猟犬の育成や訓練の方法と狩猟が抱える問題

猟犬の育成や訓練の方法と狩猟が抱える問題

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猟犬と聞くと、獲物を追いかける勇猛な姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。一般的な家庭犬に比べると、猟犬については知らないことが多いかもしれません。今回は、猟犬についての基本的な情報と共に、猟犬の育成や訓練方法についてご紹介します。

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猟犬とは

狩猟犬

猟犬とは、狩猟に使役する犬の総称です。鳥や獣を見つけ、追いかけて捕まえるなど、主人である猟師のサポートを行います。猟師にとって猟犬は、大切なパートナーとも言えるでしょう。具体的に猟犬にはどのような特徴があるのか、猟犬に向いている犬種について詳しくご紹介します。

猟犬の特徴

一般的に猟犬になる犬は中型犬や大型犬が多いとされています。しかし、小型犬の中でも猟犬として選ばれる犬種も存在します。バランスの取れた体型をしており、スピードやスタミナに優れているのが、猟犬に選ばれる犬の特徴と言えるでしょう。猟犬の中でも、短毛の犬種は野山、長毛の犬種は水辺の猟を得意としています。

また猟犬に向いているのは、大きな鳥獣にも果敢に挑む勇敢さを持つ犬だと言われています。ターゲットを見つけてもすぐに飛びつくことなく、待つことができる忍耐強さと賢さも猟犬に求められる性格のようです。

主な犬種

猟犬の主な犬種には、ビーグル、バセットハウンド、ワイヤーフォクステリア、アフガンハウンド、アメリカンコッカースパニエル、ラブラドールレトリーバー、紀州犬などが挙げられます。

猟犬は世界に約700~800種類いると言われています。その内、FCI(国際畜犬連盟)が公認しているのは344犬種、JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)に登録されているのは198犬種です。

猟犬の種類

獲物をくわえた犬

猟犬には大きく分けて「鳥猟犬」と「獣猟犬」の2種類がおり、それぞれ特徴が異なります。

鳥猟犬

鳥を狩るときのパートナー犬が「鳥猟犬(別名:バードドッグ)」です。狩りに猟銃を使うことから「ガンドッグ」と呼ばれることもあります。

鳥猟犬の中でも、前足でターゲットの方位を主人に示す犬を「ポインター」、伏せの姿勢でターゲットがいることを知らせる犬を「セッター」と呼びます。ターゲットが逃げ出さないように近づき、主人の指示で射撃に最適な位置に追い出す犬は「スパニエル」、撃ち落したターゲットを回収する犬を「レトリーバー」と呼ぶなど、役目ごとに分類されることが多いようです。

犬種名にこれらの言葉がついていれば、鳥猟犬の一種と考えてよいでしょう。代表種としては、アイリッシュセッター、アメリカンコッカースパニエル、ラブラドールレトリーバーなどがいます。

獣猟犬

イノシシやシカなどの獣猟の際にパートナーとなる犬を「獣猟犬」と呼びます。猟の対象となる動物によって改良が行われたため、体格は小型から超大型までさまざまです。ターゲットを探す方法によって、視覚獣猟犬(サイト・ハウンド)と嗅覚獣猟犬(セント・ハウンド)に分類されます。

視覚獣猟犬は鋭い視覚と、遠くにある獲物を追い詰めることができる脚力が求められます。引き締まった体つきと、俊敏な走りを可能にする骨格を持つ犬種が重宝され、ボルゾイやサルーキなどが代表種です。

嗅覚獣猟犬は、鋭い嗅覚で獲物の居場所を追い、猟師に教える役目を担います。ターゲットをどこまでも追跡する持久力と、優れた集中力を保持している必要があります。代表的な犬種はビーグルやダックスフントです。日本犬は主に嗅覚獣猟犬に分類され、日本における猟犬の中では紀州犬が代表的です。

猟犬の育成

狩りの手伝いをする犬

猟犬を育成するためには、一般的な「しつけ」が十分にできているだけではなく、技能に応じた訓練が必要となります。まずは子犬の頃から愛情を持って丁寧に育てることが大切です。家族とのコミュニケーションを図り、信頼関係を築きましょう。

主人との信頼関係が築けたら、他の人や先輩犬たちに慣れさせることも、猟犬の育成には必要です。外の世界に慣れていくことで、自信や勇気を身につけることができます。

猟犬の訓練方法

いのししと対峙する犬

猟犬としての訓練の開始時期は、子犬から育成する場合、生後6ヶ月頃が目安です。猟犬専門の訓練学校がありますが、基本的には以下のような手順で行うことが多いようです。

猟犬の訓練方法①探索の訓練

まずは猟犬にリードをつけたまま、実際にターゲットが潜んでいると思われる巣やねぐらの場所まで連れていきます。猟師がターゲットの足跡を探し、匂いを嗅いで覚えさせることで、猟犬が自ら探索できるように訓練します。訓練で猟場を歩かせる際には、必要以上に叱らず、猟場は楽しいということを覚えさせることも重要です。

猟犬の訓練方法②回収の訓練

猟銃を使った猟の際には、ターゲットを回収する役割があります。その際、猟犬が必要以上に強くターゲットを咬まないよう、優しく咥えさせる訓練が必要です。水辺での狩猟の場合は、流されるターゲットを、泳いで確実に回収する訓練も必要となります。

猟犬の訓練方法③銃声に慣れる訓練

猟犬が銃声に対して恐怖心を抱いてしまわないよう、大きな音に慣れる訓練を行いましょう。射撃場へ犬を同行させることが一番簡単な方法と言われています。銃と猟犬との距離を徐々に近づけることで、大きな銃声に慣れさせることが可能です。射撃場での銃声に慣れてきたら、先輩猟犬の狩猟に同行させるなど、段階を踏んで慣れさせていきます。

猟犬と狩猟が抱える問題

ハンターと犬

猟犬の遺棄問題

一部の猟師により、不要になった猟犬が遺棄される事態が問題になっています。怪我や老化などの理由で猟ができなくなったとしても、愛情を持って育ててきた大切な命です。役割を終えた猟犬も、家庭犬として受け入れてあげてほしいものです。

猟場となる山間部では、猟犬の迷い犬が増えているという現状があります。狩猟のために訓練されている犬であっても、山中を走り回って主人のもとに戻れなくなるケースがあるようです。

動物愛護センターや警察が保護した際に、主人を見つけられるよう「鑑札」や「迷子札」をつけることが重要です。近年ではマイクロチップを埋め込むことを推奨していますので、大切な猟犬が主人のもとへ戻れるように工夫してあげましょう。

動物愛護の観点から見る対立

日本における狩猟の目的は、有害鳥獣駆除が大きな割合を占めています。有害鳥獣による農作物の被害は後を絶たず、自治体からの要請があれば、狩猟シーズンに関係なく動物を捕獲するようです。しかし、人間の都合で自然の中で暮らすシカやイノシシの命を奪うことに対して、反論を唱える動物愛護家がいるのも現状です。

また、犬の自由を訴え、猟犬を狩りに用いること自体を否定する人たちもいます。猟師には「猟犬種に猟犬らしい本能を発揮できる場を与えている」という主張もあるため、双方の意見が交わることは難しいかもしれません。

まとめ

獲物をくわえた犬

猟犬種は人間が農耕を開始する以前から、狩猟のパートナーとして活躍してきました。猟犬の優れた能力を借りて、人間は狩猟をしてきたと言われています。猟犬としての活躍を望むのであれば適切な訓練を行い、その特徴を活かせる環境を整えてあげてください。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 あーたん

    人間と一緒に働いてくれる犬達は本当にいっぱい居るんですねぇ。記事を読んで、狩猟犬としてのイメージがなく、意外すぎて「えっ!」と驚いた犬種もたくさん居ました。個人的にはコッカースパニエルが意外でびっくりしました。
    犬種一覧を見て、どの犬種も賢くて飼い主に従順な子達ばかりですね。犬を見習わなきゃなぁと思いました。
  • 投稿者

    50代以上 女性 K9-ABC

    狩猟犬は数匹で役割分担したり、一匹で何役もこなしたりして、狩猟のお手伝いから、今では介助、盲導、セラピーにも色々な役目を担って私達人間を助けてくれています。
    狩猟犬時代に水鳥を回収していた犬種には水かきが残っていると聞きますが、今は水遊びに大いに役立っていることでしょう。
    ペットとして私達に癒しや喜びをくれる彼らが人間と共生してきてくれて本当に良かったと思います。
  • 投稿者

    30代 女性 TIKI

    狩猟犬というと、やはりポインターやセッター等の大型犬のイメージがありましたが、記事を読んでプードルなども狩猟犬として活躍しているのだと知って驚きました。主人の祖父が、昔よくセッターを連れて山に狩りに行っていたそうです。とても頭が良く、しっかりと働いたそうで日々自慢していたようです。
  • 投稿者

    50代以上 男性 匿名

    狩猟犬のポイントスタイルなど(片足をあげるなど・・・きっとほんももの狩猟犬の事をよく知らないと 思います!プロの家庭犬の訓練士の方の意見を以前、聞いた事があれますが,よく知らないと思います。年に何度かトライアルが富士山とか~、地方の予選とか見学に行って見たり、(いろいろ猟犬に対する考え方があるけれど、たとえば好みとか)、聞いてみたら(猟犬のプロの訓練士とか)きっと認識が変わると思います優れた猟犬は家庭犬としても、ベストです。たとえば盲導犬みたいに・・ちゃんと猟犬としての訓練が出来てれば ですが!
  • 投稿者

    20代 女性 コナ

    以前動物病院で診察待ちをしていたところ、私と愛犬の隣で診察待ちをしていたダックス・フントが、診察室から小さなケージを抱えたおじさんが席に着くなり狂い吠えしだしました。
    飼い主さんに抱かれて大人しくしていたわんちゃんが急に吠えだしたので驚いたのですが、そのおじさんは「ウサギだから仕方ないねー」と言っていたんです。
    飼い主の女性も「普段は吠えないんですけど…」と困惑していました。
    そのときはよく意味がわかりませんでしたが、ダックス・フントはウサギを追いかけて捕獲する狩猟犬だったと記事にあって「なるほど!」と。本能に刻まれているんでしょうかね、すごいなぁ。
    うちの犬は愛玩犬ですが、狩猟犬本能が残っている犬種を飼っている方は思い当たる習性などがあるのかな、と想像しました。
  • 投稿者

    30代 女性 nico

    猟犬のお仕事だけでもこんなに種類があるんですね!猟の仕方もこんな風に色々な種類があるのか、と思うと犬の脳慮kの高さをすごく感じさせられます。以前犬のイベントに行ったときに、たまたま「ガンドッグ」というレトリバー系の猟の競技会?のようなものを見たことがありますが、飼い主さんの指示に従って、どんどん遠くまで行って、遠い位置から飼い主さんの笛や手の指示に従って前後左右に動いて獲物を探して持ってくる姿はすごくかっこよかったです。何十メートルも離れたところでコントロールする飼い主さんもすごいな~と思いましたし、きっとコミュニケーションが取れていて信頼関係で結ばれているパートナーのような感じなのだろうな、とあこがれてしまいました。
  • 投稿者

    40代 女性 まかぶらたると

    わが家にいるわんこたちは、ポメキーというポメラニアン×ヨークシャーテリアのハーフ犬の子と、あとチワワ2匹。どちらも愛玩犬なので、ハンティングには程遠く、いつもぬくぬくと家の中で過ごしております。
    これまで猟犬を迎えたことは一度もないので、実際のところはよく知りませんが、ペットとして素人が飼うにはなかなかしつけの面で大変だという話をよく聞きます。
    近所の方に、昔実家でビーグルを10匹くらい飼っていたという方がいます。実家が狩猟を仕事にしていたそうで、その狩猟犬として飼っていたとのこと。まだご自身が子供の頃だったそうですが、親から決して触ったり構ったりしてはいけないと厳しく言われていたそうです。愛玩的に扱うと猟ができなくなるからと聞きました。子供ながらに犬が好きだったので遊びたかったそうですが、職業犬にはそれが許されないらしいです。
    そんな厳しいしつけをされているからこそ、猟犬たちはその任務を全うすることができるんですよね!そしてそれに恩恵を授かってきた私たちも、感謝しないといけないなぁと思いました。
    それにしても、猟犬とは一言で言っても、こんなに多くの種類や、目的に合わせた種類などがあったのですね。どこかしらで軽く見聞きしたことは各犬種ありますが、ここまで細かくしっかり知ったのは初めてでした。今はこうした種類の子達もペットとして飼われていることが多いと思います。その子たちを育てしつけていく中で、どんな目的の狩猟をしていたかを知ることにより、正しいしつけ方法を見出すこともできるでしょうね!
  • 投稿者

    女性 おっぽ

    一まとめに「猟犬」と言えど、たくさんの犬種がそれぞれ違う仕事を与えられていたんですね。ポインターとセッターが獲物を見つけた時の行うスタイルが、今でも本能として刻み込まれてるのかと思うと、昔どれだけの日々、先祖代々仕事をしてきたんだろうと感心してしまいます。プードルやダックスが猟犬なのは知っていましたが、柴犬が猟犬として生きていた時代があることを初めて知り、驚きました。柴犬は昔から日本の番犬だったんだろうと思っていましたが、私の近所の柴犬は鳥に向かって全力で走ろうとしたり、風で動く落ち葉に敏感に反応したりする子がいるので、この記事を見て、納得しました。今は家庭で愛されのんびり平和に暮らしているわんちゃん達も、実は猟犬の特性を持ち合わせているということは、子犬のお迎えしたときに、どれだけ特性が濃く出るか把握しておくことも大切かなと思いました。
  • 投稿者

    20代 女性 ゆず

    馴染みのある犬種ばかりでしたね。特にラブラドールレトリーバーが紹介されていたのは驚きでした。ラブちゃんの優秀さはよく知っていましたが、盲導犬とかセラピー犬のイメージが強かったので猟犬としても活躍できるのは意外でした。
    小型犬も何種類か紹介されていましたね。あんなに小さいのに野生動物の巣穴に入って獲物を仕留めたり、追いかけましたりと本当に凄いな〜と思います。
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