犬のマラセチア皮膚炎とは
マラセチアは常に犬の皮膚に存在する常在菌で、普段はおとなしく皮脂を食べて生息しています。しかし、何らかの原因でマラセチアが増殖すると、さまざまな皮膚トラブルを引き起こします。犬のマラセチア皮膚炎が他の犬や人間にうつることはありません。
犬の耳の中や皮膚に異常が見られたら、マラセチア皮膚炎の可能性がありますので早めに受診して原因をつきとめるようにしましょう。重症化すると、完治するのにも時間がかかってしまいます。初期症状で見つけてあげられるよう、普段の様子もよく観察しましょう。
犬のマラセチア皮膚炎の症状
炎症
マラセチアが分泌した脂肪分解酵素や、脂質を分解して発生した脂肪酸が、犬の皮膚に刺激を与えて炎症を起こします。口唇、鼻、肢、指間、脇の下、内股、肛門周囲部など、主に皮脂腺が集まっている箇所や湿気がこもりやすい箇所は、マラセチアが好んで生息しますので炎症も起こりやすいといえるでしょう。
初期症状では皮膚に赤みや腫れが見られ、症状が進むと皮膚が黒ずんできます。また、マラセチアが耳の中で異常繁殖すると、外耳炎になります。
かゆみ
マラセチア皮膚炎は強いかゆみを伴います。犬がかゆみによって患部を舐めたり引っ掻いたりして、角質や表皮を傷つけてしまうため、他の細菌感染を併発することも多いようです。また舐めたり噛んだりすることで、脱毛することもあります。
犬が一定箇所を舐める、噛む、引っ掻く、壁や床にこすりつけるなどの様子が見られたら、かゆがっているサインです。皮膚の状態を確認して、早めに受診しましょう。
皮膚のべたつき
マラセチアが異常繁殖すると、皮膚がべたべたと脂っぽくなります。また耳に感染すると耳垢にべたつきが見られ、爪に感染すると爪の表面が脂っぽくなり茶褐色や赤褐色に変色します。
脂っぽいフケが出ているときも、マラセチア皮膚炎を発症している可能性が高いでしょう。被毛の長い犬種は毛にべたつきが見られますので、ブラッシングや普段のコミュニケーションの際に気づくことができます。
異臭
犬のマラセチア皮膚炎は、発酵した酵母のような匂いも特徴的です。皮膚で異常繁殖したマラセチアが大量に分泌する皮脂を分解しますので、脂肪酸も大量に発生します。そのため、犬の体からは強い体臭が生じるようになります。
シャンプーしたてなのに匂いが気になるような場合は、マラセチア皮膚炎を発症している可能性が高いでしょう。異臭のするフケや耳垢が出るなどの症状も、マラセチア皮膚炎の特徴のひとつです。
犬がマラセチア皮膚炎になる原因
アレルギー
マラセチア皮膚炎を発症する原因の一つにアレルギーが挙げられます。アトピーや食物アレルギーなどによって皮膚に疾患がある犬の場合、皮膚のバリア機能が弱っているためマラセチアが異常繁殖しやすくなります。また、増殖したマラセチアに対するアレルギー反応によって、皮膚が炎症を起こすこともあるようです。
内分泌性疾患
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症といったホルモン異常が原因で、マラセチアが増殖することもあります。皮膚のバリア機能が低下し、フケや耳垢などマラセチアの栄養分も増えることから、マラセチアが異常繁殖し炎症などを起こします。
犬のマラセチア皮膚炎が、内分泌性疾患が原因の場合、ホルモン治療も行いながら皮膚炎の症状を緩和していく必要があります。
脂漏症
脂漏症が原因でマラセチア皮膚炎を発症することもあります。マラセチアは、犬の皮脂腺から分泌される脂質を栄養分として生息しています。脂漏症は皮脂の分泌が過剰になることから、マラセチアも異常繁殖しやすくなります。この体質の犬の場合、食事によっても皮脂が増えることがあるので、食事管理と平行して治療を行わなければなりません。
皮膚の湿度
マラセチアは湿気も好むことから、皮膚の湿度が上がると異常繁殖することもあります。特に垂れ耳や耳の中に毛が密集している犬種は、耳の中がジメジメして湿気がこもりやすいです。梅雨から夏にかけての時期は注意しましょう。
耳の中にシャンプーが残っていたり、水分が十分に拭き取れていなかったりしても、マラセチアが増殖しやすいです。耳に限らず、湿気がこもりやすい内股や関節の内側なども、繁殖しやすく炎症が起こりやすいので注意して観察しましょう。
犬のマラセチア皮膚炎の治療法
シャンプー療法
抗菌シャンプーや抗脂漏症用シャンプーを使って、犬の皮膚についた汚れや余分な脂を取り除きます。このシャンプー療法では、皮膚の保湿効果や弱った皮膚のバリア機能を正常に近づける効果もあるそうです。
マラセブやメディダームは一般でも入手できる、マラセチア皮膚炎に効果的な薬剤入りシャンプーです。通常のシャンプーとは違い、薬剤入りの泡を浸透させるために、しばらく時間をおいてからすすぎを行うという特徴があります。こうすることによって、増えすぎたマラセチアを減少させることもできます。このようなシャンプーは使用回数や使用量が決まっていますので、よく確認して使用してください。
塗り薬
犬のマラセチア皮膚炎の症状が部分的な場合、塗り薬でマラセチアを減らし、炎症を抑えることもできます。抗真菌薬が配合されたヒビクス軟膏は通販でも入手でき、炎症を抑える効果やかゆみ止めの効果も期待できます。
内服薬
異常に増えすぎたマラセチアを抑えるために、内服薬を使用することもあります。抗真菌作用によって、マラセチアを殺菌・減少させることで、犬の皮膚を正常に戻していきます。内服薬ではイトラコナゾールが主に使われます。
基礎疾患の治療
アレルギーや内分泌疾患などが原因でマラセチア皮膚炎を患っている犬の場合、それらの治療を行わなければなりません。そうすることで皮膚のバリア機能も正常化し、シャンプー療法や薬で減少させたマラセチアが再度増えることを防ぎます。かゆみがでている場合には抗炎症剤などとも併用しながら、皮膚を正常の状態に戻していきます。
内分泌疾患の場合には、ホルモン治療でホルモンの分泌を正常化し、マラセチアの栄養分となるフケや脂質の分泌を抑えます。アレルギーが原因の場合は、アレルゲンを除去することで皮膚のバリア機能を正常に戻し、炎症を抑えていきます。
マラセチア皮膚炎になりやすい犬種
- シーズー
- ウエストハイランドホワイトテリア
- フレンチブルドッグ
- パグ
- バセットハウンド
- コッカースパニエル
日本でマラセチア皮膚炎になりやすい犬種というと、一番にシーズーが挙げられます。チベットなどの寒冷地原産のシーズーは、寒さや乾燥から体を守るため皮脂腺からの油分の分泌量が多い犬種です。しかし日本の高温多湿の環境下では、その油分がマラセチアなど雑菌の温床となってしまっていることが要因です。
また皮脂分泌の多い犬種や耳垢の多い犬種は、マラセチアの栄養分の分泌も多いことから、マラセチア皮膚炎にかかりやすい犬種といわれています。特に、脂漏症と犬アトピー性皮膚炎の両方の好発犬種であるウエストハイランド・ホワイトテリアも、マラセチア皮膚炎にかかりやすいため注意が必要です。
フレンチブルドッグやパグなどのしわの多い犬種は、しわの間に皮脂が溜まりやすいためマラセチアも繁殖しやすいです。しわの間のお手入れも怠らずに、しっかりとしてあげましょう。遺伝的に耳垢の多い、バセット・ハウンドやコッカー・スパニエルもマラセチアによる皮膚炎にかかりやすい犬種です。こまめに耳垢の状態を観察しましょう。
犬のマラセチア皮膚炎の予防
定期的なシャンプー
マラセチア皮膚炎は皮脂の分泌が見られたり、皮膚のバリア機能が低下していると起こりやすいため、定期的なシャンプーで皮膚についた汚れや余分な脂を取り除きましょう。また体を清潔に保つことでバリア機能の低下も防ぎ、外からの刺激に対する皮膚の抵抗力も維持することができます。
特にマラセチア皮膚炎は再発しやすい病気ですので、一度かかったことのある犬は薬用シャンプーで洗ってあげると、より効果的な予防になるでしょう。
バランスの良い食事
犬のマラセチア皮膚炎を予防するために、バランスの良い食事を心がけましょう。脂肪の質がよいフードを選ぶことで、体の内側から皮膚をサポートすることができます。年齢や体質に合っていない食事が原因で、皮脂が余分に出てしまうこともあるようです。適切な栄養バランスの食事を心がけましょう。
またサプリメントを使って、皮膚の健康維持に欠かせないビタミン・ミネラルなどを補うこともできます。犬アトピー性皮膚炎の疾患がある場合は、食物アレルギーの併発がないかにも注意しましょう。
生活環境の見直し
ストレスが原因で、皮膚のバリア機能が低下することもあります。マラセチアは高温多湿な環境を好むため、犬にとって快適な生活環境を整えてあげましょう。犬が快適に過ごせる湿度は、40~60パーセントといわれています。
室内飼育の場合、晴れた日には部屋の換気をしたり梅雨時期には除湿機を使ったりして、湿度が上がり過ぎないように注意しましょう。ハウスダストや花粉などのアレルギーがある犬の場合、空気清浄機などを使用して部屋の中を清潔に保つことも大切です。
まとめ
犬のマラセチア皮膚炎は、一度発症するとなかなか治らない病気で再発を繰り返します。マラセチア皮膚炎はさまざまな原因から発症しますが、基礎疾患などによって皮膚のバリア機能が低下していることが一番の原因と考えられています。そのため皮膚のバリア機能を正常に戻し、犬が本来持っている自然治癒力を高めてあげることが重要です。
自然治癒力をあげるためにも、食事の改善や生活環境の見直しなど、犬がストレスを感じない環境を整えてあげましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 ちえ
40代 女性 もも
30代 女性 ちゃー
女性 匿名
マラセチアについて、かなり間違っていることが書かれており、読んだ人が誤解するような内容だと感じました。
そもそもマラセチアは常在菌で増殖してしまうことがおかしいことなのです。
マラセチアが増殖して皮膚炎を起こすというより、自己免疫疾患や内分泌性皮膚病により、炎症を起こしたところにマラセチアが増殖したという子がほとんどです。困ったことにそれを知らない獣医も多く、2年も抗真菌剤をわんちゃんに使い、皮膚病が治らないという獣医もいるのが現状です。皮膚病でマラセチアがいたとしても、そうなるに至った原因があるということを理解していない、素人の方がこういう事を書かれるのはどうかと思います。
30代 女性 アトピーからマラセチアに
アレルギー検査もしました。
治療用の餌も与えてました。
全然良くならず…
ステロイドの副作用で白内障になり手術を薦められたが高齢の犬に麻酔の危険性が高い為治療拒否しました。
何故なら、先生が薦めた治療用の餌にはアレルギー検査で引っかかったトウモロコシが全て入っていた。
疑いもなくずっとあげてた。
効かないと他を先生が薦め餌をあげていた。
良くなるはずがない。単なる金儲けに利用されてたんだと思う。毎週1万超えのお薬代に検査があると2万
今は、餌を完全手作りに変えて免疫力をあげてます。
免疫力が下がるとマラセチアが暴れますのでならべく人間が食べている食材で新鮮な物をあげて下さい。
我が家は鳥の手羽先や馬肉を生であげてます。
薬漬けで免疫力が弱いので酵素をたっぷり摂る事を考えてます。
抗生物質は良い体内菌も死滅させます。
ステロイドは副作用が必ず出ます。
まずは良い餌を与えてあげて下さい。
昔の犬は味噌汁に御飯でしたよね?
我が家の昔飼っていた愛犬は18歳まで生きましたがドックフード食べてなかったです。
塩分の大切さ、犬は人と共に暮らして来ました。人の食べる物をならべく与えて下さい。お菓子はダメですよ!
40代 女性 シュガー
常在菌なので全くいなくなることはないらしいのですが、増えすぎると悪さをするのでしょう。うちの犬は垂れ耳なので、毎年暖かくなってくると耳には気を遣います。
湿気がこもって外耳炎にならないように、こまめにコットンで拭ける範囲だけですが掃除をしています。
液体のイヤークリーナーは、内部を拭きとれないので、心配で使っていません。月に1回トリミングをするときに、私の手の届かない場所はトリマーさんに掃除をしてもらっています。
40代 女性 おーちゃんママ
20代 女性 はる
30代 女性 ハッピー
20代 女性 匿名
マラセチアと言われました。年単位の治療だとか、ハゲるとか書かれた記事を見て震えています(私が)
50代以上 女性 匿名
50代以上 男性 パンチシーズー
50代以上 女性 ねねマム
仔犬の頃から発症し
色んな治療をして来ましたが治りません。
自宅でシャンプーもして居ます。
毎月高額なお金を払って病院で薬を処方して頂いても治りません。
とにかく治りません。