犬がトイレを覚えないのはなぜ?
愛犬がなかなかトイレを覚えないと感じた時は、理由を探してみることが大切です。愛犬がトイレを覚えない理由を理解し、対処することがトイレのしつけの成功に繋がります。
ここからは、犬がトイレを覚えない時に考えられる主な理由をご紹介します。愛犬に当てはまるものがないか確認してみましょう。
飼い主がトイレのしつけをしていない
犬は、ペットシーツの上で排泄をするものだという感覚はありません。
お迎えする前の環境でトイレトレーニングを行っていたり、多頭飼いで先住犬の真似をすることなどでまれにしつけを行わなくてもペットシーツの上で排泄できる子もいますが、ほとんどの場合、お迎えしたすぐから「ペットシーツ=排泄」という認識はありません。
「そのうちトイレを覚えるだろう」と、飼い主がトイレトレーニングを行わなければ、犬がトイレの場所を覚えることはないでしょう。
トイレを失敗した時に叱っている
犬がトイレを失敗した時に叱ってしまうと、排泄したこと自体を叱られたと感じてしまう可能性があります。
そうすると、排泄することを我慢して膀胱炎を発症してしまったり、ソファーの裏やベッドの下など、飼い主に隠れた場所で粗相するようになることもあります。そのため、トイレを失敗してもイライラとする気持ちは抑えて、犬のことは構わずに黙って片付けるの大切です。
失敗したのに褒めてしまっている
トイレを失敗したことに対して褒める飼い主は少ないでしょう。しかし、トイレを失敗した時に発した声や行動によっては、犬が褒められていると勘違いしてしまうことも。
例えば、粗相をした時に「キャー!」など高い声で騒いだり、失敗した排泄物を片付けるために犬を追いかけて抱き上げるなどの行動は、犬が遊んでもらっている、褒められていると勘違いしてしまいます。
粗相を発見した時は、なるべく反応をせずに犬のことは無視して片付ることが大切です。
トイレ以外の場所にニオイがついている
以前に粗相した場所にニオイが残っているなど、トイレ以外の場所に排泄物のニオイがついていると、トイレの場所を覚えられない原因につながります。
犬は、ニオイがする同じ場所でトイレをする習性があります。犬がトイレ以外で粗相をした際は、ニオイが残らないようにしっかりと掃除しましょう。
綺麗好きでケージでトイレをしたくない
犬の祖先といわれているオオカミは、自分の巣穴を敵に知られないために寝床と離れた場所でで排泄していました。その頃の習性から、犬もケージや寝床ではトイレをしたくないと考えている場合が多いです。
とくに綺麗好きな犬はその習性が強く出る傾向があり、ケージの中にトイレトレーが設置されていることがトイレをしない原因となっている可能性も。トイレトレーがケージの中や寝床の近くにある場合は、なるべく離した場所へ変更するようにしましょう。
トイレが不潔である
犬は本来、綺麗好きな生き物です。トイレに排泄物が残っていたり、抜け毛などで不潔な状態では、そこではしたくないと感じていることは少なくありません。トイレを覚えさせるために、前回の排泄物を残しておくというトレーニングもありますが、犬によってはそれを汚れと感じてしまうこともあります。
排泄物のニオイをつけているのに他の場所でしてしまうという場合は、トイレを清潔な状態にしてあげましょう。そうすることで、今までトイレトレーでしなかったのに、突然しはじめたという犬もいるようです。
ストレスでわざと失敗している
いままでトイレが出来ていたのに急に出来なくなってしまったという場合は、犬がストレスを感じてわざと失敗している可能性があります。運動不足や昼間の留守番が増えた、かまってもらえず寂しい思いをしているなどのストレスを感じてしまうと、構って欲しくてわざとトイレを失敗することも多いです。
犬がストレスを感じてしまうと、トイレの失敗だけでなく体調面でも悪影響を与える可能性があります。失敗を繰り返すようになったあたりから、何か変化したことがないか確認し、原因を取り除いてあげましょう。
縄張り争いをしている
他の犬が遊びに来た後や預かっている場合など、他の犬のニオイが自分の縄張りについたことが気になってトイレを失敗してしまうケースもあります。
縄張り意識の強い犬は、今まで自分だけのニオイしかしなかった家の中に他の犬のニオイがつくと不安やストレスを感じてしまいます。ニオイを上書きをすることで「ここは自分の縄張りだ」とアピールしているため、他の犬のニオイが消えたらトイレの失敗は治まることが多いでしょう。
トイレのサイズが小さい
子犬の頃に購入したトイレトレーを成犬になっても使用している場合、サイズが小さいことで失敗することがあります。トイレトレーのサイズは、犬の体長の1.5倍以上が適切とされています。小さいトイレトレーを使用している場合、犬はトイレ内で排泄をしているつもりでも、体がはみ出してしまい失敗に繋がっているのかもしれません。
特に、メスは犬の頭と膣が離れているため、トイレに入っているつもりでも尿がペットシーツの外に出てしまっていることがあります。犬の成長とともに体に合ったサイズのトイレを用意してあげましょう。
床とトイレが分かりづらい
犬の足腰の負担にならないように、床にカーペットなどを敷いているご家庭は多いと思います。しかし、それがトイレを覚えない理由になっている可能性があります。
犬は、ペットシーツを足や指で踏んだ感覚を覚えることでトイレと認識します。そのため、床がペットシーツと似た感覚だと脳がトイレと認識してしまい失敗してしまう場合があります。床は硬めのカーペットにするなど、ペットシーツと床の違いを分かりやすくしてあげることでトイレを早く覚えることに繋がるでしょう。
床を変更することが難しい場合は、トイレの周りだけでもトイレシーツとは違う材質のものを敷いてあげると良いかもしれません。
トイレまでの距離が遠い
普段は一階で生活をしているのにトイレだけ二階に設置しているなど、犬の生活範囲にトイレが無い、設置の場所が遠すぎると、間に合わずに途中で漏らしてしまっているケースが考えられます。犬がトイレをしたいと感じた時にすぐに行ける場所にトイレを設置することが大切です。
犬はどのくらいでトイレを覚える?
愛犬がなかなかトイレを覚えてくれないと「もしかして、このまま一生トイレを覚えないのかも」と不安になる飼い主も多いでしょう。気長に正しくトイレトレーニングを行えば、犬は必ずトイレを覚えてくれます。
では、一般的にどれくらいの期間でトイレを覚えるのでしょうか。犬がトイレを覚える期間や覚えにくい状況についてご紹介します。
早ければ1か月くらいでトイレを覚える
子犬の頃にお迎えした場合、早ければ1か月くらいでトイレを覚えます。特に先住犬がいる家庭では、先住犬がトイレの場所を教育することがあるため、トイレトレーニングが簡単に完了することもよくあります。
また、トイプードルやラブラドールレトリバーなど、覚えるのが得意な傾向がある犬種は、トイレトレーニングも手がかからないこともあります。とはいえ、1か月くらいでトイレを覚える犬は少ないと考えられます。愛犬が1か月経ってもトイレが出来ないからと焦る必要はまったくありません。
3~4か月かかる犬もいる
子犬を迎えてからトイレを覚えるまでに、一般的には3~4か月程度とされています。子犬は2~3時間に1回程度トイレをするため、1日2~3回程度しかしない成犬よりもトイレのしつけは教えやすいです。
子犬をケージの中に入れた状態でペットシーツの上でトイレをしたら、ケージから出して遊び時間を設けるというトレーニングを行うことで、ペットシーツの上でトイレをすると良い事があると犬が学びます。
ケージの中でトイレが出来るようになったら、徐々にケージの外にいる状態でもケージへ戻ってトイレが出来るように練習すると良いでしょう。
老犬でも覚えられるが根気は必要
トイレのしつけは子犬のうちに行う方が早く覚えることができますが、成犬や老犬になってからでもトイレトレーニングは可能です。ただし、成犬や老犬になると犬の中でトイレのルールができてしまっているため、年齢を重ねるほど、子犬に教えるよりも時間がかかることを理解しておきましょう。
排泄物の状態から体調不良なども確認しやすいことから、なるべくペットシーツの上でトイレができるようになるのがおすすめです。時間がかかるかもしれませんが、無理強いせず根気よくトイレトレーニングを行いましょう。
時間がかかる時は教え方を見直す必要がある
愛犬がいつまでたってもトイレを覚えないという場合は、教え方や現在のトイレの環境を見直す必要があります。
一般的には良いとされている教え方や環境であっても、愛犬にとっては好ましい方法ではないのかもしれません。トイレトレーニングを行っているのに前進がない場合は、現在の教え方を一度見直し、他の教え方にチャレンジしたり、トイレの設置場所を変えてみましょう。
ただし、あまり頻繁に変更するのはNG。犬が混乱する可能性があるため、変更したトレーニング方法やトイレの設置場所は、最低1か月は継続して愛犬の様子を見ることが大切です。
お留守番の多い家庭は通常よりも時間が必要
犬にトイレのしつけを行う場合、犬がトイレをするタイミングで教えてあげる必要がありますが、お留守番が多い家庭ではどうしてもトイレのタイミングを逃してしまう可能性があります。
トイレのタイミングを逃す回数が増えると、犬はペットシーツでしなければならない時と、しなくても良い時があることで混乱します。そのため、お留守番の多い家庭は通常よりもトイレを覚えるまでに時間がかかることがあるかもしれません。
一度覚えても6か月頃から急に出来なくなる場合もある
特にオスの場合は、生後6か月頃から縄張り意識が強くなり、家の中やお散歩中に足をあげてマーキングするようになります。今までトイレを覚えていた犬であっても、生後6か月頃から急にトイレが出来なくなるのは、マーキングが原因かもしれません。
去勢手術をすることでマーキングが落ち着く子もいるようですが、必ずしもマーキングをしなくなるとはいえません。根気よくトレーニングを行なうことが大切ですが、本能からくる習性を完全にしつけることは難しいと考えられます。
犬がトイレを覚えない時の対処法
愛犬がなかなかトイレを覚えない時、飼い主は一体どのように対処をすればよいのでしょうか。
ここからは、犬がトイレを覚えない時の対処方法を6つご紹介します。いくつか併用して試してみるのも良いかもしれません。ただし、対処方法をコロコロと変更してしまうと、犬が混乱してしまいます。一度試したものは最低1か月は継続するように心がけましょう。
粗相したときは掃除して消臭する
犬は一度排泄物のニオイがつくと、同じ場所に繰り返しトイレをしてしまう習性があります。そのため、トイレとは別の場所に粗相をしてしまった時は、しっかりと消臭を行いましょう。
排泄物のニオイが消えることで、同じ場所でトイレの失敗を繰り返すことを防げる可能性があります。
誘導のタイミングを変えてみる
犬にトイレトレーニングを行う際、寝起きや食事の前などトイレをしそうなタイミングで犬をトイレの場所まで連れて行く方法が一般的です。ただし、トイレに連れて行くタイミングが愛犬にとってはしたくなかった場合は、促しても待ってみてもトイレをせず、別のタイミングでトイレをして失敗を繰り返している可能性があります。
ペットシートの上に連れて行ってもなかなかしてくれない場合は、失敗してしまうタイミングをよく観察し、犬がトイレをするタイミングでペットシーツの上に連れていけるように心がけましょう。
トイレの大きさを変えてみる
犬にとって適切なトイレのサイズは体長の1. 5倍だとされています。そのため、使用しているトイレが実は犬の体に合っていないということも少なくありません。器用な犬であれば小さいサイズのトイレで用を足すことも出来ますが、まだトイレを覚えていない段階の犬にとって小さいトイレで用を足すのは難しいでしょう。
トイレのサイズが原因なら、大きめのトイレを用意してあげることで失敗を減らすことに繋がるかもしれません。
上手にできたら褒める
犬がトイレできちんと排泄をすることが出来たら、たっぷり褒めてあげましょう。オヤツやオモチャなどのご褒美を用意してあげるのも良いかもしれません。犬がトイレトレーで排泄をしたことで良いことがあったと学習すると、積極的にトレーの上で排泄するようになります。
ただし、オヤツなどのご褒美を与えるタイミングは注意が必要です。犬によっては、ご褒美欲しさにトイレを小分けにする子もいます。一日に与える褒美の量を事前に決めておくなど、与えすぎないように注意することも大切です。
トイレしつけ用のペットシーツやスプレーを使用する
犬がトイレを覚えるまでの間は、トイレに誘導するためにニオイをつけるスプレーや、しつけ用のペットシーツを使用するのも良いかもしれません。トイレを覚えるまではしつけ用のスプレーやペットシーツを使用し、トイレの失敗がなくなってきたら普通のシーツに戻していきましょう。
犬はペットシーツを足で踏んだ感覚で覚えるため、一度トイレを覚えてしまえばニオイが変わっても問題なくペットシーツの上でトイレをすることが出来るのでご安心下さい。
トイレを促すコマンドを練習する
犬は、トイレをする前に同じ場所をウロウロしたり、その場でクルクル回るなどの行動が見られます。そのような行動がみられた時に「ワンツー、ワンツー」や「イチニー、イチニー」などトイレを促すコマンドなどで声かけすることで、コマンドを聞くとトイレができるように習慣付けることが可能です。
コマンドを練習しておくことで、ペットシートの上で声かけを行うと、自然とトイレがしたくなりスムーズにトイレトレーニングを行うことができるでしょう。
トイレを覚えるのが苦手な犬種
愛犬がトイレをなかなか覚えないと不安になってしまいますが、実は犬種によってトイレを覚えるのが得意だったり不得意な場合があります。
ここからは、トイレを覚えるのが苦手とされる犬種をご紹介します。ただし、性格や体質によってもトイレを覚えるのが苦手な子もいます。犬種が原因と決めつけず、気長にトイレトレーニングに向き合うことを忘れないようにしましょう。
柴犬
人気犬種の上位に入ることの多い柴犬は、とてもきれい好きです。そのため、寝床や室内での粗相は少ないですが、お散歩中に決まった場所でしかトイレをしないようになってしまうなど神経質な一面を持ち合わせています。
室内でトイレをしないなら良いと考えてしまいがちですが、悪天候の日やお散歩へ行けない日、ペットホテルや旅先など環境が変わるとトイレをしなくなる可能性があるため注意が必要です。
また、将来的に介護が必要になった際にも、トイレを我慢してしまう可能性があるため子犬の頃からペットシーツの上でトイレを出来るようにトレーニングを行うことをおすすめします。
ジャックラッセルテリア
縄張り意識の強い傾向があるジャックラッセルテリアは、生後6か月ごろから家のあちこちでマーキングをしてしまう子が多い傾向があります。そのため、迎えた当初はすぐにトイレを覚えたのに、急に出来なくなってしまったと頭を悩ませる飼い主も多くいます。
また、好奇心旺盛な性格からトイレを踏み散らかす、くわえて運ぶなどの行為がみられる場合もあるため注意が必要です。しかし、ジャックラッセルテリアは賢い犬種なので、一度トイレを覚えればその後はスムーズにトイレをするようになるでしょう。
ジャックラッセルテリアを迎え入れる際は、トイレトレーニングは根気が必要だということを念頭に置いておくと良いでしょう。
イタリアングレーハウンド
サイトハウンドに分類されるイタリアングレーハウンドは、物事を視覚で判断する習性があるためとても気が散りやすい犬種と言われています。
トイレを教えている途中にも他の音や物に気がいってしまうことが多いため、トイレを覚えるのに時間がかかってしまうことも。トイレトレーの設置場所を使用していない部屋や廊下の隅など、なるべく他の情報が入ってこない場所に設置するなど、トイレに集中できるように工夫してあげましょう。
▼「トイレのしつけの基本」を知りたい方はこちら
まとめ
犬にとってペットシーツは、トイレをするためのものだという認識はありません。しかし、犬と人が生活をしていく上で、家のあちこちでトイレをしてしまうと飼い主にとって大きな負担となってしまいます。
そうならないためにも、犬を迎え入れたら早い段階からトイレトレーニングを行い、トイレはペットシーツの上でするのもだということを飼い主が教えてあげましょう。
愛犬がなかなかトイレを覚えてくれないと「うちの犬はバカなのかも」「このまま覚えなかったらどうしよう」と不安になるかもしれませんが、一度覚えてしまえばトイレトレーニングに苦戦していたことも良い笑い話になるでしょう。
犬がトイレを覚えることで飼い主の負担を減らすだけでなく、犬にとっても褒められる回数やかまってもらう時間が増えることに繋がります。犬と飼い主の両方が快適な生活を送れるように、根気よく諦めずにトイレトレーニングを行いましょう。