老犬に多い病気ランキング7選!病気を早期に見つける方法も紹介

老犬に多い病気ランキング7選!病気を早期に見つける方法も紹介

愛犬がシニア期に入ったらどのような病気のリスクがあるのでしょうか?老犬に多い病気ランキング7選と、今から始められる病気の早期発見方法を解説します。

うちの犬は老犬?犬の年齢の目安とは 

老犬

一般的に小型犬と中型犬は9歳から、大型犬は7歳からがシニア期と言われています。犬は2歳までにほぼ体が成熟し、その後は体が大きくなるほど加齢のスピードが早くなることがわかっています。

そのため、犬全体の平均寿命は13.6歳ですが、小型犬ほど寿命が長く、大型犬ほど寿命が短くなる傾向があります。犬の年齢を知る目安として、犬の年齢を人の年齢に換算する方法があります。

次の式は、2歳以降の犬の年齢を人に換算する計算式です。

小型犬・中型犬の場合: 24 +(犬の年齢−2)X 4
大型犬の場合: 12 +(犬の年齢−1)X 7

この式によれば、小型犬・中型犬の10歳は人間でいうと56歳、大型犬では75歳となります。ぜひ、愛犬の年齢でも計算してみましょう。

老犬に多い病気ランキング7選

ベッドに伏せる老犬

動物病院のカルテデータをもとにした日本の犬の寿命と死亡原因分析によると、死因の第1位は腫瘍(がん)、第2位は循環器系の疾患、第3位は泌尿器系の疾患、第4位は肝臓・胆のう・すい臓系の疾患、第5位は神経系の疾患 です。

ここでは、老犬によく見られる病気を紹介します。

1.腫瘍(がん)

犬の死因の第1位の病気は悪性腫瘍(がん)です。がんは、細胞の異常増殖によって発症する病気で、7〜8歳では10頭に1頭の割合でがんを発症しているとも言われています。

犬の皮膚にできるしこりにより、病気に気づくことがあります。しかし、血液や骨、内臓にできるがんは食欲不振や体重減少といった気がつきにくい症状のため、飼い主による発見は難しいです。

犬のがんの中でも発症率の高いリンパ腫は、全身をめぐる血液の細胞である白血球ががん化する病気です。そのため、体のほぼすべての組織で発症する可能性があります。治療しなかった場合、ほとんどの犬が発症後4〜6週間後に死亡すると言われています。

動物病院での健康診断を定期的に行い、早期発見に努めましょう。

2.心臓病

老犬の循環器系疾患の代表は心臓病です。加齢による心機能の低下が原因で発症することが多いです。初期症状が少ないため気づきにくく、発見が遅れることもあります。

シニア期の小型犬に多い心臓病に「僧帽弁閉鎖不全症」があります。僧帽弁とは、心臓の中の左心房と左心室を仕切っている弁のことで、この弁に異常が生じることで血液の逆流が起こる病気です。

症状が進行すると、肺に血液がしみ出して肺水腫を引き起こし、呼吸ができなくなり死に至ります。完治がむずかしい病気ですが、食事の工夫や運動制限、投薬により進行を遅らせることは可能です。

愛犬が咳をする、散歩を嫌がるようになった、すぐに疲れてしまう、寝る時間が増えたなど、いつもと違う様子が気になる場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

3.腎臓病

老犬の泌尿器疾患の代表は腎臓病(腎不全)です。腎不全には、誤飲による中毒や怪我が原因の「急性腎不全」と、老化や遺伝、腫瘍などが原因の「慢性腎不全」があります。

老犬がかかりやすいのは慢性腎不全です。慢性腎不全の初期症状はほとんどないため、気づくのが難しい病気です。

多飲多尿、体重減少、嘔吐、食欲不振などの症状が出ることではじめて異変に気がつくことが多いです。気づいた時には、腎臓の機能が50%以上失われて、重症化していることもあります。発症後は腎臓の機能がゆっくりと失なわれていき、二度と機能が戻ることはありません。

7歳を超えると腎臓病の発症率が高くなります。普段から飲水量やおしっこの状態をよく観察し、定期的に動物病院で血液検査と尿検査をしてもらうことをおすすめします。

4.糖尿病

糖尿病とは、すい臓から分泌されるインスリン不足が原因でおこる病気です。血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなり、肥満や多飲、多尿の症状のほか、食欲が旺盛なのに体重の減少が見られます。

また、短時間のうちに白内障になる症状がみられることで、糖尿病に気づくこともあります。予防することは難しいですが、肥満にならないように、食事に気をつけてあげることと、散歩による適度な運動が大切です。

7歳を超えると糖尿病の発症率があがり、特に卵巣を摘出をした雌犬に発症しやすいです。糖尿病の治療は、生涯、インスリン投与と食事療法が必要になります。

5.認知症

犬の認知症は、老化や脳梗塞、脳出血、栄養障害などによって脳神経細胞や自律神経がうまく機能しなくなることで起こる脳の病気です。

11歳を過ぎるころから発症するといわれていますが、治療法はありません。犬の寿命が延びて高齢化が進んだことで、認知症の犬も増えてきています。

主な症状は、夜泣きする、昼はほとんど寝ているのに夜になると徘徊する、トイレの失敗などです。症状の改善のために、部屋の環境を整えたり、積極的な運動、日光浴、マッサージなどのスキンシップなどで対策することも可能です。

治療法はありませんが、早期に発見できれば進行を遅らせたり、症状を改善することが期待できます。

6.変形性脊椎症

変形性脊椎症とは、加齢によって変形した背骨が神経を圧迫することで痛みがでたり、手足の麻痺が起こる病気です。重症化すると、立ち上がれなくなり、寝たきりになってしまうこともあります。

シニア期に入り、背中が曲がって見える、散歩に行きたがらない、今まで平気だった段差でつまづく、背中をさわられると痛がるなどの症状がみられたら、変形性脊椎症が疑われます。

早めに気づくことで、筋肉の衰えを防ぐためのトレーニングや投薬により慢性的な痛みを管理することができます。

7.白内障

目の中にある水晶体が、タンパク質の代謝異常により白くにごることで視力が低下していく病気です。加齢や遺伝、糖尿病などが原因で発症します。早い犬では6歳頃から、多くは8〜10歳頃から症状が現れます。

発症初期は、暗くなってからの散歩を嫌がりますが、ぶつかったりつまづいたりすることがなければ、飼い主が視力低下に気がつかないことが多いです。動物病院で定期的な健康診断を受けていることで症状に気づきやすくなります。

目の中心部の一部または全体が白っぽくなり、飼い主と目が合わなくなる、段差でつまづく、ちょっとした物音に驚いたりするといった視力障害が進むと、見えない不安から攻撃的になったり、夜鳴きをすることもあります。

白内障の治療は、目薬を使って進行を遅らせるのが一般的です。しかし、完治することはなく、症状が進むのを遅らせるのが目的になります。

病気にかかりやすい犬種は?

寝ているトイプードル

愛犬の犬種がかかりやすい病気を知っておくことで、日々の健康管理に役立てることができます。

トイ・プードル、チワワ、ポメラニアンなどの小型犬は、僧帽弁閉鎖不全症になりやすいです。僧帽弁閉鎖不全症は初期症状がなく、気づくのが難しい病気です。健康診断の際に心雑音があると診断されたら、早めに精密検査をしてもらいましょう。

ゴールデン・レトリーバーはシニア期にがんを発症しやすい犬種です。定期的に健康診断を受けることで、がんの早期発見や治療開始ができます。

柴犬が発症しやすい病気は、認知症です。認知症になる前に、生活習慣や環境を整えることで、愛犬の生活の質を向上させることもできます。

歯周病や白内障、皮膚病など、犬の年齢や犬種に関係なくかかりやすい病気もありますが、愛犬の犬種がかかりやすい病気を知っておくことで、日々の健康管理に役立てることができます。

老犬の病気を早期に見つける方法

診察を受けるシーズーと女性

愛犬が老犬になってから病気に気がついた場合、病気の進行が早いと、飼い主として苦しむ犬に何もしてあげられないというのは辛いものです。

病気にならないように、普段から食事や運動に気をつけてあげることはもちろん、飼い犬の様子や行動をよく観察しておくことも大切です。

老犬の病気を早期に見つけるために、今すぐ始められる方法を紹介します。

健康診断の頻度を増やす

健康診断は1年に1回が一般的です。しかし、老犬になると病気のリスクが高くなるため、7歳以上になったら1年に2回以上定期的に動物病院を受診することをお勧めします。

例えば、がんの罹患率は4歳から増え始め、7〜8歳ではおよそ10%の割合でがんを発症しているとも言われています。また、高齢になるほどがんの発症リスクが高まることが分かっています。

定期的な健康診断により、早期発見や早期治療ができれば、病気の発症を遅らせることも可能です。

愛犬の体をさわる習慣をつける

こまめなブラッシングなど日常的なケアを習慣にして、愛犬の体をさわる習慣をつけておきましょう。毎日のスキンシップにより、愛犬は心が満たされ落ち着きます。同時に、飼い主は被毛や皮膚の様子、触って痛がるところはないかなどのチェックできます。

愛犬の健康な時の体の特徴を知っていると、皮膚の異常や腫瘍の早期発見につながります。早くに治療を開始できれば、犬の健康寿命を伸ばしてあげることができるかもしれません。

また、普段から人にさわられるのに慣れていると、動物病院での診察や検査も順調に行うことができ、必要以上に犬を緊張させません。爪切りやトリミングなど暴れると危険が伴う場合にも落ち着いていることができ、思わぬ事故を起こさずに済みます。

愛犬からの病気のサインを見逃さない

老犬がかかりやすい病気であるがん、心臓病、腎臓病、糖尿病などは、初期症状が少なく、外から見ただけでは気づくのが難しいという特徴があります。

食欲がない、元気がない、水をよく飲む、動きたがらない、ふらつく、口臭が強くなる、よだれが多いなど、老化現象ともいえる中に、重大な病気のサインが潜んでいる場合もあります。

愛犬が高齢になり、よく寝るようになると、飼い主とのコミュニケーションも減ってしまいがちです。老犬は立ち上がる時や歩く時にふらつきが見られると、あっという間に寝たきりになってしまうことがあります。

高齢だからと自己判断するのではなく、小さな変化も病気のサインかもしれないという意識をもっていることで、老犬になっても健康でいられるようにしてあげましょう。

愛犬をよく観察する

普段から食べ物や飲み水、運動習慣の管理はしていても、意識しなければ見落としていまうことがあります。

例えば、飲水量や排泄の頻度、尿の量や色など、愛犬の体調変化に気がつくには、日々の観察が大切です。いつもと違うことに気がついたら、その状況を獣医師に細かく伝えることで、病気の判断にも役に立ちます。

愛犬の観察のひとつに、歯磨きを習慣にしておくこともおすすめです。歯や歯ぐきの状態、舌の色や口臭、よだれが多くないかなど観察しておきましょう。

歯周病は犬種にかかわらず、3歳以上の犬のおよそ80%が歯周病を発症しているといわれています。そして、シニア期になるほど重症化しやすいことがわかっています。

老犬になってから、歯周病の悪化で歯石のスケーリングが必要になった場合、高齢や他の病気のリスクにより麻酔がかけられず処置できないということもあります。

歯周病が他の病気を誘発することもあるため、愛犬が若いうちから健康診断の際には歯の健康も獣医師に確認してもらうことをおすすめします。

まとめ

ゴールデンレトリバーと獣医

愛犬の年齢を人の年齢に換算してみましょう。人に当てはめて考えることで、愛犬の今の健康状態を理解しやすくなり、年齢にあったケアや環境を整えることができます。

また、シニア期にかかりやすい病気を事前に知っておくことは、日々の健康管理に役立ちます。定期的な健康診断と、愛犬との毎日のスキンシップを習慣化することで、愛犬の小さな変化にも気づけるようになります。そして何より、飼い主の愛犬への愛情と観察力が病気の早期発見につながります。

病気に気がついた時も、愛犬ができるかぎり健康的に寿命を全うできるように、最期まで寄り添ってあげる準備をしておきましょう。

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