老犬の散歩には多くの利点がある
老犬になると、動くことが億劫になるため若い頃のように散歩に行きたがることは少なくなるでしょう。飼い主としては、「そこまで嫌なら、無理して散歩に連れて行く必要はないかな…」と感じるかもしれません。しかし、老犬の散歩には、さまざまな利点があります。
まずは、筋肉の健康維持が挙げられます。老犬になると毎日の運動量が少なくなるため、老化もあり筋肉量が減っていくはずです。しかし毎日少しでも散歩をしていれば、筋力低下の抑制に繋がります。
また、部屋にこもらないで外出をすることは、気分転換にもなります。部屋にこもるのは、人間同様にストレスの原因にもなるでしょう。毎日違う散歩コースを歩くことは、認知症予防にも期待できます。
ほかにも、散歩をすることで食欲増進になるなど、老犬の散歩には多くの利点が挙げられます。
老犬が散歩の途中で立ち止まる4つの理由
それでは、本題でもある老犬が散歩の途中で立ち止まる理由を解説します。
立ち止まるといっても、さまざまなシーンが挙げられるでしょう。犬によっては、立ったまま動かないこともあるでしょうし、その場に座り込んでしまうこともあるはずです。もしかしたら、散歩に行きたがらない犬もいるかもしれません。
立ち止まる理由のどれもが老化によるものです。犬の老化は、残念ながら止めることはできません。しかし、犬の老化と向き合うことで老犬でも散歩を楽しめるようになるでしょう。そのため、老犬が散歩の途中で立ち止まる理由を飼い主として知っておく必要があります。
ケガや病気などによる体調不良
老犬が散歩の途中で立ち止まるのは、体調不良が原因かもしれません。
体調不良といってもさまざまありますが、老犬の場合は筋力低下によるケガが多いでしょう。関節のケガをすると、歩くことで痛みが生じてその場に座り込むことがあります。また、足の痛みから家に帰りたがる犬もいるでしょう。
病気が原因で息苦しさなどを感じて、散歩を嫌がっている可能性も考えられます。老化による内臓機能の低下で、疲れやすくなっているのかもしれません。歩いている途中で倒れる、転ぶといった場合には、心臓の病気も疑われるでしょう。
視力や聴力の低下による不安
老犬になると、視力や聴力も低下していきます。もともと犬の視力は、人間と比べるとあまり良くはないといわれています。また、近いもののピントが合わせにくいため、犬は日頃の生活で視力に頼っているわけではありません。
しかし、聴力は人間よりも優れており、人間の聞こえないわずかな音や遠くの音でも聞き取ることができます。そのため、犬は聴力と嗅覚によって危険を察知したり障害物を見つけたりするのです。聴力や嗅覚が老化によって低下してしまうと、犬は自信を持って歩くことができなくなってしまいます。もちろん、もともとあまり良くない視力も老化によりさらに低下してしまうでしょう。
視力や聴力を頼って歩くことができないのは、犬にとって大きなストレスです。犬が散歩で何度も立ち止まる時は、視力や聴力の低下を疑う必要があるでしょう。
疲労により動けなくなってしまう
老犬が散歩の途中で何度も立ち止まるのは、疲労によって歩きたくても歩けなくなっている可能性が考えられます。人間も同様ですが、犬も年齢を重ねると疲れやすくなります。老犬になると、いままでのペースで歩けなくなるのでしょう。
疲労により動けなくなっているかどうか見分ける時は、呼吸を確認しましょう。疲れると何度も立ち止まったりその場で座るだけでなく、下を出して「ハッハッ」と激しく呼吸をするようになります。また、散歩の途中で帰りたがるのも疲労のサインです。犬によっては、帰るためにリードを引っ張ることもあるでしょう。
ちなみに、老犬であっても、体力があって若い頃のように帰りたがらない犬もいます。ただし、見た目は元気であっても老化は進んでいるため、老犬の体力は飼い主がコントロールする必要があるでしょう。
好奇心や意欲の低下
老犬になると、若い頃のように好奇心を覗かせることは少なくなります。また、さまざまなことに対する意欲も低下するため、散歩に対する意欲もなくなっていきます。
特に、若い頃から散歩があまり好きではない犬は、老犬になるとさらに散歩に行きたがらなくなるでしょう。いつもの散歩ルートを歩いていても退屈で早く帰ろうとしているのかもしれません。
老犬が散歩の途中で立ち止まったときの対処法
老犬が散歩の途中で立ち止まった時は、いくつかの対処をすることで解決するかもしれません。大切なことは、老犬の歩くペースに合わせるということです。老犬が疲れて立ち止まった時には、再び歩き出すまで気長に待っても良いでしょう。
また、いままでの散歩スピードではなく、ゆっくりと歩くことも必要です。老犬の身体の負担を少なくするために、補助ハーネスを使用するのも良いでしょう。
老犬になると、若い頃よりも体力が減っています。そのため、いままでの散歩コースを見直すこともおすすめです。老犬の散歩は、筋力の維持もありますが、気分転換の意味合いが強いです。短いコースで1回数分でも良いので、とりあえず散歩に行って気分転換させるということを心がけましょう。
もしも老犬が散歩の途中で倒れてしまった場合には、心臓への大きな負担が考えられますので、すぐに最寄りの動物病院へ行きましょう。
老犬の散歩で気をつけるべきこと
老犬の散歩は、若い頃とは異なります。若い頃であれば思い切り走ることもできたでしょうが、老犬はゆっくりと歩くことだけでも精一杯かもしれません。
そのため、老犬の散歩はいくつか注意をしておかなければならないことがあります。これからご説明する注意点をチェックして、老犬になっても散歩を楽しめるようにしましょう。
犬の体調に合わせて時間と距離を決める
老犬は、若い頃に比べて体調が変化しやすいです。前日に歩けていた散歩コースでも、今日も歩けるとは限りません。
そのため、毎日の体調に合わせた散歩コースを考える必要があります。老犬の散歩時間や距離には個体差があるため、どれくらいが良いというものはありません。いつもよりも元気そうであれば前日と同じコースを歩き、いつもより寝ている時間が長いなど、体調が優れないようであれば、少しの時間だけ散歩をして帰ってくるだけでも十分です。
また、体調不良の場合は無理に散歩に行く必要はありません。老犬の散歩は気分転換の意味合いが強いことを忘れずに、体調に合わせて行けるときだけ散歩することを心がけましょう。
季節によって散歩の時間帯を変える
老犬の散歩は、季節によって時間帯を変えることも大切です。暑い時期であれば熱中症や体力低下のリスクを避けるために、早朝や夜間などのアスファルトが熱くない時間帯に散歩をしましょう。季節によって時間帯を変えることは、年齢に関係なく言えることです。
また、寒い時期は暖かい日中に散歩をすることがおすすめです。春や秋などの過ごしやすい季節であればどんな時間帯でも問題はないでしょう。老犬になると体温調節も難しくなります。そのため、暑い時期はメッシュ素材、寒い時期はセーターなどの犬服を着せるのも散歩を快適にしてくれるでしょう。
散歩前にウォーミングアップをする
日頃寝ることが多い老犬が急に散歩に行くと、身体や心臓への負担が大きくなります。
そのため、散歩前には屈伸運動をさせたり関節のマッサージをするなど、ウォーミングアップを行いましょう。ウォーミングアップをすることで、身体への負担を多少なりとも軽くすることが期待できます。
また、室内や庭で軽く歩かせてから散歩に行くことも、心臓への負担の軽減に繋がるでしょう。
▼「老犬の散歩の基本」を知りたい方はこちら
まとめ
老犬になると、ケガや病気などの体調不良や疲労など、さまざまな理由により散歩の途中で立ち止まってしまうことがあります。
老犬の体調が悪そうであれば無理に散歩に行く必要はありませんが、老犬の散歩には筋力の維持や気分転換など、多くの利点が挙げられます。そのため、老犬が歩けそうであれば、毎日散歩に連れて行くようにしましょう。
ただし、老犬は疲れやすく散歩の途中で何度も立ち止まることがあります。そんな時には、愛犬が動き出すまで気長に待ってあげることが大切。老犬のペースに合わせて散歩を楽しみましょう。また、散歩前に屈伸運動や関節のマッサージなどのウォーミングアップをすることで、散歩中の足腰の痛みも軽減できるかもしれません。
愛犬にいつまでも健康でいてもらえるように、飼い主としてできる限りのことをしてあげましょう。