ペットの主食やおやつとして、毎日のようにペットが口にするペットフード。皆さんは、そのパッケージをじっくりと「読んだ」ことはありますか?
そう、ペットフードのパッケージは見るものではなく「読む」ものなんです。パッケージの裏や側面などに記載されている表示には、実に多くの、そして重要な情報が盛り込まれているのです。
今回は、ペットフードのパッケージに記された表示を正しく「読む」ことについて解説しますね。
以前、『ペットフード安全法』についての記事でもペットフードの表示について触れましたが、まずは、そのおさらいをしましょう。
ペットフードの表示に対する基準
『ペットフード安全法』では、ペットフードの表示に必要な5つの項目を義務付けています。
①ペットフードの名称(商品名)
犬と猫では必要な栄養バランスが異なるため、「犬用」か「猫用」かを明記します。
②賞味期限
年月日または年月をアラビア数字で表示します。
③原材料名
原則として、添加物を含め、使用した原材料をすべて表示します。
④原産国名
ペットフードの最終加工工程が行われた国を表示します。
⑤事業者名および住所
「製造者」「輸入者」「販売者」など、事業者の種類を明示したうえで、氏名または名称、住所を表示します。
『ペットフードの表示に関する公正競争規約』では、上記5項目のほかに以下の項目の表示を求めています。
⑥ペットフードの目的
「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」の4つの目的のいずれかであることを明記します。
⑦内容量
正味量を「g(グラム)」「kg(キログラム)」などの単位で表示します。
⑧給与方法(与え方)
文章やイラスト、図などを使って適切な与え方を表示します。
⑨成分
たんぱく質、脂質、粗繊維、灰分、水分の重量比を「%(パーセント)」で表示します。
『ペットフードの表示に関する公正競争規約』ってなんだろう?
『ペットフードの表示に関する公正競争規約』とは、飼い主の皆さんが安心して安全なペットフードを選ぶことができるよう、ペットフード公正取引協議会によって定められたもので、表示または景品類の提供に関する業界内での自主ルールです。
原材料と添加物を正しく読もう
ペットの毎日の食事であるペットフードがどんなものからできているのかということは、誰もが特に気にすることだと思います。
『ペットフード安全法』では、すべての原材料名の表示を義務づけていますが、「分類名による表示も可能とする」となっています。『ペットフードの表示に関する公正競争規約』では、さらに「添加物以外の原材料は、原材料に占める重量の割合の多い順に記載すること」と定めています。
つまり、原材料に占める割合の「大きいもの」から順に記載する必要があります。
ただし、原材料の表示では、以下のことに留意してくださいね。
- 原材料名の表示順が、必ずしも栄養素の割合や質に直接関係しているとは限らない。
- 原材料として生の肉を使用する場合は、水分量を含めた重量(生の鶏肉の場合、重量の約70%が水分)が表示に反映されます。
- パッケージが小さい商品などは、表示する情報量が限られてくるので、原材料の記載を「穀類」「魚介類」「肉類」など、まとめた分類名で記載することもあります。
日本国内で流通するペットフードについては、『ペットフード安全法』によって安全性が確保されており、万が一の場合でも、原材料の生産から加工、流通、販売などの各段階において、製品とその情報を追跡できるシステム(トレーサビリティー)も確立されています。
そのため、国内で流通するペットフードの原材料の安全性は高く、危険な原材料がペットフードに使われることは考えにくいといえます。
飼い主さんにとっては、ペットフードに含まれる添加物も気になるところでしょう。
原材料の表示には添加物も含まれますが、ペットフードに使われる添加物の量についても『ペットフード安全法』によって安全基準が定められてます。
また、添加物の種類や使用目的は、『ペットフードの表示に関する公正競争規約』によって記載方法の自主基準が設けられています。
「添加物=健康に悪い」という印象を持っている方がいるかもしれませんが、日本国内で流通するドッグフードは、法律などによって安全性が確保されているので、添加物について過剰に心配する必要はないでしょう。
栄養バランスは「保証分析値」を参考にしよう
皆さんは、ペットフードのパッケージに記載された「保証分析値」というものをご覧になったことがあると思います。
「見たことはあるけど、ペットフードの成分の何を分析して、何を保証してくれてるの?」と、「???」となってしまうかもしれませんね。
この「保証分析値」というのは、『ペットフードの表示に関する公正競争規約』で表示が求められている項目のひとつで、重要な栄養素や水分の重量比をあらわしています。
たんぱく質と脂質(脂肪)は、健康を維持するために一定量が必要な栄養素なので「○%以上」と最低値が表示され、粗繊維と灰分(ミネラル)、水分については、多すぎるとかえって栄養効率が下がったり、健康に悪影響となったりする場合があるので、「○%以下」と最大値が表示されています。
保証分析値の表示には、多くの場合、成分とあわせて代謝エネルギー(一定量あたりのカロリー)も表示されています。
栄養素の下限と上限が記された「保証分析値」は、ペットフードの栄養バランスを読み解くうえでの参考となる表示なので、適切なフード選びのヒントとなる情報でもあります。ただし、この表示から消化性などの品質について判断するのは難しいということを覚えておきましょう。
まとめ
ペットが必要としている栄養は、私たち人間とは異なります。私たちは、自分に必要な栄養素を取捨選択して摂ることができますが、ペットは自分で食事を選ぶことができません。
そのため、飼い主さんがそれぞれのペットに最適な食事を選ぶ必要があります。
ペットフードのパッケージには、「ウチの子のごはんやおやつ」を皆さんが安心して選べるよう、さまざまな情報が表示されています。
それぞれの情報を正しく「読んで」、「ウチの子」に合ったペットフードを選んであげてくださいね。
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連載では、ペットの健康のことや人とペットの暮らしについての「正しい」情報を発信していきますので、「ウチの子」との幸せな暮らしのヒントにしてくださいね。
ペットフード協会のウェブサイトではペットに関する多くの情報を見ることができますので、ぜひのぞいてみてくださいね!
- 一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会委員長
- 一般社団法人ペット栄養学会 理事
- 有限会社ハーモニー 代表取締役
- 日本獣医生命科学大学、帝京科学大学、ヤマザキ動物看護専門職短期大学非常勤講師