犬の流動食の作り方
簡単に出来る流動食の作り方を紹介します。
1.フードをふやかす
犬の流動食を作る方法はまず、ドライフードをぬるま湯か水を使用してふやかします。この時、熱湯を使用するとフードの栄養素が崩れてしまう事がありますので、犬の流動食を作る際は必ず、ぬるま湯か水を使用するようにしてください。
犬の流動食用の水の量はフードが完全にひたる程度にし、指でつまんで力をいれなくてもフードがしっかりと潰れる位までふやかしておきます。
2.ミキサーを使用する
犬の流動食をペースト状にするため、ふやかしたフードを、残っている水分と一緒にミキサーにかけます。ふやかした物をすり潰すだけでも流動食のような形態にはなるのですが、細かい粒がどうしても残ってしまいます。犬が飲み込みやすく、トロトロの流動食にする為にはミキサーにかけるのがおすすめです。
桐村佳那
流動食は、缶詰やパウチタイプのウェットフードをミキサーにかけてなめらかにする方法でも対応できます。ふやかす時間が必要ない分、流動食の準備時間がグッと短縮できるでしょう。
ただし、ドライフードに比べカロリー密度が低いため、一度にたくさん食べなければいけないデメリットもあります。犬の食欲や好みに合わせて選んでみてください。
犬に流動食を与える方法
1.上体を起こす
犬に流動食を与える時は、まずは犬の身体を優しく支えながら上体を起こしてあげてください。流動食を与える理想の体勢は、犬の頭が上を向き過ぎずうつむき加減にもなっていない、真っすぐ前を向いているような「伏せ」の状態です。
その体勢を保つことが難しい犬は、飼い主さんが支えてあげるのがいいのですが、支えながら流動食を与えるのが難しいようであれば、人間用の座椅子に座布団やクッションを置き、角度を付けたものに伏せさせて流動食を犬にあげてください。
2.落ち着くのを待つ
体力が落ちてきている犬は、ほんの少しの移動でも身体に負担がかかる場合があります。身体を起こした後にすぐに流動食を与えるのではなく、その体勢に慣れて落ち着くまで少し待ってあげてください。
その時に、声を掛けながら背中などを撫でて刺激してあげると、血行促進にも繋がります。血流の流れが少しでもよくなり身体が温まると、流動食を食べたいと自ら思う気持ちもわき上がって、食欲増進に繋がっていきます。
3.流動食を口元に運ぶ
準備が整ったら、まずは犬の鼻先にスプーンで流動食を近づけて匂いをかがせます。匂いで食事だということを教え、その後スプーンの先で優しく口元を刺激します。
自分から口を開けるようであれば、一口ずつ口の中に流し込むのですが、口を開けることもままならないようであれば、顎を下から支えながら補助をしてください。
4.口の中に流し込む
一口分を流し込むことが出来たら、喉の辺りに手を当てて「ごくん」と飲み込んだ事を確認します。
飲み込んだのが確認出来たら次の一口にいくのですが、流動食でも喉に少し残って上手に全てを飲み込めない場合がありますので、数回に1回位は少量の水を合間に与えて、残ったものを胃に流し込むようにします。
水を与える時にはスプーンではこぼれてしまいますので、スポイトを使用すると手早く与える事が出来ます。
5.スプーンでは嫌がる場合はシリンジを使用
スプーンで流動食を与えようとしても口を開けずに嫌がる場合には、シリンジを使用して流動食を流し込みます。シリンジに流動食を入れたら、顔の側面から優しくシリンジの先を差し込みます。
ちょうど犬歯の後ろ辺りに入れて、シリンジの先は喉側ではなく口先側に向けておきます。流し込む流動食の量は、ほんの一口ずつをゆっくりと入れていき、一口分をきちんと飲み込むのを確認してから次の分を流し込みます。
スプーンで流動食を与える時と同様に、数回に1回は水を与えてください。
犬に流動食を与える時の注意点
流動食を与える時に、気を付けて欲しい点を5つ紹介します。
仰向けや寝たままで流動食を与えない
流動食を与える時に怖いのは、誤嚥です。流動食が誤って気管などに入ってしまうと、誤嚥性肺炎などを起こし、命に危険が及ぶ場合もあります。上体を起こした姿勢で与えるのは必須ですが、やりがちなのが飲み込み確認をする時に体や顎を上に向けてしまう事です。
流動食が飲み込みやすいようにと、つい体を上に向けてしまう飼い主さんが多いようですが、これも誤嚥の原因になりますので絶対にやらないようにしてください。
水分補給を忘れずに行う
前述したように、流動食でも食事中には水分補給を欠かさないようにしてください。上手に飲み込めていたとしても、それを胃まで確実に届けるには水分が必要です。
また、シニア犬になってくると喉の渇きを感じにくくなるだけでなく、水分を取る為だけに動こうとしなくなっていきます。食事中に水分を十分に与える事も大切ですが、それ以外の時間でも水分補給してあげるようにしてください。
消化のよいものを与える
流動食を市販のフードを利用して作っているのであれば、消化についてそれほど気にする必要はありませんが、手作り食の場合には消化のよい物で作るようにしてください。
流動食はドロドロにするのだから何でもいいのでは?と思われがちですが、シニア犬になっていくと胃腸の働きも弱くなり、消化吸収がしにくい物も出てきます。
また、体調や持病によってはあまり食べない方がよい物も出てきますので、必要に応じて獣医師の指示を仰ぐようにしてください。
食事に時間をかけすぎない
シニア犬になると、食事をするだけで体力をかなり使ってしまう犬もいます。普段は寝たきりの状態であれば、それはなおさらです。
犬の状態にもよりますが、流動食による食事の時間は15分~20分程度で済ます事が出来るように、事前にしっかりと準備をして必要な物は全て手元に置いてから始めるようにしてください。
流動食を与える際シリンジを使用するのであれば、詰め替える時間を短縮する為にあらかじめ数本用意しておくのがおすすめです。
食後はすぐに寝かさず様子を確認
上手に流動食を飲み込んだように思えても、直後に嘔吐してしまう事もあります。食事の身体移動で疲れて体調に異変を来す場合もありますので、食後はしばらく咳き込んだりしないか、呼吸などに異常がないかを近くで確認するようにしてください。
市販の犬用流動食おすすめ
カロリーエース
犬の流動食として、多く利用されているのが「デビフ カロリーエース」です。ペットショップやホームセンターでも取り扱いをしている所が多く、動物病院でも薦められることがありますので、安心して使用できる流動食の一つです。
高タンパク質・高カロリーで、シニア犬の健康維持に役立つ他、消化の良い低乳糖を原材料に使用していますので、下痢もしにくい仕様となっています。
ワンラック
ワンラック (ONE LAC)は、粉末タイプの流動食で加える水やぬるま湯の量で固さを調整する事が出来ます。常温で保存をすることが出来ますので扱いも簡単で、時間のない時にも手早く用意をすることが可能です。
加える水分を犬用のミルクなどに変更してあげると、高カロリーにもなり健康維持に役立ちます。
桐村佳那
さらっとした水分に近い形状の流動食は、シリンジで与える時には簡単に吸えて準備しやすい一方で、飲み込む力が弱い老犬では誤嚥するリスクが増してしまうことがあります。その場合は一手間かけてとろみを加えるか、なめらかなムースタイプのフードを選んであげることをおすすめします。
犬に流動食を与える時にあるといい便利グッズ
老犬・老猫用 給水シリンジ Lサイズ
流動食や水分補給の時に使用するシリンジです。容量は50mlとなっています。片手でも取り扱いやすく、口先がカテーテルタイプとなっているので犬の口に差し込みやすいです。
老犬・老猫用 給水シリンジ Sサイズ
流動食や水分補給の時に使用するシリンジです。容量は10mlとなっています。口の小さい小型犬には、小さいサイズの方が扱いやすいのでこちらがおすすめです。
フィーダー シリンジ 3本セット
シリンジの3本セットです。容量は15mlとなっています。流動食を与える時には、常に何本か並行して使用するようになりますので、同じタイプの物を数本用意しておくと大変便利です。
ディスメル クリーンワン
消臭効果のある防水シートです。食事の時に犬の下に敷いてあげると、流動食や水がこぼれてしまっても床や布団を汚すことがありません。汚れてしまっても、洗濯をすれば何度も繰り返し使用出来ます。
ペットシーツ
1回使い捨てタイプの薄型ペットシーツです。こちらも食事の際に下に敷いておく事で、床や布団を汚すことがありません。食事中に汚れてしまっても手軽に交換することが出来ますし、洗濯などの手間はありません。普段寝ている布団の下にも敷いておけば、万が一の粗相の時にも床まで染みこむのを防ぐ事が出来ます。
ウェットシート
ふんわりとした優しい肌触りの、厚手のウェットシートです。犬がなめても安心な素材でできており、銀イオン配合で除菌効果もあるので、食後に流動食で汚れた毛先などを拭けば清潔に保てます。
桐村佳那
流動食や給水で使用するシリンジは、使用する飼い主さんの手のサイズに合わせて使いやすいものを選んでください。50mlサイズは一度にたくさんの流動食を詰められますが、手が小さい人の場合、シリンジを押したり引いたりする操作がしにくいという人もいます。
また、シリンジの先端は短く細いものではなく、長く太いものを選ぶことで、先端に流動食が詰まることなく犬の舌の上に乗せられ、口の端からもこぼれにくくなります。
まとめ
犬の流動食の作り方や、与え方などを紹介してきました。犬も人と同じように介護が必要となってくると、毎日の世話で飼い主さんには多少なりとも負担がかかってきてしまいます。
犬の流動食を作る際はふやかしたドッグフードをミキサーにかけて作ります。流動食を食べさせる際は犬の体勢に気を付けて誤嚥を防ぎましょう。また水分も一緒に与えるようにしましょう。
流動食作りやその他の介護を一人で全てをやろうとはせずに、家族や友人に協力を求めながら、時には飼い主さん自身も気分転換をして愛犬と向かい合っていくようにしてください。