犬がトイレを覚えないのはなぜ?
愛犬がなかなかトイレを覚えないと感じた時はまず、犬がなぜトイレを覚えないのか理由を探してみることが大切です。愛犬がトイレを覚えない理由を理解し、対処することがトイレのしつけを前進させることに繋がります。
犬がトイレを覚えない時に考えられる主な理由を11個ご紹介します。愛犬に当てはまる理由があるかどうか確認してみてはいかがでしょうか。
飼い主がトイレのしつけをしていない
犬にとって排泄はペットシーツの上でするものだという感覚はありません。
ペットショップなどでトイレトレーニングを行っている場合や多頭飼いで先住犬がいる場合は稀に飼い主がトイレトレーニングを行わなくてもペットシーツの上で排泄を行う場合もあります。
しかしほとんどの場合、家族に迎え入れた段階では犬にとってペットシーツ=排泄という認識はありません。
そのため「そのうちトイレを覚えるだろう」と飼い主がトイレトレーニングを行っていないと犬がトイレの場所を覚えることはないでしょう。
トイレを失敗した時に叱っている
犬がトイレを失敗した時に叱ってしまうと、犬は排泄をしたこと自体を叱られたと感じてしまう可能性があります。
そうすると排泄をする事自体を我慢して膀胱炎になってしまったり、ソファーの裏やベッドの下など隠れた場所で粗相するようになり状況が更に悪化してしまいます。
トイレを失敗した時は、イライラとする気持ちは抑えて犬のことは構わずに黙って片付けるのがおすすめです。
失敗したのに褒めてしまっている
トイレを失敗したことに対して褒める飼い主は少ないでしょう。しかし、トイレを失敗した時に発した声や行動によっては犬が褒められていると感じる場合があるため注意が必要です。
例えば、粗相を発見した時に「キャー!」など高い声で騒ぐ、失敗した排泄物を片付けるために犬を追いかけて抱き上げるなどの行動は犬が遊んでもらっている、褒めてもらっていると勘違いしてしまう可能性があります。
粗相を発見した時はなるべく反応をせずに犬のことは無視して片付けましょう。
トイレ以外の場所に匂いがついている
以前に粗相した場所に匂いが残っているなど、トイレトレー以外の場所に排泄物の匂いがついているとトイレの場所を勘違いしてしまいトイレを覚えない原因となります。
犬はトイレの匂いがついている場所と同じところにトイレをする習性があります。犬が粗相をした際はしっかりと匂いを取るように心がけましょう。
綺麗好きでケージでトイレをしたくない
犬の祖先といわれているオオカミは自分の巣穴を敵に知られないために、寝床と離れた位置でトイレをしていました。その頃の習性から犬もケージや寝床ではトイレをしたくないと考えている場合が多いです。
特に綺麗好きな犬はその習性が強く出る傾向があり、ケージの中にトイレトレーが設置されていることがトイレをしない原因となっている可能性があります。トイレトレーがケージの中や寝床の近くにある方は設置場所を変更してみるのも良いかもしれません。
トイレが抜け毛などで不潔である
犬は本来綺麗好きな生き物のため、トイレが抜け毛や前回の排泄物などにより不潔な状態だとその場でトイレをしたくないと感じる可能性があります。
トイレのにおいを覚えさせるために前回の排泄物を残しておくというトイレトレーニングもありますが、犬によってはそれを汚れと感じ他の場所でトイレをしてしまうケースもあります。
排泄物のにおいをつけているのに他の場所でトイレをしてしまうという場合は、トイレを清潔な状態にしてあげましょう。そうすることで今まで全然トイレトレーでしなかったのに、突然トイレでしはじめたという犬もいるようです。
ストレスでわざと失敗している
以前までトイレが出来ていたのに急にトイレトレーの上でしなくなってしまったという場合、犬がストレスを感じてわざと失敗している可能性があります。
わざとトイレを失敗する理由としては、運動不足や昼間の留守番が増えた、構ってもらえていないなど幅広い原因が考えられます。
犬にとってストレスはトイレの失敗だけでなく体調面でも悪影響を与える可能性があります。失敗を繰り返すようになったあたりから何か変化したことがないか考え、原因を取り除いてあげましょう。
縄張り争いをしている
他の犬が遊びに来た後や他の犬を預かった場合、他の犬の匂いが自分の縄張りについたことが気になってトイレを失敗してしまうケースもあります。
縄張り意識の強い犬は今まで自分だけの匂いしかしなかった家のものに他の犬の匂いが付くと不安やストレスを感じてしまいます。
匂いを上書きをすることで「ここは自分の縄張りだ」とアピールしているため、他の犬の匂いが消えたらトイレの失敗は収まることが多いでしょう。
トイレのサイズが小さい
子犬の頃に購入したトイレトレーを成犬になっても使用している場合、トイレのサイズが小さく失敗している可能性が考えられます。
トイレトレーのサイズは犬の体長の1.5倍以上のサイズが適切とされています。それ以下のサイズのトイレを使用している場合、犬はトイレトレー内で排泄をしているつもりでも体がはみ出してしまい失敗に繋がります。
特にメスは犬の頭と膣が離れているため、犬はトイレに入っているつもりでも尿がペットシーツの外に出てしまっているということが多いため大きめサイズのトイレを用意してあげましょう。
床とトイレが分かりづらい
犬の足腰の負担にならないように、床にふわふわのカーペットを敷いているご家庭は多いと思います。しかし、それがトイレを覚えない理由になっている可能性があります。
犬はトイレを覚える時、ペットシーツを足や指で踏んだ感覚を覚えトイレと認識します。そのため、床がペットシーツと似た感覚だと脳がトイレと認識してしまい失敗してしまう場合があります。
床は硬めのカーペットにするなどペットシーツと床の違いを分かりやすくしてあげることでトイレを早く覚えることに繋がるでしょう。床を変更することが難しい場合はトイレの周りだけでもトイレシーツとは違う材質のものを敷いてあげると良いかもしれません。
トイレまでの距離が遠い
例えば普段は一階で生活をしていてトイレは二階に設置しているなど、犬が普段生活している場所とトイレが遠すぎる場合はトイレまで間に合わずに途中で漏らしてしまっているケースも考えられます。
犬がトイレをしたいと感じた時にすぐに行ける場所にトイレを設置してあげましょう。
犬はどのくらいでトイレを覚える?
愛犬がなかなかトイレを覚えてくれないと「もしかして、このまま一生トイレを覚えないのかも」と不安になる飼い主も多いはず。気長に正しくトイレトレーニングを行えば犬は必ずトイレを覚えてくれるでしょう。
犬は一般的にどれくらいの期間でトイレを覚えるのでしょうか。犬がトイレを覚える期間や覚えづらい状況についてご紹介します。
早ければ1か月くらいでトイレを覚える
子犬の頃から迎え入れた場合、早い子であれば1か月くらいでトイレを覚えます。特に先住犬がいる家庭では先住犬がトイレの場所を教育することがあるため、すぐにトイレの場所を覚えてくれるパターンが多いです。
また、トイプードルやラブラドールレトリバーなどトイレを覚えるのを得意としている犬種はスムーズにトイレを覚えてくれる可能性が高いです。
しかし、1か月くらいでトイレを覚える犬はどちらかというと少数派ですので、1か月たってもトイレが出来ないからと焦る必要はありません。
3~4か月かかる犬もいる
子犬から迎え入れた場合、一般的には3ヶ月から4ヶ月程度で覚える場合が多いです。成犬になると1日に2~3回しかトイレをしないのに対し、子犬は2~3時間に1度はトイレをするためトイレを教えやすいです。
子犬をケージの中に入れた状態でペットシーツの上でトイレをしたらケージから出し遊び時間を設けるというトレーニングを行うことで、ペットシーツの上でトイレをすると良い事があると犬が学びます。
ケージの中でトイレが出来るようになったら、徐々にケージの外にいる状態でもケージへ戻ってトイレが出来るように練習すると良いでしょう。
老犬でも覚えられるが根気は必要
トイレのしつけは子犬のうちに行う方が早く覚えることができますが、成犬や老犬になってからでもトイレを覚えることは可能です。
しかし、成犬や老犬にトイレトレーニングを行う場合すでに犬の中でトイレのルールがあります。1歳、2歳、3歳と年齢を重ねるほど子犬に教えるよりも時間がかかる可能性が高いです。
ペットシーツの上でトイレが出来ると、体調不良の時や健康確認の時など役立つ場面が多いためペットシーツの上でトイレをできるようにするのがおすすめです。時間がかかるかもしれませんが、根気よくトイレトレーニングを行いましょう。
時間がかかる時は教え方を見直す必要がある
愛犬がいつまでたってもトイレを覚えないという場合は、教え方や現在の環境を見直してみる必要があります。
一般的には良いとされている教え方や環境であっても、その犬にとってはトイレを覚えづらい状況になってしまっている可能性も考えられます。
トイレトレーニングを行っているのに前進がない場合は現在の教え方を一度見直し、他の教え方にチャレンジしてみたりトイレの設置場所を変更してみるのも良いかもしれません。
ただし、あまり頻繁に変更すると犬が混乱する可能性があるため注意が必要です。1度変更したトレーニング方法やトイレの設置場合は最低1か月はチャレンジし進展があるか様子をみてあげましょう。
お留守番の多い家庭は通常よりも時間が必要
犬にトイレのしつけを行う場合、犬がトイレをするタイミングで教えてあげる必要があります。お留守番が多い家庭では、どうしてもトイレのタイミングを逃してしまう可能性があります。
トイレを逃す回数が増えると犬にとってはトイレトレーでしなければならない時と、トイレでしなくても良い時が発生し混乱してしまいます。そのため、お留守番の多い家庭は通常よりもトイレを覚えるまでに時間がかかるケースが多いとされています。
一度覚えても6ヵ月頃から急に出来なくなる場合もある
特にオス犬の場合、生後6ヵ月頃から縄張り意識が強くではじめ家の中やお散歩中に足をあげてマーキングをするようになります。
今までトイレを覚えていた犬であっても、生後半年頃から家中にマーキングをしてトイレが出来なくなってしまうことがあります。
去勢手術をすることでマーキングが落ち着く子もいるようですが、一概にはいえませんので根気よくトレーニングを行いましょう。
犬がトイレを覚えない時の対処法
愛犬がなかなかトイレを覚えない時、飼い主は一体どのように対処をすればよいのでしょうか。
犬がトイレを覚えない時の対処方を6つご紹介します。1つだけでなく、試せるものは何個か併用して試してみるのも良いかもしれません。
ただし、対処法をコロコロと変更してしまうと犬が混乱してしまう可能性があるため、一度試したものは最低1か月は継続するように心がけましょう。
粗相したときは掃除して消臭する
犬は一度排泄物のにおいがつくと、同じ場所に繰り返しトイレをしてしまう習性があります。そのため、トイレとは別の場所に粗相をしてしまった時はしっかりと消臭を行いましょう。
排泄物の匂いが消えることで同じ場所でトイレの失敗を繰り返すことを未然に防げる可能性があります。
誘導のタイミングを変えてみる
犬にトイレトレーニングを行う際、寝起きや食事の前などトイレをしそうなタイミングで犬をとトイレの場所まで連れて行く方法がポピュラーです。
しかし、トイレに連れて行っているタイミングが実は犬にとってトイレをしたいタイミングではない場合いくら待ってもトイレをせず、別のタイミングでトイレをして失敗を繰り返している可能性があります。
ペットシートの上に連れて行ってもなかなかトイレをしてくれない場合は犬がいつもトイレを失敗してしまうタイミングをよく観察し、犬がトイレをするタイミングでペットシーツの上に連れていけるように心がけましょう。
トイレの大きさを変えてみる
犬にとって適切なトイレのサイズは体長の1. 5倍だとされています。そのため、使用しているトイレが実は犬の体にあっていないということも少なくありません。
器用な犬であれば小さいサイズのトイレで用を足すことも出来ますが、まだトイレを覚えていない段階の犬にとって小さいトイレで用を足すのは難しいでしょう。
大きめのトイレを用意してあげることで、トイレの失敗を減らすことに繋がるかもしれません。
上手にできたら褒める
犬がトイレできちんと排泄をすることが出来たらたっぷり褒めてあげましょう。オヤツやオモチャなどのご褒美を用意してあげるのも良いかもしれません。
犬がトイレトレーで排泄をしたことで良いことがあったと学習すると、積極的にトイレで排泄をするようになるでしょう。
犬によってはご褒美欲しさにトイレを小分けにする子もいるので、一日に与える量ご褒美の量を事前に決めておくなど与えすぎないように注意が必要です。
トイレしつけ用のペットシーツやスプレーを使用する
犬がトイレを覚えるまでの間は、トイレに誘導するためににおいをつけるスプレーやしつけ用のペットシーツを使用するのも良いかもしれません。
トイレを覚えるまではしつけ用のスプレーやペットシーツを使用し、トイレの失敗がなくなってきたら普通のシーツに戻していきましょう。
犬はペットシーツを足で踏んだ感覚で覚えるため、一度トイレを覚えてしまえば匂いがかわっても問題なくペットシーツの上でトイレをすることが出来るのでご安心下さい。
トイレを促すコマンドを練習する
犬はトイレをする前に同じ場所をウロウロとする、その場でクルクルまわるなどの行動が見られます。
そのような行動がみられた時に「ワンツー、ワンツー」や「イチニー、イチニー」などトイレを促すコマンドを口に出すことで、コマンドを聞くとトイレをしたくなるように習慣付けることが可能です。
コマンドを練習しておくことで、ペットシートの上で声かけを行うと自然とトイレがしたくなりスムーズにトイレトレーニングを行うことができるでしょう。
トイレを覚えるのが苦手な犬種
愛犬がトイレを中々覚えないと不安になってしまいます。実は犬種によってトイレを覚えるのが得意な犬種と苦手な犬種が存在します。
今回はトイレを覚えるのが苦手なランキング上位に含まれる犬種を3種ご紹介します。
犬種だけでなく性格や体質によってトイレを覚えるのが苦手な子もいるので気長にトイレトレーニングに向き合ってあげましょう。
柴犬
国内の人気犬種ランキングベスト3に入ることの多い柴犬はとてもきれい好きな犬種です。そのため、寝床や室内での粗相は少ないですが、お散歩中決まった場所でしかトイレをしないようになってしまう傾向にあります。
室内でトイレをしないなら良いと考えてしまいがちですが、悪天候の日や飼い主様の都合でお散歩へ行けない日、ペットホテルや旅先など環境が変わるとトイレをしなくなる可能性があるため注意が必要です。
また、将来的に介護が必要になった際にもトイレを我慢してしまう可能性があるため若い頃からペットシーツの上でトイレを出来るようにトレーニングを行うことをおすすめします。
ジャックラッセルテリア
縄張り意識の強いジャックラッセルテリアは縄張り意識が芽生える生後半年頃から家のあちこちでマーキングをしてしまうという子が多いです。
そのため、迎えた当初はすぐにトイレを覚えたのに出来なくなってしまったと頭を悩ませる飼い主も多くいます。また、好奇心旺盛な性格からトイレを踏み散らかす、咥えて運ぶなどの行為がみられる場合もあるため注意が必要です。
しかし、ジャックラッセルテリアは賢い犬種のため、一度トイレを覚えればその後はスムーズにトイレをするようになるでしょう。
ジャックラッセルテリアを迎え入れる際はトイレトレーニングは根気が必要だということを念頭に置いておくと良いかもしれません。
イタリアングレーハウンド
サイトハウンドに分類されるイタリアングレーハウンドは物事を視覚で判断する習性があるため、とても気が散りやすい犬種です。
トイレを教えている途中にも他の音や物に気がいってしまうことが多いためトイレを覚えるのに時間がかかってしまいます。
トイレトレーの設置場所を使用していない部屋や廊下の隅などなるべく他の情報が入ってこない場所にすることでトイレに集中できるように工夫をしてあげましょう。
▼「トイレのしつけの基本」を知りたい方はこちら
まとめ
本来、犬にとってペットシーツはトイレをするためのものではありません。しかし、犬と人が生活をしていく上で犬が部屋のあちこちでトイレをしてしまうと飼い主にとって大きな負担となってしまいます。
そうならないためにも犬を迎え入れたら早い段階からトイレトレーニングを行い、トイレはペットシーツの上でするのもだということを飼い主が教えてあげましょう。
愛犬がなかなかトイレを覚えてくれないと「うちの犬はバカなのかも」「このまま覚えなかったらどうしよう」と不安になるかもしれませんが、一度覚えてしまえばトイレトレーニングに苦戦していたことも良い笑い話になるでしょう。
犬がトイレを覚えることで飼い主の負担を減らすだけでなく、犬にとっても褒められる回数や構ってもらう時間が増えることに繋がります。
犬と飼い主の両方が快適な生活を過ごせるようにトイレトレーニングを行いましょう。