老犬に多い痙攣とは
痙攣とは、全身または一部の筋肉が自分の意志とは関係なく、急激に収縮する発作全般を差します。持続時間は短ければ数秒、長い場合でも一回あたり3分程度です。
「痙攣」と書くととても重大な病気のようですが、人間の身体でもよく起こっている症状です。瞼や顔の一部がぴくぴく動くのも一種の痙攣ですし、こむら返りなどもこれにあたります。
これらは救急で治療する必要はありませんが、てんかんの発作は救急治療の対象です。
犬の痙攣発作も人間と同様で、身体の一部がぴくぴくする程度のものから全身を激しく震わせて硬直するようなものまであります。
老犬が痙攣を起こす原因
痙攣の原因は筋肉の疲労であったり、神経への刺激であったりいくつか考えられますが、特に注意が必要なものに「大脳における神経伝達システムの異常」があります。
神経細胞は受けた刺激を電気信号や化学物質で各所に伝えますが、この刺激の伝わり方(あるいは命令の伝わり方)に異常が発生することで、筋肉が通常とは異なる動きをして「痙攣」が起こります。
これは脳自体に問題がある場合と、体内の脳以外の部分に発生している病気などによって起こる場合があります。
全身に痙攣をおこす原因となる主な病気は次の通りです。
脳機能の異常
- てんかん
- 脳腫瘍
- 脳出血や脳梗塞
- 水頭症など先天性奇形
脳以外の部分の異常
- 薬物や食物による中毒
- 腎臓機能の異常による尿毒症
- 低血糖
- 肝不全
- カリウム、カルシウム、ナトリウムなどの電解質異常
このうち、加齢に伴って起こりやすくなる病気は、
- 脳腫瘍
- 脳梗塞
- 腎不全
- 肝不全
といった内臓の機能が低下するものが多いようです。
またてんかんですが、これは遺伝が関係することが多いので、年齢を問わず発症する可能性があります。
老犬が痙攣発作が起こったときの対処法
愛犬が急にガタガタと痙攣をすると、大抵驚いて何もできないまま見ているだけになってしまいます。
しかし飼い主さんは落ち着いて、まずはケガなどをしないようにすることを考えましょう。
そのためには、まず犬の周りにある障害物を片付けるなどして、犬が体や頭をどこかにぶつけないようにしてあげてください。
また、発作が起こったことを獣医さんに説明するため、発作が起こった時間や終わった時間(継続時間)などを確認したり、様子をよく観察しましょう。
ここで注意したいのが、痙攣しているのを押さえこんだり舌をかまないようにとタオルを口に突っ込んだりしないようにすることです。
痙攣をおこしている犬は意識がもうろうとしているため、身体や頭を押さえこまれたりすると興奮して噛みついたりすることもありますし、うかつにタオルを口に入れたりすればそれを飲み込もうとして窒息する可能性があります。
- 周囲を片付ける
- 落ち着くまで様子を観察する
この二点を覚えておきましょう。
またてんかん発作の場合、突然起こっているように見えて発作の前駆症状(予兆)があります。
食欲や元気がなくなり、妙にうろうろと所在なく動き回ったりよだれを垂らしたりしている場合などはこの予兆であることもあるため、注意して観察をしてあげましょう。
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まとめ
痙攣は様々な原因から起こりますが、強い痙攣発作が起こると飼い主側もとても驚いてパニックになってしまいます。
になってから急に痙攣が起きるようになった場合は脳腫瘍などの異常から起こることが多いと言われています。定期的に健康診断を受け小さな変化を見逃さないようにしていきましょう。
万が一痙攣をおこした場合はすみやかに周囲を片付け、頭を打ってしまったり外傷ができないように注意してあげることが大切です。