犬の爪切りの必要性
犬の爪は神経や血管が通っていて、丸くカーブを描くように伸びていきますが、爪と一緒に血管も伸びてしまうため、再び短くカットすることは容易ではありません。
爪が伸びすぎてしまうと肉球に刺さってしまったり、上手く歩くことができずに関節や筋肉に影響が出てしまうこともあります。肉球の怪我や関節の病気を予防するためにも、定期的に爪を切ってあげることが必要です。
犬の爪は、コンクリートや足場の悪い道を歩くと自然に削れていきますが、一般家庭で飼われている犬は、家の付近を短時間で済ませてしまうことが多いです。
長時間のお散歩をしていても、意外と爪は削れていないこともあるので、定期的に愛犬の爪の状態をチェックする必要があります。
爪を切る頻度は、1カ月程度が目安になりますが、爪の削れ方には個体差があるため、どれくらい伸びているのかチェックする習慣を身に付けておくとよいでしょう。
とくに犬の親指にあたる部分に生えている狼爪は、歩くときは地面に当たらないので、自然に削れることはありません。愛犬の爪を切るときは、狼爪も切ることを忘れないように注意しましょう。
犬の爪の切り方!成功させる5ステップ
自分で爪を切ろうと考えている飼い主さんが抑えておきたいポイントは、普段から愛犬の爪や肉球などを自然に触れるようにスキンシップをとっておくことです。
爪を切るときだけ触られると、爪切りに対しての警戒心が強くなってしまいます。日常的にスキンシップをするようにして、触られたくない場所をなくしておくと、保定もしやすくなります。
犬の爪切りは難しく感じると思いますが、手順をしっかり解説していくので、参考にしてみてください。
爪切りが上手くできないときは、一度に全部切る必要はありません。1日1本ずつでも大丈夫なので、焦らず集中して行いましょう。
ステップ1: 爪切りの道具を揃えて準備を行う
用意しておくべきものは、爪切りと止血剤です。止血剤は誤って血管を切ってしまい、出血が止まらないときに使うので、爪切りを行う際は必ず用意しておきましょう。
爪切りには以下の4種類があります。
- ギロチンタイプ
- ニッパータイプ
- ハサミタイプ
- 電動ヤスリ
使いやすさで選ぶなら、ギロチンタイプやニッパータイプがおすすめです。
プロのトリマーが使用しているギロチンタイプは、切れ味が鋭く、短時間でカットできるという特徴があります。
切ったときにパチンという音がするので、爪切りに慣れていない子は驚いてしまう可能性があるので、爪切りを嫌がる犬や臆病な犬にはあまり向いていません。
その一方で、ニッパータイプは切ったときの音がしないので、驚くことが少ないです。工具のニッパーと使い方が同じなので、爪切りに慣れていない飼い主さんでも使いやすいでしょう。
ハサミタイプは、あまり切れ味がよくないので、子犬のような柔らかい爪に向いています。
電動ヤスリは爪が削れていて、あまり切る必要がないときに使うと便利です。爪切りの仕上げに使うと、体をかくときに皮膚を傷つける心配がなくなり、飼い主さんに爪が当たったときの痛みを軽減することができます。
足の裏の毛が伸びていると爪が切りにくいので、事前に足裏カットしておくと作業がスムーズです。
ステップ2: 血管の確認と保定をする
白い爪の犬の場合、血管が見えるので、どのくらい切っても大丈夫なのか確認しておきましょう。
血管の確認ができたら、ある程度の高さがあるテーブルなどに愛犬を立たせて保定をします。保定を行うときのコツは、犬の正面に立ち、自分の体の横に愛犬の頭をくっつけて体を覆うようにしっかり固定してください。愛犬を脇に挟むイメージです。
しっかり保定することができたら、愛犬の顔の向きと反対方向の足を持ち上げます。爪を切るときは、恐怖心の少ない後ろ足から始めるとよいでしょう。
ステップ3: 爪を切る
爪を切る前に、肉球の間を押し広げるようにすると爪が見えやすくなります。肉球と並行にカットし、爪の先端が丸くなるように爪切りで少しずつカットしていきます。
爪切りに不慣れな場合は長めにカットして、電動ヤスリで整えても大丈夫なので、最初から無理に短く切る必要はありません。
血管や神経が通っているため、出血すると痛みを伴います。慣れるまでは慎重に行っても問題ないので、焦らずに爪切りの腕を磨いていきましょう。
ステップ4: ヤスリで爪を整える
切った爪の断面はザラザラしていているので、ヤスリで削って整えてあげましょう。
ヤスリは手動のタイプと電動がありますが、爪に振動がかかるので、苦手な犬も多いです。家庭での爪切りは、環境の違うトリミングサロンや病院ほどの緊張感がないので、かなり嫌がることもあります。
ヤスリが難しい場合はお散歩で次第に削れていくので、無理に行わなくても大丈夫です。愛犬が耐えられそうであれば行い、臨機応変に対応しましょう。
ステップ5: 終わったら褒める
爪切りが好きな犬はいないので、終わったら必ず大げさといっていいぐらいに褒めてあげましょう。ご褒美をあげることも忘れないでください。
爪切りはとても重要なケアなので、嫌なことが終わった後は、必ずいい記憶に塗り替えることが大切です。愛犬に、爪切りをやらせてくれてありがとうという気持ちを伝えましょう。
犬の爪切りに関するQ&A
犬の爪切りに苦労する飼い主さんも多く、疑問点や悩みが出てくるでしょう。
この章では、犬の爪切りに多く寄せられている疑問点を解消するためのアドバイスを行っていきます。これを参考に試してみてください。
爪切りを嫌がる犬はどうしたらいい?
爪切りを嫌がる場合、一度に全部切ろうと思わないことが重要です。1回切ったらご褒美をあげたり、褒めることを繰り返しましょう。
愛犬の我慢の限界は、飼い主さんが1番よくわかっているはずなので、限界を感じたら次の日に回してしまって大丈夫です。
爪切りが怖いという犬の場合は、抱っこしてタオルなどで目隠しをしてあげるとすんなり切れることもあります。一人暮らしでない場合は、誰かに保定を手伝ってもらうこともできます。諦めずに少しずつ行っていきましょう。
また、爪切りが嫌すぎて、暴れたり噛んだりするケースもあります。手に負えないほど嫌がる場合は、無理せずトリミングサロンか動物病院にお願いしましょう。
爪が黒い犬の場合はどこまで切るの?
出血せずに切るための目安となる基準は、肉球の高さです。つまり、肉球と並行になるようにカットすれば、血管が異常に伸びていないかぎりは出血しません。
もう一つの判断基準として、カットした後の断面を確認するという方法もあります。断面が乾燥しているかのようにパサパサしている場合は、まだ切ることができる状態です。
しかし、爪の断面にしっとりと潤いがあるときや、黒い芯のようなものが見えたときは血管が近いことを意味します。
黒い爪は血管が見えないため、切るのが怖いと感じるかもしれません。少しずつ切り進め、少し長めに切ってヤスリで整えることもできるので、ゆっくり焦らず行いましょう。
人間用の爪切りや電動爪やすりを使っても大丈夫?
犬の爪は硬いので、人間用の爪切りを使用すると爪が折れて出血することもあるため、大変危険です。
犬の爪は神経や血管が通っているので、出血すると激しい痛みを伴います。必ず犬用の爪切りを使用してください。
成犬であればギロチンタイプやニッパータイプの爪切りが使いやすく、握りやすいのでおすすめです。ヤスリに関しては人間用のものを代用しても問題ありません。
爪が伸び過ぎてしまった場合は切ってもいい?
犬の爪は血管と神経も一緒に伸びていきます。そのため、爪が伸びすぎてしまうと元の長さに戻そうとすると、血管や神経も切らなければなりません。
自己判断せず、動物病院に相談して対処してもらうようにしてください。
爪から出血した時の対処法は?
爪切りで血管まで切ってしまった場合は、タオルやティッシュなどで爪を圧迫して止血しましょう。圧迫止血しても出血が止まらないときは、止血剤を使用します。
それでも出血が止まらない場合は動物病院を受診するようにしてください。可能であれば動物病院に向かう間も出血した部分を押さえて止血することをおすすめします。
犬の爪が剥がれたり折れてしまったときの対処法は?
犬の爪が剥がれたり折れてしまったときは、生爪がむき出しの状態になります。激しい痛みとともに、出血も多くなります。
タオルやガーゼなどで出血している部分を押さえて止血し、動物病院を受診してください。血管を切ってしまったときよりもひどい状態になるので、自己判断は禁物です。動物病院に行く際は、圧迫止血しながら向かうとよいでしょう。
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まとめ
愛犬の健康を維持するために、爪切りはグルーミングの中でも非常に重要なケアです。爪が伸びると歩きづらくなり、筋肉や関節に負担もかかってしまうため、軽い気持ちで放置していると愛犬が辛い思いをします。
犬の爪は血管や神経も一緒に伸びていくので、人間の爪のように伸ばしっぱなしにしておくことができません。
自分で切ってあげられることが望ましくはありますが、どうしても上手く切れないという場合は、トリミングサロンや動物病院でも切ってもらうことができます。
爪切りだけで利用するのは気が引けるという飼い主さんもいるかと思いますが、とくに気にする必要はありません。爪を伸ばすことが犬にとって思わしくないことを理解しているので、心配せず利用しましょう。