ペットフード協会 連載コラム

毎年9/28は『世界狂犬病デー』愛犬への狂犬病ワクチンの接種は、法律で義務化されています

皆さん、9月28日が何の日かご存知ですか?

そう、「パソコン記念日(パソコンの日)」、「プライバシーデー」なんです!

と、そういうことではなくて、犬好きの皆さんにぜひ知っておいてほしいのは、毎年9月28日は、「世界狂犬病デー(World Rabies Day)」という国際的な記念日だということなんです。

「世界狂犬病デー(World Rabies Day)」とは、今なお猛威をふるい続けている狂犬病の撲滅を地球規模で呼びかけることを目的として、2007年に定められ、GARC(狂犬病予防世界対策連合)が主導し、WHO(世界保健機構)」やWOAH(世界動物保健機関)」が連携しています。

この記念日は、ヒトおよび動物における狂犬病が、ワクチンを接種することで発症を防ぐことができ、撲滅することが決して夢物語ではないということを知ってもらうための日です。毎年9月28日には、世界各地でペットへのワクチン接種キャンペーンや、感染予防に関する啓発イベントが実施されています。

9月28日には、狂犬病がどのような病気なのかきちんと理解し、どのようにすれば防ぐことができるのかを改めて考えてみてくださいね。

狂犬病ってどんな病気?

狂犬病は、ヒトと動物両方に感染する「人獣共通感染症(ズーノーシス)」のひとつです。この病気は、狂犬病ウイルスに感染した犬などの動物に咬まれたり、引っかかれたりしてできた傷口から狂犬病ウイルスが体内に侵入することで感染します。

体内に侵入したウイルスは、神経に沿って脳に向かってゆっくりと移動します。そして、狂犬病を発症すると神経症状をともない、ほぼ100%の確率で死に至ります。

また、狂犬病には「潜伏期間が長い」という特徴があり、咬まれた後しばらくは何事もなく過ぎ、気づいたときには手遅れになってしまうという、とても恐ろしい病気です。実際に2020年6月に国内で死亡したケースでは、約8ヶ月間の潜伏期間がありました(2019年9月頃にフィリピンで感染)。

主な症状(イヌ)

◎前駆期:性格の変化と行動の異常

◎狂躁期:興奮状態(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に咬む)、光や音による唐突な刺激に対する過敏な反応

◎麻痺期:全身の麻痺症状による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながらよだれを垂らす、やがて昏睡状態となり死亡する

主な症状(ヒト)

◎前駆期:発熱、倦怠感、食欲不振、咬傷箇所の痛みやかゆみ

◎急性期:強い不安感や幻覚、狂水症、狂風症、精神錯乱などの神経症状

◎昏睡期:昏睡(呼吸障害により、ほぼ100%が死亡)

狂犬病のない場所は、世界でたったの7ヵ国・地域

1950年に狂犬病予防法が施行され、飼い犬の登録、狂犬病予防注射の義務化、野犬の捕獲などが徹底されたことで、日本においては1957年に清浄化が達成されました。

狂犬病の撲滅という、先人たちの歴史的偉業のもとにあるいまの日本ですが、現代の私たち日本人の中には、狂犬病はもはや過去の病気だと思ってしまっている人がいるかもしれません。

確かに、もう70年近く、日本ではヒトでも動物でも狂犬病の発生は見られません。しかし、世界に目を向けてみると、毎年約59,000人もの人が狂犬病で亡くなっているのです。

毎日のように数えきれないほど多くのヒト、物、動物が世界中から日本国内に入ってきている現在、狂犬病ウイルスが持ち込まれてしまう可能性が決してゼロではないことは、インバウンド人口の増加や物流の現状を見れば明らかですよね。

現在、狂犬病の発生が見られない国・地域は、日本、オーストラリア、ニュージーランド、アイスランド、ハワイ、グアム、フィジー諸島の「7ヵ国・地域」のみ。他の国や地域では毎年のように狂犬病が発生し、多くの人が亡くなっているのです。

狂犬病のない場所が世界的に見れば圧倒的マイノリティーだということを皆さん、よく理解しておいてくださいね。

狂犬病になるのは犬、だけじゃない?!

狂犬病って、「犬」という字が当てられているから、犬だけがかかると思ったら大間違い。狂犬病の媒介動物(病原体を運んでヒトや他の動物に感染させる生物)はすべての哺乳類とされています。つまり、犬だけではないんです。

過去には日本でも、1957年に猫が狂犬病になっていますし、現在でも世界では、コウモリ、キツネ、オオカミ、アライグマ、スカンクなど、多くの動物が狂犬病に感染しています。先月の末には、アメリカ・ノースカロライナ州の移動式ふれあい動物園の複数の子ヤギが狂犬病に感染したというニュースが流れたばかりです。

日本は狂犬病清浄国(国内での狂犬病の発生が見られない国)のひとつなので、国内ではそれほど神経質になる必要はないかと思いますが、海外ではむやみに犬や猫などの動物に触れないほうが無難です。特に、海外の野生動物には絶対に近づかないようにしてくださいね。

※小型げっ歯類・ウサギ類は狂犬病に感染しにくいとされ、ヒトへ媒介した実例はほとんど報告されていません。また、哺乳類以外の生物は狂犬病ウイルスに感染しないとされています。

狂犬病ワクチンの接種は飼い主さんの義務です

1957年に狂犬病の清浄化を成し得たことによって、それまで「怖い動物」として見られがちであった犬を積極的に飼育するという気運が徐々に高まり、1969年に「ドッグフード工業会(現ペットフード協会)」の設立に至りました。

そして現在、ペットフード協会では、日本が狂犬病清浄国であり続けるための活動を行なっており、そのひとつとして、加盟企業のペットフードのパッケージには狂犬病ワクチン接種を啓発するための文言が記載されています。

WHO(世界保健機構)は、「狂犬病の流行を阻止するためには、70%以上のワクチン接種率が必要」としていますが、日本ではまだ、47都道府県のすべてで70%以上のワクチン接種率が達成されているわけではないというのが現状です。

皆さん、愛犬への年1回の狂犬病ワクチン接種は「狂犬病予防法」で定められた飼い主さんの義務だということをくれぐれも忘れないでくださいね。

そして、狂犬病ワクチンには次の2つの意味があるということも、ぜひ知っておいてください。

①愛犬を守る

ワクチンを接種することで愛犬に免疫を持たせ、万が一狂犬病ウイルスに感染しても発症を防ぐことができます。

②社会を守る

犬への感染を防ぐことで、ヒトや他の動物への感染の拡大を防ぎます。また、ウイルスが国内に侵入した場合でも、免疫を持つ犬が多ければ狂犬病のまん延を食い止め、狂犬病ウイルスの定着を阻止することができます。

もしも海外で動物に咬まれてしまったら…

海外で狂犬病の疑いのある動物に咬まれたり、傷口をなめられたりした場合は、速やかに以下のような対応を行なってください。

①すぐに石けんときれいな水で傷口をよく洗い流してください(約15分間)

②できるだけ早く現地の医療機関で「暴露後ワクチン(狂犬病ワクチン)」を接種してください。傷の程度によっては、狂犬病ワクチンとともに「免疫グロブリン」が投与されることもあります。

もしもに備えて(暴露前接種)

海外の狂犬病流行地域に渡航する場合は、万が一に備えて、渡航前に狂犬病ワクチン(トラベラーズワクチン)の接種が推奨されます。この場合、複数回の接種が必要となるので、余裕をもって医療機関を受診しましょう。

まとめ

狂犬病をむやみに怖がる必要はないとは思いますが、世界では今でも年間約59,000人、約10分間に1人が狂犬病で亡くなっています。この事実はしっかりと記憶の隅にとどめておいてくださいね。

WHO(世界保健機構)では、2030年までにイヌを介した狂犬病による死亡者数をゼロにするという世界目標「Zero by 30」を掲げています。

現在使われているワクチンは、狂犬病の予防に極めて高い効果があるとされています。大切な家族である愛犬を守るため、そして、犬と一緒に安心して暮らせる社会を守るためにも、年に1回、狂犬病ワクチンを必ず接種するようにしてくださいね。

◎写真・文:ほりまさゆき(風の犬たち)

★第16回 インターペット東京

来年開催される「第16回 インターペット東京」の日程が決まりました!

ペットフード協会では、来年もご長寿ペットの表彰を行う予定です。たくさんのご長寿さんのエントリーをお待ちしております。

◎会期:2027年4月1日(木)~4日(日) 10:00~17:00(最終日は16:30まで)

◎会場:東京ビッグサイト 東1・2・3・4・7・8ホール

★第5回 インターペット大阪

来年6月には「第5回 インターペット大阪」が開催されます。来年も充実のコンテンツで皆さまをお迎えします。

ペットフード協会では、来年の大阪でもご長寿ペットの表彰を行う予定です。ぜひエントリーしてくださいね!

◎会期:2027年6月11日(金)~13日(日) 10:00~17:00(最終日は16:30まで)

◎会場:インテックス大阪 4・5・6A・6B館

連載では、ペットの健康のことや人とペットの暮らしについての「正しい」情報を発信していきますので、”ウチの子” との幸せな暮らしのヒントにしてくださいね。

ペットフード協会のウェブサイトではペットに関する多くの情報を見ることができますので、ぜひのぞいてみてくださいね!

■一般社団法人ペットフード協会

https://petfood.or.jp/

記事の監修
獣医師
徳本一義
  • 一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会委員長
  • 一般社団法人ペット栄養学会 理事
  • 有限会社ハーモニー 代表取締役
  • 日本獣医生命科学大学、帝京科学大学、ヤマザキ動物看護専門職短期大学非常勤講師