ユリナリーS/Oってどんなドッグフード?
ロイヤルカナンの動物病院専用の療法食「ユリナリーS/O」は、尿石症のワンちゃんに使用するドッグフードです。ユリナリーS/Oシリーズはいくつかのラインナップがあり、通常の「ユリナリーS/O」に加え、より嗜好性を高め、粒が小さく小型犬に向いた「ユリナリーS/Oスペシャル」、体重過多のワンちゃんに配慮した「ユリナリーS/Oライト」、食物アレルギーのワンちゃんにも適用できる「ユリナリーS/O+低分子プロテイン」があります。
尿石症ってなに?
尿石症とは、ワンちゃんの泌尿器(膀胱や尿道、腎臓、尿管)に結石が作られる病気で、中には結石の影響で、血尿を起こしたり、場合によっては尿路を塞いでしまい、尿が出せなくなることもある、危険な病気です。
尿石症にはいくつかの種類がありますが、ワンちゃんで多い尿石症は「ストラバイト尿石症」と「シュウ酸カルシウム尿石症」です。どちらも尿中のミネラルが濃縮されることで形成されてしまう結石で、それには食事中のミネラル成分が大きく関わっていると考えられています。
「ストラバイト尿石症」は、主にマグネシウムがその結石の形成に関わってくるため、ユリナリーS/Oではそのマグネシウム成分を抑えることで結石の形成を予防することができます。
さらにストラバイト尿石症では、手術をしなくても食事によって尿を酸性にすることで一旦できてしまった結石を溶かすことができます。ユリナリーS/Oはもちろん、ストラバイト尿石症を溶解する作用を持っています。
一方、シュウ酸カルシウム尿石症は、その名前の通りカルシウムが主成分となる尿石症ですが、こちらは一旦できてしまうと溶かすことができませんので、もし結石が大きくなった場合には手術による摘出が必要です。
ユリナリーS/Oをはじめ、シュウ酸カルシウムに配慮したドッグフードは、あくまでも結石が形成されにくくするためのものですので、注意が必要です。
つまりユリナリーS/Oは「ストラバイト尿石症」に対しては、溶解(=治療)および予防に効果があり、「シュウ酸カルシウム尿石症」に対しては、予防に効果があります。
ユリナリーS/Oを使うときの注意点は?
ユリナリーS/Oシリーズは、そのミネラル成分のバランスと尿pHを調整することで治療や予防効果を発揮します。ですので、それ以外のミネラル成分がワンちゃんの体に入ってしまうと、ユリナリーS/Oの効果が薄れてしまいますので、原則的には、ユリナリーS/Oを使用している間は、ユリナリーS/Oとお水以外のものは、一切口にしないようにしてください。もちろんおやつも厳禁です。
また、その効果を確かめるために定期的な尿検査が必要になりますので、必ず動物病院に相談しながら使用するようにしてください。
お水は尿石症において非常に重要です。水分が少ないと尿中のミネラル分が濃縮され結石が作られやすいので、いつでもたっぷり飲めるようにしてあげてください。
また、ユリナリーS/Oは水分摂取を促すように作られていますので、これまでのフードよりもお水を飲む量が増えます。あまりにも多いときは動物病院にご相談いただきたいのですが、十分な飲み水といつでもおトイレにいける環境作りをお願いします。
ユリナリーS/Oシリーズは特別に調整されたドッグフードです。基本的には長期的に使用しても栄養学的には問題にならないのですが、妊娠中や授乳中のワンちゃんに対しては不足する栄養素があるため、基本的には使用できません。
また心臓病や腎臓病を患っているワンちゃんにも使用を控えた方が良いことがあります。さらには膵炎や高脂血症(コレステロールや中性脂肪の数値が高い病気)など他にも食事を制限したい病気があるため、ユリナリーS/Oの使用にあたっては、十分に獣医師と相談の上、使うようにしてください。
最後に
ユリナリーS/Oシリーズの使い始めで、もっとも飼い主様から聞く声が「おやつをあげられないのはかわいそう」というものです。しかし、安易におやつを与えて、さらに尿石症で苦しむ方がかわいそうです。
中には、うまくおやつも使えるワンちゃんもいますが、あくまできちんと獣医師の指導を仰いだ上で使わないと、獣医師も「ユリナリーS/Oを使っているのに、尿石症の管理ができない」と勘違いして、余計な治療を行うことにもなります。
尿石症に限りませんが、治療は何事もワンちゃん、飼い主様、動物病院の3つがしっかりとコミュニケーションを取りながら行うことが重要です。ユリナリーS/Oもただただ使っていれば、治療できていることにはなりませんので、くれぐれも動物病院としっかりと連携をとりながら使うようにしてください。
ユーザーのコメント
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40代 女性 momo
私の知り合いのワンちゃんでも「ストラバイト尿石症」と診断された子が沢山います。やはり獣医さんからPHコントロールを勧めてもらったそうですが、今回そのシリーズに体重管理に配慮したものや、アレルギーに配慮したものがある事を知り、それぞれの体質によって選べるのは良い事だと思いました。ただ、「ストラバイト尿石症」は食事内容によって溶かすことが出来ても、「シュウ酸カルシウム尿石症」の方は大きくなってしまった結石は手術で摘出する必要があるということで、早めに予防する重要性を感じました。また、PHコントロールを使用中は、お水以外はおやつ等も厳禁ということを飼い主がしっかりと理解して、きちんと治していかなければいけないと思いました。 -
20代 女性 さくらんぼ
元動物看護師です。
PHコントロール、PHコントロールライトはフードの粒が少し大きめなため、チワワなどの小型犬には食べづらいという相談がありました。
フードの粒が大きい場合は、フードをふやかして与えてみて下さい。
その他PHコントロールスペシャル、低分子+PHコントロールは小粒で小型犬でも食べやすいです。しかしPHコントロールに比べると値段が少し高い傾向にあります。
どのフードにしても動物病院で扱っている療法食は市販フードに比べ値段がとても高いです。
市販のフードでも下部尿路結石に配慮!と書かれたフードがあり、値段の都合から、そちらに変えてしまう飼い主さんがいます。
しかし、市販のフードは結石が出来ないところまでマグネシウム等を少なくはしていないので、また必ず結石が出来てしまいます。
それによりまた一から治療が必要になってしまった犬が病院によく来ていました。
愛犬に辛い思いをさせてしまっては元も子もないですので、自己判断せず必ず動物病院に指定されたフード以外は与えないように気を付けましょう。
それから、ミニチュアシュナウザー、シーズーは結石が出来やすい犬種ですので特に注意が必要です。
結晶のうちに発見し、フードを使って治療が出来れば一番良いのですが、中には結石が膀胱内でとても大きくなりレントゲンの撮影で発見されることもよくありました。
そこまで大きくなってしまった場合は手術により摘出するしかありません。
尿のトラブルは命に関わります。
一日以上、尿が出なければ尿毒症になり亡くなってしまいます。
頻尿でトイレの回数が多い、尿に血が混ざるなど、異変に気付いたら早めに動物病院へ行き、必ず尿検査を受けましょう。 -
女性 mocmoc
pHコントロールは愛犬が尿結石の時にお世話になったフードです。ヒルズのc/dとロイヤルカナンのpHコントロールのどちらかを指定されたので、試食をさせてもらったところ、どちらも食いつきはいまいちでしたが、ロイヤルカナンの方を食べる感じがあったのでこちらにしました。
粒はやや平ったく、小型犬には少々大きいかもしれません。うちのシーズーには少し砕いてから与えていました。流石に調整されたフードなので美味しいものではないようです。
食べさせてから3~4日ほどで便秘気味になってしまいました。野菜などを食べさせてもいいか尋ねたところ、基本はこのフードだけにしないといけないとのことで、1週間ほど様子をみましたが便秘がますます酷くなってしまったので一度断念しました。
水分が少ないからかもしれないと、pHコントロールの缶の方に変更しましたら、これは開けて衝撃です。白いボソボソした硬めのフードでした。柔らかくはなく、手で団子にしようとしてもまとまらない、まるでコーキング剤のようなものでした。明らかに食べるものには見えない…。ですがこれは犬の好みにもよるかもしれません。食べてほしい愛犬は拒否しましたが、なんの問題もない愛犬に一口出してみたところ、喜んで食べてしまいました。
最終的に、数日置きに療法食、通常フード、療法食、手作り食と切り替えて与える方法になりました。
尿結石用のフードは調整されているので、他の食べ物や水以外は口にしてはいけないので、続けていくのが一番難しい療法食かと思います。
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女性 ポメ
うちはミニチュアシュナウザーを飼っていますが、犬種的に尿石症はなりやすいといわれています。今は特に問題はありませんが、塩分や水分不足、予防できることはしていきたいと思い、できる限り気を使っています。Phをコントロールできるフードがあることはこちらの記事で初めてしりましたが、十分な効果をだすためには注意することもあるんですね。たしかに、普段間食をしているわんちゃんですとお菓子をやめるのはかわいそうと感じたり、わんこからもおねだりをされることはあるかと思います。ですが、まずは健康第一。病気をしっかりと治して、苦痛のない日々を過ごしてほしいです。間食の楽しみの代わりとして、普段のフードをコングのワブラーなどで楽しく時間をかけて食べてもらうようにするのはいかがでしょうか。時間も頭も使いますし、ゆっくりたべることでわんこの満腹感にもつながるかもしれません。尿石症、うちのわんこにもいたい思いや辛い思いはなるべくしてほしくないので、おかしいなと感じたらすぐに獣医さんに相談するようにします。 -
50代以上 男性 ビーグルバニラ
ビーグル8歳位で頻尿で膀胱炎と診断され抗生剤を処方されましたが一時的には回復するが同じ症状を繰り返し獣医師にPHCを紹介され以来ずっとです。確かに水はよく飲みますオシッコもいっぱいします。便は快便を維持しております。13歳を超えました。衰えていないので健康を維持してると思うし継続します。 -
50代以上 女性 SUSU
ロイヤルカナンは動物病院に行けば必ずといっていいほど目にするメーカーであり、プレミアムフードとしても有名な会社ですね。その中でも処方食はその種類の多さもあって、症状に悩んでいるワンコであれば一度は試したことがあるメーカーだと思います。
愛犬と誕生日が近く、パピーの頃から共に成長してきたシーズーの女の子が5歳を過ぎた頃から膀胱炎に悩むようになり、ストラバイト尿石症と診断されてしまいました。小さい頃からとにかく水をあまり飲まない子で、愛犬と一緒に散歩をして同じ距離を歩いていても水を欲しがっているところをほとんど見ないほど、水分を取ろうとしない子でした。ワンコは水から進んで水分を取るといった考えはありません。予防という意味においては、健康なうちから水分を取らせるように、水道水以外の方法(骨の出汁など)も視野に入れて対策を考えていく必要があるのだと思います。
そのシーズーさんは、獣医さんからとにかく水分を多目に取らせること及び処方食として記事にあったロイヤルカナンのPHコントロールを食べることを指示されたとのことでした。
ただ、このフードがあまり好きではないようで全然食べてくれないと飼い主さんが嘆いていたのを覚えています。獣医さんより、このフードは水をたくさん飲んでもらえるように塩分を強めにしてあるとの説明があったとのことで、辛すぎるといった理由で食べてくれないワンコも多いのだそうです。
人間の尿路結石症もシュウ酸カルシウムを含まない水道水、麦茶、番茶といったもので水分摂取をすることが大事と言われていますが、これはワンコにとっても同じなのだと思います。ドライフードの塩分を強めにして水を飲んでもらうといった発想も一理あるとは思うのですが、もう少し自然な形で飲めるように出来たらいいのになぁと思ったのを覚えています。
このフードの原材料を確認したところ、原材料トップに米、次にコーンフラワーと表記されており、穀類の割合が多いことが分かります。穀類アレルギーがある子には注意が必要です。
また、これは今回の記事にあった処方食だけでなくロイヤルカナン全体として言えることだと思いますが、自然由来の成分ではなく科学的、人工的に作られた成分、添加物で栄養をコントロールしているといった傾向が見られます。多くの添加物を配合することにより総合栄養食としての栄養バランスを成り立たせています。
その意味においては、尿石症などといったある症状に特化したフード、ある程度の効果を目指せるフードを作りやすいといったメリットもあるのだと思います。ただ、このフードだけを一生、食べ続けることは、穀物に対するアレルギーや発ガン性の高い危険な合成添加物を摂取し続けることによって尿石症の他の症状を起こすリスクも考えてしまうのが正直なところです。
ロイヤルカナンの処方食は一定の効果が認められています。その意味においては優秀なフードだと思います。原材料としては引っ掛かるところはあっても、症状を抑えるためには致し方ないのだと思います。
症状がないのであれば長く続けたいフードではないが、自己判断は危険ですので、症状が落ち着いたらフードを切り替えるといった際には獣医さんと相談をしながらといった方法が安全なのかなと考えています。
なお、先述したシーズーの子はFORZA10の療法食に変更し、パテタイプの食事をトッピングしたことで自然に水分を取ることに成功したようです。 -
女性 Melon
こういったドッグフードの記事が読めて、とても助かります。我が家の犬は現在特定のお気に入りのフードがあるのですが、犬関係の仕事をしている友人から「6か月くらい経ったら、ドッグフードを変えていくとアレルギーが減るよ」と教えてもらい、目からウロコでした。アレルギーのことも心配ですが、毎回毎回同じものでは愛犬も飽きてくるかなと思うので、いろいろなものを選んで食べさせてあげるのも良いのかもしれないと思い、現在フードについていろいろとリサーチをしています。ロイヤルカナンも名前は聞いたことがありますが、まだ食べさせたことはありません。尿石症は犬にとってもとても辛い症状だと思います。このpHコントロールはきちんと食べさせることができれば、かなり効果がありそうですね。犬友達にも教えてあげたいと思います。
おやつについてですが、ユリナリーS/Oシリーズには食事療法中にも与えることのできるトリーツもあります(ユリナリーS/O トリーツ)。また、ヒルズ社の製品にも尿石症のために食事療法を行っている犬に与えることのできるトリーツがあります(ヒルズのプリスクリプション・ダイエット™(特別療法食) <犬用> トリーツ)。
≪ユリナリーS/O トリーツ≫
≪ヒルズのプリスクリプション・ダイエット™(特別療法食) <犬用> トリーツ≫
また、この記事でも説明されているように、尿石症のコントロールには飲水が非常に重要となります。お水をできるだけ頻繁に変えたり、置いておくお水の数を増やしたりして飲水を促すこともできますし、療法食もドライフードではなく缶詰やウェットパウチ製品を用いると食事中の水分を多くすることができます。
ユリナリーS/Oシリーズのウェット製品には、ユリナリーS/O ウェット缶とウェットパウチ、ユリナリーS/O ライト ウェットパウチがあります。