季節ごとに注意すべき愛犬のお手入れや病気について【獣医師監修】

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

ジメジメとした梅雨の時期など、湿度の高い時は私達人間と同じように、皮膚があまり強くないワンちゃんも大の苦手です。とりわけ皮膚が柔らかい部分、お腹周りや顔周り、または首元などに症状が出やすいです。今回は、愛犬にとって四季折々注意すべき点を紹介します。

お散歩から帰ってきたら、愛犬の身体を隅々まで良く拭いて、さらにシャンプー後も洗い残しや、乾き残しに注意しましょう。

それとともに、皮膚が弱いワンちゃんは、耳のトラブルを発症していることもあるので、悪臭がひどかったり汚れたりしていないか、愛犬の耳の中を一定期間ごとにチェックして、確認することが大事です。

シーズンごとのトラブルで注意すべきこと

以下に記している『特に注意したい月』は、ワンちゃんと飼い主さんが住む地域や環境、そして気温によって異なるので、注意してください。

フィラリア症(特に注意するべき月は、おおよそ5月から12月)

蚊を媒介して発症します。運悪く感染した場合、ワンちゃんの心臓に負担がかかりやすく、肝硬変や心臓肥大などの症状が現れるようになります。統計では夏の時期に、フィラリア予防を施していないワンちゃんは約38パーセント、そして二夏を過ごした場合は、さらに89パーセントが感染していると言われています。ですからダニやノミ対策と一緒に、確実にフィラリア予防を徹底することが大切です。

ノミやダニ(特に注意するべき月は、おおよそ5月から12月)

お散歩から帰ってきてから、愛犬が身体を度々かゆがっていたら、いの一番にダニやノミのトラブルと考えてください。ワンちゃんが身体を掻くことによって、思いがけず引っかき傷をこしらえてしまったり、舐めることによって皮膚を真っ赤にしてしまったりする場合もあります。そして、たくさんの血を吸われてしまったときには、貧血になる可能性もあります。さらに、愛犬だけでなく、飼い主や家族にも寄生することがあるので、確実に予防をしましょう。

皮膚のトラブル(特に注意するべき月は、おおよそ1月から2月、そして6月から9月)

湿気が多い時期に肌のトラブルが起きやすいので、散歩から帰ってきたら愛犬の身体をよく拭いてあげましょう。皮膚の炎症を犬が自ら引っ掻いて悪化させる場合もありますので、ひどいときには動物病院に行きましょう。

一方、乾燥しやすい時期は静電気が起きやすく、皮膚や被毛がダメージを受けてしまします。保湿剤を使用して乾燥を防いであげましょう。

風邪(特に注意するべき月は、おおよそ1月から4月、そして10月から12月)

乾燥する冬場に鼻水やくしゃみ、発熱など人間の風邪と似た症状の、ケンネルコフという病気にかかりやすくなります。一般的に子犬や高齢犬にみられますが、成犬でも感染や発症することもあります。感染力が強いので、多頭飼いのお家では十二分に注意しましょう。

シーズン別の日頃のお手入れと注意したい病気

「春」のお手入れと気を付けたい病気

常日頃のお手入れ

  • サークル内の衣替え(毛布類からタオル類へ入れ替える)
  • 室温の調節
  • 愛犬の健康診断(血液検査等)

病気

  • ダニやノミ
  • フィラリア症
  • 花粉症
  • 外部寄生虫
  • 腸内寄生虫
  • 急激な運動した後の脳溢血

「夏」のお手入れと気を付けたい病気

常日頃のお手入れ

  • 熱中症対策
  • 紫外線対策

病気

  • フィラリア症
  • ダニやノミ
  • 熱中症
  • 食中毒や食欲不振
  • 皮膚のトラブル
  • 胃炎

「秋」のお手入れと気を付けたい病気

常日頃のお手入れ

  • 室温の調節
  • サークル内の衣替え(タオル類から毛布類へ入れ替える)

病気

  • ダニやノミ
  • フィラリア症
  • 夏バテ
  • 季節の変わり目の下痢や嘔吐

「冬」のお手入れと気を付けたい病気

常日頃のお手入れ

  • 寒さ対策
  • 食べ過ぎに注意して肥満予防
  • 乾燥肌対策
  • 適度な運動

病気

  • 消化不良
  • ケンネルコフ
  • 内臓疾患
  • 胃炎

まとめ

ジメジメした梅雨の期間は、愛犬の皮膚のトラブル以外にも、食中毒やフィラリア・ダニやノミによる寄生虫に気をつけましょう。そして、ドッグフードやワンちゃん用のおやつなども、長い時間外気にさらしているのも気をつけたいところです。

また、一般的に過ごしやすい時期と言われている3月から5月くらいでも、私たち人間と一緒でワンちゃんも、花粉症にそっくりな症状が出ることもあります。とても症状がひどいときには動物病院に行き、獣医師と相談しましょう。

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執筆ライター
犬と猫を同時飼いしています。ミニチュアピンシャーを生まれて数ヶ月の小さい頃から10年飼っていまして、2年前から生まれたての子猫(雑種)が家族の仲間入りしました。