犬にとって意味がない夏対策4選【獣医師監修】
2018年08月17日更新
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記事の監修
- 獣医師
- 加藤桂子
- (大学病院 獣医師)
日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。
夏の暑さはわんこにとっては大敵。みなさん、かわいい愛犬のためにいろいろな工夫をしていると思いますが、実はその対策、わんこにとっては無意味かもしれないんです。
1.扇風機
扇風機というと、エコで身体にも優しい冷房機器というイメージがありますよね。
わんこにとっても、エアコンの風より扇風機の風の方が心地よいのでは?と思うかもしれませんが、実はそれは間違いです。
私たち人間が扇風機の風を浴びて涼しいと思うのは、肌にかいた汗が、扇風機の風によって蒸発する際に、いわゆる気化熱が発生し、身体の熱を奪ってくれるからです。
ですが、わんこは人間とは違い、全身で汗をかいて体温を下げる、という事ができません。代わりに、ハアハアと口で息をすることで唾液を気化させて、体温調節を行っているのです。
つまり、わんこが扇風機の風を浴びたところで気化熱が発生することはなく、体温が下がるということもないのです。
鼻や耳といった露出部に風が当たって多少は気持ちいいかもしれませんし、風が入ることで気持ちよさを感じているとは思いますが、人間ほど涼しさを感じることはできないのです。
なので、もし扇風機を利用したいのであれば、エアコンの冷たい風を循環させるのに使ったり、保冷剤など扇風機につけるものが売っていますのでそのようなものをとりつけて冷たい空気を送ったりすることも方法の一つかもしれません。
2.サマーカット
よく「わんこは毛皮を着てるんだから、暑いに決まってる!」と冗談まじりに言うことがありますよね。
だったら、被毛を短くカットして少しでも涼しくしてあげようと、夏には愛犬をサマーカットにするという人も少なくないかと思います。
ですが、実はこれも大きな間違い。上でもご紹介したとおり、わんこは肌で汗をかいて体温調節をしているわけではありません。
ですので、肌が被毛に覆われていても、暑いということはありません。むしろ、被毛によって紫外線や障害物から肌を守っている側面が大きいのです。
安易なサマーカットは、かえってわんこの皮膚を危険にさらすことにもなりかねません。サマーカットを行う際には、トリマーさんや獣医師とよく相談することをおすすめします。
3.冷たいお風呂
炎天下のお散歩から帰って、クールダウンのために、冷たいお風呂に入れてあげようとしているあなた、ちょっと待ってください。どんなに暑い日でも、冷たすぎる水風呂やプールに入ったら、人間だってびっくりしてしまいますよね。
シャワーで短時間、水をかけてあげる分には問題ありませんが、冷たいお風呂に長く浸けることは、わんこの身体にも大きな負担をかけてしまいます。
また、お湯に比べて水では汚れも落ちにくいので、わんこの身体を清潔にするという面でも効果はマイナスです。
お風呂の温度は、わんこの体温と同じ程度から少し上くらいの、38~40度くらいがベストかもしれません。ただし、少し熱中症ぎみになっていたり、あまりにも暑そうにしていた場合は、もう少しぬるい温度でもいいかもしれませんね。
4.設定温度低すぎのエアコン
わんこは人間よりも暑さが苦手なもの。ですが、だからといって、やみくもにエアコンの設定温度を低くすることはNGです。
エアコンの冷たい風は、低い位置にたまります。わんこは人間よりも低い位置にいることが多いですから、わんこは私たちが感じている以上に涼しく感じているのです。
エアコンの設定温度は26度前後がベストといわれています。わんこがハアハアしない程度を目安に、わんこのようすをよく観察して調整してあげましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?意外と見落としがちなことがあったのではないでしょうか。
わんこが涼しく過ごせるようにという飼い主さんの「親心」が仇になってしまわないよう、正しい知識を持って対策を行い、暑い夏を元気に乗り切りたいですね。