ペットフード協会 連載コラム

犬との暮らしで認知症40%減?!2023年 ペットフード協会による全国犬猫飼育実態調査

「全国犬猫飼育実態調査」というものを知っていますか?

一般社団法人ペットフード協会では、約20年にわたって犬と猫に関する飼育の実態をリサーチする「全国犬猫飼育実態調査」を行なっています。

この調査の結果は多方面で活用されているので、もしかしたら、犬や猫の寿命など、この調査によって得られた結果をどこかで目にしているかもしれませんね。

漢字ばかりでちょっと敬遠してしまうかもしれないけれど、なかには「へえ~、そうなんだぁ」と思うような結果もあるんですよ。

全国犬猫飼育実態調査って、何のために行ってるの?

ここ数年、ペットとして飼われている猫の数は横ばい状態ですが、犬の頭数は減ってきていることをご存知ですか?

犬や猫からは癒しや安らぎだけでなく、生きがいさえもらえたり、運動不足の解消になったり、認知症のリスク低減につながったりするなど、いろんなメリットがあることが知られてきています。

この調査は、ペットフードに携わる企業のマーケティングや商品開発に役立てるものであると同時に、ペットと暮らす楽しさや健康への好影響を知ってもらい、幸せな犬好き猫好きが増えることに貢献するためのものでもあるんですよ。

どんなことを調べているの?

全国犬猫飼育実態調査では、大きく分けて3つのことを調べています。

ウ~ン、また漢字かぁ…なんてこと言わないで、続きを読んでくださいね。

①規模推計調査

どのくらいの数の犬や猫が飼い主さんと一緒に暮らしているか(現在の飼育率)や、これから犬や猫と一緒に暮らしたいという気持ちがあるか(今後の飼育意向)、犬や猫がどのくらい長く生きてくれるのか(平均寿命)などを調べています。

②飼育者調査

どんな犬や猫がどのような場所で暮らしているのか(現在飼育している犬・猫の情報)や、どのようなものをどれくらい食べているのか(給餌実態/市販ペットフードの購入実態)、困ったときの支援サービスについてどのくらい知っているか(飼育支援サービスに関する浸透度)など、犬や猫の暮らしの実態などを調べています。

③非飼育者調査

犬や猫と暮らしたいけれど、なかなか踏み切れない理由(今後飼育意向ありの人の飼育阻害要因)や、どうしたら犬や猫と一緒に暮らせるようになるか(飼育に進めるために解消すべき課題)などが調べられています。

2023年の最新情報とペットフード協会の社会貢献

さて、ここからは超速報。

2023年12月22日(金)、一般社団法人ペットフード協会によって行われた「2023年 全国犬猫飼育実態調査結果」プレス発表会において、今年度の全国犬猫飼育とペットフード産業の実態調査結果が発表されました。

2023年の主なトピック

①犬の飼育頭数が減っているだけでなく、犬や猫と暮らしたいと思う人も減っている

②犬や猫の販売価格が上がっていて、購入のための予算とのズレが大きくなっている

③我が子のために犬や猫を迎える人が増えている

④高齢者向けの飼育支援サービスがまだあまりよく知られていない

10年前と比べて犬の飼育頭数が20%以上減っているなど、明るいニュースばかりではありませんが、ペットと暮らすようになると表情が明るくなったり、家族との会話が増えたり、高齢者の方の健康にプラスになったりなど、うれしいこともたくさんあるということを知っておいてくださいね(詳しくは後述)。

約4トンのペットフードを保護犬猫に無償提供

また、ペット飼育の実態に関する最新結果のほか、ペットフード協会が行なっている社会貢献活動についての報告もありました。

SDGsで大きなテーマのひとつとして掲げられているのが「フードロス」。ペットフード協会では、現在、保護される犬や猫の「いのち」と廃棄されるペットフードの架け橋となって、ペットフードをシェルターに無償で提供する活動(この1年間で540ケース、約4トンを無償提供)を進めているほか、保護犬・保護猫たちの譲渡活動への支援も行なっています。

ペットと暮らすことは高齢者にとっても大きなメリットが?!

全国犬猫飼育実態調査の結果にもありますが、高齢の方が犬や猫と暮らすことをためらってしまう大きな原因として「十分に世話ができないから」や「最後まで世話をする自信がないから」といったことが挙げられています。

「体が思うように動かなくなったら…」とか、「もし自分のほうが先に亡くなってしまったら…」という不安が先に立ってしまうのでしょうね。

近年、ペットの終生預かりサービスやペットフードの配達、動物病院の往診など、犬や猫と暮らす高齢の方も利用できる飼育支援サービスが増えてきています。しかし、さまざまなサービスがあるということが、まだあまり知られていません。

実は、今回のプレス発表会では、いくつかの研究発表もなされ、「犬と暮らす人は、そうでない人と比べて介護状態や死亡するリスクがほぼ半減する」や、「犬と暮らす人は、認知症の発症リスクが40%減少する」という発表がありました。

私たちは今後、ペットとの暮らしが高齢の方にも大きなメリットをもたらすことを知ってもらい、飼育支援サービスをうまく活用した、無理のないペットとの暮らしの実現についても、積極的に発信していきたいと考えています。

まとめ

全国犬猫飼育実態調査についてアウトラインだけでも知っていただけたでしょうか?

これから数回、犬好き猫好きの方におすすめの最新の調査結果についてお話ししていこうと思っていますので、お楽しみに!

この連載では、ペットの健康のことや人とペットの暮らしについての「正しい」情報を発信していきますので、「ウチの子」との幸せな暮らしのヒントにしてくださいね。

今回ご紹介した情報以外にも、ペットフード協会のウェブサイトでは多くの情報を見ることができます!

 

一般社団法人ペットフード協会

記事の監修
獣医師
徳本一義
  • 一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会委員長
  • 一般社団法人ペット栄養学会 理事
  • 有限会社ハーモニー 代表取締役
  • 日本獣医生命科学大学、帝京科学大学、ヤマザキ動物看護専門職短期大学非常勤講師