかを考えますが、最も症状の重いグレードⅣ(膝のお皿は常に外れっぱなしで、人が手で押して元の場所に戻そうとしても戻らない状態)の場合、外科手術が既にできない状態になっていることもありますので、異変に気付いたらできるだけ早く動物病院でみてもらってください。

 そしてフローリングの床で滑らないようにする対策をとったり、散歩コースを変更する(滑りやすい地面は避ける)といった工夫をしてください。

大型犬に多いトラブル「股関節形成不全」

大型犬の場合、股関節形成不全という主に遺伝的な要素が原因である股関節の病気があります。 ラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバー、シェパードなどに多く見られます。

 遺伝的な要因の他に、大型犬は体が大きく体重が重く関節に掛かる負担も大きいため、また子犬時の成長も急なため、環境的な要因も発症に関係していると言われています。 フローリングなど滑り易い床材の上を歩いたり走ったりするることは、関節に過度な負担を掛けることになり、股関節形成不全による症状を発症しやすくする危険があります。

  • 座り方がおかしい(横座り)
  • 腰を左右に振りながら歩く

このような症状がみられる場合は、動物病院でみてもらうことをお勧めします。

軟骨異栄養性犬種に多い「椎間板ヘルニア」

 胴の長いダックスフンドの他に、軟骨に遺伝的な異常を持っている可能性が高いと言われる犬種(ビーグル、トイ・プードル、パグ、シーズーなど)は軟骨異栄養性犬種と呼ばれ、椎間板ヘルニアになりやすい犬種です。

 滑ったり転んだりし易いフローリングは、こうした犬種にとって大敵。 背骨や四肢に大きな負担を掛けることになりますので、飼う前からフローリング対策をとっておきたいですね。

 椎間板ヘルニアを起こすと歩行困難になる場合もあり、緊急の治療が必要となりますので充分注意してあげてください。

おすすめのすべり防止グッズや対策

コルク性の床の上のダックス

 具体的にどのような対策をとることができるのか、いくつか例をあげてみました。

フローリングの上にクッションフロアをはる

 これは、柔らかいクッション性のある、ビニール製シートをフローリングの上にはりつける方法です。

シートは色や模様が豊富で、厚みも2mm程度のものから4mm程度のものまでありますので、自分好みのものを見つけることができると思います。

 プロに依頼することもできますし、自分ではることもできます。もし粗相をしたり、ごはんや水をこぼしてもビニールシートなので掃除は簡単で、抜け毛掃除もフローリングと変わらない手軽さでできるのが大きな利点です。

フロアコーティング

 これは床にマニキュアを塗るような方法です。個人で塗ることはできず、業者に依頼する必要があります。

コーティングには滑りにくくする他に、床を守る(傷や水などで傷むのを防ぐ)効果があります。新築の家の場合、家具を入れる前にコーティングするよう業者に勧められることが多いですよ。

 コーティング剤には樹脂製のものやガラス製のものなど数種類あり、効果や耐久性に違いがあります。

 既に人が住んでいる家で施行する場合は、まず家具などを全て運び出して床を掃除をした後、コーティング剤を塗って乾燥・凝固させます。

 ペットが走っても全く滑らない、というわけではありませんが、かなり滑りにくくなります。
ホームセンターなどで体感することができますので、実際にどのようなものか触れてみるとよいですよ。

 塗った後、普通に生活できるようになるまで数日かかるケースもありますが、1日で大丈夫なこともあります。
業者に依頼して見積もりを取る際に家具の移動や施工完了までの期間について確認してくださいね。

カーペットを敷く

 クッションフロアやフロアコーティングよりも格段に滑らなくなり、金銭的にも負担が軽く、厚みのあるものでは防音効果も期待でき、防臭、防火、防ダニ、撥水加工などがされた様々なタイプのカーペットもあります。

 しかし粗相をしたり、ごはんや水をこぼした時のことを考えるとアフターケアに手が掛かります。

 抜け毛の掃除も難しい点があり、臭いやしみが残ってしまったり、時間の経過と共に汚れが目立つようになることもあるのでカーペットは慎重に選びたいですね。

マットを複数組み合わせて敷く

 フローリング全面もしくは一部に、タイル状のマットを並べて敷き詰める方法です。重みのあるゴム製でずれにくいマットや、フローリングに貼り付けられるタイプ、滑り止めがついたマットなど種類は様々です。

 柄や形も様々で、好みに合わせて組み合わせられる上、汚れた部分だけを取り替えたり、洗ったりできるのが魅力です。特に階段の対策には最適と言えます。

 フロアコーティングと合わせて利用する愛犬家もいますし、廊下や玄関ホールなどにデザインを意識した敷き方をしてインテリアを楽しむ人もいます。

座る犬と子ども

まとめ

 滑るということは人にとっても危険ですが、犬にとってはより大きなリスクがあります。なかなか難しいものもありますが、可能な範囲で対策をとり、怪我の防止に努めたいですね。

 また、指と指の間にはみ出た毛をカットしたり、爪の伸び過ぎを防ぐことで犬がフローリングで滑りにくくすることもできます。 家庭でのトリミングも予防になりますので、大切な家族のために日々のケアも忘れないであげてください。 また、フローリングに行う対策ではなく、犬の爪にかぶせるキャップやゴム製のブーツやソックス、肉球に貼るタイプの滑り止めなども売られています。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 みお

    フローリングは危険ですよね。うちの愛犬はパピヨンですが、生まれつきの膝蓋骨脱臼です。子犬の頃からお座りの仕方が片足をのばした状態で座っていて、痛がる様子も見せなかったので、私はそれが愛犬の普通なのだろうと思っていました。

    我が家はフローリングだったのですが、ある日、留守番中に滑ってしまったのか、愛犬が後ろ足を浮かせて痛がっていました。慌てて病院に行くと先生からは「生まれつきの膝蓋骨脱臼でしょう。膝蓋骨脱臼の子は、ちょとしたことで膝が外れてしまうので気を付けて下さい」と言われました。

    それからはフローリング一面に、ジョイント式のコルクマットを敷いてあげました。愛犬がとても歩きやすい様子で飛び跳ねて喜び、足をそれ以上痛めることもなくなりました!コルクは柔らかくて足に優しいので、犬だけでなく、腰痛や膝痛のある人にも効果的だそうです。ジョイント式ですと、汚れた部分だけを外して洗ったり、交換することもできますし、とても便利でお勧めです!
  • 投稿者

    30代 男性 犬思い

    フローリングは絶対に危ないし、犬の足に負担です。長い間衝撃や滑ることで足腰を痛めます。たまに知らない飼い主さんがいて本当に驚きます。コルクマットがいいと思います。もしくは気軽に洗えるキルトマットなども。

    若いうちや老犬になってから足や腰を痛めて治療費がかかったり可哀想な思いをさせたり、後悔する前に家族の犬を守ってあげて欲しいです。
  • 投稿者

    女性 コロコロ

    現在、室内で愛犬のシーズーと暮らしているのですが、家の床はフローリングです。愛犬が子犬の頃からフローリングなので少しは慣れているものの、最初はとても心配をしていました。以前、犬を飼っている友人から「滑りやすいフローリングはヘルニアになったり、股関節を痛める可能性があるよ」と教えてもらったので、愛犬がそのような問題になったらどうしようとドキドキしていました。しかし、カーペットの場合は毛の掃除が面倒なことや、万が一おしっこをした際に掃除がとても大変なので、結果フローリングを選びました。ただ、愛犬のよく歩く場所には、四角のコルクのシートを貼り付けてあります。愛犬もこのシートを気に入っており、この上を走ったり、休憩したりしているので、購入してとても良かったアイテムです。
  • 投稿者

    30代 女性 38moto

    どちらも長毛のシーズー、ラサアプソと暮らしています。床はフローリングなので、確かによく滑ります。肉球の間の毛が伸びやすいので、普通に歩いていても滑っている感じがありました。
    ご飯の時も、フローリングの床で後ろ足が滑ってしまい体勢が保てず顔から器にダイブしてしまったことがあります。それからご飯のスペースには急いでフロアマットを敷いて対策をしました。
    部屋全部にマットを敷けないので、ところどころフローリングのままですが、見えている部分にはペット用滑り止めワックスを塗り込みました。少し引っかかる感じがあって効果を期待しましたが、日々の生活汚れ(特にほこり)であっという間に効き目も薄まってしまいました。

    人工芝を置いたこともありました。1部分だけでいいので真っ直ぐに敷いておくと滑り止めになり、かつ足の裏を刺激してよく歩くようになってくれました。お散歩に連れていけない老齢犬に効果ありでした。
    老齢になると足腰の踏ん張りも効かなくなってきてしまい、床で滑ると思わぬ怪我に繋がってしまいます。早め早めに無理のない対策をしておきたいです。
  • 投稿者

    30代 男性 BOB

    元気に走り回る愛犬の足の負担を軽減するため、うちでもフローリング部で犬が通るところにはマットを敷いています。生まれつき股関節も膝関節も緩く、獣医からはあまり走らせたりジャンプさせたりはNGと言われていたので、元気な仔犬期はハラハラしていました。床で滑らないようにマットを敷く他にも、足裏の毛はこまめにカットしています。トリミングは月に1回ですが、それ以外にも足裏の毛が伸びてくると、ポイントカットといって足裏だけバリカンを入れてもらいに行きます。また肉球が乾燥すると滑りやすくなるので、毎日肉球クリームを塗り込んで、保湿と滑り止めに努めています。小型犬で、フローリング生活での疲労が蓄積して脱臼してしまい手術をした、という話はたまに聞くので、愛犬が痛い思いをしなくて済むように気を付けていきたいです。
  • 投稿者

    女性 コロ

    滑り止めワックスを塗って予防したこともあるのですが、日々の生活で意外にも早くに効果はなくなります。滑り止め効果は1週間持てばいい方です。
    今まで色々試した中で一番よかったものはコルクマットですね。汚れも目立ちにくいですし、愛犬の肉球もしっかりグリップします。
    普通のマットは厚みがあるものを選び、愛犬のベッド周辺に敷いています。夜中にうっかり転んでしまっても安心です。
  • 投稿者

    女性 もふころ

    滑るフローリングは本当に危険です。先日我が家の愛犬が足を滑らせ、段差のある部分に思いっきり転んでしまい、腿からお尻辺りまでを強打し、内出血するほどでした。あまりの痛さでショック症状まで現れてしまいとても後悔しました。
    普段は滑らないコルクマットや芝生マットを敷いていたのですが、その日は掃除のため敷いていない日でした。滑りやすいわんこの場合は、掃除の時など別部屋に待機させた方がいいです。
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