犬の口内トラブルに気をつけて！チェックする場所と４つのケア方法【獣医師監修】

犬は虫歯にはならない？

人と犬では、口内のpH値(酸性・アルカリ性の度合いを表す値)に違いがあります。人の口内は弱酸性ですが、犬の口内はアルカリ性。その為虫歯菌の繁殖が抑えられ、犬の虫歯リスクは低いと言われています。また犬の唾液には消化酵素が含まれないことから、分解により口内に溜まる糖が少なく、これも虫歯にはなりにくい要素のひとつとなっています。

犬の口内に潜む病気

虫歯にならなければ安心というわけではありません。アルカリ性の口内では歯垢は石灰化しやすく、僅か2、3日で歯石になると言われています。その速度は人間の歯の何倍にも。歯垢が歯石化すると、除去するのは困難。非常に硬くなるので、病院で犬に麻酔をかけ、歯石を削るしか方法がありません。

また、歯垢が溜まると歯に凹凸ができ、そこに更に歯垢が蓄積しやすくなります。
歯垢は細菌の塊。放っておくと、歯周病や歯肉炎を招き、口内環境を損ないます。また、酷くなると歯の周囲の骨が溶けたり、顎のダメージに繋がったりと、その影響は歯以外にも及びます。

犬が口内トラブルを抱えているかチェックする方法

現代では犬や猫の多くが、歯石や歯周病といった口内トラブルを抱えているという調査結果が出ています。それを防ぎ、また早期発見するには、毎日のチェックが必至。

次にチェック項目を挙げていきます。

臭いチェック

口内から嫌な臭いがしないかをチェックします。歯垢がないのに臭いがする場合は、内臓の病気であることもあります。

歯垢の有無チェック

歯の付け根部分を中心に、歯垢が溜まっていないかをチェックします。特に後臼歯の最も大きな歯の溝部分には歯垢が溜まりやすいので注意が必要。

歯茎や舌の色チェック

赤すぎたり、変色していたり、また腫れている部分はないか、健康なピンク色をしているかをチェックします。歯茎のトラブルは歯肉炎や口内炎、腫瘍などにも繋がります。歯茎が白い場合は貧血の可能性も。

犬の口内ケアをするには

犬の口内トラブルを防ぐには、毎日のチェックと共にケアが大切。犬の口内ケア方法を4点挙げます。

①歯磨きガム

歯磨きガムは、犬にも嬉しいケア方法の１つ。食後に与えるのが効果的です。

歯をケアするポイントとしては、犬に渡してしまうのではなく、飼い主がガムの端を持って徐々に角度を変えながら与えること。全ての歯やその溝で噛むことができると理想的です。この時、犬の口内を傷つけないように注意しましょう。また、ガムには多くの種類がありますが、素材や大きさ、硬さがそれぞれ違います。愛犬にあったものを選び、喉に詰まらせたりしないよう、目の届く範囲で与えましょう。

②歯ブラシと歯磨きペースト

人間と同じように歯ブラシに歯磨きペーストをつけて磨いていきます。歯磨きペーストは良いフレーバーのものが多く出ているので、犬の食いつきも良いのではないでしょうか。

ただ、口内に物が入ると犬はどうしても顎を動かしてしまうため、ガチガチと歯ブラシが当たりうまく磨けない場合も。360度にブラシが付いているものなら、犬が口を動かしても使いやすいのでお勧めです。

歯ブラシを奥まで入れすぎたり、口内を傷つけたりしないように注意しましょう。また、噛む力が強い子だと、歯ブラシが折れて誤飲に繋がる恐れもあるので、気をつけましょう。

③歯磨きシート

犬の歯磨きは本当に難しく、ブラシでは隅々まで磨けないという方も多いでしょう。近年多く売られている歯磨きシートなら、幾分簡単に歯磨きができます。

飼い主さんが指にシートを巻きつけて、歯茎と歯の間を優しくマッサージするように使用します。シートには僅かな凹凸があり、これが歯の汚れを掻き取ります。この時、歯や歯茎を強く擦ったり傷つけたりしないよう気をつけ、飼い主さん自身も指を怪我しないよう慎重に行いましょう。

口を触られるのが嫌いな子には少しずつ慣らしていき、きちんと褒めてあげることも忘れずに。ご褒美を歯磨きガムにするのも良いですね。

④マウスウォッシュ

歯磨きを嫌がる子、また毎日歯磨きをするのが難しいという方におすすめなのが、マウスウォッシュ。口内にシュッとスプレーしたり、指にとって塗ってあげるだけで、抗菌作用があり歯石予防に。歯磨きとプラスαで行うのが理想です。マウスウォッシュは口に入るものなので、成分をよく確認して購入したいですね。

愛犬の健康の為に

人と同じで犬も、口内や歯の健康が長生きに繋がります。少し手間はかかりますが、毎日少しでも時間を取ってケアしていきたいですね。病院で定期的に診察を受けるのも良いでしょう。犬の健康の為には、トラブルを未然に防ぐこと、早期発見することが大切です。そして、飼い主が気に掛けてあげることが、愛犬の健康と長生きに繋がるのです。