犬はなぜ掃除機に吠えるの?4つの原因とトレーニング方法とは?

犬はなぜ掃除機に吠えるの?4つの原因とトレーニング方法とは?

多くの犬は掃除機に吠えます。理由は音や見た目、社会化不足など様々です。原因に応じたトレーニングを行うことは重要です。どうしても難しい場合は掃除機を使わない掃除方法など工夫が必要です。

犬が掃除機に吠えるのはなぜ?

掃除機を噛む犬

掃除機が苦手な犬は多くみられ、そんな子は掃除機を持ち出しただけでも吠えることもあります。

しかし、しつけをせずにそのまま放っておくと、対象が掃除機だけにとどまらなくなる可能性があるため、無視できません。犬が掃除機に吠えないしつけをするためには、その理由を知ることが大切です。

〈犬が掃除機に吠える主な原因〉
  • 掃除機の音が犬にとって大きすぎる
  • 掃除機が出す音の周波数が嫌い
  • 掃除機の不規則な動きが怖い
  • 子犬の頃の社会化不足で新しい刺激に弱い

掃除機の音が犬にとって大きすぎる

掃除機が稼働するとモーターの大きな音が発生します。その大きな音に驚いて吠えるというのが一つ目の理由です。

犬の聴力が優れていることは知られています。人の4倍の聴力を持っている犬にとって、掃除機の音がどれだけ大きなものかは容易に想像できます。

掃除機の音で犬は毎回驚いていることもあります。また「最初に大きな音がして驚いた」「立てかけていた掃除機が倒れてきて怖い思いをした」など、一度嫌な経験をしたため吠えるといったことも考えられます。

掃除機が出す音の周波数が嫌い

犬は聴力が優れていることから、掃除機が出す周波数に反応するといわれています。

超音波とは、人が聞き取れないほど周波数が高い音です。人は16~20,000Hzに対して、犬は65~50,000Hzまで聞き取れるといわれています。

問題の掃除機はモーター音が8,000Hz程度です。この音域は犬にとって一番敏感な範囲なのです。そして犬はこの超音波が嫌いです。犬が嫌うことを利用して、モスキート音などの超音波でしつけを行うグッズもあるほどです。

このように、犬が掃除機に吠えるのは超音波が嫌いだからというのも理由のひとつです。

掃除機の不規則な動きが怖い

掃除機に慣れていない犬にとって、掃除機の不規則な動きは理解不能で怖い可能性があります。

特に掃除機のような「長い棒状の先にヘッドがあって床を掃除する動き」は犬が警戒する行動です。例えば、モップで床掃除をしたり、ほうきで掃き掃除をしたりすると、音もないのに犬が吠える姿を多く見かけます。

ネットなどでもモップに噛みついて引きずられるおもしろ動画が話題にもなりました。これは怖くて攻撃をしたためだと思われます。このことから、掃除機の形を含めた動きは犬にとっては怖いものだということがわかります。

子犬の頃の社会化不足で新しい刺激に弱い

子犬の社会化とは、楽しく快適に過ごすため柔軟な対応ができる状態をいいます。社会化が身につくと、人やほかの犬と仲良くでき、新しい刺激にも適応することができます。

しつけのジャンルでよく聞かれる社会化ですが、必要な理由は愛犬が快適に生きていくためです。もし、社会化がうまくできていないと「吠え」「攻撃性」「恐怖心」を自分でコントロールできなくなり、問題行動に発展します。

新しい刺激に適応できないため、普段から恐怖心を抱いてストレスになり、吠えや攻撃性を強めてしまうのです。常にストレスを感じている犬は決して快適に生活しているとは言えません。そのため社会化は重要だといわれています。

掃除機に吠えることは社会化不足の一例といえます。刺激に適応できずに恐怖心からの攻撃性であるケースが考えられます。

犬を掃除機に慣れさせる4つのステップ!

掃除機の横に座るヨークシャテリア

犬が掃除機に吠えるからと掃除をしないわけにはいきません。そこで、掃除機に慣れてもらうためにトレーニングをしましょう。最初に愛犬がなぜ吠えるのかを知ることは大切です。

  • 掃除機の稼働音がなくなれば吠えやむ場合 → 音が嫌い、または怖い
  • 掃除機を見ただけで吠える場合 → 掃除機の見た目が怖い、または嫌な経験がある

地道にゆっくり、怒らず無理をしないことがポイントです。段階を踏んで愛犬に合わせて、ステップアップやステップダウンを行いましょう。

ステップ1:掃除機を目につくところに置く

掃除機の見た目に慣れるためにも、常に犬の目につくところに掃除機を置いておきましょう。

最近の掃除機は、目につくところにおいてもインテリアの邪魔にならないよう、おしゃれなデザインのものが多く販売されています。掃除機の存在を日常的に記憶させることで苦手意識を薄めることができます。

慣れてきたら遊びつつ自然に掃除機との距離を近づけましょう。徐々に自分から寄って行って、においをかぐようになるはずです。その際は十分にチェックをさせてください。危険なものではないと理解してもらうことが、ステップクリアの目標です。

ステップ2:電源を入れずに掃除機の動きに慣れさせる

掃除機の存在に慣れたら、次は動きに慣れてもらいましょう。

電源は入れずに掃除をする動きをします。急に大きく動かすと驚いてしまうので、最初は寝かせて小さく前後に動かす程度にします。飼い主さんが動かしていることがわかれば愛犬が近付いてくるはずです。

にこやかに愛犬に話しかけてみましょう。犬が遠くで気にしている様子があれば、笑顔で愛犬を呼んでもいいですね。動かす際に焦って大きな動きをしてしまい、犬が驚いてしまえば最初からやり直しです。

悪い印象を与えないためにも、愛犬が慣れるまでは小さな動きを心がけましょう。

ステップ3:抱っこしたまま掃除機をかける

犬を抱っこしたまま掃除機をかけると、掃除機は危険なものではないと理解してもらえるでしょう。安心できる飼い主さんの腕の中で、ゆっくりと警戒を解いてくれるはずです。

掃除機の恐怖感を飼い主さんに抱っこされた安心感で上塗りできますね。ただし、愛犬が抱っこできる大きさであることが条件になります。抱っこ好きな子であれば効果は高いと思われます。

ステップ4:小さな音から慣れさせる

掃除機の設定を弱にして、小さな音から慣れさせる方法です。愛犬の様子を見ながら徐々に上げていきましょう。

弱でも吠えるようであれば、別の部屋で掃除機をかけて音だけで慣れていくことも有効です。音も見た目も両方苦手な犬だと、一つずつ慣れていく必要があります。

どちらから先でも構いませんので焦らず段階を踏んで慣れさせていきましょう。

犬がどうしても掃除機が苦手な場合はどうする?

掃除機をかける女性とヨークシャテリア

どうしても掃除機を克服できない場合もあります。特に成犬になればなるほどしつけやトレーニングは難しくなります。これ以上トレーニングをしても愛犬のストレスにしかならないようなら、掃除機以外の掃除方法を取り入れましょう。

人にとっては不便かもしれませんが、ストレスがある以上愛犬にとって快適であるとは言えません。普段の生活ではどちらかといえば人間の生活に犬が合わせることのほうが多いと考えられます。

快適に生活するためにも愛犬のことを考えて譲る気持ちが必要です。

愛犬の散歩中に掃除を済ませる

掃除機が見えても音がしても吠えるようなら、愛犬がいない間に掃除機をかけましょう。家族が散歩させている間や連れ出している間がチャンスです。

施設で過ごすことが平気であれば、一時預かりなどのサービスを利用してもいいでしょう。これを機に外出の機会が増えると愛犬のストレス減少にもつながります。

フローリングワイパーやほうき、モップを使う

音がしないお掃除グッズを使ってみるのもひとつの方法です。掃除機の音に反応する犬には効果的です。

一方で犬によってはフローリングワイパーやモップにも吠えることがあります。ただし、大きな音がする掃除機よりも、静かなフローリングワイパーやモップの方が慣れるのは早いと考えられます。

第一印象を最悪なものにしないためにも、最初は寝かせたままで愛犬に見せてみましょう。吠えずににおいをかぐようなら後々慣れる可能性が上がります。愛犬に合わせてゆっくりと対面させることが大切です。

ハンディタイプの掃除機に変える

小型犬や超小型犬にとってみれば掃除機は自分の体の数倍大きなため、怖がるのも無理はないでしょう。そこで一回り小さなハンディタイプの掃除機に変えてみると吠えなくなる可能性があります。

もともと使っていた掃除機のノズルを長いものから短いものに変えるのも方法のひとつでしょう。長さがなくなった分小さくなったように感じるため、稼働させても怖がらなくなることがあります。

ただしデメリットが一つあります。掃除する際かがんだままで行わなければいけないため、腰が痛くなることです。「掃除機をかける部屋をきめてそれ以外はほうきを使う」「毎日一部屋ずつ掃除機をかける」など工夫すると腰の負担を減らすことができます。

まとめ

掃除機を見つめる犬

犬が掃除機に吠える理由は、以下の点があげられます。

  • 音が大きくて怖い
  • 掃除機の周波数が嫌い
  • 動きが理解できなくて怖い
  • 社会化不足

音や見た目、動きに慣れさせるトレーニングで掃除機の克服を目指しましょう。焦らずゆっくりと愛犬に合わせて行うことが重要です。

それでも苦手な子には掃除機以外の掃除方法を工夫する必要があります。掃除機が使えないのは多少不便さはあるものの、愛犬のストレス減少には効果があると考えられます。

掃除機の何が嫌なのか愛犬を理解して、お互い快適に過ごすようにしましょう。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい