犬用の歯ブラシは人間用で代用してもいい?
犬用の歯ブラシは、人間用で代用してもいいのでしょうか。結論からいうと、代用しても大丈夫です。どうして大丈夫なのか、詳細を解説していきます。
犬の口や歯のサイズに合えば代用可能
人間用の歯ブラシでも、犬の口や歯のサイズに合えば代用可能です。というのも、犬用歯ブラシも人間用歯ブラシも、基本的には同じ材料が使われているからです。
一般的に、ナイロン・ポリエステルなどの人工毛や動物毛、飽和ポリエステル樹脂などが歯ブラシの毛の部分に用いられます。これは人間用でも犬用でも同じなので、犬用歯ブラシとして人間用を代用できるというわけです。
ただし犬用歯ブラシと人間用歯ブラシでは、ヘッドのサイズや毛の形状に違いがあります。犬と人間では歯の形も口内の構造も違うので、当然といえますね。ですが人間用歯ブラシが愛犬の歯や口に合う場合は、無理に犬用歯ブラシを使うより綺麗に磨けるかもしれません。
人間用の歯ブラシを使うメリット
犬の歯磨きに人間用の歯ブラシを使うメリットは、3つあります。
ひとつは、小型犬に適した歯ブラシが見つかりやすいということです。ペットショップなどで販売されている犬用歯ブラシの多くは海外製となっています。日本よりも大型犬の割合が多い海外では、犬用歯ブラシも大型犬用が多いのです。
人間用の歯ブラシであれば子供用や歯間ブラシなど幅広い商品があるので、小型犬用や子犬用の歯ブラシが簡単に見つかります。
ふたつめは、犬用歯ブラシよりも人間用歯ブラシが安いということです。ペットグッズは総じて高い傾向がありますが、人間用歯ブラシは100円~200円程度で購入できます。
歯ブラシは清潔であることが重要ですから、頻繁に買い替えやすいのは大きなメリットですね。
みっつめは、スーパーやドラッグストアで購入できることです。わざわざ遠方のペットショップに足を運ばなくても、食材の買い出しついでに調達できるので便利です。
人間用の歯ブラシを使うデメリット
人間用の歯ブラシを使うデメリットは、合わなかった場合綺麗に磨けないことです。
愛犬の歯や口内の形状に代用歯ブラシが合わなければ、磨き残しが出る可能性があります。また愛犬の歯や口に対してヘッドや柄が大きすぎると、歯磨きに痛みを伴うこともあるでしょう。
傷みがあると、歯磨きすること自体を嫌がってしまいます。抵抗することで飼い主も磨きにくくなり、歯磨きに時間がかかる、怪我のきっかけになるということも考えられます。
このように、犬の歯磨きに人間用歯ブラシを代用する場合は、愛犬に合っていることが最も大切なのです。
犬用歯ブラシの代用で人間用の歯ブラシを選ぶ時のポイント
犬用の歯ブラシの代わりに人間用の歯ブラシを選ぶ時に、重視すべきポイントを解説します。ポイントを抑えることで、前述したデメリットをできるだけ避けることができるでしょう。
以下のことに着目して、愛犬の口のサイズや歯の構造に合う歯ブラシを見つけてみてください。
歯ブラシのヘッドは口のサイズに合わせる
人間用の歯ブラシを犬用に代用するときは、口のサイズに合ったヘッドを選びましょう。ヘッドが大きすぎると、口内や歯茎を傷つけてしまったり、痛くて犬が嫌がってしまうことがあるためです。
基本的には、愛犬の前歯2、3本分程度の大きさであればいいでしょう。試しに、歯ブラシを愛犬の口の端から差し込んでみると分かりやすいです。引っ掛かりなく入るようであれば、ちょうどいいサイズといえます。
大型犬は人間用歯ブラシをそのまま使えることが多いですが、小型犬は大きすぎる場合があります。その際には、子供用の歯ブラシを代用するのがおすすめです。
歯ブラシのヘッドは丸いものを選ぶ
大きさだけでなく、ヘッドの形も重要です。個体差がありますが、一般的には四角いヘッドより丸形のヘッドの方が動かしやすく、犬の口内を磨きやすい傾向があります。
またフラットな形のヘッドよりも、やや反り気味な形の方がベターです。とくに小型犬は口内が狭いので、角のあるヘッドは痛みを伴う場合があります。なるべく口内を刺激しないような、丸くて薄いヘッドを選びましょう。
歯ブラシの柄は口のサイズに合わせる
人間用の歯ブラシを犬用に代用するときは、柄を口のサイズに合わせることも大切です。
まずは犬への負担を減らすために、細身の柄を選びましょう。犬の口に対して太いものだと不快感があり、歯ミガキを嫌いになってしまう恐れがあります。とくにヘッド周辺の柄が細いものがベターです。
歯ブラシの柄の長さは、飼い主の磨きやすさにも影響します。大型犬には、奥歯までしっかり磨けるよう長めの柄がおすすめ。小型犬は長すぎると喉を付いていしまう可能性があります。また短い柄の方が、飼い主も手を動かしやすいでしょう。
また人間用歯ブラシには、柄が直線的なものとカーブが付いたものがあります。どちらも犬の負担にはあまり影響しないので、飼い主の磨きやすさで選ぶといいです。
歯ブラシの毛の形は犬の状態によって選ぶ
歯ブラシのブラシ先端にはさまざまな種類があるので、愛犬の歯の状態に合わせて選びましょう。
代表的な毛の形は3つあります。
ひとつめはラウンドカットと呼ばれる、毛先が丸くてフラットな歯ブラシです。フラットな分歯の広範囲を磨けるので、歯垢が付いている犬におすすめです。ただし歯肉には刺激が強いので、歯周病がひどい犬には向きません。
ふたつめはテーパードと呼ばれる、毛先が細くなった歯ブラシです。細かい部分の汚れをかきだせる上、歯肉にも程良いマッサージ効果があります。デメリットとしては、ラウンドカットほど歯垢に強くないことが挙げられます。
みっつめはスーパーテーパードと呼ばれる、極細タイプの歯ブラシです。こちらはテーパード以上に細い毛なので、歯周病が進み歯周ポケットが深い犬におすすめです。
歯ブラシの毛が柔らかいものを選ぶ
人間用の歯ブラシを犬用に代用するときは、歯ブラシの毛が柔らかいものを選びましょう。
ブラシの毛が硬いと、犬が歯磨きに抵抗を感じるようになる可能性があるからです。また硬い人間用歯ブラシを使用していることで、歯茎や歯のエナメル質にダメージがかかります。歯肉炎や知覚過敏の要因となるので、なるべく柔らかい歯ブラシがおすすめです。
市販されている犬用歯ブラシは、シリコン製やヤギの毛、ウマの毛など非常に柔らかくできています。人間用歯ブラシで代用するにしてもそれは同じ。とくに犬のエナメル質は人間よりも脆いので、硬すぎるブラシは避けましょう。
子供用電動ハブラシでも代用できる
実は犬用歯ブラシは、子供用電動ハブラシでも代用できます。細かく磨くのが難しいときは、子供用電動ハブラシを選ぶのもひとつの手です。
電動ハブラシの回転するような振動は、犬の歯にとても適しているのです。成人用電動ハブラシはやや強すぎることがありますが、子供用であれば優しい振動で歯を磨けます。
ただし音に驚いて歯磨きを嫌がる場合があるので、愛犬の様子を見ながら試してみましょう。
犬に人間用の歯ブラシを代用して歯を磨くコツ
犬に人間用の歯ブラシを使って歯磨きする時のコツを解説します。
あくまで代用品での歯磨きなので、犬用歯ブラシを使うとき以上の配慮が必要です。
またコツをつかむことで、人間用の歯ブラシでも綺麗に磨けるでしょう。
異なる種類の歯ブラシを併用する
いくつかの歯ブラシを併用すると、より確実に磨くことができます。人間用歯ブラシが犬の歯磨きの代用になるとはいえ、人間用歯ブラシでは磨けないような細かな隙間もあるためです。
例えば大型犬であれば、成人用の歯ブラシの他に子供用歯ブラシがあると便利でしょう。狭い歯間やブラシが当てにくい歯の内側などが磨きやすくなります。
犬の口や歯のサイズに合わせて歯ブラシの毛先をカットする
人間用の歯ブラシを代用して犬の歯磨きをするときは、歯ブラシの毛先を整えてあげると口に合いやすくなります。
人間用歯ブラシを犬に代用するときに、ブラシ(毛)の形状がポイントになることは前述しました。どうしても愛犬の口や歯に人間用歯ブラシが合わないなら、カットしてしまうという方法があります。
毛の長さが長すぎるという場合は、毛先を全体的にカットして犬の口に合わせましょう。奥歯を磨くときにも口内に入りやすくなり、不快感が減少します。
また面積が大きすぎるブラシであれば、ブラシの一部を抜くのもおすすめです。この方法であれば、成人用歯ブラシを小型犬に使うことも可能です。ただし奥歯まで磨けるように、ブラシの下部を抜くようにしましょう。
歯ブラシの毛先はよく濡らしてから優しく磨く
歯ブラシの毛先はよく濡らしてから優しく磨くと、愛犬の負担が減ります。
人間用歯ブラシと犬用歯ブラシの大きな違いとして、ブラシの柔らかさが挙げられます。基本的には人間用歯ブラシの方が硬いので、犬の負担になることがあるのです。そこで水で濡らしてから磨くと、チクチク感がなくなり受け入れてもらいやすくなります。
また人間と同じように、優しく磨くのも大切なコツです。強くこすって汚れを落とすのではなく、柔らかくマッサージするような形で磨きましょう。ブラシが多少硬くても、ダメージを受けにくくなります。
犬の歯磨きを人間用のグッズで代用する場合の注意点
犬用と人間用の歯ブラシに大きな差がないからといって、人間用のグッズがすべて安全に代用できるとは限りません。犬の歯磨きをする時に人間用のグッズを取り入れる時は、以下のことに注意しましょう。
人間用の歯磨き粉は使わない
人間用歯磨き粉は犬にとって有害なので、使用しないようにしましょう。多くの歯磨き粉にはキシリトールが含まれますが、このキシリトールが犬によくないと言われているためです。
具体的にはキシリトールを多量に摂取することで、インシュリンが過剰分泌されます。これにより低血糖を起こすので、犬には使ってはいけません。
低血糖を起こした犬には嘔吐や元気喪失が見られますが、最悪の場合は痙攣を起こすこともあるのです。さらに低血糖を放置すると、肝機能にトラブルが起こる可能性もあります。
キシリトールが含まれない歯磨き粉もありますが、歯磨き粉には多くの合成添加物が入っているとされます。そもそもキシリトールは犬のオーラルケアにさほど効果がありませんので、人間用の歯磨き粉をあえて使用するメリットはないといえるでしょう。
犬に合わない時は無理せず犬専用の商品を使う
代用の人間用歯ブラシが犬に合わない時は、無理せず犬専用の商品を使いましょう。人間用歯ブラシは、値段が安く飼い主も扱いに慣れているのがメリットです。ところがそれだけを重視して使用すると、きちんとした歯磨き効果が得られません。
口や歯に合わない歯ブラシは効率よく磨けないだけでなく、犬が嫌がり歯磨き嫌いになる場合もあります。
せっかく頑張って歯磨きしても歯周病予防につながらない場合もあるため、人間用の商品を代用品としてうまく使えない時には、無理せず犬用の商品を使用すべきなのです。
歯ブラシが苦手な犬にも使えるおすすめの代用品
歯ブラシが苦手な犬には、スティック型ではないデンタルグッズを使うのもおすすめです。これらのデンタルグッズでストレスなくオーラルケアできれば、愛犬も飼い主もとても楽になるでしょう。
以下にいくつか紹介するので、愛犬に合ったものを見つけてみてください。
指サック型歯ブラシ
指サック型歯ブラシは、名前の通り指サックのような形状のデンタルグッズです。
飼い主の指にはめて、指先の凹凸を使って磨きます。細かいところが磨きやすく、汚れを落とすことに長けたタイプです。多くはシリコン製で柔らかいので、犬の口内を傷める心配が少ないです。
ただしこのタイプは指から外れやすい小さいものもあり、犬が誤飲するリスクがあります。特に大型犬に使用する場合は注意が必要です。誤飲トラブルを防ぐために、グリップや滑り止め機能が備わっているものを選びましょう。
噛む歯磨きおもちゃ
噛む歯磨きおもちゃは、遊びながら歯磨きできるデンタルグッズです。
代表的なものだと、ロープやラバー製のトイ、蹄や骨などがあります。歯の表面の汚れや歯石を落とすためのグッズですが、犬が遊びながら使えるのが何よりメリットでしょう。
一方で、あくまで犬がひとりで使うものなので、磨き残しが起こりやすいというデメリットがあります。愛犬がよく使う歯はしっかり磨けても、おもちゃが当たらない歯は磨けないということになりやすいのです。
ですので基本的には飼い主の手による歯磨きをメインとし、おもちゃは補助グッズとして使うのがいいでしょう。
デンタルシート
デンタルシートは、歯磨き成分を含ませたシート状のデンタルグッズです。
飼い主の指に巻き付けて使うので、汚れがたまりやすい場所をしっかり磨けるというメリットがあります。また力加減を弱くすれば歯茎のマッサージもできて、犬に負担をかけにくいのも魅力です。
シートなので頑固な歯垢を削り落とすような働きは難しいですが、予防としての歯磨きには非常に向いています。シートを使うとはいえ飼い主の指で磨くので、歯垢や腫瘍など口内トラブルに気が付きやすいというメリットもあります。
犬が歯ブラシに慣れるための練習や、飼い主自身が歯磨きに慣れるために使うのもおすすめです。
まとめ
犬用の歯ブラシは、人間用歯ブラシで代用できます。人間用歯ブラシはコストも低く、犬用と比べて入手しやすいというメリットがあります。愛犬の口に合う歯ブラシを選べば、犬の歯磨きに問題なく使うことができるでしょう。
ただし犬の口や歯に合わない場合、きちんと磨けなかったり、口内を傷つけてしまう恐れがあります。人間用歯ブラシで代用したい場合は、毛が柔らかいものやヘッドの丸いものを選びましょう。
また歯ブラシが苦手な犬には、指サック型やシート型など、他のタイプのデンタルグッズもおすすめです。愛犬に合った歯ブラシで、お口のトラブルを防ぎましょう。