わんちゃんの臭いの元になる3つの原因とその対策方法

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口臭や体臭など、わんちゃんの臭いがきつくて困っているという飼い主さんはいませんか?今回はわんちゃんの臭いの原因について、獣医師の視点から解説し、その対策方法をお伝えします。

わんちゃんの臭いの元

わんちゃんの臭いの元は何でしょう?大きく分けて3つあります。
1つ目は口臭、2つ目は体臭、3つ目は肛門腺の臭いです。

あ、たまにうんちが毛についたりして、臭いがすることもありますが(特に長毛種を飼っていらっしゃる飼い主様が気付かれないことが結構あります^^;)、今回は含めずにいきます(笑)

口臭の原因と対策

まず1つ目の口臭。
この原因のほとんどが「歯石」が原因です。ではその歯石とはなんでしょうか?

もちろん歯垢がミネラル成分で固まった、それこそ石のようなものですが、実は歯石というのは口腔内細菌の塊でもあり、口臭の正体はこの口腔内細菌によるものなのです。


歯石は口腔内細菌の塊です

ですので、口臭を改善させるためには、この口腔内細菌を抑えることが必要のなのですが、口腔内細菌は、歯の表面に付着している歯石だけでなく、歯と歯茎の間、つまり歯周ポケットにも潜んでいます。ですので、口腔内細菌の治療は、単に歯石を取るだけでなく、歯周ポケットへのアプローチも必要になります。

そして、その歯周ポケットへのアプローチは、わんちゃんの場合、どうしても全身麻酔での処置が必要になります。
ここ近年、麻酔をかけないスケーリング(無麻酔スケーリング)を行っているサロンや動物病院をみかけますが、無麻酔スケーリングでは、歯周ポケットを完全にケアすることができません。実際に私の病院には、数年間、定期的に無麻酔スケーリングを行い、表面上の歯石を除去していたわんちゃんが、最近は無麻酔スケーリングをしても口臭が改善しない、ということで来院されることがあります。


スケーリングをしても口臭が改善しない場合は、歯周病の疑いも

そういう場合は、必ず歯周ポケットが細菌に冒されているため、抜歯を余儀なくされてしまいます。もちろん抜歯をすれば歯周病はもちろん、口臭も改善します。ですので、たかが口臭といえど、ほとんどの場合は歯周ポケットを含めたケアが必要な状態ですので、ぜひ全身麻酔での処置を検討なさることをオススメします。

体臭の原因と対策

次に体臭ですが、これは皮膚の皮脂や古くなった角質、皮膚に付着した汚れから発生します。
そしてその皮脂や角質の成分は、ほとんどが脂質(コレステロールなど)です。脂質は皮膚からはがれ、空気に触れると酸化して、臭いを発するようになります(料理で使う油も時間が経つと臭いがしますよね。それも同じ酸化です)。

ですので、体臭を改善させるには、それらをしっかりと洗い流すことが必要です。しかし、ここで注意していただきたいのは、あまりに洗浄力の強いシャンプーを使うと、皮膚を刺激してしまい、逆に皮脂の分泌を強くしてしまうことがあります。ですので、シャンプーは低刺激シャンプーを使い、べたつきが強い場合は、そのシャンプーで2度洗いするようにし、さらにシャンプー後には必ず保湿剤を使うようにしてください。

また、皮膚の代謝を改善させることで、体臭が改善することもあります。
特に食事は、その栄養の実に30%が皮膚の代謝に利用されますので、皮膚にとって良い食事をとることが、体臭改善にもつながります。ですので、体臭対策としてはシャンプーと食事がオススメです。ただし、どのシャンプーやどの食事が良いかは、わんちゃんそれぞれですので、ぜひ動物病院で相談してみてください。

肛門腺の臭いの対策

あと3つ目の肛門腺は、直接絞ってあげることで解決します。
うまく絞れない方はペットサロンや動物病院で処置してもらってください。

肛門腺は、本来はマーキングに利用したり、スカンクのおならのように、敵から逃げるために使われたりするものだと言われています。しかし、今のペットとしての生活スタイルでは、そのように肛門腺を使うことはまずありません。

また小型犬は、中型犬や大型犬に比べて、肛門腺がたまりやすい傾向にあるようです。ですので場合によっては定期的に絞ってあげる必要があります。目安はお尻をこするような仕草をしたときです。

最後に

このように、わんちゃんの臭いは、きちんと対策することができます。また口臭のように、臭い対策がわんちゃんの健康を維持することに役立つこともあります。
ぜひ積極的にわんちゃんの臭い対策に取組んでみてくださいね。

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執筆ライター
動物病院に勤務している獣医師です。病気や予防、獣医師としてお勧めしたい犬用品情報や、日頃飼い主さんから頂いたご質問や、病気の症例とその治療方法などをご紹介した…