犬を自転車のかごに乗せてもいい? 道路交通法と乗せ方、注意点を解説

犬を自転車のかごに乗せてもいい? 道路交通法と乗せ方、注意点を解説

たまに見かける犬を自転車のかごに乗せている人や、自転車に乗りながら犬を散歩させている人。それらは道路交通法上問題ないのでしょうか?そして安全面でいっても問題がないのでしょうか?それらについて調べてまとめてみました。

犬を自転車のかごに乗せても大丈夫?

自転車カゴ2匹の犬

犬を自転車のかごに乗せても問題がないのか?というと、道路交通法上でいうと問題がない、とは言い切れないのが実際のところです。

というのも自転車は車両扱いとなり、道路交通法上では自転車のかごに乗せているだけでは違法にはなりませんが、運転中に犬が飛び出したり、暴れたりして安全に運転できない状況になってしまう場合は結局違法と見なされてしまうからです。

問題がないのはどういう場合なのか?逆にどういう場合だと道路交通法違反になってしまうのか?など乗せ方や注意点を以下にまとめていきたいと思います。

不安定な自転車のかごに犬を入れるのはNG

冒頭でも述べた通り、「犬を自転車のかごに乗せる」ということ自体は道路交通法違反にはなりません。

ただしその結果、安全に運転・走行ができない状況や、歩行者や他の車両に迷惑となる行為になってしまう場合は違法となってしまいます。

道路交通法71条6号では、
「道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」という規定があることから各都道府県の公安委員会が具体的に禁止事項を想定しています。

犬をそのまま自転車のかごに入れてしまうと、犬がかごから飛び出そうとしたり暴れたりする可能性があり非常に不安定です。

そういう場合は危険であるとみなされ、道路交通法違反となる可能性が高いです。
違反とみなされた場合は、5万円以下の罰金が科せられることもあります。

犬を自転車で散歩させるのもNG

犬をかごには入れず、自分が自転車に乗り犬はリードを使って道路を歩かせて散歩させるのはよいのか?というとこれはNGです。

スマホを操作しながら、傘を差しながらの自転車の運転は安全運転義務違反となりますが、それと同様です。

犬のリードを持ち、自分は自転車で走行しながら犬を散歩させる行為は安全運転義務の「ハンドルやブレーキを確実に操作」することができないという事から、安全運転義務違反となります。

違反した場合は、刑事罰として3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられることがあります。

ペットスリングに犬を入れて自転車に乗るのもNG

自転車に乗りながらリードで犬を散歩させるのがダメなら、ペットスリングに犬を入れて自転車に乗るのはOKか?というとそれもOKとは言えません。

飼い主さんと密着した形で、犬もかごに入れられるよりは安心するかもしれませんが密着しているからこそ、犬が少し動いたりしただけでもバランスを崩し運転に影響が出てしまう為安全とは言えないからです。

そうなるとペットスリングに犬を入れて自転車を運転している場合も、安全な運転を行えないとみなされ道路交通法違反と判断されてしまう可能性もあります。

抱っこ紐やおんぶ紐なども同様に、それらを使って抱っこやおんぶした状態で自転車に乗ることは危険なのでやめましょう。

犬を自転車のかごに乗せるときの注意点

自転車カゴ足を乗せる犬

自転車のかごに乗せるという行為は道路交通法違反になるかもしれないというのは、やはり犬自身、飼い主、そしてまわりの人々への危険が多くあるからです。

どうしても自転車のかごに乗せて移動しなくてはならない、という時には必ず注意してクリアしておかなくてはいけない点があるので以下にまとめていきます。

かごの網に爪や足が引っかかりケガをする

自転車のかごといっても色々なタイプがありますが、多くは網目状のものになると思います。

その場合、その網目に犬の爪や足自体が引っかかってしまいケガをすることや、そのことによって愛犬がパニックになり暴れて、かごから飛び出して更に危険な目に合ってしまう可能性もあります。

そういったことを防ぐためにも直接かごに乗せるのではなく、マットや犬専用のかごバッグなどを使用するようにしましょう。

カゴから落ちないように注意

自転車での走行中は、平坦な道だけではなく段差やガタガタした道を通る可能性もあると思います。

その場合、自転車は大きく揺れたり傾いたりしてその拍子に犬がかごから落ちてしまうという危険があります。

いつもは落ち着いて飼い主のいう事をよく聞くような犬だったとしても、突如起きた揺れや大きな音等を経験するとびっくりしてかごから逃げ出そうとする可能性もあります。

突如飛び出して、そのまま落下した場合は骨折や打撲、出血などのケガだけではなく死亡してしまうことも。

飛び降りたり、落ちることのないよう、短いリードで動きをある程度制限したり、専用のカゴバックの中にはふたやカバーがついていたりするのでカバーやネットなどで防止しましょう。

運転自体も、段差があるところや道が悪いところはゆっくりと走行し、一度おりて自転車を押しながら進むなども気を付ける必要があります。

リードが車輪に絡まないようにする

落下防止のためにリードをつける場合、長さには気を付ける必要があります。
長いリードを使ってしまうと、そのリードが自転車の車輪に巻き込まれて事故につながる危険性がある為です。

短めのリードを使う場合も、犬が窮屈で苦しくなってしまうことのないように気を付けて調節してあげるようにしましょう。

自転車の後ろかごには乗せない

自転車のかごに犬を乗せるようの専用のカゴバックなどを使用したとしても、自転車の後ろのかごには乗せず必ず前のかごに乗せるようにしてください。

後ろだと飼い主が、飼い犬の状況を把握することが難しく何かトラブルがあってもスムーズに対応することができないからです。

自転車のかごに乗せられるのは中型犬まで

一般的には自転車のかごに乗せられる重さ、耐荷重は3㎏~10㎏と言われています。
その為、乗せられるのは小型犬や小柄な中型犬くらいまでです。

といっても柴犬なども小型犬と分類されていますが、実際には中型犬程度の大きさで10㎏前後の体重があったりすることもあるので犬種に限らず、必ず体重を計測しカゴバックに乗せても窮屈すぎたりしないかなども確認するようにしてください。

慣れないうちから遠出をしない

安全対策もして、実際に飼い犬を自転車のかごに乗せてみて大丈夫そうだと思ったとしても、最初から遠出などはしないようにしてください。

最初のうちは大丈夫でも長時間自転車のかごに乗っていると精神状態や疲労具合も変わってきてしまいます。

まずは何かあってもすぐに家に戻れるように、家の近所などから初めて少しずつ時間や距離を延ばすようにしていきましょう。目的地を飼い犬の好きな場所やお気に入りの場所にしてあげると更に良いですね。

自転車に飼い犬をのせたまま放置しない

すぐ戻るから良いだろう、と自転車を停めてかごに犬をのせたまま用事を済ませたりしたくなるかもしれませんがそれはやめましょう。

飼い主の姿や顔が見えなくなると、不安になったり怯えたりして飼い主を探すためにかごの中で暴れたり飛び出そうとしてその拍子に自転車が倒れてしまう事があります。

逆に他者が通りがかりに見つけて犬を構ったことにより、犬が興奮してしまって同様に自転車が倒れてしまう、という危険もありえます。

自転車のかごに飼い犬を放置して飼い主が離れてしまうと、事故や連れ去りなど様々な危険が起きる可能性が高まります。必ずそばで見守るようにしてください。

犬を自転車のかごに乗せて走らせるには

自転車に乗るゴーグルを付けたプードル

飼い犬を自転車のかごに乗せて走らせるためには、犬用のかごや自転車に取り付けられるキャリーバッグなどがあるのでまずはそれらを用意するようにしましょう。
以下におすすめのグッズをまとめていきたいと思います。

犬を自転車に乗せるためのおすすめグッズ

自転車に乗る女性と犬

飼い犬を自転車のかごに乗せるための必須アイテムは、まずはやはりかご用のバッグです。かご用のバッグといっても様々あるので、飼い犬のタイプや、バッグの重量、サイズ、機能性など考えて選ぶようにしましょう。

基本的には犬ファーストで、飼い犬がストレス少なく快適に乗れるかどうかということを優先に考えると良いと思います。

犬用かごにも種類があるので以下に記載しておきます。

トートタイプの犬用かご

かごに設置できるタイプのトートバッグタイプ。
かごを包囲してくれ、視界が遮られるので興奮しやすい犬におすすめです。

目的地についた後も、トートバッグとして犬を入れたまま自転車から取り外して移動することも可能です。おしゃれなものやデザイン性も多くあるので選ぶ楽しみもありますね。

キャリータイプの犬用かご

キャリータイプの犬用かごはフタが付いています。動きが激しい犬がいる場合や、飛び出しなどを防ぐためにもフタがあると安心です。

物によっては、自転車のかごに設置して使うものと、取り外し可能でキャリーバッグとしても使えるものもあります。

飛び降り防止のための機能を備えた商品もあるので、迷った場合はこのタイプを選ぶと良いのではないでしょうか。

折り畳みタイプの犬用かご

バスケット型や布製のものなど種類は色々ありますが、折りたためるタイプの犬用のカゴバックもあります。

犬を乗せないときの保管場所に困る場合は、こういうタイプのカゴバックを使うと畳んでしまっておけるので便利ですね。

犬を固定させるためのベルトが付いた商品などもあるので、折りたためるプラス機能性も考えて選ぶとよいでしょう。

リュック型のキャリーバッグ

かご用バッグではありませんが、リュック型のキャリーバッグであれば両手が空き運転に集中できるため安全です。道路交通法違反になる可能性も低いでしょう。

ただしこの場合は犬の様子を飼い主が見ることができない為、定期的に確認するなど注意が必要です。

犬用かごが最初からついているペット専用の自転車

番外編となりますが、ペットを乗せるために作られた自転車もあります。ハンドルの間にかごがあり、犬の様子を見ながら運転ができるというものです。

もちろん落下防止、飛び出し防止のためにキャリーバッグや防止リードもついています。運転自体も安全にできるように、前輪が小さめで重心が低くなっており、安定した走行をすることができます。

更に高価ではありますが、電動アシスト付きのペット用自転車もあります。

犬を自転車に乗せるなら保険に加入しよう

メガネをかけた犬と書類

犬を自転車のかごに乗せる際の危険性や注意点をまとめてきましたが、注意事項を守っていたとしても事故に合ってしまう可能性はあります。そういう時のためにも自転車保険やペット保険には加入しておきましょう。

自転車保険について

自転車事故による重大事故もおきていることから、自転車保険の加入が義務づけられている自治体もあると思いますが、義務付けられていなくとも加入しておくことをおすすめします。

自身が事故でケガをしたり、被害にあった時はもちろんですが他人にケガをさせてしまったり万が一死亡させてしまったりした場合は、高額な損害賠償が求められることも少なくありません。

保険会社や内容によっては、示談交渉の代理をしてくれない場合もあり、自転車で犬を散歩させていた場合には保険金が支払われないものもあるので、契約前に補償内容をしっかりと確認するようにしましょう。

ペット保険について

ペット保険に関しても、犬は人間と違って健康保険が適用されないので医療費は高額になりがちです。

事故にあってもお金の心配をすることなく病院に連れていけるように、最善の治療を受けさせてあげるようにするためにもペット保険の加入も検討しておきましょう。

万が一のため、いざというときのためのペット保険も飼い犬と自分の状況に合わせて最適なものを比較検討して選ぶようにしましょう。

https://pet-hoken-hikaku.jp/

上記のサイトを使うと簡単に保険の比較検討できるので、もしまだ加入していない方はこのサイトから検索して自分と飼い犬に合った保険を見つけてくださいね。

まとめ

ヘルメットとゴーグルの犬

飼い犬を自転車のかごに乗せて走行しても大丈夫なのかをまとめてみましたが、様々な危険や注意事項があることがお分かりいただけたかと思います。

ただ自転車のかごに犬を乗せているだけでは、道路交通法違反にはなりませんがその乗せ方や運転の仕方、状況によっては違反となってしまい罰則が与えられてしまいます。

自転車のかごに乗せる時は、我が家の犬はしつけがしっかりしているから大丈夫だろうと思ったとしても、不慮の出来事で危険なことになったり事故に繋がったりしてしまう可能性があることを理解していただけたかと思います。

どうしても飼い犬を自転車のかごに乗せて移動する必要がある場合は、注意事項をよく守り安全運転で交通ルールを守って走行するようにしましょう。そしてまずは何よりも大切な飼い犬の安心安全を第一に考えていきたいですね。

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