犬に車酔いさせない方法!「車が苦手」を克服しよう

【獣医師監修】犬に車酔いさせない方法!「車が苦手」を克服しよう

愛犬との楽しいお出かけを妨げてしまう車酔いの症状。車で自宅から離れた場所にお出かけする度に、愛犬の体調に異変が起きて悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか?そこで今回は、飼い主さんが愛犬のためにしてあげられる車酔い予防策と、移動中に車内で快適に過ごすためのコツをご紹介します!

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

車でのお出かけは、愛犬のための荷物量や休憩のタイミングなど、他の人を気にする必要もなく、目的地まで移動することができるという大きなメリットがあります。

しかし、車での移動で問題になりがちなのが、愛犬の「車酔い」です!

車酔いが辛いのは人だけではありません。車酔いをして嫌な思い出を作ってしまった愛犬にとっても「自動車=嫌なもの!」と印象づけられ、車が大嫌いになってしまう子もいるほどです。

こういった場合では、車に乗る前から、車酔いのトラウマやストレスにより、前兆や症状そのものが出てしまう子もいます。愛犬のストレス軽減や健康のことを思えば、車酔いを我慢させてしまうことはもちろん、大嫌いな物はできるだけ作りたくないのが親心でしょう。

「車に乗ること=楽しい思い出」にたくさんつなげてあげたいと思っているはずです。

今、愛犬の車酔いに悩んでいる飼い主さんも、これから車を使ったお出かけを考えている飼い主さんも、どうすれば快適に自動車に乗ることができるかは、知っておきたい情報ですよね。

今回は、犬が車酔いをしたときに現れる症状や、今から始められる車酔い対策をご紹介します。出発前にぜひ取り入れて、愛犬との外出を今よりもっと楽しい時間にしてみましょう!

犬が車酔いしたときのサイン

お出かけのときに初めて愛犬の車酔いに直面すると、いざというとき焦ってしまいますよね。あらかじめ犬の車酔いのサインを知って、対策を立てておきましょう!

車酔いの症状【アンケート結果】

犬が車酔いした際の症状
※わんちゃんホンポアンケート「愛犬の車酔いについて教えて!」より抜粋

気持ち悪さが高まったときに出る症状

今回犬の飼い主さんに向けて愛犬の車酔いに関するアンケートをとったところ、人の車酔いと同じく、

  • 嘔吐
  • むかむかとした気持ち悪さ

といった症状を愛犬が見せるという声が大多数を占めました。

  • よだれを垂らす
  • 泡を吹く
  • 口をくちゃくちゃさせる

などの症状は、気持ち悪さが高まったときに出る車酔いの症状と言えます。

ストレスのサイン

また、同時に注目しておきたいのが、犬たちの乗車中に見せる「緊張感」についてです。

  • 落ち着きがなくなる
  • あくびが多くなる
  • 呼吸が荒くなる

といった症状は、吐く・気持ち悪さに対するサインの1つでもありますが、同時に乗車することに対するストレスサインとも取ることができます。

車酔いによる気持ち悪さがあった後に落ち着かない様子などのストレスサインが出ているのか、車に乗る段階で走行前にストレスサインが出ているのかは、意味合いが大きく異なります。

体質的に車酔いしやすく、吐くことだけが愛犬にとって問題となっているのであれば、酔い止め薬での車酔い予防や、乗車中の対策だけで車酔いが改善されることも多いものです。

しかし、車に乗ることに対する緊張感や恐怖、苦手という気持ちが先にあって、愛犬の車に対するストレスが大きいのであれば、「車に乗ることを克服する」という対策も必要になります。

車に対して嫌な思い出があって、苦手感情が強いようであれば、吐くことは止めることができても、飼い主さんと一緒に車でのお出かけを楽しむのは難しいでしょう。

愛犬に車酔いをさせず、治し方を探したい時には、まずは愛犬が車に対してどんな気持ちを向けているかを探ることも重要です。

なぜ車酔いするのか?

ぐったりして休んでいる犬

犬の車酔いは、体のバランス感覚を司る内耳の中の

  • 三半規管
  • 前庭

と呼ばれる場所が刺激されて、体の正しい位置情報を脳が認識できなくなることで引き起こされます。

車に乗ると、道路状況や車の運転の仕方によって、さまざまな揺れが発生しますね。こういった車の揺れは、普段の生活で過ごすときには長時間感じないものでもあります。

慣れない刺激に対応しようとする三半規管や前庭と、目の前の景色や状況を脳に伝える視覚との間にギャップが生まれ、脳の情報処理が追いつかなくなった結果、自律神経に乱れが生じてしまいます。

すると、脳の嘔吐を引き起こす部位である嘔吐中枢が刺激され、気持ち悪くなって吐くことがあるというわけです。

こういった犬の車酔いのしやすさは、単に体のシステムの問題だけではなく、

  • 車に乗る時間の長さ(長ければ長いほど)
  • 車へのストレス(過去の車酔いに関するトラウマなど)
  • 車の中の匂い(鼻の良い犬にとって強く感じるもの)

なども関わって引き起こされることもあります。

そのため、愛犬が車に快適に乗るには、愛犬の体への対策だけでなく、心や車内環境の対策も行ってあげましょう。

車酔いを克服しよう!やっておきたい予防対策

助手席から顔を出して笑っている犬

犬が車酔いをする原因を知った上で、乗る前と乗車中にどんな予防対策を取ってあげられるかを考えてみましょう。

特に車で長距離を移動するときには、ぜひ試してみてください。

乗る前にしておきたいこと

  • 動物病院で酔い止め薬を処方してもらう
  • 車に慣れる練習をする
  • 食事のタイミングをずらす

動物病院で酔い止め薬を処方してもらう

動物病院では、犬の車酔いに関する相談を少なくない頻度で受けます。愛犬が長時間の車移動で酔ってしまい、吐き気を催してしまうのであれば、ぜひかかりつけの獣医師に一度相談してみましょう。

セレニア錠などを始めとする、犬の吐き気止めとして用いられる薬を酔い止め薬として処方してくれることがあります。

愛犬の体重に合わせた量をきちんと計算し、薬の飲み方も一緒に指導してくれるため、飼い主さんにとっては安心して使うことができるでしょう。

車に慣れる練習をする

車の揺れによるものからくる吐き気だけでなく、車への苦手意識があるようであれば、事前に車に乗ることを克服する、もしくは慣れるように練習させてあげましょう。

特に、車が動き出す前からそわそわと落ち着かないような犬であれば、徐々に段階を踏んで「車は怖くないよ」というイメージを持ってもらうことが必要です。

車に慣れるためのトレーニングは、次のような順で行ってみてください。

ステップ① 車に愛犬を乗せて、エンジンをかけずに数分間だけ過ごす

型崩れしない普段使っているクレートの中に入れて、短時間車内で過ごしてみましょう。

車への緊張感が強い子には、おやつなどのごほうびを使ったり、飼い主さんが抱っこした状態で乗り込んで、愛犬の気がまぎれるように過ごさせてあげてください。

  • おもちゃを使って遊ばせる
  • マッサージをする

といった、「車の中は楽しい」「リラックスできる」と実感させてあげるのもおすすめです。

ドアが閉まった狭い空間に緊張するようなら、最初はドアを開放して外が見えるような状態から始めてあげましょう。

ステップ② 車にエンジンをかけた状態で、音や振動がある中で過ごす

この時もまだ車は走らせず、車の稼働音に慣れてもらうだけを意識します。車内で問題なくリラックスできるようになるまで、愛犬の気をまぎらわせて繰り返し練習させてあげましょう。

ステップ③ 短時間だけ車を走行させてみる

できれば運転する人と、愛犬の様子を見守る人の2手に分かれて、車をゆっくりと家の周囲を回る程度に走らせてみましょう。

2人1組になるのは、「傍に飼い主さんがいてくれるから大丈夫かも…」と、愛犬に思ってもらえるように1人が付きっきりで見てあげられるからです。

走行中は、愛犬の近くにいる人が声をかけつつ、愛犬の緊張度や恐怖感がどれくらいのものかをしっかりとチェックしてください。乗車中に愛犬が車に対して緊張していなければ、10分、15分と少しずつ時間を伸ばして慣らしていくようにしましょう。

ステップ④ 車の到着場所は愛犬が楽しいと思える場所を選ぶ

車に乗った結果、愛犬にとって緊張したり、怖いと感じる場所にたどりついてしまうと、「車に乗ったら嫌な場所に連れて行かれた!」と感じ、車に慣れるトレーニングが台無しになってしまいます。

そのため、最初の練習時には、車に乗ることで楽しく遊べる・お散歩できる場所に連れて行ってあげるよう意識しましょう。

「車に乗ったら楽しいところに連れて行ってもらえる!」と、乗車することを喜んでくれるようになれば、このトレーニングは大成功です。

食事のタイミングをずらす

犬にとって、満腹感もしくは空腹感が強い状態で、車の揺れによる影響を受けると、気持ち悪さや嘔吐が出やすくなります。

日常生活でも、食後すぐにはしゃいだり、直前の食事との間隔が空きすぎると、吐くことが多くなりますよね。

車に乗る時には、

  • 食後は最低でも2時間ほど空ける
  • 次の食事が目前に迫っているような空腹時間帯は避ける

ということを意識し、愛犬の車酔いを誘発しないように注意しましょう。

乗車中にできること

  • こまめに休憩を取る
  • 車内の空気を入れ替える
  • クレートに入れて固定する
  • 揺れの少ない運転方法を意識する

こまめに休憩を取る

長時間同じような体勢で車の揺れによる刺激を感じ続けると、最初は軽い車酔いだったとしても、徐々に症状が重くなってしまうことがあります。

そのため、車での移動を始めた後は、ドッグラン付きのサービスエリアなどを活用して、愛犬が車から降りて気分転換する時間をこまめにとってあげましょう。できれば1時間に1回程度を目安にしてあげると、愛犬にとっては負担が少なくなります。

トイレをしたり、お水を飲んだり、はたまた飼い主さんと遊ぶ時間を間に設けてもらうと、刺激を受けて気持ち悪くなってしまった状況から気をまぎらわせることができます。

可能であれば、出発前にどこで休憩を取ることができるか調べておき、旅行計画に組み込んでおくと良いですね。

車内の空気を入れ替える

人の何倍も嗅覚が鋭い犬にとって、車内にこもった

  • 芳香剤
  • タバコ
  • 人の食べ物

の入り混じった匂いは、車酔いを引き起こしやすい原因の1つでもあります。

空気がこもらないように、天気が良い日はドライブ中に換気を行うことをおすすめします。

ただし、

  • 愛犬が飛び出ない
  • 愛犬の顔が窓の外にはみ出さない

程度に窓を開けることが肝心です。

犬にとって、外に気になるものが見えたり、何かに驚いて窓から飛び出してしまい、交通事故に遭ったという例も存在します。

また、犬の顔を窓の外に出したり、運転手が犬を抱えたりする行為は法律違反になるので注意しましょう!

出典:「犬好き要注意! 愛犬とのドライブでありがちな危険&道交法違反な行為3つ」

クレートに入れて固定する

愛犬をフリーにした状態で車に乗せると、体が揺れる刺激を感じやすく、ぐらつく体のバランスを保つために、姿勢を維持しようとする努力がぐっと必要になります。

ハードタイプのクレート(キャリー)を使用してあげることで、体がぐらつく範囲がかなり減り、車酔いにつながる揺れが少なくできる可能性があります。

また、揺れている中で感じる体の位置と、視覚から得る周囲の情報とのギャップを減らすこともできるため、やや外が見えにくいものであるとより効果を発揮してくれることも。

クレートの選び方は、飛行機旅行用として作られたタイプが活用しやすいのでおすすめです。

アイリスオーヤマ エアトラベルキャリー 中型犬用 ホワイト
¥6,283円(税込)

クレートを置く位置は、

  • 薄暗い環境の方が落ち着く子=後部座席の足元
  • 飼い主さんの声や姿も見えやすい方が安心する子=人が座っている隣の座席
  • 中型犬~大型犬など体格が大きい子=ラゲッジルーム

などのように、愛犬の好みと車酔いのレベルに合わせて場所を検討しましょう。

座席に置く場合は、もしもの時の急ブレーキに備えて、座席から滑り落ちないように固定してあげてください。

また、愛犬とのお出かけを考えている飼い主さんは、クレートが置きやすく、愛犬にとって広々としたスペースを提供しやすい「ドッグフレンドリーカー」をあらかじめ選んでおくのも良いですよ。

わんこにやさしいクルマ FREED(フリード)

揺れの少ない運転方法を意識する

車の揺れと愛犬の体への負担を減らすためのポイントには、飼い主さんの運転技術も大きな割合を占めます。

  • 急ブレーキ急加速を避ける
  • 山道などの昇り降りがある場所はゆっくり走る
  • できるだけ一定の速度で走る

こういったことを意識するだけでも、車からの刺激はかなり減ります。飼い主さんの「安全運転」が、人にも犬にも大事!というわけですね。

車酔いしたときの対処法

ベッドで仰向けになって寝ているパグ

いくら車酔いの予防対策をとっていても、環境やその場の状況によって、愛犬が車に酔ってしまうことはあります。

万が一愛犬が車酔いしたら、まず何よりも愛犬を休ませてあげることを優先しましょう。愛犬が車から離れる時間を作り、気持ち悪さが薄れるまでのんびりと過ごさせてあげてください。

このときに注意したいのは、気分転換をさせてあげようと愛犬を遊びに誘ってはしゃがせてしまうと、興奮が刺激となって再び吐いてしまったり、遊んだ後にぐったりしてしまう可能性があることです。

あくまで安静に過ごし、愛犬が落ち着くまでの安静時間を設けることを意識しましょう。

もしも休ませても元気が戻らなかったり、車酔いからくる吐き気が続くようであれば、愛犬の体調を優先し、お出かけや旅行を中止することも検討してあげましょう。

繰り返し吐くことで、胃液の逆流による刺激から消化管の粘膜が荒れ、車酔いだけの一時的な体調不良から進行してしまう危険もあるからです。

特に、元々持病がある子や、子犬や老犬など、体へのストレスが大きな影響を与えやすい状況・年齢の子は慎重になっても良いほどです。

愛犬の様子が心配なときには、迷わず動物病院で相談するようにしてくださいね。

獣医師によるQ&A

回答してくれる先生

木下 明紀子
獣医師
獣医師
木下 明紀子

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

車以外の乗り物でも犬は酔うことがある?

車以外の乗り物でも酔うことはあります。

乗り物酔いの原因は、上記に説明のある通り三半規管や前庭が揺れや振動で刺激されるためなので、そのような揺れや振動が起こる状況であれば犬が酔う可能性はあります。

犬が酔う乗り物で車の次に多く聞かれるものは飛行機ですが、キャリーに入っての移動ならどんな場合でも(人が持ち運んだり電車に乗ったりして揺れる)酔う可能性があるでしょう。

酔い止め薬は人用の市販のもので対応できる?

症状によっては対応できることもあります。

人用の市販薬には、犬の酔い止めとして使用できるものもあります。ただし、吐き気止めとして犬に強い効果のあるものではないので、症状が軽度な場合に有効なことがあるとお考えください。

使用する場合には、かかりつけの獣医師から使う薬や用量などについて必ず指示を受けてからにしてください。

車の酔い止めに効く犬のツボやマッサージ方法はある?

効果があるとされるツボはあります。

耳の先端にある「耳尖」というツボを刺激して、乗り物酔いの症状を軽減させることができた、という報告があります。

出典:犬の輸送ストレス軽減のための新規鍼治療の試み

「耳尖」は鍼を用いて刺激しますが、「内関(ないかん)」「築賓(ちくひん)」「中脘(ちゅうかん)」など、マッサージすることで犬でも車酔いや嘔吐に効く聞くツボもあります。

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