犬を守るために「床」の滑り止め対策は必要です
日本ならではの畳の床に比べ、フローリング床やタイルはお手入れの気楽さや室内のおしゃれ度アップの点から、近年主流の床材となっています。
愛犬と暮らすお家でも、抜け毛や粗相の掃除、畳の張替えに対する手間を考えて、「フローリングが良い!」と考える飼い主さんも多いのではないでしょうか?
しかし、フローリングの最大のデメリットは、肉球と毛を備えた犬が歩いたり、走ったりした時に滑りやすいことです。フローリングで滑ることで発生しやすくなる足腰のトラブルは、時に愛犬たちに痛みを与えるだけでなく、動物病院での入院や手術が必要になる事態も引き起こしかねません。
犬がフローリングなどの滑りやすい床の室内で暮らす時に起こりやすいトラブルを知って、正しい滑り止め対策を考えてあげましょう。
床の滑り止め対策アイデア
フローリングで愛犬が滑らないように工夫するためには、床材に直接滑り止め対策を施すことと、愛犬の足のケアを行うことが大切です。
しかし、フローリングの床材自体の張替えなど、施工業者への依頼が必要だったり、飼い主さん自身の手間・高額な費用がかかるようでは、滑り止め対策にもなかなか踏み切れないものですよね。
そこで今回は、今日からでも簡単に始められる、犬のためにできるフローリングの滑り止め対策とアイデアをご紹介します。
マットやカーペットを敷く
滑るフローリングに直接愛犬の足が触れ合わないようにするには、愛犬が過ごすスペースを中心に、マットやカーペットを敷いてあげることをおすすめします。
滑りにくくなるという点以外でも、次のようなメリットがあります。
- 愛犬の爪によるフローリングの傷を防止する
- 汚れた時に敷物だけ拭いたり、洗濯してフローリングの汚れを軽減できる
- 模様替えや設置が簡単
こういったメリットを兼ね備えた愛犬のためのマットやカーペットを選ぶ時には、丸洗いできるものやジョイント式で簡単に取り外せるものを選んでみましょう。
また、カーペットの毛足は、輪っかのようになっている大きめのループタイプの場合、逆に愛犬の爪が引っ掛かって転倒する危険があるため、避けることをおすすめします。
毛足が長すぎるカーペットも、犬や飼い主にとってはふわふわで居心地が良く感じる素材ですが、こまめに掃除できない場合は目に見えないダニや愛犬の毛が絡みついて不衛生な環境になりがちです。
掃除の頻度や愛犬の換毛期の毛量を考えながら、足腰への負担や居心地のバランスを取ってみてくださいね。
滑り止め用のワックスを塗る
賃貸住宅の場合は難しいかもしれませんが、飼い主さんが所有している住宅であれば、フローリングの床に滑り止めワックスを塗布してしまうのも良い方法です。
マットやカーペットは犬の足が滑るのを大いに防いでくれますが、室内全面に敷き詰めるのは意外と難しいもの。また、布地に水分を含んだものがこぼれたり、絡みついた毛を掃除するには労力がいる点でもやや悩ましいことが多いはずです。
その点滑り止めワックスであれば、大掃除のついでに塗っておくだけで、フローリング全面に滑り止め効果をもたらすことができます。
犬の足を直接保護する
床面の滑り止めと同時に考えておきたいのが、フローリングに接地する愛犬の足裏が滑りにくくなるようにグッズを活用することです。
- 滑り止め肉球クリーム
- 犬用靴下靴
- 滑り止め足裏シート
代表的な滑り止めグッズは、上記のようなものがありますが、犬にとって敏感な足に直接塗ったり履かせたりするものであるため、慣れるための練習が多少は必要となります。
装着してすぐに食事やおやつの時間にしたり、遊びの時間に切り替えて、装着したものへの違和感を忘れさせてあげたり、「装着したら良いことが起こる!」というイメージをつけられるようにしてあげましょう。
犬の足裏の毛や爪を整える
意外と忘れられているのが、犬の肉球周りのケアをこまめに行うことです。
肉球に愛犬自身の毛が被さっていたり、爪が長くて歩く時にカチャカチャと音が鳴るほどであれば、床と愛犬の足裏に隙間ができて、ただでさえ滑りやすいフローリングへの踏ん張りが効かなくなってしまいます。
特に、長毛種の犬は1ヶ月も置いておくと毛が肉球に被さり始めることがほとんどです。
老犬や病気によって全身のシャンプーをこまめに行うのが難しい場合でも、足周りのケアは別で機会を設けて実施してあげてください。
また、肉球が乾燥してひび割れてしまっている時には、フローリングに対するグリップ効果が薄くなっている状態のため、保湿成分の入っている肉球クリームなどで整えて滑り止め効果を足してあげましょう。
犬用の床の滑り止めグッズ7選
愛犬にできるフローリングの滑り止め対策がわかったところで、実際に活用しやすいグッズもご紹介しておきます。
グッズそれぞれにもメリット・デメリットがあるため、自宅の環境や愛犬の性格に合わせて、ぴったり合うものを選んであげましょう。
また、グッズを活用する時には、飼い主さんのライフスタイルや使いやすさといった点も考えてみてくださいね。
富双合成 貼ってはがせるフロアパネル
「通常のジョイントマットでは端のギザギザや分厚いデザインが室内に合わなくて嫌!」という飼い主さんにおすすめの吸着フロアマットです。
表面がややでこぼことしているため、つるつるとした平面のマットに比べ滑り止め効果もアップしています。また、色や柄が木目以外も含めて豊富なので、好みの模様でデザインを組み合わせていくことも可能です。
部屋の広さによっては多くの枚数が必要になるためコストが上がっていきますが、限られたスペースだけ対策をしたいという家庭にはおすすめです。
東リ ウィズペットフロア
厚さが薄いタイルカーペットが多い中、こちらは0.9cmで十分なふかふかさがある部分洗い可能な商品です。撥水加工もあるため、水気のあるものをこぼしてもすぐに拭き取ればシミを防ぐこともできます。
何よりも付着した毛やほこりを取り除くために掃除機をかけても、ピタッと貼りついて剥がれない安定感は素晴らしいポイントです。
そして、愛犬が歩く時も爪が引っ掛からないようカットパイル状になっています。厚さがある分、ドアの前には敷き詰められなかった・洗った後の乾きが遅いといったデメリットはありますが、見た目の安っぽさがないタイルカーペットをお探しの飼い主さんにおすすめします。
リンレイ すべり止めコーティング剤+オールワックスワイパーEXセット
フローリングに直接塗布する滑り止めコーティング剤と、塗布に便利なワイパーが一緒になっています。
さらっとした液体をワイパーで塗布し、約30分放置するだけですぐに乾くため、作業面でもコスト面でも飼い主さんには大きな負担なく簡単に実施することができます。
ただし、床置きの家具や物品が多い場合には一旦どけてから作業しなければならず、定期的な塗り直しも必要になるため、年単位で効果が持続するわけではないことを理解して使用しましょう。また、賃貸の場合は使用できないこともあるため、住宅事情の確認は必要です。
犬の滑り止めとしてだけでなく、人の足元の滑り止めとしても活用できるので、高齢者や小さいお子さんがいる家庭にもおすすめです。
アニマルオルソジャパン おさんぽソックス
義肢装具会社として実績のあるメーカーが作成したペット用の靴下で、特殊なゴム素材を使用しているため、脱げにくさと足へのフィット感はピカ一です。
布やナイロンでできていることが多い犬用靴下ですが、こちらは水を通さない素材でできているため、足先を水濡れさせたくない時にも安心です。
長時間の履かせっぱなしは蒸れの原因になってしまうため、1日のうちで外す時間も確保してあげたいですね。
犬用靴下 Skitter (スキッター)
見た目もかわいい布製の靴下を探している方には、犬の靴・靴下専門店「docdog」のSkitterをおすすめします。
足裏の滑り止めはもちろんのこと、絞りの位置を2ヵ所設定しているため、通常の靴下に比べて脱げにくい構造になっています。他のメーカーにはなかなかないポップな配色が、履いている愛犬をかわいらしく見せてくれること間違いなし。
前足と後ろ足で足のサイズが異なる子も多いため、しっかりと足のサイズを測ってから購入するようにしましょう。
パウソフト
スティックタイプの肉球保護剤で、塗るだけで肉球をしっとりさせると同時に、フローリングの滑り止め補助策として活用できます。
犬が舐めても安心な原材料でできており、飼い主さんの手を汚さずに愛犬の足裏に塗ることができる容器に入っているのも良いポイントです。
ワセリンなどは保湿効果は高い分べたつくことも多いため、さらっとした使い心地であってほしいという飼い主さんにおすすめします。
ココナッツの香りが愛犬・飼い主さんによって好き嫌いが分かれ、肌質によっては肉球に合わない可能性もあるため、まずは狭い範囲を塗って愛犬の反応や皮膚の状態を確認してみてください。
国産オーガニック認定肉球クリーム
こちらは99%の原料が天然由来成分で作られた、1プッシュで出せるスプレーボトルのような容器に入っている肉球クリームです。保湿力が高いことと、香りも犬が気にならないタイプであることが高評価を得ています。
べたつかず使用しやすい反面、飼い主さんの手に一旦出して愛犬の足に塗り広げる必要があるので、愛犬とのマッサージの時間などで活用してあげるのも良いですね。
- 賃貸にはタイルカーペットやマットを敷いて簡単に滑り止め対策を
- フローリングの加工OKの住宅なら、ワックス剤でフローリングの見た目をそのまま維持するのもおすすめ
- 肉球保護剤や靴下は匂いやつけ心地に対して愛犬の好き嫌いがはっきりと現れるので好みを把握しよう
▼「床・フローリング対策の基本」を知りたい方はこちら
まとめ
フローリング張りの室内空間は、洋風の雰囲気でおしゃれである一方、愛犬への足腰の負担・怪我のリスクが高くなってしまいがちです。
つるつると滑って歩きにくそうにしていたり、実際に愛犬が怪我をしてしまったのを見た時には、飼い主さんも愛犬の将来やこれからさらに重大な事故が起きないかと心配してしまうことでしょう。
こういったフローリングなどの床がもたらすリスクは、わざわざ内装工事をしなくても、ちょっとした工夫で室内環境や愛犬の歩きやすさを改善することができます。
飼い主さんと一緒に暮らす愛犬にとって取り入れやすいフローリングの滑り止め対策を、ぜひ今日から取り入れてみてください。こちらもぜひ参考にしてください。